著者
吉川 政夫
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 = Journal of the Society of Biomechanisms (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.215-220, 2013-11-01
参考文献数
17
被引用文献数
3

オノマトペとは擬音語・擬態語を意味するフランス語である.擬音語・擬態語は五感による感覚印象を言葉で表現する言語活動である.筆者らは運動・スポーツ領域で活用されている擬音語・擬態語をスポーツオノマトペと名付けた.運動・スポーツ領域でオノマトペが使用される場合,運動の「コツ」を表現する際の言葉として使用されることが多い.具体的には,動きのパワー,スピード,持続性,タイミング,リズムを表現する言葉として使われていることが筆者らの調査結果の分析から明らかになった.本稿では,アスリートを対象とした調査から得られた運動・スポーツ領域で使用されているスポーツオノマトペの特性,発声されたスポーツオノマトペの音響分析結果から得られた特性,アスリートと指導者に対する意識調査結果と実験結果に基づくスポーツオノマトペの導入効果,運動のコツを伝えるスポーツオノマトペの可能性について言及した.
著者
菅野 礼司
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.101-104, 1997-04-25 (Released:2017-02-10)
参考文献数
6

近代科学の基礎にある機械論的自然観について,その成立の背景と近代力学の形成において機械論的自然観が果たした意義を考察する。目的論的自然観に代わって機械論的自然観が生まれる背景には自然科学の進歩による自然像の転換や手工業の発達などがあるが,さらにキリスト教の自然観である「神が創造し操縦する宇宙像」の影響も見逃せない。近代科学の意味での「自然法則」の概念はこのような状況のなかで確立した。特にデカルトの場合は,物心二元論と物質世界に対する機械論の根拠を神に求めた。一口に機械論的自然観といっても,その意味内容は人により異なるし,時代とともに変化してきた。どこまでを「機械論」というべきかその定義は単純ではないので検討する。最後に,近代科学における機械論に対する批判についても論ずる。
著者
Thomas Svensson Manami Inoue Eiko Saito Norie Sawada Hiroyasu Iso Tetsuya Mizoue Atsushi Goto Taiki Yamaji Taichi Shimazu Motoki Iwasaki Shoichiro Tsugane
出版者
Japan Epidemiological Association
雑誌
Journal of Epidemiology (ISSN:09175040)
巻号頁・発行日
pp.JE20190210, (Released:2020-02-01)
参考文献数
39
被引用文献数
1 9

Background: Short and long sleep durations are associated with mortality outcomes. The association between sleep duration and mortality outcomes may differ according to sex and age.Methods: Participants of the Japan Public Health Center-based prospective study (JPHC Study) were aged 40–69 years and had completed a detailed questionnaire on lifestyle factors. Sex- and age-stratified analyses on the association between habitual sleep duration and mortality from all-causes, cardiovascular diseases (CVD), cancer and other causes included 46,152 men and 53,708 women without a history of CVD or cancer. Cox proportional hazards regression models, adjusted for potential confounders, were used to determine hazard ratios and 95% confidence intervals.Results: Mean follow-up time was 19.9 years for men and 21.0 years for women. In the multivariable sex-stratified models, some categories of sleep durations ≥8 hours were positively associated with mortality from all-causes, CVD, and other causes in men and women compared with 7 hours. The sex- and age-stratified analyses did not reveal any major differences in the association between sleep duration and mortality outcomes in groups younger and older than 50 years of age. The only exception was the significant interaction between sleep duration and age in women for mortality from other causes.Conclusions: Sleep durations ≥8 hours are associated with mortality outcomes in men and women. Age may be an effect modifier for the association between sleep duration and mortality from other causes in women.

3 0 0 0 OA 国勢調査報告

著者
内閣統計局 編
出版者
東京統計協会
巻号頁・発行日
vol.昭和5年 第2巻, 1939
著者
遠藤 貴美子
出版者
The Japan Association of Economic Geography
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.151-176, 2019-06-30 (Released:2020-06-30)
参考文献数
31
被引用文献数
2

本研究は,東京を中心に広域な生産システムを構築している丸編ニット製衣服産業を対象に,情報伝達および関係性にもとづくコミュニケーションに着目して,企業間・企業内事業所間の連関構造を解明するとともに,東京における集積がどのような機能を担っているのかについて検討した.その際,生産システム上でオーガナイザー役を担っている東京のニットメーカーを分析の主眼とした.     ニットメーカーは都区内における受注先や,既存の工業集積内における資材購買先・各種加工業者群との間で,その空間的近接性を活かして迅速で円滑な暗黙知の伝達・共有や意思決定を活発に行っており,ファッション化の進展やデザインの高度化,小量生産化,短サイクル化のもとで集積の意義が強められている側面が明らかとなった.地方圏や海外といった遠隔地との間では遠隔通信手段によるコミュニケーションが主であるが,物理的距離,場合によっては心理的距離を隔てての意思疎通を可能にしているのは,ニットメーカーと地方圏・海外の生産拠点との間の長期取引および過去の対面接触の蓄積によって構築された,相互理解でもあることが明らかとなった.こうしたニットメーカーの調整機能は取引費用の削減に貢献しており,生産システムの地理的広域化がなされた現在,これまで以上にその機能が重要になっているといえる.
著者
中浜 信子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.203-206, 1966-08-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
4
著者
辻川 真弓 犬丸 杏里 坂口 美和 船尾 浩貴 武田 佳子 玉木 朋子 竹内 佐智恵
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.215-224, 2021 (Released:2021-06-30)
参考文献数
37

【目的】保健医療福祉職を対象にAdvance Care Planning(ACP)を促すworkshop(WS)を行い,今後ACPを行いたいと思う人の割合,および参加者の死生観変化から,WSがACPの動機づけとなるかを明らかにする.【方法】WS後に家族や大切な人とACPを行う意思の有無により参加者を2群に分け,死生観およびWSの感想をWS前と比較した.【結果】分析対象は91名,ACPを行いたいと思う群は42名(46.2%)であった.死生観はWS前に比して,両群ともに,「死後の世界観」「死への恐怖・不安」が有意に低下した.ACPを行いたいと思う群では,「死からの回避」(効果量−0.42)「人生における目的意識」(効果量0.51)が有意に肯定的に変化した.【結論】WSによりACPを行おうとする人は半数程度であり,人生における目的意識の高まり,死を回避しない姿勢の関与が示唆された.
著者
山口 康助
出版者
潮流社
雑誌
月刊カレント (ISSN:13432265)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.46-51, 1999-06
著者
松井 理直
出版者
神戸松蔭女子学院大学学術研究会
雑誌
トークス = Theoretical and applied linguistics at Kobe Shoin : 神戸松蔭女子学院大学研究紀要言語科学研究所篇 (ISSN:13434535)
巻号頁・発行日
no.17, pp.67-106, 2014-03

日本語の有声破裂音における声立ち上がり時間(Voice Onset Time, VOT) の分布は、しばしば双極的な性質を持つ。2つの分布ができることを説明する1つの可能性として、声帯振動の開始時点を決める基準点が1つではなく、2つあることが考えられる。例えば、1 つは破裂音の開放時点、もう1つは子音・母音間の音韻境界を過程できよう。本稿は、この子音・母音間の音韻境界が日本語の母音無声化、阻害音の有声性、借用語における促音挿入/促音抑制といった様々な音韻現象に影響することを考察する。また、最後に、母音・子音間の音韻境界に基づくモデルが、VOT の分布をよくシミュレートできることを述べる。