著者
杉浦 志保 繁桝 博昭 北崎 充晃
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.143, pp.1-5, 2006-06-29

両眼視野闘争の空間的コンテクスト効果については,同化が優位に知覚されるとする報告と,対比が優位に知覚されるという相反する2つの報告がある。本研究では,これらを統合的に理解するために,方位と運動に関する空間的コンテクスト効果の時間特性および空間特性について調べた。その結果,提示時間が長くなるにしたがい対比効果は減少した。一方,網膜偏心度については,方位では偏心度の増加に伴い対比効果が増加したのに対し,運動では偏心度の変化にともなう対比効果の変化が見られなかった。この結果から,両眼視野闘争において同化が生じるためには,ある程度の時間が必要なことが示唆された。一方,偏心度の効果が方位と運動とで異なることから,それぞれの知覚モジュールにおける空間相互作用の結果が両眼視野闘争の処理に利用されていることが示唆された。
著者
佐々木 全 加藤 義男 SASAKI Zen KATOU Yoshio
出版者
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13472216)
巻号頁・発行日
no.9, pp.175-190, 2010

高機能広汎性発達障害を含む,いわゆる発達障害のある児者に対する教育や福祉の制度による支援は,充実・発展に向かいつつも,開発の途上にあると思われる.そこにインフォーマルな支援グループが力を発揮する余地がある.その活動分野に関する一例として,放課後・休日活動の提供と支援があるだろう(佐々木,加藤 2007)1). 障害のある児の放課後・休日活動については,一般的にも関心が高まっており,文部科学省委託による調査や研究実践の報告がなされており,今後の開発・普及と拡充が望まれる分野といえる(例えば,NPO法人大塚クラブ,2008 2); 東京学芸大学特別支援教育研究会,2009 3)). 岩手県内では,いわゆる発達障害のある児童に特化した「通所支援教室」が療育を志向しつつはじまり,近年に至り放課後・休日活動を志向するようになった.その先駆けであり, 年以来取組まれている「なずな教室」では,ソーシャルスキルやアカデミックスキルの習得を志向した時期(例えば,佐々木,2000)4);佐々木,2002)5)があったが,近年は放課後活動を志向している(例えば,森山,2008)6)筆者らが1998年以来取組んでいる「エブリ教室」は, 高機能広汎性発達障害(知的障害のない自閉症,アスペルガー障害,特定不能の広汎性発達障害を包括する概念)のある小学生を対象とし,月一回第4土曜日に開催の取組みであるが,ここでも近年は休日活動の充実を志向し始めた.すなわち,エブリ教室では,参加児童にとっての豊かな休日活動をねがう.ここでいう豊かさとは,参加児童にとっての自己実現であり,自立的・主体的な活動の実現である.その実現に向けた実践的課題として,佐々木,加藤(2008a 7))は,以下を指摘している.すなわち,①中心活動(単元化された活動内容)に沿った「一人一人のための支援計画(通称,IEP)」の作成と活用のあり方に関する検討,②ねがいの実現と支援方法の機能の関係性の分析,である.なお,「単元化」とは一定期間同一内容の活動をテーマとして取組む展開方法である.エブリ教室の実践においては,これら①,②を活動の留意点とし,活動計画及び実践とその記録・評価に反映している.
著者
坂木 栄治 松嵜 直幸 北崎 充晃
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.143, pp.59-63, 2006-06-29

オプティカルフローに基づく知覚と行動を科学的に解明する上で,自動車運転時の知覚やステアリング操作,アクセル,プレーキ操作は,非常に魅力的な研究対象である。自動車の運転は,歩行と同様に,知覚と行動が切り離せない状況であり,日常生活にも密着した問題を振起する。このような問題に対して,安全性や実験パラメタの制御・統制の点から,ドライビングシミュレータを用いた研究が一般的に行われている。しかし,多くのシミュレータは,視覚刺激の融通性と統制のなさなどから,知覚心理学,特に心理物理学的研究には向かない。本研究では,これらの点を解決したドライビングシミュレータを開発したので,その概要を紹介すると共に,予備的な評価実験の結果を示す。
著者
植村 善太郎
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大學教育學部紀要. 心理学 (ISSN:03874796)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.187-195, 1999-12-27

