- 著者
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牧 勝弘
- 雑誌
- 研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
- 巻号頁・発行日
- vol.2016-MUS-111, no.13, pp.1-6, 2016-05-14
コンサートホールの例からも分かるように,空間内で音がどう響くかということは,音色を決定づける重要な一要因である.しかし,身近な発音体である楽器からそもそもどのように音が空間的に放射されるかということは,未だに解明が進んでいない.本研究では,球状マイクロホンアレイシステムを用いて 「演奏者」 の周囲の音を収録し,その特徴解析を行った.その結果,弦楽器の種類,演奏者の技術レベル,モダンバイオリンと 「ストラディバリウス」 の違いなど,空間音響放射特性にその特徴が現れることが明らかとなった.また,「まるでそこで演奏しているかのような」 音を再現可能な球形マルチチャネルスピーカの製作を通して,「生」 を感じさせるためには放射方向の時間変化が重要であることが分かってきた.これらの結果を通して音の空間放射特性と音色の関係について考察する.