著者
小野 康弘 川嶋 稔夫 ピトヨ ハルトノ
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.198, pp.241-246, 2008-08-29
被引用文献数
2

摂食パターンはある程度個人の健康状態を反映すると考えられるため、摂食パターンを解析することで健康状態をある程度把握することができ,病気の早期発見につながる。本研究で我々は過去に開発したセンシングトレイとIDウェアを用いて個人の摂食パターンを自動的に記録できる手法とその記録パターンの視覚的及び定量的な提示方法の提案を行った。これらの提示方法では、食事に出る品を状態として扱い、摂食の様子を時系列的な状態遷移と見なすことにより,マルコフモデルを構築することができる。複数人の数回にわたる摂食実験から,健康に異常のない特定の個人は特有の摂食パターンを持ち、個人差も明確であることが分かった。この結果を用いて、今後摂食パターンを基に健康管理システムの提案を行う。
著者
今井 悦子 田丸 理恵 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.243-253, 1998-03-15
被引用文献数
5

口腔内で食品粒子を粒子として認識する際の最小粒度および粒子の大きさの識別の程度について官能的に明らかにし, さらにそれらと食品物性との関係を検討した.細砕した9種類の食品材料を約1.2倍の等比間隔にある標準ふるいを用いて水中でふるい分けし, 試料(水懸濁液)とした.認識最小粒度は, セルロースに34μmが最小で, 最大は1%寒天ゲルの380μmであり, 材料によって著しく異なった.また粒度の識別の程度は, はんぺんとパン以外は, ある粒度以上において平均1.2倍異なる粒度の識別ができること, また, そのある粒度(識別最小粒度とする)は材料によって異なることが明らかになった.以上の認識最小粒度および認識最小粒度は, 材料の物性値のうち水分含量, 変形定数および密度等の物性値と関係が深いと考えられた.そこで認識最小粒度と識別最小粒度を, 材料の物性値を用いて数値化することを重回帰分析を用いて試みたところ, それぞれ変形定数などを用いた重回帰式で表すことができた.
著者
Imura Wendy J.
出版者
神戸女学院大学
雑誌
女性学評論 (ISSN:09136630)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.21-40, 2008-03

西洋の文化は、昔から日本人女性の"謎"に興味を掻き立てられてきた。外国のジャーナリスト・学者・研究者達にとって、伝統的な日本の家庭における女性の役割とこれとは相反する現代のビジネス界におけるキャリア・ウーマンの立場にみられる矛盾は、特に魅力的なテーマである。本論文では、日本語の出典と英語メディアの評論の対比を通して、時に時代遅れで、固定観念に囚われた日本のキャリア・ウーマン像への反論を試みる。具体的には、職場における日本女性の役割定義や女性総合職に関する誤った描写についてである。このような視点は、家庭における日本の男性像や男女の役割分担についても示唆する。こうしたイメージの脱構築後、英語メディアにおける"誤訳"の陰に潜む原因について論文の最後で考察する。これら全体を通して、日本女性が直面している変遷していく社会や家庭や職場における現実といかに西洋のメディアで頻繁に報道されている構図とは異なるかということに光をあてることができればと考える。
著者
北上 始 館野 義男 五條堀 孝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.44, pp.17-26, 1994-05-27

三大国際DNAデータバンク(日、米、欧)で利用されている生物分類樹データベースは、全て、コンピュータを用いた生物学の研究に有用な電子化辞書である。しかしながら、それらの生物分類樹データベースは、無矛盾に統合化されていない。もし、それらが統合化されれば、統合化された電子化辞書を用いて、生物研究結果の間の比較や既存の研究結果から将来の研究方向の選択などに利用することができる。また、形態学上のデータから計算された生物分類樹と分子データから推論された分子進化系統樹との間を比較するのにも有効である。ここでは、生物分類樹データベースの無矛盾な統合化のために、既存の生物分類樹データベースを無矛盾にする方法について述べられている。データベースの矛盾は、生物学が、近年、急速に発展していることにより生じている。即ち、この急速な発達により、生物分類樹の再構成が頻繁に行われてるが、現存のデータベースにはそれが十分に行われていないのである。この矛盾解消のために、近傍検索によるエラー診断、統合性制約による矛盾ノード抽出、エラー修正ツールなどについて述べられている。また、分散環境における矛盾抽出方法についても述べられている。以上は、全て、関係データベース管理システムを用いて実現されている。All the taxonomy databases constructed with the DNA databases of the international DNA data banks are powerful electronic dictionaries which aid in biological research by computer. The taxonomy databases are, however not consistently unified with a relational format, If we can achieve consistent unification of the taxonomy databases, it will be useful in comparing many research results, and investigating future research directions from existent research results. In particular, it will be useful in comparing relationships between phylogenetic trees inferred from molecular data and those constructed from morphological data. The goal of the present study is to unify the existent taxonomy databases and eliminate inconsistencies (errors) that are present in them. Inconsistencies occur particularly in the restructuring of the existent taxonomy databases, since classification rules for constructing the taxonomy have rapidly changed with biological advancements. A repair system is needed to remove in consistencies in each data bank and mismatches among data banks. This paper describes a new methodology for removing both inconsistencies and mismatches from the databases on a distributed computer environment. The methodology is implemented in a relational database management system, SYBASE.
著者
岩崎 泰頴
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
no.77, pp.205-"228-1", 1970-04-10

1966年初頭にルソン島Tayabas地区の地質構造調査を行った木村敏雄・徳山明両氏は, 保存は良くないが種々検討する価値があると思われる貝化石標本を, 2ケ所から採集し持ち帰った。産出層は下部Gumaca層の上部で中新統の由であった。さて標本類は二枚貝20種, 巻貝16種が識別され, 不確定の11種を除いてすべて既知の化石種・現生種に同定されている。特徴的な種として, Vicarya callosa, Anadara multiformis, Joannisiella cumingi, Paphia exarataなどを含み, 且ってMARTIN, SMITH等によって指摘されたフィリッピン及びインドネシア方面に広く分布する中新統下部の夾炭層に伴う浅海棲貝化石群に属すると見做し得る。一方の産出地Pitogo付近の2層から得られた標本類については, 不充分な材料ではあるが露頭における産出状態から自生の種群構成を復元することができる。この結果, 現地生に近いDosinia-Anadara群集と運搬されたと思われるBatillaria群集の両要素の混合したものと推定される。更に, この仮称"Pitogo fauna"は日本の黒瀬谷層などにみられるVicaryaを含む貝化石群と古生態的にも極めてよく類似している。両者を種群構成の上から比較すると, 両地の緯度の違いを反映して個々の群集の構成種の入れ替りは, 門ノ沢型における奥尻島と種子ケ島両地産の差よりも大きいが, まったく同一の生物地理区に属するとみて矛盾はない。従っていわゆる"門ノ沢型動物群"と比較できる, はるか南方延長上に存在する貝化石群として古生物地理の観点から見落せない。少くとも中新統下部の日本の貝化石群の古生物地理学的吟味は, 東南アジア地域をも対象にする必要があろう。本報告では層序はKIMURA et al. (1968)に基いた。また貝化石群としてみた場合は, 終始日本のそれと比較するという立場で取扱っている。