著者
有川 太郎
出版者
中央大学
雑誌
国際的な科学技術共同研究などの推進 戦略的国際科学技術協力推進事業 J-RAPID
巻号頁・発行日
2019

2018年12月23日に生じたクラカタウ火山の噴火に伴う津波の発生により、津波の大きさとしては比較的に小さかったものの、多くの犠牲者が発生した。この津波は、火山の噴火時における山体崩壊により津波が発生したと考えられているが、そのメカニズムは明らかにされていない。また、そのような非地震性の津波に対する警報システムが無かったことが津波避難の遅れにつながり、多くの犠牲者を出したと推測される。そこで、本研究では、以下の3つを実施し、非地震性津波に対するメカニズムの解明、検知システムの構築並びに避難計画の策定手法の提案を行う。 1)クラカタウ島付近の海底地形探査 2)ビデオイメージを活用した海面監視の可能性 3)数値計算と合わせ、避難に有効につなげるための情報発信方法の検証
著者
池田 輝政
出版者
熊本大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) トライアウト トライアウトタイプ(標準)
巻号頁・発行日
2021

日常生活で使用可能な抗ウイルス製品の開発は、新型コロナウイルス感染拡大の抑制に非常に有効である。我々は、次世代の機能性材料である酸化グラフェン(GO)に注目し、GOが新型コロナウイルスに対して強い抑制効果を持つことを明らかにしているが、GOおよびその誘導体を使用した製品が抗ウイルス活性を持つかはわからない。そこで本研究では、GOおよびその誘導体を使用した製品における抗ウイルス効果を、感染性のウイルスを使って評価する系を構築し、それらの抗ウイルス効果を検証する。感染性のウイルスに対して効果を持つ真の抗ウイルス製品の開発は、新型コロナウイルスの感染拡大の抑制に大きく貢献すると考えられる。
著者
松本 泰道
出版者
熊本大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 CREST
巻号頁・発行日
2009

厚さ1nm程度の二次平面単結晶無機ナノシートは、その組成に基づく化学的・物理的特性に加えて、量子サイズ効果、特異界面効果、高効率電荷分離効果を有する革新的機能材料です。本研究では、本来ナノシートが持つ静電的自己組織機能を利用し、異種ナノシート、機能性分子、液晶・高分子、DNAからなる未来型高機能ナノ層状体・ナノハイブリッド材料を構築し、新規機能の探索を行います。
著者
西川 悠
出版者
国立研究開発法人海洋研究開発機構
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 さきがけ
巻号頁・発行日
2018

魚群探知機は海面下の魚の存在を探知するために漁業・養殖業・海洋調査などで広く使われていますが、魚群の全体像や個々の魚の特徴を捉えることは得意ではありません。本研究では、養殖生簀中の魚の成長や動きをシミュレートし、生簀に設置した魚群探知機のエコー画像と比較することで、生簀中の魚の体重分布・個体数計測の高精度化を目指し、魚群探知機から魚群の詳細な状態を知る技術の開発に挑みます。
著者
鳥越 甲順
出版者
東海大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) 探索タイプ
巻号頁・発行日
2010

損傷腱の再生過程は未解明である。今回、in vivoでありながらin vitroの便利さを兼ね備えたフィルムモデル法によって腱の再生過程を電顕解析した。層板構造が完成した時期の腱分泌物tendon gelに張力(メカニカルストレス)が加わるとtendon gelは張力方向に縦列した膠原線維へと劇変し腱が形成された。その後、線維は太く成熟した。また、tendon gelから膠原線維へ形態変化する時のメカニカルストレスを定量評価した。tendon gelを特許出願し、今回の成果を学会発表後、専門雑誌へ投稿した。今後、成熟した人工腱の作製化をめざす。次に、腱細胞と羊膜間葉系幹細胞との共培養を行い、幹細胞にはtendon gelのcollagen type I, IIIを分泌する能力があることが判明した。今後、tendon gelの量産化をめざす。
著者
王 暁峰
出版者
関西学院大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 地域事業 地域イノベーション創出総合支援事業 シーズ発掘試験
巻号頁・発行日
2007

太陽光発電の普及を実現するため、色素増感太陽電池(DSSC)が低コスト、高効率の太陽電池として期待されている。かかるDSSCにおける究極の低コスト化のための増感色素として、天然のワカメの中にたくさん存在するクロロフィルcの応用を目指す。クロロフィルcを用いたDSSCの効率は、世界で一番高い効率ルテニウム色素N719系の効率11%の約5分の2であるが、そのコストは約10分の1となる。本試験では、クロロフィルcの効率向上を中心に、安定性の改良、太陽電池としての最適化を行う。
著者
中西 和樹
出版者
京都大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 ALCA(先端的低炭素化技術開発) 技術領域
巻号頁・発行日
2010

