著者
押田 正子 川崎 聡大
出版者
富山大学人間発達科学部附属人間発達科学研究実践総合センター
雑誌
教育実践研究 : 富山大学人間発達科学研究実践総合センター紀要 (ISSN:18815227)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.27-32, 2013-01

近年,特別支援教育に対する学校現場での関心が高まっているが,学習障害児に対する効果的な指導や支援は,ほとんど行われていない現状がある。本研究では,通常の学級に在籍する読み書きに困難さがみられた小学校3年生A児に対して,大学教育相談にて認知神経心理学的評価に基づき個別支援を行った。支援の経過および変化から通常小学校における学習障害児の支援の在り方について検討を加えたので報告する。対象児の個別支援では,まず書き困難に対する支援の第一段階として,本人の認知機能障害の把握と,カタカナ書字正確性をターゲットとした機能的再編成法による指導を行った。A児は,全般的知能発達遅滞は認めず,年齢相応の語彙力や漢字の読みの正確性を維持していたにもかかわらず,書き到達度は小学校1年生程度と2学年の乖離を認めた。また「繰り返し書いて覚える」書き指導を受け続け,失敗経験蓄積の結果,本学教育相談来所時には学習場面からの逃避行動も散見される現状であった。本学教育相談において,1)書き困難の背景として視覚性記憶の再認の弱さ(視覚情報処理障害)が存在する。2)語彙力,漢字音読力(正確性)と音声言語の長期記憶力は保たれていることが明らかとなった。その結果,良好に保たれた学習経路である音声言語の長期記憶力をバイパス経路とした機能的再編成法によって,短期間で困難であったカタカナ書字の正確性を向上させることが可能となった。
著者
加藤 健
巻号頁・発行日
2012

横浜国立大学, 平成24年9月24日, 博士(経済学), 乙第378号
著者
池見 陽 筒井 優介 平野 智子 岡村 心平 田中 秀男 佐藤 浩 河﨑 俊博 白坂 和美 有村 靖子 山本 誠司 越川 陽介 阪本 久実子
出版者
関西大学大学院心理学研究科心理臨床学専攻
雑誌
Psychologist : 関西大学臨床心理専門職大学院紀要
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-12, 2019-03

自分の生きざまを動物に喩えて、その動物は何をしているのかなどと形容しながらペアで話し合うワークを考案し、それを「アニクロ」(Crossing with Animals)と命名した。本論では、その理論背景として実存哲学、メタファー論やジェンドリン哲学を含む体験過程理論について論じたあと、その実践を3つの側面から検討した。それらは、アニクロ初体験者に対するアンケート結果について、産業メンタルヘルス研修でのアニクロの応用について、そしてゲシュタルトセラピーにおけるアニクロの実践についてである。アニクロは多用な実践が可能であるが、その基本原理はフォーカシングであり、本論は最後に、アニクロを通してみたフォーカシングの基礎理論を考察した。
著者
松田 治貴 河﨑 俊博 中田 行重
出版者
関西大学大学院心理学研究科心理臨床センター
雑誌
関西大学心理臨床センター紀要
巻号頁・発行日
vol.13, pp.57-65, 2022-03-15

本研究の目的は、現在の心理療法の業界においてPCAがどのように認知されているのか、その実態を調査し、PCAの課題や今後の展開について検討することである。PCAの現状について感触を得るための概括的な調査研究と位置づけて調査を実施した。調査対象は、心理療法の学派を問わず、臨床心理士、公認心理師といった心理臨床にかかわる支援者を対象とし、無記名方式のWEB調査を実施した。32名(女性20名、男性12名)から調査協力が得られ、PCAの認知度や活用に関する質問項目について回答を求めた。得られた回答からは次のことが考察された。まず、臨床現場や大学院教育において、PCAの実践内容や重要性は、職場領域や業務内容、学派を問わず広く認知されていることが示唆された。次に、PCAの概念理解について検討した結果、「中核3条件」や「受容と共感」のような基本的概念の理解が大半であり、その他の理論については認知度が低いことが示唆された。また、PCAの学習機会の少なさによる知識のアップデート不足、PCAの概念を他者へ伝えるための説明言語と伝達手段の確立、PCAを専門とする心理療法家だけでなく、他学派の心理療法家に対する学習機会の提供などの必要性について考察した。
著者
笠井 倭人
出版者
京都大学 (Kyoto University)
巻号頁・発行日
2001-07-23

新制・論文博士
著者
Ishii Megumi Ishii Tetsuya
出版者
Elsevier
雑誌
Trends in Biotechnology (ISSN:01677799)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.525-528, 2022-05
被引用文献数
5

A genome-edited agricultural product that is proven to contain no exogenous DNA is not subject to genetically modified organism (GMO) regulations in some countries. However, whether such proof is definitive is often disputed. We discuss the approaches to substantially proving that a genome-edited organism is not GMO, while considering social aspects.
著者
松尾 政輝 坂尻 正次
出版者
筑波技術大学学術・社会貢献推進委員会
雑誌
筑波技術大学テクノレポート (ISSN:24354856)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.76-80, 2013-12

近年,数多くのコンピュータゲームが発売されているが,視覚障害者,特に画面を確認することができない全盲者がこれらを楽しむには多くの工夫と労力を必要とする。一方,視覚障害者向けのゲームも開発されているが,聴覚情報のみで遊ぶこのようなゲームは,健常者にとっては難易度が高いという側面がある。そのため,両者が十分に楽しむことのできるゲームはほとんど存在しない。したがって,視覚障害者は,健常者と同じゲームで遊び,話題を共有することが非常に困難な状況にある。そこで,健常者と視覚障害者の両者が十分に楽しむことのできる,音と触覚により視覚障害者も利用可能なバリアフリーゲームを開発した。本報告では,開発したバリアフリーゲームについて述べることとする。