著者
伊藤 いへ子 福永 峰子 金津 良一 Ieko ITO Mineko FUKUNAGA Ryoichi KANAZU
雑誌
鈴鹿短期大学紀要 = Journal of Suzuka Junior College (ISSN:09158421)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.29-34, 1985-02-01

1.サラダ油を用いて揚げ物を行なった結果,1回の揚げ過程によるPOVの増加は2~4であった。2.揚げ物に使用したサラダ油を調理室冷暗所に貯蔵したときのPOVの増加は容器や季節の影響をうけるが,1ケ月以内の貯蔵においては,いずれも20以下であった。3.揚げ物に2回使用したのち,1ケ月間貯蔵した油を用いて3回連続の揚げ試験を行なった結果,POVは15以下であったが,異臭を放つものがみられた。また,揚げ物を行なうことによって揚げ油のPOVが逆に減少するものもあった。
著者
上條 諒貴
出版者
北九州市立大学法学会
雑誌
北九州市立大学法政論集 (ISSN:13472631)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1・2合併号, pp.105-135, 2022-10

本稿は、特定の確率分布が満たす性質である、いわゆる「単調尤度比性」について、その基礎的な事項を紹介することを目的とする。身近な具体例を用いながら、そのモチベーションや技術的事項を解説したのち、政治学の数理分析における応用例も併せて紹介する。
著者
中井 遼
出版者
北九州市立大学法学会
雑誌
北九州市立大学法政論集 (ISSN:13472631)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1・2合併号, pp.137-153, 2022-10

This work investigates the development of Baltic studies in Japan and its changes and evolutions, focusing on quantitative data from bibliographic databases, including some anecdotal episodes.
著者
嶋村 文里 松澤 智史
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2022-GI-47, no.9, pp.1-5, 2022-03-11

不完全情報ゲームである麻雀では取得可能な情報により不完全情報を推測する必要があり,麻雀における推測の初歩段階である役予測は重要である.そこで本研究では麻雀役と取得可能な情報との関連に注目し,役予測に関して重要性の高い情報の選別を目的とする.その達成のために打牌情報のみで役予測を行うベースモデルを実装し,入力情報の変化に伴う予測精度の違いの比較を行った.実験の結果,役予測における優先順位を降順にすると副露情報,ツモ切り・手出し情報と残存牌情報,ドラ情報,ゲーム状況となることを示した.
著者
福田 秀一
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要 = The Bulletin of The National Institute of Japanese Literature
巻号頁・発行日
no.02, pp.115-164, 1976-03-25

鎌倉中期に関東の好士後藤壱岐守基政が撰んだ「東撰和歌六帖」といふ私撰類題和歌集があり、実朝や北条氏一門をはじめ関東武士の詠も多く見えるため、早くから一部では注目されてゐる。しかるに従来知られてゐた「東撰和歌六帖」の諸本は、続類従本以下すべて、題目録は六帖分を有しながら、本文は第一帖(春部)のみであった。ところが表記の中川文庫本は、抄出本ながら第四帖(冬部)の途中までを有し、例へば新出の実朝の歌を含むなど注目されるので、ここに祐徳稲荷神社および所蔵者鍋島家の許可を得て同本の本文を翻刻し、索引および略解題を付した。 There is Shisen ruidai wakashu (Personal collection of a thematic grouping of Japanese poems) called “Tosen-Wakarokujo” (東撰和歌六帖)which was selected by a person of refined in the Kanto region, Goto Ikinokami Motomasa in the mid Kamakura period, since many poetries of Sanetomo and the Hojo clan including the Kanto samurai were selected, it attracts attention in certain part from an early period. As for the transcription of “Tosen-Wakarokujo” including all Zoku- ruiju, there was only the first chapter (Spring) in the text while having six quires of title records. However the mentioned Nakagawa Bunkobon has it to the middle of the fourth chapter (Winter) in spite of being an excerpting book, for example, it attracts attention because it includes newly found Sanetomo’s waka, the text of the book with permission of Yutoku Inari-jinja and owner Nabeshima family was reprinted here and referred an index and a brief bibliography.
著者
山岡 航
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集 社会科学篇 = THE NAGOYA GAKUIN DAIGAKU RONSHU; Journal of Nagoya Gakuin University; SOCIAL SCIENCES (ISSN:03850048)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.177-208, 2021-03-31