革新的断熱材料ポリメチルシルセスキオキサン(PMSQ)キセロゲルは、高分子発泡体やグラスウールなどの従来材料に比べ2倍の断熱性能と可視光透過性をもっています。これまでのALCA研究において、ボトルネックであった断熱材料の曲げ強度を向上させることに成功しました。 本プロジェクトでは、粒状キセロゲルの作製プロセスや成膜プロセスの確立とPMSQキセロゲルの更なる材料強度、断熱性能の向上を目指しています。
著者
三浦 典之
出版者
神戸大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 さきがけ
巻号頁・発行日
2018

本研究で、0.1mm角に極小粉末化した計算機能要素で構成する、粉薬のように飲み込めるコンピュータ、Triturated Computing Systemを提案し、これを実現する基幹技術を開拓します。構成要素を個別チップに細分化し、構成部品を極小粉末化することで、人体内部をはじめ人間生活と社会に負荷なく無意識のうちに溶け込める計算機システムを実現します。
著者
呂 建明
出版者
千葉大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 地域事業 地域イノベーション創出総合支援事業 シーズ発掘試験
巻号頁・発行日
2007

鶏の効率的飼育のため、孵卵後のひよこの迅速な性別判定が必要である。鑑別方法には肛門鑑別法と羽毛(or翼羽)鑑別法がある。前者は肛門の微小な違いを識別し、わずか220名の有資格者の職人的技巧に頼っている。後者は羽形状の違いを識別する方法で、前者ほどの訓練は必要でないが、単調かつ神経を使うため人材確保が難しい。本研究では、羽毛鑑別法に画像処理技術を用いた雌雄鑑別システムを(株)ヤマモトと共同開発する。
著者
藤原 幸一
出版者
名古屋大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 ムーンショット型研究開発事業
巻号頁・発行日
2020

人と機械を融合させるサイボーグ技術の進化は、私たちの身体を強化し新たな能力を獲得できる未来をもたらします。このような社会の実現には、技術開発のみならず倫理的な課題についても社会的な議論が必要です。本研究調査では、サイボーグ技術開発に係る諸課題について、文献および有識者へのインタビュー、多様なステークホルダーとのワークショップを通じて調査し、サイボーグ技術の社会実装の可能性について議論します。
著者
山中 章弘
出版者
名古屋大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 CREST
巻号頁・発行日
2016

睡眠覚醒などの本能機能は、記憶や意志決定などの高次脳機能にも影響を及ぼしています。従来の光遺伝学では、侵襲や行動制限のために、この機能連関の研究には不十分でした。新開発するファイバーレス光遺伝学では、光ファイバーを刺入せずに脳深部の神経活動を体外から照射した近赤外光で操作可能になります。これを応用することで睡眠覚醒と記憶との関係の解明に迫れるだけでなく、様々な生体機能の解明に大幅な進展が期待されます。
著者
西浦 博
出版者
東京大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 CREST
巻号頁・発行日
2014

本研究は病原体のゲノム情報や実験データを含む大規模な生物情報を利用したパンデミック予兆の捕捉と流行予測を実現し、それに基づいて最も望ましい感染症対策を明らかにします。具体的には、(1)大規模生物学的情報を取り込んだ流行予測モデルの構築、(2)パンデミックの予兆の探知、(3)これら2つのモデルに基づく感染症対策の改善を行います。大規模データを効率的に分析することで、パンデミックの予兆捕捉と流行拡大の予測を世界で初めて日常的に実現します。
著者
歸家 令果
出版者
東京都立大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 さきがけ
巻号頁・発行日
2020

超短パルスレーザー場中で希ガス原子と高速電子線を衝突させ、角度分解飛行時間型電子分析器を用いて散乱電子のエネルギーと散乱角度分布を計測します。散乱電子の強度分布を解析することによって、標的原子と入射電子との相互作用ポテンシャルによって生じる散乱電子のゼプト秒の遅延時間を決定し、ゼプト秒科学を開拓します。
著者
幡手 英雄
出版者
宮崎大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 地域事業 地域イノベーション創出総合支援事業 シーズ発掘試験
巻号頁・発行日
2006

