著者
松木 順子
出版者
日本応用糖質科学会
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.284-290, 2018 (Released:2019-05-17)
著者
西谷 美乃理 森 理恵
出版者
京都府立大学
巻号頁・発行日
no.57, pp.33-41, 2005 (Released:2011-03-05)

陸軍被服本廠内の被服協会の機関誌『被服』と、上村六郎『戦時の本染』により、十五年戦争下における染色をめぐる状況を見た。その結果は次のようにまとめられる。植物染料によるほんぞめ「本染」(草木染)の振興は、第一に、化学染料の輸入の途絶と国内染料工場の化学兵器工場への転用とによる染料不足、第二に、本土空襲による迷彩色を身につける必要性の高まり、というふたつの要因から企図された。ところが一方、「本染」は、先に民芸関係者により、化学染料にはない美をもつものとして評価しようという動きが開始されていた。これが「本染」振興の第三の要因である。その普及に当たっては、染料不足の解消と迷彩色の獲得という差し迫った目的よりも、これは日本古来の美なのである、という美的精神的側面が強調される。「本染」(草木染)は戦時下の国粋意識と結びつき、戦後にはこの第三の要因によって、支持されることとなった。
著者
寺澤 洋子 古賀 貴子 齋藤 昌義
出版者
日本食品科学工学会
巻号頁・発行日
vol.61, no.12, pp.599-604, 2014 (Released:2015-03-26)

牛挽肉の直火焼き(素焼きおよび照り焼き,焼き時間はともに12分間および24分間)における有効性リジン量の変化を知る目的で,小形のミンチボール状のものを試料とした。これら試料について,主に加熱,しょう油-みりんの混合液によるアミノカルボニル反応(褐変)の影響を検討した。(1) 水分量は,素焼きおよび照り焼きともに有意に減少したが,その減少率は素焼きの方で高かった。(2) 照り焼きに関し,窒素量の変化は認められなかった。(3) 色調L*は,素焼きおよび照り焼きともに加熱により低下し,色差ΔE*は照り焼きの方でより顕著であった。(4) 有効性リジンの減少率は,素焼きにおける12分間および24分間加熱した試料に比較し,照り焼きで加熱した試料ではそれぞれ2倍の高値であった。水分量および色調L*は有効性リジン量の減少率に高い正の相関を示した。直火焼きにおける水分減少(加熱)に伴いアミノカルボニル反応が進み,L*は低下し,有効性リジン量は減少するものと考えられた。(5) 酸化度 TBA値は,照り焼きよりも素焼きの方で高かった。また,COVは,素焼きにおいて焼き時間に伴って有意に減少した。
著者
杉崎 宏哉 児玉 真史 市川 忠史 山田 圭子 和田 英太郎 渡邊 朝生
出版者
水産総合研究センター
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.57-68, 2013 (Released:2014-06-11)

安定同位体比を用いた海洋の生態系構造の解析では,基礎生産者の安定同位体比の特定が困難なことが食物網解析の障害となっている。本研究では,摂餌過程における炭素・窒素安定同位体濃縮の歴史的経緯をまとめた上,生物種の安定同位体比を同位体マップ上に整理し,食物網構造や栄養段階の推定手法を紹介した。食物網に沿って炭素・窒素同位体比の関係は線形一次式で表せ,摂食過程における炭素・窒素の同位体分別をそれぞれ3.3‰,2.2‰,その比を1.5に設定することで対象とする動物の同位体比から同位体マップ上に食物網の直線を描くことが可能となった。その結果を用いて三陸沿岸と沖帯の食物網同位体予測モデルを提示した。さらに試料採取法・処理法について再考察し,安定同位体精密測定法の今後の展望についても触れた。
著者
進藤 昌
出版者
秋田県総合食品研究センター
巻号頁・発行日
no.21, pp.8-14, 2019 (Released:2020-09-09)

我々は、これまでに秋田スギを原料としたガソリン代替燃料であるバイオエタノールの製造技術の開発を行い、微粉砕した秋田スギを原料としてセルラーゼと高温発酵性酵母を用いた同時糖化発酵によるバイオエタノール生産システムを開発した。このバイオエタノールの新たな利用法として消毒用エタノールの利用開発を進めている。消毒用エタノールは、食品工場やレストランでの殺菌目的としての使用に加え、さらに香りによるマスキングや癒し効果が期待されるため、高齢者施設などの利用が考えられる。そこで、低濃度エタノールと杉葉抽出成分の相乗効果による殺菌能と香りによる脳波への影響を検討した。その結果、秋田スギ葉の抽出物を含むエタノール溶液に細菌や真菌類に対して強い殺菌効果があることが判明した。さらに、抽出成分に含まれるテルペン類由来の香気成分が、人の脳波に影響を及ぼしリラックス効果を示すことが明らかとなった。
著者
吉岡 照高
出版者
農研機構果樹茶業研究部門
巻号頁・発行日
no.1, pp.37-45, 2017 (Released:2019-01-22)