譲渡された債権について債務不履行があり,譲受人に譲渡人よりも多くの損害が生じた場合,この損害の賠償をそのまま認めてよいかには,一考の余地がある。ここでは,特に,債務者が債権譲渡によって不利益を被ってはならないという原則との関係が問題になる。本稿では,ドイツ法を参照し,損害賠償の範囲に関して保護されるべき債務者の利益の有無を検討した。その結果,債務者の利益としては,損害額に関する抽象的なもの,損害発生への対処可能性に関するもの,損害の範囲に関する具体的なものの3 種類があり,後二者については,それぞれ,債権譲渡にともなう不利益の禁止,契約自由の原則から要保護性が認められることを示した。これにより,債務者が負担する損害の範囲は,譲渡人との契約を基礎に決定されることになる。このことは,債務者と譲渡人との間の契約の効力が譲受人にも及んでいることを意味し,契約当事者概念の分析に接続しうるものである。
著者
山岡 航
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集 社会科学篇 = THE NAGOYA GAKUIN DAIGAKU RONSHU; Journal of Nagoya Gakuin University; SOCIAL SCIENCES (ISSN:03850048)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.17-96, 2020-03-31

債権譲渡との比較において契約上の地位の移転の独自の効果とされてきたものの1つに,解除権の移転がある。しかし,債権譲渡において,債権の譲受人にその債権の発生原因である契約の解除権を認める見解もあり,契約当事者の地位にともなって解除権が移転するということには,理論的に検討の余地がある。本稿では,ドイツ法を参考に,債権譲渡の場面から,解除権と契約当事者の地位との関係を明らかにすることを試みた。検討の結果,解除権は,契約当事者の自己決定の保護を目的としており契約当事者以外の者に帰属しえないこと,および,契約上の地位の移転によって移転するのではなく,地位を譲り受けた者のもとで新たに発生することを明らかにした。このことは,契約当事者の地位を移転の対象とする一般的な理解に対して再検討の必要性を示すとともに,契約当事者の地位および契約当事者概念の分析の端緒となり得るものである。
著者
山岡 航
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集 社会科学篇 = THE NAGOYA GAKUIN DAIGAKU RONSHU; Journal of Nagoya Gakuin University; SOCIAL SCIENCES (ISSN:03850048)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.123-184, 2020-07-31

債権譲渡との比較において契約上の地位の移転の独自の効果とされてきたものの1つに,解除権の移転がある。しかし,債権譲渡において債権の譲受人にその債権の発生原因である契約の解除権を認める見解もあり,契約当事者の地位にともなって解除権が移転するということには,理論的に検討の余地がある。本稿では,ドイツ法を参考に,債権譲渡の場面から,解除権と契約当事者の地位との関係を明らかにすることを試みた。検討の結果,解除権は,契約当事者の自己決定の保護を目的としており契約当事者以外の者に帰属しえないこと,および,契約上の地位の移転によって移転するのではなく,地位を譲り受けた者のもとで新たに発生することを明らかにした。このことは,契約当事者の地位を移転の対象とする一般的な理解に対して再検討の必要性を示すとともに,契約当事者の地位および契約当事者概念の分析の端緒となり得るものである。
著者
板倉 陽一郎
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN)
巻号頁・発行日
vol.2013-GN-89, no.28, pp.1-8, 2013-09-04

復興庁職員によるツイッターでの不適切発言事案が発生したことから,総務省は,同様の事案の再発防止を期する観点から、各府省庁等に対して職員の服務規律の徹底を求めるとともに、「国家公務員のソーシャルメディアの私的利用に当たっての留意点」 を取りまとめ、各府省庁等に対して、これを参考に職員への周知徹底を行うほか、必要に応じて、内規の制定、研修の実施等を行うよう求めている。本発表では,同取りまとめの意義を,具体的事例を交えて解説するとともに,その影響等につき考察する。
著者
多賀 太
出版者
国立女性教育会館
雑誌
国立女性教育会館研究紀要 = Journal of the National Women's Education Center of Japan
巻号頁・発行日
vol.9, pp.39-50, 2005-08-01

