著者
原 香寿子 守屋 文葉
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.120, pp.2126, 2022-03-31 (Released:2022-03-18)

東京大学附属図書館では,「新図書館計画」の名のもとに2015~2020年に本郷キャンパスにある総合図書館の大規模な改修工事を行った。本稿では,計画段階から完了するまでの工事の過程を振り返り記録するとともに,新装された施設・設備を紹介する。
著者
寺川 眞理 松井 淳 濱田 知宏 野間 直彦 湯本 貴和
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.161-167, 2008-11-30 (Released:2018-02-09)
参考文献数
27
被引用文献数
3

大型果実食動物が絶滅した「空洞化した森林」では種子散布者が喪失し、植物の種子散布機能の低下が生じていると危惧されている。本研究では、ニホンザルが絶滅した種子島に着目し、サルの主要餌資源のヤマモモを対象に、種子の散布量が減少しているかを調べた。種子島と近隣のニホンザルが生息する屋久島にて、ヤマモモの結実木を直接観察し、散布動物の種構成と訪問頻度、採食果実数を求めた。屋久島で73時間46分、種子島で63時間44分の観察を行い、調査地の周辺では果実食動物がどちらの島でも10種ずつ確認されたが、ヤマモモに訪れたのは、主にニホンザル(屋久島のみ)とヒヨドリ(屋久島と種子島)に限られていた。ニホンザルは、ヒヨドリに比べて滞在時間が長く、採食速度も速いため、1訪問あたりの採食果実数は20倍以上の差があった。この結果は、ニホンザル1個体が採食したヤマモモの果実量をヒヨドリが採食するには20羽以上の個体が必要であることを意味する。しかしながら、本研究では、屋久島と種子島のヒヨドリのヤマモモへの訪問個体数は同程度であった。ヤマモモ1個体あたりの1日の平均果実消失量は、屋久島ではニホンザルにより893.0個、ヒヨドリにより25.1個の合計918.1個、種子島ではヒヨドリのみで24.0個であり、サルが絶滅した種子島では、ヤマモモの果実が母樹から持ち去られる量が極めて少ないことが示された。本研究の結果は、ニホンザルが絶滅した場合にヒヨドリがその効果を補うことはできない可能性を示しており、温帯においても空洞化した森林での種子散布者喪失の影響を評価していくことは森林生態系保全を考える上で今後の重要な課題であると考えられる。
著者
山口 宏也
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.561-566, 1996-10-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
11

音声治療の目的は1) 音声障害の予防, 2) 音声外科との連携治療, 3) 機能性発声障害に対する治療, 4) 喉摘後の代用音声の指導などである。音声治療には声の衛生の指導と音声訓練がある。声の衛生の指導は, 患者の生活様式や行動様式を変える事によって声の問題点を解消する必要がある。その指導は押しつけがましくならないように相談相手になると言う形が望ましい。内視鏡で喉頭を観察する際に, 色々な発声をさせ, その時の声帯の形や動きに注目し発声法上の問題点を矯正する。あるいは喉頭を両側から圧迫したり押し下げたり頭位を変化させてその際の声帯位の変化を観察, 訓練する方法について述べた。
著者
村上 幸史
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.30-41, 2009-08-31 (Released:2017-02-20)

After obtaining positive results from uncertain events, individuals tend to feel confident in their skills (Langer, 1975). However, according to popular usage like lay theory, the word "lucky" carries relatively negative connotations for some people. This reflects the idea of "Luck Resource Belief," whereby luck supposedly decreases if it is consumed. In this study, we developed and administered a scale to survey this personal belief. We compared attitudes toward forthcoming uncertain events in the aftermath of a lucky or unlucky lotto outcome from the perspective of the "Luck Resource Belief." Results showed that when individuals adhering to the Luck Resource Belief obtained "lucky" lotto results, confidence and risky choices with regard to subsequent uncertain events were reduced. Such results have been discussed with regard to the Gambler's fallacy, anticipated regret, and mental simulation (Kahneman & Tversky, 1982).
著者
岡井 いくよ 近藤 厚生
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11, pp.591-596, 2019 (Released:2019-10-25)
参考文献数
27

