著者
平松 由起子 安井 賢 卜部 厚志 本郷 美佐緒
出版者
Japan Society of Engineering Geology
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.153-161, 2005-08-10 (Released:2010-02-23)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

2004年7月13日, 新潟県中越地方を中心とした記録的な集中豪雨により, 五十嵐川や刈谷田川など複数の河川が各所で越流および破堤し, 三条市, 中之島町および見附市などで甚大な被害が発生した. 筆者らは刈谷田川沿いの中之島町中之島および見附市南部の被害状況について調査し, 洪水流の流下様式と地形の関係について検討した. 中之島町中之島は沖積低地上に立地し, 堤防の急激な破堤によって破堤箇所近傍では段波が発生した. 洪水流は主に道路や空き地を通って拡散したこと, 自然堤防の高まりを避けて途中から流路を変更したこと, および寺院に植えられている樹木や今回の破堤で生じた瓦礫の存在により, 洪水流の嵩上げが生じたことなどが明らかになった. 一方, 見附市南部は多くの段丘面で囲まれた谷底平野に位置し, 稚児清水川の破堤によって堤内に流入した洪水流の流路は現堤防と段丘面に規制された. 洪水流は沖積面の狭まる地形的狭窄部に位置していた旧堤防により一時的に塞き止められて嵩上げされ, その後, 旧堤防を破壊して, 稚児清水川から4km下流の, 堤防よりも低い段丘面の狭窄部を直撃したことが明らかとなった.
著者
苫米地 英人
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.64(1990-NL-078), pp.9-16, 1990-07-19

記号的および非記号的な制約の超並列活性化ネットワーク上での伝播による自然言語処理の手法について述べる。この手法は既存の活性化マーカ伝播による方法と異なり、複雑な言語的制約を必要とする言語現象を扱うことを可能とする。また、軽量並列プロセスを利用することにより並列計算機上に超並列制約伝播処理を実現する手法を示す。この手法により、密結合共有メモリ型並列計算機上にて完全分散型の神経回路網と記号的制約伝播ネットを共存させることが可能となる。更に既存の解析法と異なり、文法知識の増大による複雑さの増大の問題が軽量並列プロセス数の増加で対処可能となる。
著者
Toru Shirai Ryota Sato Yasuo Kawata Yoshitaka Bito Hisaaki Ochi
出版者
Japanese Society for Magnetic Resonance in Medicine
雑誌
Magnetic Resonance in Medical Sciences (ISSN:13473182)
巻号頁・発行日
pp.mp.2021-0043, (Released:2022-11-12)
参考文献数
26
被引用文献数
2

Purpose: Quantitative susceptibility mapping (QSM) is useful for obtaining biological information. To calculate susceptibility distribution, it is necessary to calculate the local field caused by the differences of susceptibility between the tissues. The local field can be obtained by removing a background field from a total field acquired by MR phase image. Conventional approaches based on spherical mean value (SMV) filtering, which are widely used for background field calculations, fail to calculate the background field of the brain surface region corresponding to the radius of the SMV kernel, and consequently cannot calculate the QSM of the brain surface region. Accordingly, a new method calculating the local field by expansively removing the background field is proposed for whole brain QSM.Methods: The proposed method consists of two steps. First, the background field of the brain surface is calculated from the total field using a locally polynomial approximation of spherical harmonics. Second, the whole brain local field is calculated by SMV filtering with a constraint term of the background field of the brain surface. The parameters of the approximation were optimized to reduce calculation errors through simulations using both a numerical phantom and a measured human brain. Performance of the proposed method with the optimized parameters was quantitatively and visually compared with conventional methods in an experiment of five healthy volunteers.Results: The proposed method showed the accurate local field over the expanded brain region in the simulation studies. It also showed consistent QSM with conventional methods inside of the brain surface and showed clear vein structures on the brain surface.Conclusion: The proposed method enables accurate calculation of whole brain QSM without eroding the brain surface region while maintaining same values inside of the brain surface as the conventional methods.
著者
砂川 正隆 池本 英志 福島 正也
出版者
一般社団法人 日本東洋医学系物理療法学会
雑誌
日本東洋医学系物理療法学会誌 (ISSN:21875316)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.1-7, 2017 (Released:2020-07-07)
参考文献数
33

鍼通電療法は、様々な症状に対して生体の調節機構を介して効果を発揮する。ここでは、鍼 通電療法の生理学的作用を、同じ電気刺激療法であるが鍼を使用しない経皮的電気刺激療法 (transcutaneous electrical nerve stimulation; TENS)ならび通電を行わない置鍼(円皮鍼)と比較した。 TENSとの違いとして、鎮痛作用に関しては、鍼を刺入した局所における変化が起こりうること、 分泌される内因性オピオイドの種類が異なることが報告されている。 置鍼との違いとして、オレキシン分泌に与える影響を検討した。オレキシン神経は、大脳辺縁 系、視床下部、脳幹などからの入力情報を統合し、摂食行動や情動行動、覚醒や睡眠、循環や呼吸、 緊急反応、内分泌系、鎮痛といった種々の行動や自律機能の調節を行っている。術後痛モデルと 脳挫傷モデルにおいては、鍼通電療法はオレキシンAの分泌を促進するが、慢性閉塞性肺疾患モ デルにおいてはオレキシンAの分泌亢進を抑制した。社会的孤立ストレスモデルにおいては、上 昇したオレキシンAの分泌が円皮鍼によって抑制された。無処置の動物に対しては置鍼群と電気 鍼群とで比較した場合、置鍼群でオレキシンAの分泌が有意に増加したことから、通電の有無が オレキシンの分泌に関して異なった反応をもたらす可能性はある。しかし病態モデルでは、必要 な場合には分泌を促し、分泌が過剰な場合には抑制的に作用しており、通電の有無に関係なく中 庸化作用が認められた。 鍼通電療法でも刺入の深さや刺激強度、使用する経穴などを変えることによって得られる効果 はさまざまである。鍼通電療法の作用機序を明らかにするには、更なる研究が必要である。

