著者
清水 泰生 シミズ ヤスオ Shimizu Yasuo
雑誌
国際研究論叢 : 大阪国際大学紀要 = OIU journal of international studies
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.91-103, 2017-01-31

Haruki Murakami is a novelist who also competes in triathlons and marathons. How has his running affected him and his literary work? Furthermore, has he read any books about running that offer interesting viewpoints? In addition, how does he train? For this report, I considered works that feature in printed media, such as interviews, essays and other texts. Since many novelists do not participate in sports, Murakami was regarded as a heretic and received continuous criticism. He fought for people who were criticized all the time. It may be said that he is an atypical runner, and is therefore isolated. Also, it can be seen from the Murakami works that literary language and rhythm are important attributes. As well as music, running must affect the form of writing immensely. Additionally, there is the theoretical question about his training, but it may be said that his original training has helped him form a writing style.
著者
森 公章
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.88, pp.119-179, 2001-03-30

本稿は「額田寺伽藍並条里図」に描かれている額田寺と関係すると思われる額田部氏について、畿内の中小豪族の歴史とその存在形態を明らかにするという視点から考察を試みたものである。額田部氏はこの図に描かれている額田部丘陵を五世紀以来の本拠とし、六世紀頃に飼馬を以てヤマト王権に仕え、また額田部皇女の宮の運営・資養を担当する額田部の管理者として登場する。額田部皇女が推古天皇として即位するとともに、額田部氏も惰使の郊労など中央の職務分担に与り、飼馬の技術を生かした役割を果たしたりするが、基本的にはヤマト王権を構成する中小豪族として定着している。律令制下においても、中央の中下級官人や王臣家に仕えるなど、中央での地位は変化していない。と同時に、額田部氏は本拠地にも勢力を残し、大和国平群郡の譜第郡領氏族としての活動も有する。即ち、中央下級官人と在地での郡領の地位維持という二面性を保持していたと理解されるのである。この在地豪族としての額田部氏の経済基盤となったのが、額田寺の存在とその寺領であった。畿外の郡領氏族とは異なって、在地豪族としての力が弱い畿内の郡司氏族にとっては、寺院は精神面だけではなく、経営の一大拠点となり、この地域における額田部氏の勢力の存続を支えたものと思われる。以上のような額田部氏のあり方の一般化を求めて、畿内の郡司氏族全般についても検討し、畿内郡司氏族は畿内の中小豪族として名代の管理者や職業部民の管理者などとしてヤマト王権の実務を支え、律令制下においても中下級官人として国家の日常業務を担う存在であり、同時に郡司として在地での勢威も保持しており、中下級官人と在地豪族の二面性を備えた存在であったことを確認した。この二つの側面は畿内の郡司氏族にとってともに重視すべき要素であり、両立を以てこそ畿内中小豪族たる彼らの存立基盤を確保することができたのである。
著者
村上 洸介 笠間 貴弘 井上 大介
雑誌
研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:21888655)
巻号頁・発行日
vol.2021-CSEC-94, no.34, pp.1-6, 2021-07-12

Mirai の登場以降,Telnet や SSH サービス等がインターネットからアクセス可能かつ ID/Password 設定の強度が不十分である IoT 機器がマルウェアに感染する事例が多発している.Mirai を含む IoT マルウェアの中には,感染後に当該機器が他のマルウェアに感染するのを阻止する目的で Telnet 等へのアクセスを禁止するものが存在するが,日本国内においてもインターネット側から Telnet サービスへアクセス可能な機器は数万台規模で未だ存在してい る.この事実は,それらの機器が適切なパスワード設定によってマルウェア感染を回避しており,サイバー攻撃の踏み台として悪用されないことを示すのだろうか? 我々は日本国内のパスワード設定に不備のある IoT 機器に対する調査プロジェクト NOTICE を 2019 年 2 月より開始した.本稿では,NOTICE プロジェクトの調査結果と大規模ダークネットの観測結果より,パスワード設定に不備のある IoT 機器のマルウェア感染状況を分析すると共に,マルウェア非感染の要因や当該機器がサイバー攻撃へ悪用されるリスクを明らかにする.
著者
河合 隼雄
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 : 国際日本文化研究センター紀要 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.11-27, 1992-03-30

『風土記』には、昔話の主題となる話が多く語られている。それより時代の下る中世の説話集にも多くの昔話の主題が認められる。ところが、『風土記』には認められても中世の説話集に認められぬもの、あるいはその逆のものなどがあり、それらを比較してみると、日本人の心の在り方が時代によって変化してゆく様相の一面が把えられ、また、日本の昔話の成立過程などを考える上で興味深い。
著者
庭山 英雄 Hideo Niwayama
雑誌
中亰法學 = Chukyo hogaku (ISSN:02862654)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.32-70, 1979-03-10
著者
矢野 浩二朗 横山 恵理
雑誌
じんもんこん2018論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.199-204, 2018-11-24