神経管閉鎖障害の発生リスクは葉酸サプリメントの摂取で40~70%低減可能である。2000年に旧厚生省は妊娠を計画中の女性に葉酸サプリメント0.4mg/日の摂取を勧告したが、脊髄髄膜瘤の発生率に低下傾向を認めない。本論文の目的は管理栄養士の葉酸認知率の推移を調査し、過去2回の調査データと比較し、現状を明らかにすることである。200人の管理栄養士へ質問票を郵送し、70人(35.0%)が回答した。葉酸サプリメントが神経管閉鎖障害を予防することは75.7%が認知していた。葉酸サプリメントを推奨していたのは37.1%、栄養バランスの取れた食事を推奨していたのは87.1%であった。国民へ葉酸情報を提供することは92.9%が必要と回答し、禁煙、禁酒を推奨していたのはおのおの78.6%と75.7%であった。ハイリスク群の女性は10倍量の葉酸(4mg/日)を必要とすることを、12.9%が認知していた。管理栄養士・栄養士の葉酸効果の認知率は10年、15年前に比較して有意に上昇していた(p<0.01)。成人女性が食事から摂取する葉酸量はおおむね240µg/日であり、神経管閉鎖障害を予防するには不十分である。したがって管理栄養士・栄養士は葉酸サプリメント0.4mg/日の摂取を推奨するべきである。

2 0 0 0 OA 学会規約

出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.69-70, 2022-02-01 (Released:2022-03-22)

2 0 0 0 OA 活動報告

出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.66-68, 2022-02-01 (Released:2022-03-22)
著者
伊藤 遊
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.35-40, 2022-02-01 (Released:2022-03-22)
参考文献数
8

本稿の目的は、近年急速に社会的な関心の対象となりつつある「マンガ原画」のアーカイブについて、とりわけ2010年代以降の状況を報告することである。マンガ文化と社会の関係性という背景にも触れつつ、ここでは特に、文化庁によるマンガ原画アーカイブ事業における具体的な実践を紹介する。アーカイブが公的な事業として展開しているという事実は、マンガ文化に対する社会的な評価が変化してきたことを示す一方、アーカイブ作業の現場で顕在化する脆弱性や膨大さといったポピュラー文化の本質は、そうした性質とは真逆の形で定義付けられていた近代以降の「文化・芸術」概念を揺さぶり、拡大させていることもわかるだろう。
著者
嘉村 哲郎
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.25-30, 2022-02-01 (Released:2022-03-22)
参考文献数
7

本稿は、メディア芸術データベースがメディアアート作品等の情報を扱うためのデータ構築に関連し、作品のドキュメンテーションやデータベースに求められる作品情報について考える。はじめにドキュメンテーションの観点から海外で開発されているミュージアム向けガイドラインの概略を紹介し、その後には作品情報を公開する海外組織のウェブサイトを中心にどのような情報を公開しているのか、メタデータ内容の調査結果を報告する。そして、今後のメディアアート作品のデータ構築に向けて、検討が必要な課題やメディア芸術データベースの役割について述べる。
著者
三原 鉄也
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.15-19, 2022-02-01 (Released:2022-03-22)
参考文献数
40

本特集のテーマである「メディア芸術」という言葉は我が国の文化政策を示す言葉として生み出されたものである。メディア芸術はその政策の進展と共にデジタルアーカイブ・デジタルアーカイブ政策との接点を増している。そこで本稿では、本特集の各論に通底する基本的な背景として、メディア芸術の政策・施策面での展開とそのデジタルアーカイブの関わりについて解説する。メディア芸術という概念が作られた経緯や行政施策の変遷に加えて、現在のメディア芸術に関するデジタルアーカイブについて紹介する。