著者
瀬川 裕司
出版者
明治大学教養論集刊行会
雑誌
明治大学教養論集 (ISSN:03896005)
巻号頁・発行日
no.322, pp.63-130, 1999-03

レーニ・リーフェンシュタールによる1934年ナチ党大会の記録映画『意志の勝利』は、その監督の名前に決定的な負の刻印を押した<呪われた映画>として名高い。その作品は今日でもドイツでは一般的上映を禁じられているが、他方ではその力強さ、抗しがたい魅力を指摘する声も絶えない、映画史上最大の問題作のひとつといえる。以下では私たちは、まずそれがどのように撮影・編集された映画であるかという検討から入ることにしよう。映画の全体は、以下のような20のシークエンスから構成されている。じっさいの党大会の行事は、ヒトラーがニュルンベルクに到着した9月4日から10日の閉幕まで、計七日間にわたっておこなわれたが、映画ではそれが五日として表現されている。
著者
中野 雅文 新井 潤 夏目 季代久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.341, pp.19-24, 2006-11-03

近年θリズムは記憶機能との関係で積極的に研究されているが、海馬でのβリズムはこれまで研究されなかった。嗅覚学習でのβリズムは、記憶プロセッシングの検索過程に関連していると言われている。青斑核(LC)から生じるノルアドレナリン神経は、海馬に投射する。コリン作動薬であるカルバコールは、invitroにおいてラット海馬スライス様β振動を誘導する。本研究では、ラット海馬スライスCA3領域におけるカルバコール誘導β振動の発生に対するノルアドレナリン(NA)の影響を調べた。カルバコール(30μM)は、周波数15.6±0.3Hz、振幅0.7±0.1mV(mean±S.E.M.;n=24)のβ振動を誘導した。NA(50μM)は、その周波数を有意に増加させたが、振幅には影響しなかった。これらの結果は、LC活性が海馬CA3領域でのβリズムの周波数を調節する可能性があることを示唆している。
著者
赤藤 克己 山県 弘忠 森 重之
出版者
日本育種学会
雑誌
育種學雜誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.82-87, 1964-07-05

1.1957年キバナコスモスの種子に5kr,10krおよび20krのX線照射を行ない,20kr区の後代より大輪型,矢車型および八重咲型など実用的価値が高いと考えられる二,三の変異体を育成しえた。
著者
吉田 興夫 岩本 明人
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.38, no.8, pp.754-761, 1984-08-20

固体撮像素子の規則的に配列された画素と撮像評価用テストチャートの幾何学模様のパターンとの光学的な干渉によって生ずる偽信号のモアレについて解析した.モアレは矢車チャートでは錨模様, ハイパボリックゾーンプレートでは双曲線模様, およびサーキュラーゾーンプレートでは円模様となり, 垂直画素群や水平画素群とパターンが平行に近い関係となるチャートの水平軸や垂直軸にあらわれる.固体撮像素子の画素数が水平N_h, 垂直N_νであれば, モアレの次数をγまたはγ′の整数として, モアレの発生位置は3N_h/2γまたは3γ′N_h/2,あるいは2N_ν/γまたは2γ′N_νのテレビ本数になる.これらのモアレの見え方を固体撮像素子の開口によって決まるMTF解像度特性との関連で考察し, 無効感光部がモアレの発生原因となることを述べた.
著者
長井 嗣信 河野 毅
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.23-34, 1980-02

本論文では,磁気圏嵐時の静止衛星軌道における高エネルギー粒子のフラックス変動について報告する.3つの静止衛星の同時観測により,夕方側で粒子の減少がみえる時に,真夜中から朝側にかけては,粒子の増加がみられることを明確に示した.また,地磁気じょう乱が引き続いて起きている時には,比較的大きなしかも孤立して起きた磁気圏嵐の時とやや異なる粒子フラックスの変動がみられることを2日間の例を使い示した.
著者
児玉 祐悦 工藤 知宏 清水 敏行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.89, no.8, pp.1695-1704, 2006-08-01

ミッションクリティカルな分散コンピューティングでは,パケットロス率が小さく,障害に強い通信が要求される.そのような高信頼通信を実現するために,マルチパスを用いた通信手法が研究されてきた.これは,通信パケットを複製し,それらを異なるパス経由で転送させ,目的ノードでそれらをマージする手法である.マルチパス手法では,あるパスでパケットロスが起きても,他のパスからそのデータがやってくれば,再送を行うことなく,パケットロスを回復することができる.高バンド幅高遅延ネットワーク間でデータ通信を行う場合には,パケットロスによる通信性能の低下が著しいため,このような遅延に影響されない高信頼化通信は有効である.ギガビットクラスのネットワーク上で高信頼通信を実現するために,我々の開発したネットワークテストベッドGtrcNET-1上に,マルチパス手法を実装した.本実装によりパケットロス率の比較的高い高速ネットワークであっても,マルチパス手法を適用することにより高い通信性能を維持できることを確認した.更に,利用しているパスの転送性能などを受信側から送信側にフィードバックする改良手法を適用することにより,途中のパスで転送性能の低下が起きた場合でも高信頼通信を維持できることを確認した.
著者
片山 容一 笠井 正彦
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.6, pp.395-401, 2003-06-20
被引用文献数
1