化成分の開発が期待されている。このような状況で申請者らは、現在まで利用されずに廃棄されてきたウニ殻(外皮と棘)の利用技術開発を目指し、ウニ殻に含まれる色素の強い過酸化脂質阻害力を明らかにした。このウニ殻色素は、我々が日常摂取しているウニ生殖巣にも普遍的に存在するエキノクロームAなどのポリフェノール類で、高い安全性が保証され、現在の消費者ニーズにも合致する優れた抗酸化成分と考えられる。しかしながら、ウニ殻色素の抗酸化機能に関して申請者らの研究以外には知られておらず、いぜんとして未解明の部分がある。そこで本課
著者
大河内 眞也
出版者
東北大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) 探索タイプ
巻号頁・発行日
2012

我々は間葉系幹細胞(MSC)が分泌する液性因子STC1(Stanniocalcin-1)が、1過酸化ストレス軽減、ミトコンドリア機能改善を介して肺胞上皮細胞を保護すること、2STC1の気管内投与が間質性肺炎動物モデルの線維化を軽減すること、を見出し特許出願した。しかしいくつかの癌でSTC1高発現例が報告されており、投与による癌化誘発の懸念がある。MSCが障害局所に集積する作用を持つことに着目し、STC1過剰発現MSCを作成、投与し、肺障害局所への効率的STC1デリバリーと癌化リスク低減を可能にすることを本課題の目的とした。今回我々はSTC1過剰発現MSCを作成し、動物モデルにおける研究より上記目的をほぼ達成した。今後、臨床応用に向けた研究、技術移転などを展開する予定である。
著者
藤田 祐一
出版者
名古屋大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 ALCA(先端的低炭素化技術開発) 技術領域
巻号頁・発行日
2010

現在70億近くの人口を支える高収量の農業は、工業的窒素固定によって生産される人工窒素肥料に依存しています。ハーバー・ボッシュ法による工業的窒素固定は大量の化石燃料を消費するため、その過程での二酸化炭素排出量は莫大です。本研究開発では、限られた原核生物だけに分布する窒素固定酵素ニトロゲナーゼを植物や微細藻類など有用光合成生物に移入することで、窒素固定性作物作出の基盤技術の確立を目指します。
著者
渡部 謙一
出版者
国立研究開発法人産業技術総合研究所
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) 機能検証フェーズ 試験研究タイプ
巻号頁・発行日
2019

電磁波の振幅と位相の相関を利用して、高級ウニの殻を割ることなく非破壊・リアルタイムに歩留り(生殖巣重量の割合)を判定する技術を実現する。この非破壊判別により非適合品の廃棄ウニを減らす目的である。
著者
井上 公
出版者
産業技術総合研究所
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 CREST
巻号頁・発行日
2019

機械学習の誤差逆伝播(BP)は膨大な論理演算が大電力を消費します。一方スパイキングニューラルネット(SNN)のニューロン発火連鎖が自発的に特定ループに収束する「アトラクタ形成」は、BPと同じ機能を持ちます。これを使えばオンサイトで超低消費電力リアルタイム学習推論が行えるはずです。独自開発ニューロモルフィック素子でSNNを構築し、人の無意識下の行動を学習推論する本人認証装置を作製しこれを実証します。
著者
斎藤 稔
出版者
日本大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 復興促進プログラム A-STEP 探索タイプ
巻号頁・発行日
2012

本研究開発課題では、有機材料フタロシアニンの感応膜を櫛形電極上に成膜し、匂い物質が吸着した際に生じる電気抵抗の変化から匂い物質を検出する匂いセンサを用い、病気の罹患者から発生する匂い物質を高感度に検出することによって病気を早期発見する技術を開発することを目標とした。 その結果、肝機能・腎機能障害罹患者の呼気に含まれるアミン系物質を0.1ppmの濃度から検出することができた。また、このセンサを組み込み、呼気の吸引部を付加した10 cm×10 cm×5 cmの匂いセンサ装置を設計し、(株)テクニシモでこれを試作した。今後は罹患者の呼気に対するこの装置の応答特性を検証する予定である。
著者
平野 優
出版者
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 さきがけ
巻号頁・発行日
2017 (Released:2018-03-20)

タンパク質において水素原子や外殻電子は様々な化学反応に直接関与しており、そのふるまいからタンパク質の分子機能には量子トンネル効果が寄与していると考えられています。本研究では、中性子回折とX線回折の2種類の量子ビーム技術を相補的に利用した高分解能立体構造解析を行い、水素原子と外殻電子の情報を高精度で決定し、タンパク質が関与する化学反応における量子トンネル効果の構造基盤の解明を目指します。