著者
小窪 輝吉 コクボ テルヨシ Teruyoshi Kokubo
出版者
鹿児島国際大学福祉社会学部
雑誌
福祉社会学部論集 = Quarterly journal of welfare society (ISSN:13466321)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.49-64, 2018-12-01

社会的手抜き(social loafing)は集団作業における努力低下を指す。これは集団や組織に有害な影響を及ぼす現象であるので、それを除去する方策が多くの研究者から提唱されてきた。その一つに社会的アイデンティティ・アプローチに基づいて提唱された所属集団への社会的同一視を高める方策がある。これは、人が自分をある集団の一員としてカテゴリー化し、成員であることが自己アイデンティティに組み込まれていることを認識すると、人は集団への同一視を強めて集団のために一生懸命に働こうとするだろうと予想するものである。Haslam(2004)は、人が単独で仕事をする時よりも集団で仕事をする時に努力を強めて集団における動機づけ上昇が起こる現象を「社会的努力(sociallaboring)」と名付けた。本論文において、集団状況における社会的努力効果を見出した3件の研究(Worchel, Rothgerber, Day, Hart, &Butemeyer, 1998; vanDick, Stellmacher, Wagner, Lemmer, & Tissington, 2009; Hoigaard, Boen, Cuyper, & Peters, 2013)のレビューを行った。6つの実験のうち、社会的努力を見出したものもあったがそれを見出さない実験もあった。将来の研究では、課題特性と社会的努力の関係をさらに明確にしていく必要があろう。
著者
大貫 隆
雑誌
東京女子大学紀要論集
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.111-138, 1988-03-10

"Das Apokryphon des Johannes", mit Recht als "Kompendium der gnostischen Lehre" (C. Schmidt/W. Till) bezeichnet, zahlt zu den wichtigsten Dokumenten des sogenannten mythologischen Gnostizismus. Es hat aber bis heute an einer durchgehenden japanischen Ubersetzung dieser Schrift gefehlt. Um diesen Mangel zu beseitigen, wird hier zunachst die im Papyrus Berolinensis 8502 enthaltene Version im ganzen ins Japanische ubertragen. (Eine weitere japanische Ubersetzung von NHC II, 1 ebenfalls geplant.) Grundlage fur Ubersetzung bildet die Textausgabe: "Die gnostischen Schriften des koptischen Papyrus Berolinensis 8502", hrsg., ubers. u. bearb. v. W. Till, 2. erweiterte Aufl., bearb. v. H.-M. Schenke, Berlin 1972. An mehreren Stellen sind jedoch andere Lesungen und Ubersetzungen vorgezogen worden. Begrundungen dafur werden in Anmerkungen angegeben. Dort erfolgen auch Auseinandersetzungen mit anderen bereits vorliegenden Ubersetzungen von R. Kasse (RThPh 97/1964 bis 100/1967), M. Krause (in: Die Gnosis, Bd. 1, hrsg. v. W. Foerster, Zurich/Stuttgart 1969) und M. Tardieu, Ecrits gnostiques: Codex de Berlin, Paris 1984. Die Anmerkungen sollen aber aus Platzgrunden getrennt in einem der nachsten Hefte der vorliegenden Abhandlungen gedruckt werden.
著者
井原 久光
出版者
長野大学
雑誌
長野大学紀要 = BULLETIN OF NAGANO UNIVERSITY (ISSN:02875438)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.40-69, 1999-09-30

アメリカの州立大学の歴史的変遷を入植地大学から要約した。入植地大学は、英国スタイルの神学校であったが、ニューイングランドでは、半ば公的教育機関として機能した。入植地大学をもたなかった南部、中西部、西部では州立大学が州立神学校として設立された。19世紀の州立大学の重要性を明確にするため、本論では社会的指導者を育成する大学の基本的なアプローチを二つのモデルとして提示している。第一は、社会的エリートを全寮制に囲い込んで全人教育する「トップダウン方式」であり、第二は、全ての若者に比較的低額で教育を与える「ボトムアップ方式」で、これにより、大学は「社会階層のエレベータ」の役割を担っている。州立大学と私立大学の特徴を示すために、これらのモデルとともに、ジェファーソン民主主義とジャクソン民主主義の違いに照らして説明がある。また、ダートマス訴訟(1816)、ランド・グラント法(1862)や男女共学についても触れている。後半は、インディアナ大学の概要を、キャンパス親模、財政、教職員、理事会その他の観点からまとめているが、こうした概要とデータは、日米の大学を比較するためである。日米の比較では、独立性、競争、環境適応性の三つの点について議論している。
著者
宗藤 誠治 須崎有康
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.1284-1293, 2010-10-15