1. カンキツ口之津39号は1974年に晩生のマンダリン‘アンコール’に早生温州‘興津早生’を交雑して育成され,個体番号はEnOW-2である。2001年よりカンキツ第9回系統適応性・特性検定試験にカンキツ口之津39号として供試された。その結果,普及性が低いと判断され,2009年をもって試験中止となった。2. 育成地の調査では,樹姿は直立性で樹勢は中程度で,刺の発生はほとんどない。葉の大きさは‘興津早生’や‘アンコール’より大きい。花弁は白色,5枚で,葯退化により花粉を形成しない。3. 果実の形は扁平で,‘アンコール’に似てへそを形成することがある。果実の重さは110g程度,果皮は濃橙色で比較的滑らかである。果汁の糖度は12月上旬で,11.1%,酸含量は0.85g/100mlで,成熟期は1月と考えられる。種子はほとんどなく,多胚性である。4. 系統適応性検定試験の評価では,果実は125g程度で,果皮の厚さは平均2.0mmで,剥皮性は比較的良い。また,じょうのう膜の硬さは比較的軟かく,肉質は硬い傾向である。果実の成熟期は1月中下旬とする試験地が多く,糖度は平均12.9%,酸含量は1.00g/100mlとなる。浮皮の発生はほとんどないが,一部の試験地で裂果の発生が多くみられた。年によりかいよう病がみられる。果肉がやや硬く,特徴的な食感をもつが,裂果の発生および収量性が高くないという理由から試験中止が妥当と判断された。
著者
高橋 登枝子 徳村 治彦
出版者
[愛知県食品工業試験所]
巻号頁・発行日
no.22, pp.28-32, 1982 (Released:2011-03-05)
著者
松本 亮司
出版者
農林水産省果樹試験場
巻号頁・発行日
no.35, pp.115-120, 2001 (Released:2011-03-05)
著者
松本 伊左尾 今井 誠一
出版者
新潟県食品研究所
巻号頁・発行日
no.25, pp.1-3, 1990 (Released:2011-03-05)
著者
田中 直義 木村 小百合 木内 幹 鈴木 あゆ野 村松 芳多子 三星 沙織
出版者
日本食品科学工学会
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.167-174, 2012 (Released:2013-10-08)

糸引き納豆は醗酵後の冷蔵中ににおいが変化してゆくことが知られており,品質の変化が早く生鮮飲食品並みの消費期限が設けられている。冷蔵中における主要なにおい物質の変化を以下の方法で検討した。(1)購入直後の市販納豆および1週間冷蔵庫中で保存した市販納豆から臭い物質を連続水蒸気蒸留抽出によりエーテルに抽出し,濃縮した。得られたエーテル濃縮液をガスクロマトグラフ-におい嗅ぎ法で分析したが,試料間の差異が大きかったのでエーテル濃縮液を10の指数関数的に希釈することにより,主要な臭い物質を検索した。その結果,主要なにおい物質として2-メチルプロパン酸エチル,2-メチル酪酸エチル,3-メチル酪酸エチルなどの低分子脂肪酸エステル,2,5-ジメチルピラジン,トリメチルピラジンなどのピラジン類,酢酸,2-メチルプロパン酸,2-or/and3-メチル酪酸などの低分子脂肪酸およびエタノールが検出できた。1週間冷蔵中で保存するとそれらの物質の中で,低分子脂肪酸エステルのにおいは弱く,ピラジン類と低分子脂肪酸は強くなる傾向にあった。(2)醗酵終了直後および冷蔵日数の異なる納豆からにおい物質をSPME法で抽出・濃縮し,ガスクロマトグラフで分析し,主要なにおい物質の変化を測定した。冷蔵日数が長くなるにつれて主要なにおい物質の中で,低分子脂肪酸エステルは減少,ピラジン類と酢酸以外の低分子脂肪酸は増加する傾向にあった。以上の結果から,冷蔵中のにおいの変化は,脂肪酸エステル類が減少し,ピラジン類および酢酸以外の低分子脂肪酸類が増加することによるものと推定した。
著者
上田 景子 金子 周平 水海 吉太郎 田中 研実 近藤 隆一郎
出版者
福岡県農林業総合試験場
巻号頁・発行日
no.1, pp.49-54, 2015 (Released:2020-02-03)

果樹園から排出されるカキノキ(Diospyros kaki)剪定枝の新たな処理方法を開発するため,剪定枝チップを培地の基材としたヒラタケ(Pleurotus ostreatus)の無殺菌栽培を検討した。無殺菌の剪定枝チップにヒラタケ種菌を混合して温湿度無管理で培養を行った後,プランターに埋設する手法とした。本手法では,チップだけでも子実体は発生し,2.5kgの菌床あたり積算収穫量が355g,収穫回数は3.0回だった。栄養材として米ヌカを添加することで,それぞれ1035gおよび6.0回に増大した。種菌量の違い(培地全体重量の10%,20%および40%)で積算収穫量に有意な差はなかった。子実体が形成生育する場所,すなわち発生場所としては,クヌギ林内で積算収穫量および収穫回数がそれぞれ679g/菌床および5.4回と建物の軒下よりも多かった。プランター内の剪定枝は収穫開始から約1年後には原型をとどめない程度まで形状が崩壊していた。以上のことから,チップ化したカキノキ剪定枝を培地としたヒラタケ無殺菌栽培は,柿農家が特別な施設なしに剪定枝を処理できる方法として期待されるとともに,収穫した子実体も収入源にできる有効な技術と考えられた。