著者
宮澤 正典 Masanori Miyazawa
出版者
同志社大学一神教学際研究センター
雑誌
一神教学際研究 = Journal of the interdisciplinary study of monotheistic religions : JISMOR (ISSN:18801080)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.7-24, 2015-03-31

昭和戦時下のひとつの転換点は1937年の日独伊防共協定、40年の三国軍事同盟であった。各新聞はそれに先立ってヒトラー総統に対して厳しく批判してきた。しかし、1935年にまず『朝日新聞』がヒトラー讃美に転じ、他紙も競って三国同盟を「人類の福祉に貢献すべき世界史の新時代」とうたい、ドイツのユダヤ人弾圧にも共鳴化した。それを批判する自由主義者たちの一人清沢洌はナチスの運動は論理の解剖にたえない宗教運動であり、ヒトラーの一人芝居になっており、恐ろしく独断的、狭量であることを批判している。ユダヤ避難民の満州入国に尽力した樋口季一郎中将、ユダヤ避難民に外務省の意向をこえて日本通過ビザを発給した外交官杉原千畝などがいた。そのビザで敦賀に到来したユダヤ人に対する市民と新聞報道との落差についても考察した。
著者
後藤 倫子 Rinko Goto
出版者
同志社法學會
雑誌
同志社法學 = The Doshisha Hogaku (The Doshisha law review) (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.599-671, 2018-07-31

ジェノサイド条約は、国際連合の下で準備作業が進められ、1948年12月9日に国際連合総会の全会一致の下で採択された。本稿は、「ジェノサイド」の造語を編み出し、ジェノサイド条約の準備作業にも参加したラファエル・レムキンが本条約の内容に与えた影響について、本条約の準備作業以前の彼の条約構想と本条約の規定を、準備作業の過程を踏まえて比較・検討することで、明らかにすることを目的とする。
著者
渡邊 真衣
出版者
学校法人 柴田学園
雑誌
柴田学園研究紀要 (ISSN:27580237)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.1-10, 2022-09-30

【背景】近年、世界的にアレルギー疾患の患者数が増加している。アレルギー疾患の中でも、食物アレルギーは死亡に至る例があり、注意を要する疾患の1つである。このため、食べられる範囲を超えたアレルゲンの摂取を防ぐことに加えて、調理法によるアレルゲンの不活化など、より安全性を高めるための手法が求められている。【目的】成人における食物アレルギー原因食物のうち、魚類に含まれる主要なアレルゲンはパルブアルブミン(PA)である。PAは熱処理することで免疫グロブリンEとの反応性が低下することが知られている。そこで本研究では、種々の調理法により抗原として機能するPAがどの程度減少するかを確認し、安全性を高める調理法について検討した。【方法】タラ、サケ、サバ、イワシ、サンマ、マグロの可食部を採取し、「煮る」・「焼く」・「蒸す」の調理法を実施した。さらに、高温で調理した試料として市販の缶詰も利用した。各試料に含まれるPAの相対量は抗PA抗体を用いたウエスタンブロット法により明らかにした。【結果・結論】水溶性タンパク質であるPAはサケ、サバ、サンマ、では「煮る」ことでその含有量を減少できる可能性があること、ただしイワシは「煮る」ことでは減少しない可能性が明らかとなった。これらの結果は、PAの抗原性低下を目的とした場合、最適な調理法は魚種により異なることを示唆している。
著者
高石 雅樹 大嶋 宏誌 浅野 哲
出版者
国際医療福祉大学学会
雑誌
国際医療福祉大学学会誌 = Journal of the International University of Health and Welfare (ISSN:21863652)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.59-69, 2015-08-25

