著者
山田 進 町田 昌彦 大橋 洋士 松本 秀樹 今村 俊幸
出版者
独立行政法人日本原子力研究開発機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究ではメニーコア計算機用を対象に、量子多体モデルのシミュレーション手法である密度行列繰り込み群法と厳密対角化法の並列化・高速化を実施した。特に、モデルの物理的性質と計算機のネットワークアーキテクチャを考慮して、高速な通信手法を提案しその有効性を確認した。また、開発したコードを実際の物理問題に適用し、それらの物理的性質についての議論を行った。
著者
日向 泰樹 中村 成伸 石野 外志勝 川上 一雄
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.102, no.3, pp.591-594, 2011-05-20

患者は66歳,男性.糖尿病にてインスリン療法中であった.2009年10月24日右腹部腫瘤,右腰部痛を主訴に当院受診,腹部造影CTにて右腎下極に122×90×87mm大の多房性嚢胞性腫瘤を認め,疼痛管理,加療目的にて入院となった.腫瘤は腸腰筋,上行結腸,十二指腸など広範囲に癒着,浸潤が疑われた.CTでの嚢胞内のdensityの上昇,炎症反応高値,発熱を認め,嚢胞性腎細胞癌の感染が考えられたが,広範囲に浸潤していると考えたため,切除不能と判断し,嚢胞の穿刺ドレナージを施行,抗菌薬治療を開始した.穿刺液の培養でE.coliが検出された.抗菌薬治療後,解熱し,炎症反応は低下した.11月9日腹部CTで嚢胞性病変は84×49×47mm大にまで縮小,嚢胞部分はほぼ消失し,充実性部分のみが残存した.同日撮影した腹部造影MRIでは,充実性の腫瘍性病変を認め,腸腰筋浸潤を認めたが,上行結腸とは接しているものの境界を認め,明らかな浸潤は認めなかった.以上より切除可能と判断し,11月18日根治的右腎摘除術を施行した.腎背側は腸腰筋と,腹側は上行結腸と強固に癒着しており,上行結腸の一部を合併切除した.病理組織学的所見ではMichaelis-Gutmann小体(M-G小体)が観察され,マラコプラキアと診断された.術後経過は良好にて12月1日退院となった.その後再発を認めず,外来にて経過観察中である.
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.860, pp.57-64, 2003-11-10

ますます加速するクルマのエレクトロニクス化。エレクトロニクス技術なくして,クルマの性能を大きく高めることはできない——。2003年10月24日〜11月5日に千葉県・幕張メッセで開催された「第37回東京モーターショー」。乗用車・二輪車ショーとしては2年ぶりの開催となり,多くの来場者を集めた。
出版者
野田経済研究所出版部
巻号頁・発行日
1948
著者
古庄 真喜 梅崎 祐二 石田 宏一 本田 彰
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.1209-1212, 1988-07-25 (Released:2008-02-29)
参考文献数
16
被引用文献数
10 13

Changes in the levels of ATP-related compounds and lactic acid in the muscle of live prawn Penaeus japonicus kept in the sawdust at 15C° were investigated to find an index suitable for evalua-tion of parwn activity during the transportation in the sawdust. The concentration of ATP in the muscle markedly decreased after storage of 48h, resulting in a rapid increase in the AMP level. The level of lactic acid in the muscle also gradually increased during storage in the sawdust. The ratio of ATP to the ATP-related compounds (the total nu-cleotides) in the muscle which colsely related with the survival rate of prawn was found to be sui-table as a criterion to evaluate the activity of prawn during transportation in the sawdust. The levels of the ATP-related compounds in the muscle of prawn kept in the sawdust recovered to their original levels within 1h after they were returned to the sea.
著者
中野 平二 河邉 博 梅沢 敏 桃山 和夫 平岡 三登里 井上 潔 大迫 典久
出版者
日本魚病学会
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.135-139, 1994-06-15 (Released:2009-10-26)
参考文献数
4
被引用文献数
46 121

1. 1993年に西日本で発生した養殖クルマエビの大量死に関連してクルマエビ養殖を行っている17県を対象に, その発生状況を調べるとともに, 病エビを用いて感染実験を行った。2. 大量死の発生は中国産種苗の導入と密接に関連していた。3. 死亡率は発生例の約8割が80%以上であり, 死亡エビのサイズは0.01g~22.5gと範囲は広かった。4. 大量死の原因と考えられるような細菌, 真菌, 寄生虫は検出できなかった。5. 自然発症及び実験感染クルマエビの磨砕濾液の筋肉内注射によりクルマエビは容易に死亡し, 死亡エビは自然発症個体と同様の症状を呈した。6. 以上の結果より, 今回の大量死の原因としては濾過性病原体が強く疑われ, それは中国産クルマエビとともに日本に持ち込まれたものと推定された。
著者
桃山 和夫 平岡 三登里 中野 平二 河邉 博 井上 潔 大迫 典久
出版者
日本魚病学会
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.141-148, 1994-06-15 (Released:2009-10-26)
参考文献数
13
被引用文献数
21 54

