著者
二宮 理佳 金山 泰子
出版者
国際基督教大学 日本語教育研究センター
雑誌
ICU 日本語教育研究 = ICU Studies in Japanese Language Education (ISSN:18800122)
巻号頁・発行日
no.6, pp.3-24, 2010-03-31

本稿では、テレビ映像を用いたインタビュー調査を3名の被験者を対象に実施し、「はい」「ええ」の使い分け、および「ええ」の機能について考察を試みた。調査の結果、先行研究および筆者らの考察結果が再確認されると共に、被験者から新たな示唆が得られた。まず、「はい」には、先行研究で言われているように、「フォーマルで丁寧」、「談話設立・維持・進行」の機能、「ええ」には「同意・共感」の機能があると認識されていることが確認された。さらに筆者らがこれまで考察してきた「主張を込める」、「既知の情報に対する応答」などの「ええ」の機能を認識していると思われる回答が見られた。また「ええ」の認識には個人差があるということや、「はい」「ええ」どちらかのみを使うとその応答詞の持つ機能がマイナスに作用する結果になってしまうという側面も再確認された。「はい」のみならば「固い」、「楽しさがない」、「話しにくい」などの被験者のコメントに、それぞれの応答詞の機能がマイナスに現れてしまった様子が見てとれる。さらに、被験者は3名とも「はい」「ええ」を適宜織り交ぜて使用することが適切で自然だと指摘している。これは、先行研究および筆者らのこれまでの調査結果からは見出されなかった新しい点である。
著者
プンサップ・アンヤーニー 加藤有己 阿久津 達也
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.128, pp.137-142, 2007-12-21

生体高分子の機能の解明にはその折り畳み構造を理解する必要があるとされている.特に,機能的非コード RNA が注目を集めている.RNA の立体構造を予測することは困難であるため,シュードノットを含む,または含まない2次構造を予測する研究が行われてきた.本稿では,整数計画法を2次構造予測に適用する手法を提案する.ここで,シュードノットを含まない構造と,任意の平面的シュードノット構造を予測するための2つの定式化を導入する.さらに,提案手法を使った構造予測に関するいくつかの実験結果を示す.Understanding the function of biological molecules requires knowledge of their folded structures. In particular, noncoding functional RNAs have received much attention. Due to the difficulty in predicting the three dimensional structure of RNA, research efforts have shifted to the prediction of secondary structure both with and without pseudoknots. In this paper, we present a method of applying integer programming (IP) to RNA secondary structure prediction. We introduce respective IP formulations for predicting pseudoknot-free structure as well as arbitrary planar pseudoknotted structure. Furthermore, we show some experimental results on structure prediction using the proposed method.
著者
片岡 祥 園田 直子 Sho Kataoka
出版者
久留米大学大学院心理学研究科
雑誌
久留米大学心理学研究 (ISSN:13481029)
巻号頁・発行日
no.9, pp.1-8, 2010

本研究では青年期における愛着対象の移行を検討した。146 名の高校生と161 名の大学生を調査参加者として,4 つの愛着機能(近接性の維持,安全な避難場所,分離不安,安全基地)について対象が誰であるのか質問紙で調査した。その結果,高校生に比べて大学生では全ての愛着機能について親が対象として選択される割合が高かった。このことは,子どもの成長に伴い愛着対象が親から他の対象へ移行するという一般的な知見とは異なり,青年期後期において再び親が愛着対象としてみなおされる可能性を示唆する。また,高校生と大学生で恋人がいる者は,恋人や友人を愛着対象として選択する傾向があった。高校生で恋人がいない者は友人を愛着対象として選択する他に愛着対象が「いない」と回答する傾向があったが,大学生で恋人がいない者は親や友人を愛着対象として選択する傾向があった。青年期中期の青年は親から分離しており,青年期後期の青年は親を再び愛着対象としてみなおしているという可能性が考えられた。
著者
坂倉 杏介 川口 ゆい 渡邊 淳司
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.2772-2781, 2009-12-15

