著者
長部 喜幸 治部 眞里
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.685-696, 2014
被引用文献数
8

日本版NIHや製薬企業における,政策決定・戦略立案に資するエビデンス提供のため,新しい指標に基づいた医薬品産業の現状俯瞰・将来予測を試みた。今回は,パイプラインを有する事業主体の規模や種類に着目し,医薬品開発のカギを握る事業主体について分析した。その結果,米国の強みは中小企業・ベンチャー企業にあること,また一方で,日本の中小企業・ベンチャー企業は米国のような働きを担っていないことが明らかとなった。
著者
原 修
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.669-676, 2014
被引用文献数
1

化学情報協会(JAICI)は,30年以上にわたるSTN,SciFinderの販売・ユーザーサポート,CAの抄録・索引作成業務に加えて特許庁登録調査機関として特許審査のための先行技術調査をほぼ10年間行っており,多くのインフォプロを育成してきた。近年,特許を主体とする一般向け調査・検索サービスを開始するにあたり総合的なインフォプロを育てることになった。その背景と過程を化学および化学関連分野のインフォプロ育成の一例として紹介する。
著者
Irion Robert
出版者
日経サイエンス
雑誌
日経サイエンス (ISSN:0917009X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.58-67, 2011-01

大成功を収めているハッブル宇宙望遠鏡の後継機が,2014年の打ち上げを目指して建設されている。アポロ計画時代の米航空宇宙局(NASA)の長官の名前にちなんだ「ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」だ。
著者
福森 義宏 田岡 東
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.011-014, 2014 (Released:2014-01-29)
参考文献数
19
被引用文献数
1

Magnetosomes synthesized in magnetotactic bacteria function as a cellular compass to navigate along the Earth’s magnetic field. The magnetosome contains various types of specific associated proteins. Most of the magnetosome-associated proteins are encoded in gene clusters within a genetic “magnetosome island,” which is essential for the synthesis of magnetosomes. Our atomic force microscopy studies indicated that the thickness of the organic layer wrapped around the magnetite crystal was ~7 nm, and magnetosome-associated protein MamA was localized at the surface of the organic layer. In this review we present recent progress on “Structure and Function of Magnetosomes” and propose the structural model of magnetosomes in the cell.
著者
古川竜城 著
出版者
中文館書店
巻号頁・発行日
1924
出版者
文部科学省
巻号頁・発行日
vol.理数編, 2009-07

1 0 0 0 OA 人の一生

著者
アンドレーエフ 著 森鴎外 訳
出版者
春陽堂
巻号頁・発行日
1911

1 0 0 0 OA 幽霊

著者
イプセン 著
出版者
地平社書房
巻号頁・発行日
1924
出版者
日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.560-561, 2013-12
著者
中井 大介
出版者
Japan Society of Developmental Psychology
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.539-551, 2013

本研究では,これまで思弁的論考が多く,同一の構造とされてきた,中学生の母親に対する信頼感と父親に対する信頼感の因子構造を明らかにし,それぞれに対する信頼感が生徒の学校適応感に及ぼす影響を検討した。中学生563名を対象に調査を実施した。第一に,中学生の母親に対する信頼感尺度(STM尺度)と父親に対する信頼感尺度(STF尺度)を作成し,信頼性と妥当性を検討した。その結果,(1)STM尺度は「母親への役割遂行評価」「母親への安心感」「母親への不信」の3因子構造であること,(2)STF尺度は「父親への安心・信用」「父親への不信」「父親への親近感」の3因子構造であることが明らかになった。また,中学生の母親に対する信頼感と父親に対する信頼感が生徒の学校適応感に及ぼす影響を検討したところ,(3)母親に対する信頼感,父親に対する信頼感のそれぞれが生徒の学校適応感に影響を及ぼし,その影響の様相は母親と父親の対象別,生徒の学年別・性別によって異なることが明らかになった。これらの結果から,中学生の母親に対する信頼感と父親に対する信頼感は異なる因子構造であること,それぞれに対する信頼感が学校適応感に及ぼす影響には発達差や性差が見られることが明らかになった。
著者
李 熙馥 田中 真理
出版者
Japan Society of Developmental Psychology
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.527-538, 2013

