著者
佐藤寛
雑誌
行動療法研究
巻号頁・発行日
vol.32, pp.31-44, 2006
被引用文献数
1
著者
倉掛 正弘 山崎 勝之
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.384-394, 2006-09-30

うつ病予防の重要性が指摘され,欧米では早くから心理学を基盤とする児童期,青年期を対象としたうつ病予防介入が実施され,大きな成果を上げてきた。日本においては,うつ病の低年齢化が指摘されているにもかかわらず,現在,児童を対象としたうつ病予防介入は全く行われていない。このような現状をふまえ,本研究では,心理学的理論にもとづく教育現場で実施可能な小学校クラス集団を対象とするうつ病予防教育プログラムの構築,実践,その教育効果及び効果の持続性の検討を行うことを目的とした。プログラムは,うつ病の構成要因とされる認知・感情・行動の3つの要因に対し,総合的に介入を行い,抑うつ傾向を改善することで,うつ病予防を目指している。さらにこのプログラムを実際の小学校教育現場において実践し,その教育効果と効果の持続性について検討を行った。その結果,教育効果とその効果の持続性が部分的に確認され,本プログラムが,うつ病予防総合プログラムとして有効であることが示唆される結果が得られた。
著者
石川 信一 戸ヶ崎 泰子 佐藤 正二 佐藤 容子
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.572-584, 2006-12-30
被引用文献数
1

本稿の目的は,児童青年に対する抑うつ予防プログラムのレビューを行うことであった。初めに,抑うつのリスクファクターには,個人的要因,社会的要因,認知的要因,家族の要因,外的な出来事要因があることが示された。このリスクファクターを軽減するための予防的介入要素は以下の4つに分類できることが分かった。(1)環境調整,(2)社会的スキルの獲得,(3)問題解決能力の向上,(4)認知への介入である。次に,予防研究をユニバーサルタイプとターゲットタイプ(indicatedとselectiveの予防プログラム)の2つに分類した。先行研究の多くは,ターゲットタイプのプログラムは抑うつの予防に効果があることを示している。一方,ユニバーサルタイプの結果は一貫していない。特に,長期的予防効果についての実証はあまりなされていない。最後に,抑うつ予防研究における実践と研究における示唆について議論がなされた。
著者
柳澤 秋孝 柳澤 弘樹
出版者
松本短期大学
雑誌
松本短期大学研究紀要 (ISSN:09107746)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.203-209, 2007-03

近年、うつ病に代表される精神疾患や児童の自閉症などの問題が急増している(Lee and Ousley,2006)。それらの問題解決のために運動が有用であり,その効果に期待が寄せられている。成長が著しい幼児期から児童期の子どもに運動が有効であることが知られている(勅使,1999)。我々は独自の運動プログラムを子どもたちに実施したところ、運動を実施した子ども達は前頭機能を測定するGo/No-go課題テストで高い成績を収めることを確認した。そして、この効果はプログラム終了後も継続することが確認されていることから(柳澤弘樹et al,2005)、幼児期における運動プログラムが子どもの前頭機能に何らかの影響を及ぼしている可能性が高い。今回の調査では、幼児期の運動プログラムによる動機付けが子どもの前頭機能と生活に及ぼす効果を検証した。幼児期に運動プログラムを行なう効果を検証するために幼稚園児と小学校の児童218名と、運動プログラムを実施しないコントロール群においてGo/No-go課題と生活調査を行った。運動プログラムによる動機付けを行った結果,幼稚園のGo/No-go課題の間違い数は運動支援群の方がコントロール群よりも少ない傾向にあった。また、幼稚園の生活調査では、注意因子と抑制因子において運動支援群の成績が有意に高い得点を示した。今回の結果より幼稚園の園児に対して運動は前頭機能と生活にポジティブな効果を及ぼすことから運動の重要性が示唆された。
著者
勝間 理沙 山崎 勝之
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.47-55, 2007-09-20
被引用文献数
1

本研究では,攻撃性について,反応的表出性攻撃,反応的不表出性攻撃および道具的関係性攻撃の3分類を用い,児童における3タイプの攻撃性から正負感情への影響を検証した。小学校4年生〜6年生718名を対象に,日本語版児童用正負感情尺度とP-R攻撃性質問紙を行った。その結果,不表出性攻撃の高い児童は低攻撃児よりも高いネガティブ感情を示したが,表出性攻撃児および関係性攻撃児においてはネガティブ感情との関係は見られなかった。この結果は,先行研究を支持するものであり,不表出性攻撃児の問題性をさらに強調し,将来の抑うつ対するネガティブ感情によるスクリーニングの可能性が論議された。