著者
吉岡 誉将 杉本 興運 菊地 俊夫
出版者
首都大学東京大学院都市環境科学研究科観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.13, pp.1-11, 2020-03-15

本研究は,J リーグサッカーファンによる応援クラブのアウェイ戦観戦に着目し,それによる地域活性化の可能性を検討することを目的とする。具体的には,アウェイクラブのファンにとってのアウェイ戦観戦における訪問先での需要を明らかにし,その上で,彼らの受け入れに積極的な先進地域の取り組みを参考にすることを通して,スポーツイベントを軸とした地域活性化の推進に資する知見の導出を試みる。そのための調査として,アウェイ戦観戦行動を把握するためのWeb アンケート調査と,アウェイクラブのファンを受容する地域(長野県松本市)の取り組みを明らかにするためのフィールド調査を行った。これらの調査結果から,サッカークラブの立地する地域が,アウェイクラブのファンをどのように誘致し,受け入れ態勢を整え,地域活性化につなげていけばいいのかについて議論し,また,具体的な施策を提案した。
著者
古俣 智江 遠藤 恵美子 渡辺 勝子
出版者
国際学院埼玉短期大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:02896850)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.27-31, 2008-03

ジャガイモはビタミンC (VC)含量が多く,家庭での消費量も多い。そこで広く利用されている市販のポテトチップスとフライドポテトに含まれるVC量を手作りのそれと比較しようと考えた。その結果,総VCおよび還元型ビタミンC(AsA)は,手作りポテトチップスおよびフライドポテトに多く,市販品には少なく,製品によっては手作り品の1/2から1/3程度しか含まれていないものがあった。酸化型VC(DHA)については,手作り品と市販品のフライドポテトの間に大きな差はみられなかった。一方,市販品のポテトチップスのDHAはカルビーポテトチップスとチップスターに多く,手作り品の2〜3倍量認められた。以上の結果から,総VCとAsAは市販品より手作りポテトチップスとフライドポテトに多く,DHAは手作りフライドポテトと市販品の間には大きな差はみられないが,ポテトチップスには市販品に多くみられた。
著者
小林 裕児 坂口 貴昭 郡 逸平
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.1477-1482, 2013 (Released:2018-01-25)
参考文献数
5

本論文の目的は翼面積がファン性能に与える影響を明らかにすることである.そこで,RANSにMRFモデルを組み合わせた方法を採用し,様々なブレード形状に対してパラメータ検討を実施した.その結果,翼の円筒断面形状を相似に設計することで,ファン性能はブレードの総翼面積に依存することが判明した.
著者
岡野 友彦
出版者
愛知教育大学歴史学会
雑誌
歴史研究 (ISSN:02879948)
巻号頁・発行日
no.51, pp.1-14, 2005-03
出版者
国民図書
巻号頁・発行日
vol.第14巻, 1925
著者
藤井 三樹夫
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.323-332, 1997-06-05 (Released:2010-06-15)
参考文献数
29
被引用文献数
1

明治中期、国直轄の河川工事は、低水工事から高水工事へと大きく転換した。この背景の一つには、鉄道網の発達により、相対的に河川舟運の重要性が低下したことが指摘されている。しかし、鉄道網が発達すると、河川舟運が必ず衰退するという訳ではない。この転換は、河川における高水対策の必要性の高まりと、それを契機に、内陸輸送の担い手を河川舟運から鉄道とそれを補完する道路へと換えようとする政策とがあって行なわれたのである。ただし、そこに至るまでには、国、地方、鉄道会社、運送会社の複雑な動きが見られた。
著者
藤井 亮輔
出版者
一般社団法人 日本東洋医学系物理療法学会
雑誌
日本東洋医学系物理療法学会誌 (ISSN:21875316)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.17-25, 2016 (Released:2020-05-20)
参考文献数
7

明治期の富岡兵吉に始まるわが国の病院マッサージ師は一貫して数を増やしたが、マッサージ診療報酬の引き下げ(1981年)で潮目が変わり、直近の統計でピーク期(1990年、7,040人)の4分の1を割り込んだ。EBM隆盛の医療界で医療マッサージの消滅を免れるには関連のエビデンスの構築が欠かせない。本稿は、その研究推進策の基調として昨年度の学術大会で企画された表題の講演に筆を加えたものである。 エビデンスは治療法等の有効性・安全性を示す客観的証拠とされ、その質は臨床研究のデザイン、すなわち、症例報告、ケースシリーズ、症例対照研究、コホート研究、ランダム化比較試験(RCT)、メタアナリシスの順で高くなるとされる。中でも、ランダム化された2群間の効果の有無を統計学的に比較するRCTは有効性の証明に威力を発揮する。 1980年代、優れた研究デザインの開発や医学情報の電子データベース化が進む中、「治療法を選ぶ際の根拠は正しい方法論に基づいた観察や実験に求めるべき」とのSackettらの主張を端緒にEBM(Evidence-based Medicine)の流れが形成され90年代後半以降の潮流となった。その理念は、①患者の問題を見極め、②その解決に必要な情報を探し、③得られた情報を吟味し、④どの情報を選ぶかを患者と共に考え、⑤その結果を評価するという行動指針である。EBMを実践する過程で患者に提供する医学情報は一般にRCTによる論文が推奨される。 この観点から筆者らは、1983年〜2015年までの医中誌Webに掲載されたマッサージ関連論文のレビューを行った結果をWebに公開し、良質の論文をA4紙1枚の構造化抄録(SA)にまとめて提供してきた。しかし、1万件を超える候補書誌のうちSAに採用された論文は30件、そのうち適切にランダム化されていたRCTは12件にとどまった。さらに、これらの論文の掲載誌情報から、当該研究の担い手の過半数が看護の領域に関わる人たちである可能性が高い。 このように、わが国ではマッサージ関連の質の高いエビデンスと研究の担い手が著しく不足している。その裾野を広げるため、斯界には日常臨床における症例観察の構築と臨床研究教育の普及を図るための戦略的な取り組みが求められる。
著者
瓜生原 葉子 Yoko Uryuhara
出版者
同志社大学ソーシャルマーケティング研究センター
雑誌
同志社大学ソーシャルマーケティング研究センターワーキングペーパー = SMRC Working Paper
巻号頁・発行日
vol.2021, no.1, pp.1-25, 2021-04