ナラティブ(Narrative,語り)には,ある出来事をどのように組織化し,意味づけるのかに関する構成の側面と,聞き手となる他者にどう伝えるのかに関する行為の側面がある。本研究は,空想のストーリーであるフィクショナルナラティブ(Fictional Narrative:以下FN)に注目し,自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder:以下ASD)児の構成と行為の側面における特性について検討を行った。その結果,ASD児のFNは典型発達児と比べて,FNの組織化において登場する人や場所,時間,行動的状況に関する言及である「セッティング」や,ストーリーの結末を明確にする「結果」に関する言及が少ない,登場人物の言動と心的・情動的状態との因果関係に関する言及が少ない,言動の主体を明確にし,主人公の一貫した観点からFNを構成することが少ないことが示された。一方,行為の側面においては,参照的工夫の言及においては典型発達児との間に有意な差はなく,参照的工夫の行動においては小学生のASD児の方が小学生の典型発達児よりFNを行う際に聞き手をみる行動が多かったことが示され,ASD児は聞き手に伝えようとする意識を有していた可能性が考えられた。今後は,聞き手の状態や働きかけに対し,どのようにナラティブを調整するのかに関する検討が必要であると考えられる。
著者
伊藤 朋子 中垣 啓
出版者
Japan Society of Developmental Psychology
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.518-526, 2013

本研究では,課題解決におけるコンピテンスとして確率量化操作を想定する立場(e.g., 伊藤, 2008a)から,自然頻度表記版(Zhu & Gigerenzer, 2006),絶対数表記版,一部変更自然頻度表記版の3表記からなる「赤鼻課題」に対する中学生の推論様式を分析した。その結果,自然頻度表記版課題と絶対数表記版課題の正判断における推論様式は共通しており,両表記版の正判断率の間に有意な差はみられなかった。相対頻度表記が含まれている一部変更自然頻度表記版課題の正判断率は,自然頻度表記版課題や絶対数表記版課題の正判断率よりも有意に低く,相対頻度表記をあたかも絶対数表記であるかのように扱った推論様式が出現した。これらの結果から,自然頻度表記を用いれば子どもでもベイズ型推論課題が解けるというZhu & Gigerenzer (2006)の結果は,自然頻度表記版課題の構造が絶対数表記版課題の構造と区別されず,絶対数表記版課題と同じ考え方(基本的な1次的量化)に従って解答したからではないかと思われる。すなわち,ベイズ型推論課題は本来3次的量化操作を要求する課題であるにもかかわらず,自然頻度表記に書き換えることによって,基本的な1次的量化課題として解けるようになるために,見かけのうえでベイズ型推論が可能であるように見えるのではないかと思われる。これは,課題変質効果(中垣, 1989)の現れであるように思われる。
著者
蒲谷 槙介
出版者
Japan Society of Developmental Psychology
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.507-517, 2013

近年,アタッチメントの世代間伝達の枠組みの中で,母親がいかに乳児のネガティブ情動を共感的に映し出すかという調律的応答を重視する立場が台頭しつつある。本稿では,前言語期の乳児とその母親を対象とした相互作用場面の観察を実施し,母親が実際にどのような調律的応答を行うのかを検証した。回帰分析の結果,内的作業モデルが安定傾向の母親は乳児のネガティブ情動表出に対し「笑顔を伴った心境言及」を行いやすい一方,不安定傾向の母親は心境言及を行わない,もしくは心境言及を含まない応答をしやすいことが明らかとなった。また,気質的にむずかりやすい乳児と,内的作業モデルのうち回避の側面が強い母親の組合せでは,「笑顔を伴った心境言及」が特に生起しにくいことが明らかとなった。この応答はこれまでの理論的枠組みでは見逃されてきた調律的応答の一種と考えられ,子どもの社会情緒的発達を促進する一つの要因として今後着目すべきものである。
著者
佐藤 眞一
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.495-503, 2013

従来,老年心理学には2つの立場があるといわれてきた。すなわち,心理学において老化を含む人の発達的変化を扱う生涯発達心理学の立場と,加齢に伴う諸問題を解決するための学際的研究分野である老年学における心理学の立場である。この両者の立場を踏まえた上で,本論文では,まず,認知症に関する心理学的アプローチとして認知神経心理学的アプローチ,臨床心理学的アプローチ,および発達心理学的アプローチの3 つを挙げ,それぞれの研究内容について検討した。次いで,筆者らの研究グループがこれまでに行ってきた認知症にかかわる基礎と応用の研究を例として,情景画課題における視空間情報処理に関する視空間認知の研究,社会的認知機能としての他者感情の理解と認知の硬さの関連性,介護者の認知機能判断の誤りを背景とするコミュニケーションの研究,記憶の誤りとメタ記憶を研究の題材とした記憶愁訴の研究,および介護の臨床実践としてのパーソナルケア法に関する実践的研究について解説した。最後に,臨床知がもたらす新たなる基礎研究の例として,認知症の前駆症状であるMCI(軽度認知障害)における家族間コミュニケーション研究に関する課題を示した。
著者
浜谷 直人
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.484-494, 2013

