著者
小林 和美
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 2 社会科学・生活科学 (ISSN:03893456)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.1-18, 2009-02

韓国では,中・高校生のみならず,初等学生までもが外国に留学する「早期留学」と呼ばれる現象が拡大し,社会問題にもなっている。子どもの留学にともなう家族別居問題の象徴的存在として注目を集めたのが,「キロギ・アッパ(雁のお父さん)」と呼ばれる,子どもを外国で学ばせるため,妻子を外国に住まわせ,自らは韓国に残って生計を支える早期留学生の父親たちである。本稿では,「キロギ・アッパ」の実態について,現地でのインタビュー調査にもとづいて紹介する。「キロギ・アッパ」になり,「キロギ・アッパ」として生活し,「キロギ・アッパ」でなくなるまでの過程を当事者の立場から記述し,子どもの早期留学への関わり方について検討する。In South Korea, a phenomenon called `Jogi-yuhak (studying abroad at an early stage)', even elementary school children, as well as junior/ senior high school students studying abroad, has spread and become a social problem. Symbolic and most focused of this problem is `Gireogi appa (goose dad)'. They work in Korea to support the family while their wives and children stay abroad for the sake of the children's education. This paper reports the lives of `Gireogi appa', based on interviews in Korea. This paper states how they have become `Gireogi appa', how they have lived, and how their lives as `Gireogi appa' will finish (or have finished). Finally, the auther tries to illustrate how these fathers have related themselves to the problems of `Jogi-yuhak'.
著者
古藤田 喜久雄
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, 1974-09-15

最近の山留め工法の特長は無音無振動施工法でありつぎのような工法がある。場所打ちグイまたはモルタル注入グイ柱列, 土グイと建込み既製グイ併用, 建込み鋼管グイ柱列, 特殊建込みPCグイ柱列, RC造り連続地下壁など, これを本体工事の一部に使用する際にはつぎの点の検討が必要である。泥水中コンクリートの品質と鉄筋付着強度, 地下壁と本体の接続部(シャコネクターおよび鉄筋の溶接), 施工中に生じる残留応力および変形, 施工精度, 設計断面の確保, 各壁体エレメント間に付着する泥水被膜など。さらにこれをピヤと兼用する際にはつぎの点についても検討しなければならない。布状ピヤの支持力および沈下性状, 内柱基礎との支持力および沈下性状の相違, 地下壁に作用する偏心荷重の処理, 壁底に沈積するスライムの除去など。新工法の開発に際しては事前の載荷試験を行なうほか, 実際工事においても実験を繰返し, 経験を積み重ねて行く必要がある。日本建築センターに申請中のものに清水建設, 大林組, フジタ工業, 竹中工務店などの工法があり, その他の会社でも独自の研究開発が進められている。
著者
中條 秀治
出版者
中京大学
雑誌
中京経営研究 (ISSN:09199209)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.A6-A8, 1999-09
著者
大川 和男 中元 崇 井上 義朗 平田 雄志
出版者
The Society of Chemical Engineers, Japan
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.352-360, 2005
被引用文献数
6 7

三次元屈曲チャネル内での流体層の分割,180°回転,再合流・重ね合せを組み合わせて流体を多層化する静止型マイクロミキサーの単位エレメントの構成則を求め,それに基づいてY字分岐と120°と60°の屈曲チャネルからなるY型平板静止マイクロミキサーを開発した.正方形のチャネル断面をもつY型ミキサーを用いてヨウ素の脱色実験を行い,混合完了に必要な単位エレメント数<i>n</i>を測定した.レイノルズ数<i>Re</i>が低い場合には<i>n</i>は<i>Re</i>の増加とともに増加した.1単位エレメント通過ごとに厚さが1/2となる流体層内の混合過程をモデル化し,<i>n</i>を表す関数関係を導出し,この関係に基づいて<i>Re</i>が低い場合の<i>n</i>の実験結果を相関した.<i>Re</i>が高い場合,<i>Re</i>の増加とともに<i>n</i>は減少した.この場合の<i>n</i>については上記の関数に用いられる変数を用いて実験的に相関した.<i>Re</i>を50まで変化させてCFD解析を行い,<i>Re</i>の影響を調べた結果,<i>Re</i>=50では流体層は三次元屈曲チャネル内で発生する二次流によって大きく変形していることがわかった.この界面の変形が混合速度を加速させ,<i>n</i>を減少させる.さらに,ミキサーを構成するチャネルのアスペクト比<i>a</i>/<i>b</i>の影響をCFD計算によって検討した.<i>a</i>/<i>b</i>が2.0以上では流体界面の湾曲が大きく,<i>a</i>/<i>b</i>が0.2以下では分岐チャネルで流体が均一に分割されない.したがって,本研究で開発した平板静止型ミキサーにおいて理想的な流体層の分割・再合流を進行させるためには,できるだけ正方形に近いアスペクト比をもつ流路断面を採用することが望ましい.
著者
菅 直人
出版者
日本病院会
雑誌
日本病院会雑誌 = Journal of Japan Hospital Association (ISSN:03859363)
巻号頁・発行日
vol.44, no.10, pp.1587-1596, 1997-10-01
著者
鈴木 聡 鈴木 宏昭
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.24, 2010