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は,依然パンデミックの最中にあり,社会全体に大きな影響を与えている。新型コロナウイルスの拡散を防ぐために,様々な非医薬品介入が行われる中,ワクチン接種は有効な手段として期待されている。しかし,集団免疫を獲得するためにはより多くの国民に受容され,使用されることが不可欠である。特に,今後,経済活動を回復させるためには,就業者におけるワクチン接種が鍵であると考えられる。そこで,本研究では,日本の就業者に焦点をあて,ワクチン接種意向に関する現状を把握すること,ならびに接種意向に影響を及ぼす因子を特定することを目的とした。企業勤務者1,000人を対象とした定量調査の結果,ワクチンの接種意向割合は50.1%であった。接種意向に影響を及ぼす因子は,新型コロナウイルス感染症への重大性・罹患可能性の認知,ワクチンの有効性の認知,主観的規範,行動信念,行動コントロール感であった。一方,ワクチン接種のリスクの認知,リスクへの感情,自己効力感については,統計学的有意が認められなかった。また,ワクチン接種に対する意思決定ができていない割合は31.5%であった。この層では,ワクチン接種に不安を持つだけではなく,自身はワクチン接種しなくても特に問題なく過ごせると思っていた。接種意向がある人も副反応の危険性を感じており,そのリスク認知だけが意思決定要因ではなく,それを上回る有効性の知覚があること,大切な人や社会から期待されていると感じること,社会全体にとって有益と信じることが重要な要素であることが示唆された。
著者
鳫 咲子
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学マネジメント学部紀要 = JOURNAL OF ATOMI UNIVERSITY FACULTY OF MANAGEMENT (ISSN:13481118)
巻号頁・発行日
no.31, pp.19-32, 2021-02

我が国では、人口政策としての少子化政策が先行し、その中で家族政策としての子育て支援政策が注目されるようになった。安倍政権下の少子化政策は、従来の「子育て支援」及び「働き方改革」に加えて、「結婚・妊娠・出産支援」を新たな内容として「希望出生率 1.8」の実現を掲げている。待機児童問題は保育所においては減少傾向にあるが、放課後児童クラブでは今後の課題となっている。子どもの貧困対策のうち就学援助には所得制限があり、支援を必要とする家庭は支援を受けていることを知られたくないという気持ちがあったり、申請が必要な個別的な子どもの貧困対策には、制度の周知が難しかったりという課題がある。給食費の無償化には、子どもの貧困対策を個別的な対策から普遍的な子育て支援策に転換し、直接子どもに給食を現物給付するという意義がある。子供の貧困対策大綱は、学校を地域に開かれたプラットフォームと位置付けて、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーが機能する体制の構築を目指している。貧困家庭の子供たち等を早期の段階で生活支援や福祉制度につなげていくためには、配置するスクールソーシャルワーカーの増員を急ぎ、勤務もフルタイムにすることが求められる。
著者
桝田 哲哉
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.499-509, 2016-11-15 (Released:2016-12-23)
参考文献数
45
被引用文献数
1

Many low-molecular weight molecules, including amino acids, saccharides, polyols, peptides, and synthetic compounds, are well known to elicit the sensation of sweetness, whereas most proteins are tasteless and flavorless. However, some proteins do elicit a sweet taste response on the human palate. Sweet-tasting proteins have potential as low-calorie sweeteners and as substitutes for sucrose for industrial applications, and could be useful in clarifying the mechanisms by which we perceive a sweet taste. However, despite a number of investigations assessing the relationship between sweetness and the structures of sweet-tasting proteins, no common feature has been identified in either their tertiary structures or amino acid sequences. However, most sweet-tasting proteins are basic and have high isoelectric points. Here, we first review site-directed mutagenesis and chemical modification studies on the charged residues of thaumatin and lysozyme. Efforts to increase the production yield of recombinant lysozyme and thaumatin from the yeast Pichia pastoris are then described. We conclude by introducing our recent investigations into the atomic-resolution structural analysis of thaumatin, and a cell-based assay using sweet taste receptors.