著者
伊東 宏樹
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.361-374, 2016 (Released:2016-08-24)
参考文献数
25
被引用文献数
6

状態空間モデルを使用した統計解析をおこなうためのソフトウェア環境として、dlm・KFAS・BUGS言語・Stanを紹介する。dlmおよびKFASはRパッケージであり、比較的簡単に利用可能である。dlmは誤差分布に正規分布のみ利用可能であるが、KFASではポアソン分布なども利用可能である。一方、パラメーター推定に関してはdlmでは最尤推定のほか、マルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC)によるベイズ推定が可能である。BUGS言語は、MCMCによるベイズ推定のためのモデリング言語であり、実行処理系としてはWinBUGS、OpenBUGS、JAGSがある。柔軟なモデリングが可能であり、状態空間モデルを記述することもできる。Stanは比較的新しいソフトウェアであるが、ハミルトニアンモンテカルロ法を使ってベイズ推定をおこなえる。Stanにはgaussian_dlm_obsという分布が用意されており、この分布を使用して、誤差分布が正規分布の状態空間モデルのパラメーター推定がおこなえる。また、gaussian_dlm_obs分布を使用せずに、状態空間モデルを記述することも可能である。複雑なモデルのパラメーター推定は、BUGS言語またはStanによりベイズ推定でおこなうことになるだろうが、dlmやKFASで最尤推定が可能なモデルであればそれらを使用する方が実用的であろう。
著者
谷川 尚哉
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.84-101, 1991-03-31 (Released:2017-05-19)

1980年代は,地理教育にとって大きな変革の時代であった.50年代を第1期の社会科攻撃の時代とすれば,80年代はその第2期と位置付けられる.教科書攻撃として始まった教育の反動化は,議会における自民党の絶対多数という政治状況下で,強権的な政治力により,社会科解体として現出した.第13期中教審で端緒をつけ,続く臨教審路線において「国際化」を大義名分とし,一部の歴史学者の動きを取り込み,最後は教課審において,社会科は地歴科と公民科に分離解体されてしまった.1989年に告示された新学習指導要領による地歴科の地理教育の内容は,無理に地理の「専門性・独自性」を確立し人文科学の一分野として位置付けようとし,資源・産業学習という経済地理的内容を制限し,逆に国際化に対応するとして無批判に文化人類学的な生活・文化の内容を導入するなど問題が多い.今後も戦後の社会科の中の地理教育が築きあげてきた成果を継承してゆかねばならない.
著者
大久保 将貴
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.20-34, 2019

<p> 因果推論とは,因果効果を識別するための仮定を満たすような工夫や戦略のことを意味する.因果推論については,すでに膨大な理論と方法が提起されている.ただし,因果推論が必ずしも具体的な方法と対応しているわけではないため,因果推論といった時にイメージする理論と方法は分野間で大きく異なる.本稿では,社会科学のみならず様々な分野の視点を考慮し,因果推論の理論と方法を体系的にレビューする.さらに,因果推論の限界と可能性について,今日でも繰り広げられている論争を紹介する.</p>
著者
嵯峨山 茂樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.40, pp.23-30, 1994-05-20
被引用文献数
18

いままで多数の研究者が、音声認識は有用な技術であると信じて研究開発に多大な努力を払ってきた。しかし、実際にはその実用化は思ったほどはかどってはいないようである。何が問題なのだろうか?何を解決すれば爆発的に実用になるのだろうか?この問題を議論するために、E?mailを用いた事前討論を開始し、多数の方々からの返答を得た。この報告書は、これら返答の中から筆者が取捨選択してまとめたものを基礎に、筆者の考えも加えて議論している。Although a number of researchers and engineers have paid considarable efforts in research and developement of automatic speech recognition technologies, speech recognition is not yet so widely used in the real world as we expected. What is the problem? What should be done to bring a boom of real applications to the speech recognition technology? To raise a wide-spread discussion, the author introduced an E-mail discussion on this problem. A number of replies have been received from speech researchers. This report includes summary of the E-mail discussion as well as author's own views.
著者
清田 辰巳
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.400-404, 2009-05-15

現在,大規模システムの開発で一般的に採用されているウォータフォールモデルでの開発では,発注者は要件を開発者に伝えるとシステムが納品される検収テストまで,成果物の品質を確認する機会が少ない.東京証券取引所では,システムの信頼性向上を図るには上流工程でのプロセス改善が重要との認識の下,発注企業として要件定義,外部設計の品質を強化することはもちろんのこと,開発ベンダで作成される設計書の品質管理を開発者側と一体となって実施できるようさまざまな取り組みを進めている.なお,本稿での上流工程とは要件定義から基本・詳細設計までをいう.本稿では,それらのうち,要件定義書等上流工程での成果物の品質確保の取り組みや,要件から設計に至るトレーサビリティの確保による品質向上の取り組みについて紹介する.
著者
円山 重直
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集B編 (ISSN:18848346)
巻号頁・発行日
vol.78, no.796, pp.2127-2141, 2012 (Released:2012-12-25)
参考文献数
13
被引用文献数
2 4 1

An accident scenario of Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant, Unit 2 is analyzed from the data open to the public. Phase equilibrium process model was introduced that the vapor and water are at saturation point in the vessels. Proposed accident scenario agrees very well with the data of the plant parameters obtained just after the accident. The estimation describes that the rupture time of the reactor pressure vessel (RPV) was at 22:50 14/3/2011. The estimation shows that the rupture time of the pressure containment vessel (RCP) was at 7:40 15/3/2011. These estimations are different from the ones by TEPCO, however; many measured evidences show good accordance with the present scenario.
著者
三木 陽太
出版者
東京海洋大学
巻号頁・発行日
2012

東京海洋大学修士学位論文 平成24年度(2012) 食機能保全科学 第1612号
著者
青山 薫
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.224-238, 2014 (Released:2015-09-30)
参考文献数
42
被引用文献数
2

本稿は, 公序良俗を守り, 「健康な成人向け娯楽」を提供し, 「女性と子ども」をこの産業から保護する法が, 男女を分け, 女性を, 公序良俗の内部にいる「善い女性」と商業的性行為によって無垢さを失った「悪い女性」に分断する性の二重基準にもとづいていることを批判的に検証する. そして, この法によってセックスワーカー (SW) が社会的に排除され, あるいは保護更生の対象とされることを問題視する. さらに本稿は, 法の二重基準に内包された階級とエスニシティにかかわるバイアスが, グローバル化が広げる格差と不安定さによって鮮明になったことを指摘する. そして, このような二重基準が, 近年, 移住SWをつねに人身取引にかかわる犠牲者あるいは犯罪者と位置づけ, とくに逸脱化・無力化する法とその運用にもあらわれていると議論する.以上の目的をもって, 本稿では, SW支援団体と行ったアウトリーチにもとづいて, 人身取引対策と連動した性産業の取り締まり強化が, SW全体の脆弱性を高めていることを明らかにする. そして, 脆弱な立場におかれたSWの被害を真に軽減するためには, 従来の性の二重基準に替えて, 当事者の経験にねざしたエイジェンシーを中心に性産業を理解し, 法とその社会への影響を当事者中心のものに変化させようと提案する. それは, これもまたグローバル化によって広がっているSWの当事者運動に学ぶことでもある.

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著者
東京大学史料編纂所 編
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
vol.第12編之44, 1967
著者
文部省専門学務局 [編]
出版者
文部省専門学務局
巻号頁・発行日
vol.大正13年3月31日調, 1924
著者
靑木 淳一
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.45-50, 2016-05-25 (Released:2016-06-25)
被引用文献数
1