2 0 0 0 OA 大阪商工案内

著者
太田清次郎 編
出版者
弘栄社
巻号頁・発行日
vol.初編, 1910
著者
中島 典子 鈴木 忠樹
出版者
一般社団法人 日本血栓止血学会
雑誌
日本血栓止血学会誌 (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.708-714, 2021 (Released:2021-12-25)
参考文献数
31
被引用文献数
2

COVID-19の死亡者の多くは,ウイルス性肺炎に急性呼吸速迫症候群を併発し,呼吸不全で亡くなっている.ウイルスの肺胞上皮細胞への感染に加え,血管内皮細胞への作用と血栓形成が重症化の一因となると考えられている.COVID-19関連死亡例の主たる肺病理像は,びまん性肺胞傷害(diffuse alveolar damage: DAD)であり,進行度の異なるDAD病変が混在している.免疫機能が正常の場合,SARS-CoV-2ゲノムは,肺組織から発症4週間頃まで検出され,ウイルス抗原は,肺組織の肺胞上皮細胞,単球/マクロファージに発症2週間頃まで検出されたが,血管内皮細胞には検出されなかった.肺内フィブリン血栓は動脈系の血管と毛細血管に多くみられ,国内の院外死亡例で33%,院内死亡例で10%に観察され,発症早期から形成されていた.COVID-19組織標本の分子病理学的解析によりSARS-CoV-2の血管内皮細胞への作用と血栓形成機序が明らかになり,重症化の予防ならびに治療の開発につながることが期待される.

2 0 0 0 OA 世話尽 5巻

著者
皆虚 編
出版者
西田庄兵衛
巻号頁・発行日
vol.[1], 1656
著者
山下 次郎
出版者
北海道大学
雑誌
北大百年史
巻号頁・発行日
vol.通説, pp.936-947, 1982-07-25
著者
ノイツラ・ ゾフィー 宮川 創
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.6, no.s3, pp.s123-s126, 2022 (Released:2022-11-02)
参考文献数
11

2017年にドイツのヘルツォーク・アウグスト図書館(HAB)で発見された新出キリシタン資料ローマ字本日本語訳『コンテムツス・ムンヂ』の翻刻プロジェクトで用いられた技術と公開方法について論じる。本論文著者両名による日独共同研究プロジェクトにおいて、ルール大学ボーフムのオースタカンプ・スヱン教授の指導のもと、本文献のデジタル化を目標としたデジタル技術活用に関する議論と実践がなされた。そこでは、機械学習による自動翻刻ソフトウェアTranskribusを用いて、そのHTR(Handwritten Text Recognition)モデルに学習させ、自動および手動修正で文献のレイアウト・補助記号などを忠実に再現したデジタル翻刻が行われた。本プロジェクトは、このデジタル翻刻に基づいて、本キリシタン版をデジタルアーカイブ化し、可能な研究対象として公開し、国際的な研究に活用できるようにするモデルを提示する。
著者
上田 早智江 須摩 茜 田村 亮 片岡 潔 杉山 義宣 水谷 仁 高木 豊
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.347-355, 2017 (Released:2018-06-15)
参考文献数
21

背景:クロロゲン酸(chlorogenic acids)を主成分とするコーヒーポリフェノール(Coffee Polyphenols,CPPs)の継続摂取には,抗腫瘍,抗酸化,高血圧改善,脂肪消費促進作用等の生体における効果が報告されている。さらに近年,顔面や手の皮膚の角層水分量増加および鱗屑改善効果も見出されている。目的:CPPs の継続経口摂取による顔面,下肢皮膚の角層機能への影響を明らかにする。さらに,ストレス症状への影響についても検討する。方法:健常成人女性108名を対象とし,CPPs 配合飲料(クロロゲン酸 300mg/100ml/day)の効果を CPPs 無配合(プラセボ)飲料を対照として8週間継続摂取するランダム化二重盲検並行群間比較試験により検討した。皮膚性状,血流調節機能の計測,および主観評価に基づく皮膚性状の変化・ストレス症状の評価を行った。結果:8週間の摂取試験後,CPPs 配合飲料摂取群では,プラセボ飲料摂取群と比べ,顔面および下肢の角層水分量の増加,テープ剥離後の水分蒸散量増加の抑制が認められると共に,ストレス症状の改善が認められた。結論:これらの結果から,CPPs の継続摂取により全身の皮膚の乾燥の改善が期待されると共に,ストレス症状の低減が示唆された。(皮膚の科学,16: 347-355, 2017)
著者
中村 泰敏 橋本 岳 鈴木 康之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.3, no.J2, pp.92-103, 2022 (Released:2022-11-12)
参考文献数
18

近年では,土木建設等の分野で航空レーザや地上レーザ等の三次元点群測量器が広く活用されているが,そうした測量器を用いるには,運用コストが高い等の課題がある.そのため,特に小規模土工の建設業では測量器の活用が進んでいない.そうした状況の中,LiDAR を搭載したモバイル端末が発売され,三次元点群データの取得を可能にするアプリケーションも数多くリリースされた.しかし,土木建設分野で必要な公共座標へ対応したアプリケーションは少ない.そこで本論文では,任意座標の三次元点群を公共座標へ変換することを従来手法と比較して飛躍的に簡便に行うことを目標とした.また,実際の小規模土工現場の測量点群の座標を本研究成果によって変換した結果が国土交通省の出来形管理要領に示されている測定精度内に収まることも目標とした.