国立情報学研究所で電子化したコンテンツを使用している。
著者
西岡 牧人
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.77-81, 2001-06

Nishioka, Makihito私が本学に着任したのは4年前の春ですので、まだまだ新参者です。本稿では新参者の目から、本学の学期制についての感想を述べたいと思います。 私は本学への着任以前に名大助手として九年間勤務し、またそれ以前は東大で学生として八年間過ごしました。学生時代には地方出身者のための小さな寮でおよそ ...
著者
土師 誠二 宇佐美 真 平井 昭博 阪田 和哉 小谷 穣治 磯 篤典 金丸 太一 笠原 宏 山本 正博 斎藤 洋一
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.29, no.7, pp.1652-1657, 1996-07-01
被引用文献数
8

大侵襲の消化器外科周術期の真菌血症の発生について検討した.対象は臓器真菌症を有さない胸部食道切除6例,胃全摘12例,膵切除4例で,術前,術後2,10日目に末梢静脈血を用いて細菌培養,カンジダ抗原価(Cand-Tec),β-D-glucan値(トキシカラー値とエンドスペシー値の差)を測定し,真菌血症の診断を行った.カンジダ抗原価,β-D-glucan値陽性率は2PODにはともに42.8%と有意に上昇し(p<0.01),カンジダ抗原価は10PODにさらに増加するのに対し,β-D-glucan値は減少し,一過性の上昇を示した.血液培養は全て陰性だった.術式別では食道切除術で陽性率が高かった.陽性群と陰性群で比較すると,カンジダ抗原価陽性群は手術侵襲が大きく,低栄養の症例が多かった.以上より,消化器外科手術後早期には培養陽性とはならぬが一過性の真菌血症が生じ,手術侵襲の程度や栄養状態と関連し,microbial translocationの可能性が強く示唆される.
著者
生田 拓也 喜多村 泰輔 田北 親寛
雑誌
骨折 (ISSN:02872285)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.415-419, 1999-05-01
被引用文献数
9
著者
對馬 誠也 内藤 秀樹 小板橋 基夫
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.109-113, 1995-04-25

イネもみ枯細菌病に対するイネの感受性の経時的な変化を3品種 (コシヒカリ, 黄金晴, あそみのり) を供試して検討した. 開花前後の籾に細菌懸濁液を噴霧接種し, 24時間湿室に保持後温室に移して発病を調査した. その結果, 籾の感受性は開花日に最も高く, ついで開花後3日間は高く経過したが, 開花後4日以降と開花前の籾では顕著に低かった. 開花前に接種した籾では, 開花日に再度相対湿度95%以上の条件下に置かれた時に激しい発病が見られ, 感受性の高い期間の高湿度条件が発病に重要であることが示唆された. 一穂での開花頻度 (観察値) と籾の日別発病度 (実験値) から, 穂の日別感受性値 (相対的累積感受性値, TP)を求め, 試験で得られた穂の日別発病度 (実験値) と比較したところ, 両者における感受性の経時的変化はほぼ一致した. このことから, 穂の感受性は穂を構成する籾の開花頻度に大きく依存していることが示唆された. そこで, 穂の日別発病度 (実験値) と本田での出穂頻度 (観察値) から本田のイネ群落での感受性を推定した結果, 得られた値 (相対的累積感受性値, T_t) は3品種ともに出穂期 (出穂率40%以上の日) 後急速に増加し, 同4〜5日後に最も高く, 同12日後には著しく低下した. 以上から, 本病に対するイネ群落の感受性の高い期間が出穂期から11日間程度ときわめて短いことが示された.