近年の社会経済的変化は、これまで女性に比べて安定し画一的だとされてきた男性のライフコースに、新たな「危機」と多様化をもたらした。第1に、雇用労働者の増加と長寿化が、定年後の「第二の人生」への再適応という課題を生じさせた。「現役」時代に企業社会へ過剰に適応してきたために、多くの高齢男性が、定年後の生活への適応に困難を抱えることとなった。第2に、女性の継続的な就労や政府の男女共同参画政策・少子化対策によって、父親により多くの育児責任が求められるようになった。長時間労働を強いられ、育児期の性別役割分業が経済的に合理的な選択になってしまうような雇用労働環境のもとで、多くの父親たちが、仕事と育児の両立をめぐる葛藤を経験するようになった。第3に、経済のグローバル化を背景とした雇用の二極化は、男性が仕事と家庭のバランスをとることを改めて難しくした。会社から「疎外」され、仕事も家族も得られない男性が増加する一方で、中核労働者の男性たちは、依然として企業に取り込まれ、家族と過ごす時間がもてないでいる。さらに、仕事や経済的な悩みでの自殺も増えている。男女平等を促進する立場からは、女性の社会的・経済的エンパワーメントを妨げない方向で、これらの男性の「危機」を克服することが求められる。公的政策と企業の努力によって、男性中核労働者に集中する労働量と賃金を他の人々に割り振ることが望まれる。男性たち自身も、近代の物質主義的=男性的価値を相対化し、家事や地域生活に必要なスキルを身につけ、柔軟な人生設計を行っておく必要がある。エンパワーメントのための生涯学習は、全体的な男性優位の構造と、より複雑で多様な個別の男女の関係性の両方を視野に入れながら進められる必要がある。
著者
出口 晶子
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.223, pp.149-178, 2021-03-15

本論でとりあげる船漆喰とは、船の水密充填(caulking)に使う漆喰をさしている。木造船の板と板の接合面や釘頭に塗られる船漆喰には、水の浸入を防ぐため、石灰に麻縄等のほか、油を混ぜ合わせるのが常である。中国では油灰と呼ばれ、古代より現代にいたるまで広いエリアで使われている。油は、中国では桐油が主流であるのにたいし、日本では鱶油などの魚油が主流である。日本における船漆喰は、近世期の海外交易の拠点であった長崎と琉球を中心に、東シナ海の東部沿岸部の九州・沖縄地方に広がった文化であることが認められる。この分布特性について、本論では、主に一七~一八世紀の体験談や伝聞記録、博物知識に民俗学的知見をまじえて考察した。松脂を用いたチャン(瀝青bitumen)やタールなど、一七世紀ころに伝授したとみられる西洋船の技法との連関も考察した。用いた主な資料は、太平洋の無人島・鳥島に漂着した船乗りたちが自力で船漆喰を生産し、船を造って、無事帰還するまでの体験記録や、土佐に漂着した琉球人との問答記録、船や漆喰に関する和漢の百科全書、長崎にやってきた西洋人の旅行記録や日記、平戸・対馬藩士の聞書記録などである。その結果、長崎・琉球を拠点とする海外交易船に必要とされた船漆喰は、日本の木造船にも受容された技術であったが、その分布は九州・沖縄以外に大きく広がらなかった。また松脂と油を混ぜた西洋のチャンも取り入れられ、漆喰との融合もみられたが、それが全国的な船の水密充填として普及することはなかった。一方、近世日本の内航船で隆盛をみていたのは、マキハダ(Japanese oakum)である。日本における船漆喰の限定的な広がりは、近世日本の長崎・琉球を窓口とする限定的な対外交易政策が影響していた可能性を本論では指摘した。