初等,中等教育の国語科においては,古典作品の歴史や背景を学びながらそれを楽しむ態度を育成することが求められているが,現実には古典に親しみを持つ児童や生徒は多いとは言い難い.そこで本発表では,我々が開発している絵巻物「伴大納言絵巻」の上巻の没入型インタラクティブコンテンツについて紹介する.このコンテンツでは,絵巻中の人物を切りだしてポリゴン化し,仮想空間内の絵巻に配置している.ユーザーはヘッドマウントディスプレイを通して絵巻を鑑賞し,仮想空間内で絵巻にユーザーが近づくと人物がアニメーションし,シナリオに従って発話できるようにすることで各々の人物が絵巻の物語の中で何をしているのかを理解できるようにした.このコンテンツを活用することで,絵巻物の内容理解,および興味関心が向上することが期待される.
著者
高 友康 筧 康明
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.151-156, 2021-08-23

オーディオゲームとは視覚情報を用いずに音声のみでプレイするゲームジャンルである.今回筆者らは音のみを手がかりに遊ぶレーシングゲームを提案・実装する.これはゲーム内での音楽の連続的なパンニングをコース形状の手がかりとして用い,音の聞こえる方向へハンドルを操作することで走行が可能になる.さらに適切な難易度での体験のための走行補助などの設計を行った.本稿では,設計・実装の詳細と,オンライン展示および物理展示での様子について報告する.
著者
長井 志江 堀井 隆斗
雑誌
人工知能
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, 2016-09-01
著者
大原 嶺 松澤 智史 武田 正之
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.115-116, 2019-02-28

ユーモアの理解は人間の高度な知的活動である.近年のAI技術の発展は著しいが,ユーモア関連での成果は比較的少ない.本研究では,ユーモア分野の中でもパターンが定型化されているなぞかけに着目する.なぞかけを生成するためにはお題に対する音韻類似語と関連語を抽出する必要があるが,音韻類似後の抽出部分には同音異義語辞書を,関連後の抽出部分にはWord2Vecの学習モデルを用いた.その結果,従来のシステムに比べてより豊富な語彙を持ち,幅広いお題に対応することのできるなぞかけ支援システムを構築した.
著者
飯嶋 一浩 竹内 将俊 Kazuhiro Iijima Takeuchi Masatoshi
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.89-96,

シロテンハナムグリの生活史を,屋外飼育実験の結果を基に推定した。飼育実験の結果,本種の生活史型は,年1化・幼虫越冬・多回繁殖型であった。成虫の寿命は約1年で,活動期間は5月から9月であるが,夏季に羽化した新成虫は摂食活動の後に地中で越冬して,翌年も再び活動を行った。なお,新成虫の多くは初年度には繁殖活動を行わないが,一部は初年度と次年度の2回,繁殖を行った。幼虫は3齢が終齢であり,初年度の冬季は終齢幼虫の状態で休眠室を形成し,この中で越冬した。成虫の餌資源植物について調査した結果,餌資源植物は3綱18目25科42種であった。このうち訪花植物は2綱14目19科30種,樹液利用植物は2綱3目3科5種,果実利用植物は1綱4目5科8種であった。本研究の結果から,季節を通じ成虫が花粉・花蜜食と樹液食や果実食への切替えを行っていることが,餌資源の枯渇時期を回避することに繋がり,このことが同じハナムグリ亜科の他種に比べて成虫の活動期間と寿命が長い一因であると考えられた。
著者
月面農場ワーキンググループ Lunar Farming Concept Study Working Group
出版者
宇宙航空研究開発機構(JAXA)
雑誌
宇宙航空研究開発機構特別資料 = JAXA Special Publication (ISSN:24332232)
巻号頁・発行日
vol.JAXA-SP-19-001, pp.1-101, 2019-06-19

JAXA宇宙探査イノベーションハブは、将来の宇宙での食料生産を目指し、月面を想定した「月面農場」の実現に向けたコンセプトを検討するワーキンググループ活動を行ってきた。検討委員は、月面農場に関心が高い大学・民間有識者を検討委員として協力を仰ぎ、栽培技術、無人化技術、リサイクル、全体システムの4つのグループに分け検討を行った。本レポートでは、JAXA/日本が検討する月面農場のコンセプトからそれぞれ技術分野毎の検討結果について報告する。