巡回相談員として保育実践に関わってきた経験から,最近,保育現場では,子どもの生きづらさと育てにくさへの支援ニーズが高くなり,それに応じて,支援対象児個人の行動レベルから,関係性と意味レベルを志向する支援の必要性が高くなり,それに応えうる研究課題に取り組むことと,支援実践の必要性を指摘した。巡回相談における主訴から研究課題を立ち上げる例として,「場面の切り替えが難しい」を取り上げ,その構造を分析して仮説的なモデルを提示した。このモデルにおいて,子どもが遊びなどの活動の終了時点で気持ちに区切りが入ることが切り替えにおいて決定的に重要な点であり,単に行動レベルで行動を移行するような保育への支援に疑問を呈した。場面の切り替えの原型は,3項関係にあり,子どもが対象に出会った時の私的な認識や感情体験を対象化して,それを他者と共有することとして理解する必要があることを指摘した。その際,保育者から子どもへの言葉かけが,子どもの時間に区切りを入れて,物語を創りだす。また,保育支援においては,発達において何を価値とするかが問われ,発達心理学の研究者は,価値について自覚的に研究に取り組むことが豊かな保育実践に寄与できることを指摘した。
著者
小野寺 敦子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.474-483, 2013

本研究の目的は,家族とりわけ親子関係の基礎的研究と実践活動とのインターフェース(相互の連携)について検討することであった。まず,発達心理学の先駆的研究であるLevyの「過保護」の概念とSymondsの母親の養育態度の研究が,アメリカ社会のどのようなニーズから着想されたかを記述した。次にBowlbyの愛着理論とAinsworthのSSPが,「IWMの研究」「Dタイプの研究」「情動応答性の研究」「父子間の愛着研究」という4方向に分化・発展し,今日の臨床場面での実践活動とどのようなインターフェースな関係にあるかを概観した。さらに筆者のこれまでに行った基礎的研究と実践活動とのインターフェースの事例を示した。例えば,父娘研究や親意識の形成過程に関する縦断的研究の成果を育児や教育の雑誌を媒介として子育てに悩む親に伝え,特別支援教育巡回指導の中で保護者や先生方への支援活動で活用していることについて述べた。また,日本社会の高齢化にともない,親子である期間が伸長してきているため,両者の関係性の変化や葛藤を扱った新しい研究の必要性について言及した。今後,研究者は自らの着想のもとにオリジナリティある研究をし,その研究成果を平易な表現と的確な媒体(例:雑誌・書籍・講演・インターネット)を使って実践現場に積極的に伝達し,一方で現場の実践者たちは新しい研究知見を自ら学び吸収しようとする姿勢をもつことにより相互のインターフェースな関係は強固なものになるはずである。
著者
戸田 有一
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.460-470, 2013

本論では,筆者が様々な学校に関わる際に,①自分自身の研究関心が実践支援にどのような影響を与えているのか,及び②自分自身の実践支援が研究関心にどのような影響を与えているのかについて,論じていく。筆者の学校に関する研究関心は,いじめの本質理解についてであり,実践支援は,いじめ対策としてのピア・サポート実践などである。まず,問題を把握するための現場の用語での枠組みと研究用語による枠組みのズレの問題について述べる。次に,いじめ研究を中心とした筆者の研究関心と実践支援の相互の影響について述べる。その際に,いじめなどの関係内攻撃に関する見方,いじめのプロセスモデル,いじめ状況のアセスメントに関する提案をする。そのうえで,実践支援の中心となるいじめ対策プログラム導入のコンサルテーション活動を巡って考えてきたことをまとめ,最後に,いじめ研究の今後の課題について論じる。
著者
松嶋 秀明
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.449-459, 2013

わが国の発達心理学研究と,発達にかかわる臨床実践の双方がよりよい結びつき方になることを模索するために,著者自身が非行少年の更生をテーマとしておこなってきた2つの研究(松嶋,2005, 2012)を素材として紹介しつつ,それらが臨床実践に対してどのように寄与すると考えられるのかについて論じた。非行へのリスク因子として発達障害や被虐待体験に注目したこれまでの諸研究の流れをふまえながら紹介された2研究は,それぞれに共通する特徴として,(1)特別な治療的セッティングではなく,生活をともにすることで営まれている臨床実践であること,(2) 少年の「問題」を自明なものとせず,周囲との関係のなかでいかにそれが見いだされているのかを検討したものであることが挙げられた。これらの研究は,(1)質的研究の方法論をいかして実践を詳述することにより,実践者を疲弊させがちな「問題」状況の相対化をはかれること,(2) 協働性の基盤として機能しえる記述がえられることを寄与として挙げて考察した。