本稿では,Linux のバージョン2.6.30 から導入された,IMA(Integrity Measurement Architecture)と呼ばれる完全性情報の計測および保護を行う機能について説明する.これは Trusted Computing を実現するOSレベルの機能であり,セキュリティチップと連動することで高信頼のシステム構築を実現する.
著者
三井 美穂
出版者
拓殖大学言語文化研究所
雑誌
拓殖大学語学研究 = Takushoku language studies (ISSN:13488384)
巻号頁・発行日
vol.142, pp.279-295, 2020-03-25

アメリカ社会を理解するためのテクストとして映画を使用する場合,どのようなトピックをどのような切り口で扱うのが効果的だろうか。本稿では映画『フォレスト・ガンプ一期一会』をテクストとし,アメリカがどのように描かれているかを考察する。1994 年に製作されたこの映画は,1950 年代から1990年代はじめにかけてのアメリカ社会を背景として,一南部人の半生を描いたものである。20 世紀後半の社会の動きを知るだけでなく,1994 年当時の社会にスポットを当て,この映画が製作された土壌について考察することもできる。主人公が南部人であることから,取り上げるトピックは南部の地域性,人種問題,反体制運動の3 点とし,そのトピックを互いに関連させながら映画を解釈していく。それにより,映画に描かれているアメリカの保守的文化を浮かび上がらせ,それを取り巻く,或いは対立する動きを読み取っていく。アメリカ社会の一側面を提示することが本稿の狙いである。
著者
小野 良子
出版者
桃山学院大学
雑誌
英米評論 = ENGLISH REVIEW (ISSN:09170200)
巻号頁・発行日
no.28, pp.5-35, 2014-03-18

Introduction 1. Feminine Mystique: American women in 1950s 2. The Second Wave of Feminist Movement: American women in 1960s 3. Hollywood Shakespeare and its Artistic Limitation: Zeffirelli's Taming of the Shrew Conclusion Notes Bibliography This paper is an attempt to examine whether the feminist movements of the 1960s had a particular impact on Franco Zeffirelli's filmed production of The Taming of the Shrew in 1967. The play was first performed on Elizabethan stage and reflected gender politics of the Elizabethan age. The story portrayed the process how the shrew was instructed and molded to the ideal wife by her newly wedded husband. Shakespeare's Taming of the Shrew created the taming plot as comedy with a happy ending of the married couple. Zeffirelli's Shakespearean comedy expected an utterly different audience living in the age of women's liberation. The feminist's movement prompted re-evaluation of the existing social framework authorized by the patriarchal ideology. Zeffirelli's adaptation was a farcical comedy with an ambiguous ending, presenting both the latest feminist's reading and antifeminist backlash on screen. Zeffirelli's Taming of the Shrew was never an academic reproduction of Shakespearean work, but a Hollywood commodity that sells Shakespeare for huge commercial profits.
著者
松本 勉 大石 和臣 高橋 芳夫
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.799-809, 2008-07-15

通常はコピーできないビデオをコピーするようにプレイヤを改造することを困難にする,ICカード電子マネーを打出の小槌に変えさせないようにするといった耐タンパー技術は,システム実装に絡むセキュリティ技術であり,その内容が非公表であることが多く実態を掴みづらい.しかし,よりセキュアなシステムの構築を目指す立場からは耐タンパー技術に関して体系的な視点を持つことが重要である.本稿ではパソコン用のセキュリティチップTPMや組込みシステムに対して公表された最近の攻撃事例や研究成果を手掛かりとして,耐タンパー技術の現状と課題を探る.
著者
片山 瑞穂
出版者
電気通信大学UECコミュニケーションミュージアム
巻号頁・発行日
2020-08-20

2020 年4 月に開催の予定だったミュージアム×ライブラリ連続トークイベント第5回「公衆電報の誕生」が、新型コロナウィルスの影響で実施できなくなったため、講演のシナリオを原稿化し、閲覧に供するものである。
著者
山口 隆介
出版者
聖泉大学紀要委員会
雑誌
聖泉論叢 (ISSN:13434365)
巻号頁・発行日
no.27, pp.123-140, 2020

本稿は,『 プラウン神父』シリーズに見出される G. K チェスタトン 1874-1936) の思想を読み解く試みの後半である。前半と同じく,短編集のもっとも普及している完訳版である創元推理文庫版に準拠した訳を用いることとした。各作品タイトルも同じくそれに準じるが, 初出に限り原題も併載した。作品本文の訳は主に創元推理文廊版を参照しつつ筆者が新たに訳出した。
著者
王 少如 藤波 努 Wang Shaoru Fujinami Tsutomu
雑誌
SIG-SKL = SIG-SKL
巻号頁・発行日
vol.23, no.06, pp.31-38, 2017-03-03