足尾銅山における「足尾鉱毒事件」は日本最初の公害であり,採掘技術の近代化および大規模化により鉱害は拡大した.鉱害は,製錬所から出る亜硫酸ガス等の有害物質や過剰な伐採による森林の荒廃および農作物の枯死,選鉱排水や鉱石堆積場から漏れ出る銅等の重金属を含んだ水による魚類の斃死および農作物被害であった.また,衛生環境の悪化が原因と思われる出生率の低下や死亡率および死産率の増加が起こっていた.鉱害対策は明治期から行われていたが,煙害は自熔炉精錬法導入まで解決せず,鉱毒水問題は精錬事業停止まで解決しなかった.現在,国や栃木県,NPO,市民ボランティア等が協力して植林活動を行っている.しかしながら,膨大な土地改良事業費用や治山活動費用を費やしても,かつての姿は取り戻せていない.近年は我が国で大規模な公害が発生する状況にはないが,東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故のように,通常とは異なる条件により発生する可能性は否定できない.したがって,過去の公害による知識を利用して十分な予防措置をとることが重要である.
著者
菊池 誠一
雑誌
學苑 = GAKUEN (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
vol.840, pp.(28)-(37), 2010-10-01
著者
矢入 健久
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.56, no.8, pp.777-780, 2015-07-15

人工衛星等の宇宙システムの運用では,地上局に送られてくるデータからシステムの健康状態を監視し,故障や不具合の兆候を迅速に検知することが重要である.従来は,専門家によって事前定義されたリミット値やルールを用いた監視法が主流であるが,近年,蓄積された過去の膨大なデータと発展著しい機械学習技術を組み合わせた学習型あるいはデータ駆動型の状態監視法が注目されている.そこで本稿では,学習型状態監視法の基本的な考え方や手法を解説するとともに,JAXA 研究開発本部の小型実証衛星4型(SDS-4)プロジェクトチームと共同で実施した検証実験の結果の例,および,この実験で得られた知見を紹介する.
著者
田村 修
雑誌
2019年度 情報処理学会関西支部 支部大会 講演論文集 (ISSN:1884197X)
巻号頁・発行日
vol.2019, 2019-09-13

低速度域の通信に使われる調歩同期式のインターフェース実装の多くには,受信データ中の雑音除去のためオーバーサンプリングによる多数決回路が内蔵されている.この特性の雑音依存性を理論解析および実験によって示す.
著者
小川 秀人
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.e13-e18, 2022-10-15

AI技術を適用したプロダクトの品質保証の考え方を検討しているAIプロダクト品質保証(QA4AI)コンソーシアムについて概説する.同コンソーシアムは産学官の枠を超えた参加者による実務的検討を行っており,同コンソーシアムによるQA4AIガイドラインではAIプロダクトの品質保証の枠組みや品質を評価・改善する技術例を示すと共に,5つの代表的なドメインにおける品質保証に関する具体的な事例検討を示している.
雑誌
Science reports of Tokyo Woman's Christian University
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.1837-1854, 2006

Chromatography is an effective method to separate mixtures into their components, which resemble very closely in chemical properties. The method permits observation of separation process of the components, which is an advantage for the laboratory experiment. Thin layer chromatography and gel permeation chromatography have been applied the separation and detection of the substances as follows, I. Analysis by thin-layer chromatography (TLC). 1. Mono- and disaccharides. 2. Amino acids. 3. Prine, pyrimidines and nucleosides. 4. Metal ions. II. Analysis by gel permeation chromatography (GPC). 1. Alkyl alcohols.
著者
藤本 真代 横山 和輝
雑誌
オイコノミカ (ISSN:03891364)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.1-15, 2016-03-01

本稿の課題は,家族の絆に関する変数(合計特殊出生率,離婚率,婚姻率,自然死産率)が男女別の自殺率にどのような影響を与えているかについて統計的に検定することである.2001 年から2013 年の都道府県レベルのパネルデータを用いて,男女それぞれの自殺率を被説明変数とする連立方程式の同時推定を行なう.合計特殊出生率と婚姻率は,ともに男女の自殺率と負の相関関係にある.反対に自然死産率は男女の自殺率と正の相関関係にある.一方,離婚率は女性の自殺率にのみ負の効果が観察された.自殺抑止において家庭およびビジネス両面での対人関係が重要である,という主張に対し,本稿は定量的な根拠を提示するものである.