幻肢痛には,脊髄.視床あるいは大脳皮質などを対象とした神経刺激療法が劇的に奏効することがある.これらは,主としてゲート・コントロール理論を根拠にしているが,それだけでは説明のつかない現象か多い.近年,一次体性感覚領野の受容野分布の両構成が幻肢痛に高い相関を示すことから,これを元に戻すことができれば,幻肢痛を治療できるのではないかと考えられるようになった.視床でも,同様の受容野分布の再構成が起きており.受容野と投射野の不一致が観察される.これによって,興奮性入力と抑制性入力の均衡が崩れることが幻肢痛の機転である可能性がある.神経刺激療法は,幻肢に相当する部分からの失われた入力を人工的に作り出し.受容野分布の構成を元に戻すことによって効果を生むのかもしれない.このような視点から,幻肢痛に対する神経刺激療法について,現在までの報告を見直した.
著者
坂本 優 木村 元一 黒沼 昭宏 宮川 直子 村山 弘
出版者
公益社団法人日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術學會雜誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, 1993-02-01
被引用文献数
1

測定する部分の直径4mm以外はIPを黒く塗って測定した結果、散乱線含有率が低下した。強いX線が照射された場合はレーザー光が散乱し、測定している近傍から出る発光があると報告されているが、そうでない場合も同じ現象が起きていると示唆される。純粋に散乱線含有率を求めるのであれば、蛍光量計を使用した方が容易で値も真の値に近い。CR法では散乱線以外の因子も付加されるのでグリッドの評価には不向きである。しかしCR画像の評価を行う上では、直接線以外の散乱線、システムノイズ等は画像を劣化する因子であるとすると、実際に画像が作られるのと同じシステムで測定した値が重要であろう。尚ここで述べた散乱線含有率は本来の定義から外れているが適当な用語が無く画像上の散乱線も含む直接線以外のノイズが含まれる割合として用いた。
著者
吉留 天則 後藤 信夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PN, フォトニックネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.513, pp.173-178, 2007-01-22

我々は、OBSネットワークにおけるトラフィック負荷増加時のバースト転送遅延の急増を抑制することを目的とした低遅延バースト転送方式を提案した。その提案方式では、コントロールパケットが中継ノードの予約テーブルを全て参照することで、従来のDynamic Two-way (DTW)方式がシグナリング中に見逃していたバースト転送可能時間帯を有効に利用することができるため、より効果的にバースト転送遅延を抑制することができる。しかし提案方式では、実際のバースト転送には用いない無駄な仮予約時間帯による帯域浪費量の増加という問題がある。本稿ではこの帯域浪費量について吟味し、帯域浪費量を削減するための改良案として、帯域浪費継続時間に注目したEarly Release (ER)方式および帯域浪費サイズに注目したLimited Reference (LR)方式を提案する。シミュレーションによりバースト転送遅延および帯域浪費量を計算した結果、トラフィック負荷が低い場合には、従来のOne-way方式におけるバーストの再送による帯域浪費量よりも、提案方式における無駄な仮予約による帯域浪費量の方が大きくなることが分かった。しかしながら、ER方式とLR方式を併用することで、高い遅延抑制効果を維持したまま帯域浪費量を効果的に削減できることを明らかにした。
著者
唐澤 信司 池田 千里 具 龍會 鄭 俊憲
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, no.1, 1997-03-06

本報告では、ロボットの知能は『もし、○○であれば、○○とする。』という論理で記述され、この論理を実行する意志決定回路{Decision-Making Circuit (DMC)}が形成されることを知能の獲得とする。DMCはある状況を示すセンサの状態の組み合わせに対応した出力回路の状態を指定する。体験的学習では、同時に励起された入力群と出力が接続される。このDMCを構成単位とする人工知能システムを考え、その形成をフローティング・ゲートMOSFETに記憶させる。ここでは、この書き込みを体験的学習のように行う技術を検討した。このロボットの知能は体験に範囲を限定され、いはば個性のようなものを持つ。
著者
クラウザー ウィルヘルム
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
建築雑誌 (ISSN:00038555)
巻号頁・発行日
vol.118, no.1510, pp.56-57, 2003-10-20