著者
澤田 幸平
出版者
東京工業大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

パイルドラフト(PR)基礎は直接基礎の支持性能を活かしつつ、少数の摩擦杭により沈下の低減が見込める基礎形式である。従来の杭基礎の設計ではスラブ底面の支持力を無視し杭の支持力のみを考慮するため、PR基礎は合理的な基礎形式といえるが、ラフト-地盤-杭の相互作用が複雑であり未解明な点が多く残っている。特に地震時等、基礎に水平荷重が働く場合、この相互作用が水平変位により変化するため、基礎の挙動がより複雑になる。このため水平力に対してはラフト部のみで支持する簡便な設計方法が採用されることもある。また橋梁の基礎等の土木構造物は基礎幅に比べ重心位置が高いケースが多く、水平荷重を受けた際の水平変位に加え、基礎の回転が重要な問題となり相互作用が一層複雑となる。このため地盤工学の分野ではPR基礎の耐震設計法の確立には至っていない。地盤工学の分野では設計が性能設計に移行しつつあり、合理的な基礎形式であるPR基礎の耐震設計法の確立が強く望まれている。そこで本研究の目的は、PR基礎の合理的な耐震設計法の確立のために、PR基礎のラフト-地盤-杭の相互作用に関する詳細なメカニズムの把握である。具体的には相似則を考慮した遠心場で、PR基礎とその構成要素である、杭基礎、直接基礎の水平載荷実験を行った。これら3つの基礎形式の結果を比較することで、PR基礎のラフト-地盤-杭の相互作用を明確にする事が可能となる。またパイルドラフト基礎を実務に適用するためには、この複雑な相互作用のモデル化が必要となる。このため本研究ではPR基礎のモデル化に必要となるラフト、杭のバネ値である地盤反力係数について着目して結果の整理を行った。本研究の結果より、PR基礎の鉛直、水平、モーメント抵抗は杭基礎よりも大きくなることが確認できた。これらの結果はラフト部から抵抗が得られることに加え、ラフト底面の接地圧の増加により杭周面摩擦力、および押込み側の杭部の地盤反力係数が杭基礎に比べ増加しているためであることが確認できた。

1 0 0 0 OA 海洋観測法

著者
海洋気象台 編
出版者
海洋気象台
巻号頁・発行日
vol.〔本編〕, 1940
出版者
拓務省拓務局
巻号頁・発行日
vol.第8輯, 1935
著者
野々口 ちとせ
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.144, pp.169-180, 2010

<p> 対話的問題提起学習では,言語文化が異なる者たちの間で「社会の共生を阻む自分たちの問題」の本質を見出し,共有することが目指される。本稿では,ある地域日本語教室で実施された日本人と外国人による対話活動で,外国人から提起された問題に対する参加者の認識が変化していく様相を記述し,相互学習としての対話の意義を示した。対話の成立には,他者の枠組みを否定しないで自己の枠組みを省察する姿勢と,他者の発言を支える協働的な言語使用で信頼を表出しながら,一時的な対峙が可能な環境を作り,当事者性を持って自分はどう思うかを率直に述べることが必要である。</p>
著者
米森 敬三 佐藤 明彦 山根 久代 神崎 真哉
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

日本のカキの甘渋性を決定するAST遺伝子の単離を目的として、カキ(六倍体)の二倍体近縁野生種マメガキから作製したフォスミド・ライブラリーを用い、AST遺伝子マーカー領域をプローブとしてシードクローンを単離後、コンティグを構築した。さらに、マメガキのBACライブラリーを構築し、BACクローンを用いたコンティグも作製した。これらのコンティグ内にはAST遺伝子が存在している可能性が高く、AST遺伝子単離の実現性が大きく前進した。さらに、中国タイプの甘渋性を決定するPCNA遺伝子の単離においても、マメガキのBACクローンが有効である可能性が示され、CPCNA遺伝子単離のための方向性が示された。
著者
Akagi Takashi
出版者
Kyoto University
巻号頁・発行日
2011-03-23

新制・課程博士
著者
嵯峨田 淳 如澤 裕尚
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学
巻号頁・発行日
vol.95, no.367, pp.69-76, 1995-11-17
被引用文献数
3

領域形状予測に基づく動ベクトル内挿を提案する。本方式は符号化対象画像の領域形状情報を元に、内挿する領域の線形内捕手法を適応的に切替えることで動領域境界を跨いでの動ベクトル内挿を抑止する。符号化対象画像の領域形状情報は局部復号画像の領域形状情報と動きベクトルより予測されるので、複合器側に領域形状情報を伝送する必要はない。また内挿する領域毎に提案手法と平行移動補償を切替えることで、領域形状抽出が不十分な場合でも符号化が破綻することはない。本手法により、とくに動領域境界での予測精度が改善し、予測誤差を大幅に削減できる。さらに、提案方式をMPEG-1に組み込んだ結果、復号画像のSN比は従来法に比べ1.7dB前後向上する。
著者
井上 学 エスマイルザデ リアズ 中川 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CAS, 回路とシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.716, pp.105-110, 2004-03-08