アカデミックライティングの学習において,参照したテキストの中から学習者自ら議論する問題を発見し,協調学習を通じて内容を洗練させる問題構築的読解のプロセスは重要な役割を果たす.著者らは,問題構築的読解のためのマーキング・相互コメントが可能なWebベースの学習環境を開発し,大学授業にて運用した.本発表では,その際の相互コメントの内容を分析し,相互コメントの質とライティングの質との関係について検討する.
著者
林 一六 伊藤 洋
出版者
筑波大学
雑誌
筑波大学菅平高原実験センター研究報告 (ISSN:09136800)
巻号頁・発行日
vol.8, 1987

この補遺は1985年に「菅平の高等植物目録」が発行された後で、菅平に生育が確認された種類を記録したものである。目録の中の a, b, cなどの文字は次のような意味である。産地、A : 根子岳、四阿山の上部、B : 同じく中腹、菅平高原、大松山の中腹、C : 菅平湿原を含む菅平の最も低い方面。産状、A, B, C : 普通に産するもの。A, b, c : まれに産するもの。 ...
著者
笹井 洋一 石川 良宣
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.p147-177, 1985
被引用文献数
2

伊豆半島東部地域の7点で,プロトン磁力計による全磁力連続観測を行なった.1980年1月から1984年12月までの5年間の全磁力変化を,柿岡および河津を基準にして調べた.その結果,次のことが分った : (1)1982年の5月に菅引,9月に吉田,11月に初島において,全磁力の急増現象が見られた.これは内陸部の中伊豆町から東海岸の伊東市南部,そして北部へと,中心が移動しつつ進行した,1982年中の隆起活動と,時間的,空間的に非常に良い一致を示す.(2)ただし隆起そのものは,段差状に急激に生じておらず,上記3観測点でもエピソード的な増加以外は,全磁力の減少が卓越する.又,急増現象の見られない新井と浮橋も,隆起域に属し,これらの点では,全磁力の減少が認められた.(3)前回報告した,1981年夏期の吉田,初島,浮橋における,全磁力減少と回復は,潮汐磁場を夜間のみサンプリングすることによるエイリアシング現象で,見掛けのものであった.(4)1980年中頃から,東伊豆地域の全磁力は,柿岡と相対的に減少傾向にあったが,1983年から増加に転じた.関東,東海地域の全磁力観測デ一タによると,房総半島,伊豆大島,伊豆半島東部,同じく西部,駿河湾西岸ではそれぞれ,全磁力の永年変化の傾向が異なり,この5年間で複雑な変化をしているようである.又,海洋潮汐や黒潮の流軸変化など,海流のダイナモ作用による磁場の変動が,地震予知のための精密地磁気観測にとって,無視できない擾乱要因であることが,明らかになった.伊豆半島北東部の隆起と全磁力変化をもたらす機構について,予備的考察を行なった.マグマのダイク状貫入に伴って,表層地殻に微小割れ目が多数発生する,というモデルが有望である.
出版者
京都大学人文科学研究所
巻号頁・発行日
2004-12

会期・会場: 2004年11月18日(木)-11月21日(日) : 京都大學百周年時計臺記念館 ; 拠点リーダー: 高田時雄
著者
内山 成憲 國廣 昇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ
巻号頁・発行日
vol.98, no.268, pp.55-59, 1998-09-17

1998年5月31から6月4日まで, フィンランドで行なわれたEUROCRYPT'98の開催概要及び, 主要な発表内容について報告する.
著者
野村 吉宣 阪尾 学 江村 成就 黒田 健治 宮崎 真一良
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.325-330, 1996-04-01

症例は24歳男性, 会社員。元来宵型人間。23歳頃より過眠傾向となり, 昼過ぎまで覚醒できず, 遅刻欠勤が目立ち, 1992年7月末H病院受診。精査目的のため入院となった。睡眠日誌, 終夜ポリグラフィー検査, MSLT, 直腸温測定により睡眠相遅延症候群と診断された。VB12の経口投与とともに, 院内の生活に合わせて就床起床時刻を一定とし, さらにその後の1週間は高照度光療法も併用した。治療開始2週間後に再度諸検査を施行したところ睡眠相は前進し, 入眠起床時刻も午後10時と午前7時に固定した。退院後は起床時刻を守ること, できる限り規則的な生活を行うことを目的として寮生活をしたところ, 週末には一時的な入眠起床時刻の遅延があるが, ほぼ固定した生活を送ることが可能となった。本症例にみられた睡眠相の遅延に関しては, 単身生活による不規則な生活, 残業が続くことによる入眠時刻の遅延といったライフスタイルの変化が, 概日リズムヘの同調を困難とし, 睡眠相遅延症候群の発症に関与したと考えられた。