二胡演奏の基本的な運弓動作を筋電図にもとづいて分析した.運弓時の各筋肉の役割や活動度を調べて熟練者と初心者の違いを明らかにした.母指球筋,三角筋前部の,橈側手根屈筋(下)の筋活動が初心者と熟練者の主な違いである.熟練者では移弦動作時に母指球筋,三角筋前部,橈側手根,屈筋(下)の順で活性化するパターンが見いだされた.
著者
笛田 和希 山本 七彩 横山 遥 手嶋 日菜子 五十川 奈穂 柴田 航志 中原 涼花 乘次 優希奈 宮川 光林 田中 聖子 平野 貴士 上野 桃子 藤戸 文子 高嶋 綾香 菅野 憲一
出版者
近畿大学産業理工学部
雑誌
かやのもり:近畿大学産業理工学部研究報告 = Reports of Faculty of Humanity-Oriented Science and Engineering, Kindai University (ISSN:13495801)
巻号頁・発行日
no.24, pp.15-20, 2016-07-15

We investigated long-lasting bubbles by mixing commercially available reagents. The features of the soap bubbles depended on the composition of the detergent, polymer, and other chemical components. Soap bubble containing sucrose, sodium alkyl ether sulfate (AES)- detergent and PVA laundry starch gave a spherical shape on various solid surfaces, including concrete, asphalt, tile, and grass after landing. We revealed that the low surface tension of the bubble was not the singular reason for its long lifetime. The lifetime of the film tended to be prolonged with decreasing humidity.
出版者
BOC出版部

写真特集:これが原発だ 樋口健二被曝の危険にさらされ続ける原発労働者 樋口健二原発がどんなものか知ってほしい 平井憲夫放射能のゴミの話 西尾漠東海地震の前に、浜岡原発を止めよう 馬場利子「死の灰」が赤ん坊を殺している 小田美智子あなたの地域は安全ですか? 狙われた東濃 兼松秀代原発怖いよ! 思わず世界を駆けめぐることに 竹野内真理脱原発・ドイツに学ぶ 奥平せい子<お土産つきの子ども原発ツアー>を質したら 小川みさ子有事法成立で始まった「突然の逮捕」 木瀬慶子資料 日本の原子力発電所一覧/原発阻止地域/世界の原発ランキングほか(資料提供・原子力資料情報室)めじゃーなりすとのめ 報道部記者二十年 内木いずみ語りかけたいあなたへ54 押入れの整理 大里知子あごら読書室 闇に消される原発被爆者/なぜ脱原発なのか?ほかTOPICS イラク特措法、大詰めへ/国会議事堂外周に監視カメラほか集会から「ブッシュの戦争」を考える会/原発やめよう全国集会ほかあごらのあごら「男子のみエリート校」はおかしいのか ほか
著者
久保田貴大
雑誌
研究報告情報システムと社会環境(IS)
巻号頁・発行日
vol.2014-IS-127, no.1, pp.1-3, 2014-03-10

選挙における投票を電子化することには以前から関心がもたれており,実際に,地方選に電子投票機が用いられたこともあった.2013 年のネット選挙解禁とも相まってインターネットでの投票にも関心が高まっている.本研究では,日本におけるインターネット投票の実現の可能性や,その制度の導入までの課題について,安全性,コスト,法制度の三つの観点から調査・検討した.特に,JCJ-Civitas 投票プロトコルを基にした,「攻撃者が投票者と物理的に同じ場所にいて投票者の端末を監視する」 という攻撃に対処するようなプロトコルを提案する.
著者
藤田 淑子
雑誌
東京女子大学言語文化研究 (ISSN:09187766)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.39-55, 2010-03-01

Mongolian language is said to be one of the easiest languages to master for Japanese people,for there is a close resemblance between the two languages in regards to word order. However,its sounds are very different from Japanese ones. The purpose of this thesis is to research the Mongolian phonology with the help of a Mongolian consultant and audio materials.Among the various dialects in the vast region of Mongolia, the major one is Khalkha Mongolian spoken in Mongolia, which uses Cyrillic alphabet for writing. This study is about Khalkha Mongolian, which is the official language in Mongolia.Mongolian phonology is a little bit more complicated than Japanese. There are seven cardinal short vowels in Mongolian, whereas Japanese has five. About half of the authors of the Mongolian language textbooks for beginners write the pronunciation in five katakanas.However, it is hard to describe the seven sounds with the five letters. Concerning the consonants, there are some strongly aspirated consonants in Mongolian. It is hard to distinguish where the place of the articulation of the sound is, because Japanese does not have that kind of aspiration.