近年,無線通信システムにおいて,複数アンテナを送受信機に用いて,同一時刻,同一周波数で信号伝送を行なう多入力多出力(MIMO: Multi-Input Multi-Output)方式,特に,各送信アンテナから独立な信号系列を送信するMIMO-Multiplexing方式について,同一チャネル干渉の影響低減,周波数利用効率の改善を目指す研究が盛んに行なわれている.本稿では,MIMO-Multiplexing方式において,誤り検出符号の一種である巡目冗長検査(CRC:Cyclic Redundancy Check)を用いた信号分離方式と再送方式について検討を行なった.前者においては,最も良い受信特性を示す信号分離方式である最尤検波法(MLD:Maximum Likelihood Decision)を適用して送信信号を検波した後に,さらにバッファにためておいた受信信号からMLDにより検波された信号を差し引くことで,新たに送信信号を復元する方式を提案した.また,再送時における信号の送信方法として,誤ったパケットのみを効率良く再送する方法を検討しており,前回送信時に誤ったパケットを誤りが生じなかった送信アンテナから再送する選択送信ダイバーシチ法(STD: Selection Transmit Diversity),そして,誤ったパケットに対して時空間ブロック符号化(STBC:Space-Time Block Coding)を適用して再送する方式を提案した.計算機シミュレーションによる特性評価より,各々の場合において提案方式の有効性が確認された.

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1918年01月28日, 1918-01-28
著者
栗林 一彦
出版者
宇宙科学研究所
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1992

III-V族化合物半導体の溶液成長過程においてしばしば見られる巨大ステップ(マクロステップ)はドーパントの偏析をもたらす等により、結晶の品質を著しく損なうことが指摘されている。本研究は、赤外線を観察光とする顕微干渉計を用い、III-V族半導体であるGaPの溶液成長過程をリアルタイムで観察し、マクロステップの形成に関する液相中の温度勾配、流れ等の影響から、成長面形態の安定性に関する知見を得ることを目的としている。本年度は、上記リアルタイム観察から求めたマクロステップ間隔λを拡散支配モデル及び濃度境界層モデルによる計算と比較し、液相中の流れによる撹拌の影響の検討を行なった。西永らによる拡散律速型の界面安定性理論を、液相中の流れの効果を取り入れた濃度境界層モデルに拡張すると、λは2π√<DC_<e0>τ_D/C_sR(t)><^^-λ<^^-2π√<3DC_<e0>τ_D/C_sR(t)>で与えられる。ここでC_<e0>は曲率が0の時の液相中の平衡溶質濃度、C_sは固相中の溶質濃度、τ_Dはキャピラリー定数、Dは拡散係数、R(t)は成長速度である。λ、R(t)はそれぞれ明視野像、干渉縞像から求めた。これらの実測値は上記の関係を満たした。このことは、マクロステップの拳動は西永らの界面安定性理論でかなり良く説明できることせ示すものといえよう。また上部を冷却、下部を加熱すること等により液相中に積極的に流れを生じさせた場合、λは小さくなること、さらには、ステップクーリング及びニアクーリング法のいずれの場合もマクロステップが発生・発達したのは対照的に、適当な正の温度勾配がマクロステップの発生を抑制することが確認された。この結果は、温度勾配の付加が流れの抑制及び界面の安定化をもたらすことを示すものである。
著者
鵜殿 治彦 勝野 広宣 田中 昭 助川 徳三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス
巻号頁・発行日
vol.93, no.45, pp.19-24, 1993-05-20
被引用文献数
2

所望の組成のGaAsP混晶層をGaP基板上に形成する新しい液相技術を開した。まず、ステップクーリング法によってGaP基板上にGaAs層を成長させ、続いてそれをGa-As-P飽和溶液と接触させ、795℃に保った。この熱処理によってGaAs成長層の組成がGaAsPに変換された。この変換が約5分で完了すること、変換後の混晶組成が熱処理に用いるGa-As-P溶液の組成を調整することによって制御できること等が判った。熱処理に引き続いて徐冷することによって、変換されてできちGaAsP層上に良好なGaAsP混晶層を成長させることができた。
著者
小山 一郎
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.19, no.229, pp.447-454, 1912-10-20
著者
上山 純 斎藤 勲 上島 通浩
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.87-98, 2010

現在、ヒトにおける低用量のピレスロイド系殺虫剤曝露に関するリスク評価は、一般には食事からの残留農薬摂取量評価により行われている。ヒトを対象とした研究から得た個人曝露レベルに関する情報は少ないが、それはピレスロイド曝露の生物学的モニタリングが容易でないことに理由の一端がある。この障壁は近年、分析化学の進歩により克服されるようになった。高速液体クロマトグラフ質量分析計やガスクロマトグラフ質量分析計を用いることにより、ピレスロイド系殺虫剤の尿中代謝物の分離及び高感度の定性・定量を、今日では確実に行うことができる。本総説では、尿中ピレスロイド代謝物の生物学的モニタリングについて全体像を提示するとともに、一般生活者集団における尿中代謝物量に関する報告を整理する。そして、環境衛生学領域におけるこのモニタリング研究の将来展望について述べる。