1. 1993年に西日本で発生した養殖クルマエビの大量死に関連して, 自然発症個体, 実験感染個体および輸入直後の採材個体について病理組織観察を行った。2. 自然発症および実験感染個体の間で症状に差は認められず, 両者は同一の疾病であると判断された。3. 病エビの肉眼的主な異常な体色の赤変ないし褪色と外骨格における大きさ数mm以下の白点の形成であった。4. 白点は基本的には外骨格標本の薄い透明層とその直下の外骨格内のやや厚い不透明層とから構成されていた。5. 本疾病の病理組織像は皮下組織をはじめ, 中・外胚葉起源の様々な組織における種々の細胞の核の肥大と無構造化を伴う細胞の変性によって特徴づけられた。6. 本疾病はクルマエビ属エビ類の新しい疾病であると考えられ, その原因としては濾過性病原体が疑われた。7. 中国から輸入翌日に採材されたクルマエビに本疾病の特徴的病理組織像が明瞭に観察され注目された。
著者
新美 芳二 中野 優 牧 健一郎
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.919-925, 1996-03-15
被引用文献数
5 11

リーガルユリ (<I>Littttm regale</I>) の強健な性質をヒメサユリ (<I>L. rubellum</I>) に導入することを目的として,両種間で相互交雑を行った.<BR>1.リーガルユリ×ヒメサユリにおいては, 開花当日の柱頭受粉により低率 (3.3%)ながら有胚種子が得られた. しかし, それらの種子はバーミキュライトおよび試験管内に播種しても発芽しなかった. リーガルユリ×ヒメサユリの雑種実生は受粉30~60日後に胚珠培養を行うことにより得られ, その頻度は5.3~6.7%であった.<BR>2.ヒメサユリ×リーガルユリにおいては, 開花当日の柱頭受粉では受粉後に花粉管が花柱内で伸長を停止し, 受精が起こらなかった. しかし, 開花2~5日後に柱頭受粉を行うことにより花粉管伸長が促進され,開花5日後の受粉では胚形成が確認された. 花柱切断受粉は胚形成に効果がなかった. 開花5日後の受粉により得られた胚は, 胚珠培養を行っても救出することができなかった.<BR>3.リーガルユリ×ヒメサユリから得られた個体の雑種性はrDNA分析により確認された. 調査したすべての雑種は二倍体であり, 花粉稔性は3%以下であった. 雑種個体の花色は淡桃色であった. また, 二重咲きの花をもつ雑種も1系統得られた.
著者
吉田 秀明 高田 智明 塚田 守雄 加藤 紘之
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.408-412, 2002-04-01
被引用文献数
9

症例は54歳の男性.数年前から胃潰瘍と診断されていたが放置していた.2000年10月24日突然出現した腹部激痛を主訴に当院を受診した.左下腹部に強い圧痛を伴う腫瘤を触知し,超音波検査では内部に高輝度エコーを有する低吸収性腫瘤が描出された.腹部X線CTでは,胃角小彎側前壁の肥厚とそれに接した,内部にfat densityの層状構造を伴うlow density massを認めた.また,少量の腹水を認め,胃潰瘍穿孔,膿瘍形成と診断し,緊急開腹術を施行した.術中所見で大網の右側自由縁が捻転・飜転し壊死に陥り胃角前壁に炎症性に癒着したものと判明した.壊死部大網と癒着していた胃壁の一部を切除した.特発性大網捻転症は,圧痛点が最初から限局している,消化器症状に乏しい,痛みに比べ発熱と白血球数増加の程度が軽いという特徴があり,腹部X線CT検査で術前確定診断が可能な急性腹症の一疾患である.
著者
前岡 淳 田辺 良則 石川 冬樹
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.3_109-3_122, 2013-07-25 (Released:2013-08-31)

Java PathFinder (JPF)に代表されるソフトウェアモデル検査技術は,テスト工程における不具合検出に有効であるが,状態爆発への対応が課題となる.この課題を解決する手法として優先度に基づくヒューリスティック探索手法が提案されている.プログラムによって適する探索手法や優先度の付け方が異なるため,有効なヒューリスティック探索手法が多数存在することがのぞましい.本論文では,「範囲限定探索」に基づくヒューリスティック探索手法を提案する.従来手法は,ヒューリスティック関数によって各状態から不具合に早く到達できるかを見積もり,これに基づいて探索順序を決定する.これに対して提案手法では,「探索打ち切りポリシー関数」によって各状態から不具合に早く到達できるかを判断し,見込みが低い場合にはその状態からの探索を打ち切る.提案手法の有効性を検証するためにJPFに実装し,検証ツール評価用に作成されたテストプログラムを用いて既存手法との比較実験を行った.Javaによるテストプログラムを用いた実験の結果,提案手法が状態数比で2倍以上優位となるケースを確認し,ヒューリスティック探索の適用の幅が広がることを示した.
著者
松井 幸子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
ドクメンテーション研究 (ISSN:00125180)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.157-170, 1977-04-01

機械可読書誌の共同利用ファイルの,(1)編集では同一文献を重複登録しないため特定文献の識別が必要であり,(2)利用では特定文献(群)の検索が必要である。文献を識別するものを識別子,文献の特性を描写するものを記述子と呼ぶ。特定文献の識別に識別子を利用できないときは,記述子を特定化したものを用いる。本稿ではこれを「準識別子」と呼んでいる。近年,ISBN,ISSNなどの識別子や,ISBD(M)(S),ISDSなどの記述子の標準化が進んだ。しかし,遡及的文献の共同利用ファイルではこれらを使用できないことが多い。本稿では,識別子,記述子の共同利用ファイル使用上の意味を検討し,識別子が,(1)使用できる場合としてOCLCの分担目録作業を,(2)使用できない場合として,18世紀までの古版本(約165万冊)の総合目録編集のための技術的検討を行なったイギリスのLOCプロジェクトにおける「書紋」(fingerprintの試訳)などの,重複文献同定の技法を分析した。