筆者らは,身体の内外を移動するように感じられる音を提示し,聴覚によって位置づけられる自己の感覚を再認識するワークショップ(「HERE/HEAR『いることと聴くこと』のワークショップ」)を企画,実施した.本論文では,このワークショップにおける体験デザインの指針を,ハードウェア,音響コンテンツ,ワークショップシナリオの視点から論じ,実施結果を考察する.ハードウェアは,3つの音響装置:トランジスタラジオ,超音波スピーカ,環境スピーカで構成され,参加者はシュラフに身を包み,床に横たわりながら,これらからの音を聴いた.音響コンテンツは大きく,1)環境を再現する音,2)身体内部音・感情と関連する音,3)声・言葉,の3種類に分けて構成された.ワークショップの実施にあたっては,それぞれに分類される音響コンテンツを聴いた後,その感覚を参加者同士で対話,共有し,徐々に体験を深める形式で進めた.ワークショップを通じて,参加者は,音と自己の位置づけ,それにともなう感情や身体状態の変化への気付きなど,聴覚とそれに強く関連した自己の存在に関する感覚をそれぞれのやり方で感じることができた.
著者
中野 秀洋
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.70-78, 2014-06-05 (Released:2014-07-31)
参考文献数
18

ニューラルネットワークは個々の動作が単純であり,高い並列性を有する演算が可能であるため,大規模な組合せ最適化問題を効率的に解くことができる.一方,進化的計算の研究分野では,実数値の設計変数を最適化するための優れた手法が数多く提案されている.本稿では,第一段階でニューラルネットワークを用いた組合せ最適化によって設計変数の削減を行い,第二段階で進化的計算を用いた実数値の設計変数の最適化を行うことで,大規模最適化問題を効率的に解くアプローチを紹介する.本アプローチは,様々な工学システムの最適化に対して適用できると考えられる.筆者らの最近の研究対象である無線センサネットワークにおける問題を例題として取り上げ,本アプローチの有効性と今後の発展性について議論する.
著者
谷埜 予士次
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.27-30, 2006 (Released:2007-01-30)
参考文献数
9
被引用文献数
1

This article describes physical therapy for patients with knee joint instability. Therapists have to adjust the motion axis of the joint in range of motion exercises. Also, it is important to train the "dynamic stabilizer" in muscle strengthening exercises. Therefore, therapists have to understand the knee structure and muscle function in order to improve knee joint stability.
著者
Hironobu Ueki Hisahiro Takashima Martina Michaela Friedrich
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
SOLA (ISSN:13496476)
巻号頁・発行日
pp.2021-011, (Released:2021-03-03)
被引用文献数
1

To clarify three-dimensional (3-D) spatiotemporal variations and horizontal–vertical transport processes in nitrogen dioxide (NO2) over urban areas, combined NO2 profile observations by multiple Multi AXis Differential Optical Absorption Spectroscopy (MAX-DOAS) and direct wind observations by 3-D coherent Doppler lidar were made over an urban area in Japan. MAX-DOAS measurements were conducted at Yakuin and Fukuoka University in Fukuoka urban area with high temporal resolution of four minutes.Enhanced NO2 concentrations were often observed over the city center. We conducted a case study on 29 November 2018 under clear sky conditions and NO2 profiles were well retrieved. Using MAX-DOAS at two locations, high NO2 concentrations were observed near the surface of the city center in the morning. Higher NO2 concentrations appearing gradually at higher altitudes over the city center and disappearing in the afternoon are explained using direct evidence of a 3-D wind field: an airmass with a high NO2 concentration was transported upward over the city center. Then, the airmass was advected landward by a sea breeze. Multiple MAX-DOAS combined with 3-D Doppler lidar constitutes a powerful tool for elucidating horizontal–vertical transport processes. It can contribute to the improvement of data retrieval by satellites for urban areas.

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1921年05月06日, 1921-05-06

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1916年05月23日, 1916-05-23
著者
川原 正人
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.37-44, 2020

<p> 本研究では大学生を対象として、居場所感とアパシー傾向がネット依存傾向にもたらす影響について検討した。今回の調査では先行研究に比べて高い依存傾向に含まる調査対象者の割合が多く、項目ごとの回答や尺度の平均得点で見ても上昇しており、大学生のネット依存傾向が強まっている可能性が示唆された。ネット依存と居場所感、アパシーの関連について検討したところ、アパシーとネット上での自己有用感がネット依存に影響を与えており、アパシーに対しては現実生活での本来感が影響を与えていることが明らかとなった。ネット上での自己有用感の直接効果よりも現実生活での本来感がアパシーを経由してネット依存に与える間接効果のほうが大きいことが確認され、ネット依存への対策として、ありのままいられる感覚を現実世界で見出すことがアパシーの低減につながり、それによってネットへの回避を和らげることが手がかりとして示された。</p>
著者
倉田 将希 高道 慎之介 佐伯 高明 荒川 陸 齋藤 佑樹 樋口 啓太 猿渡 洋
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:21888663)
巻号頁・発行日
vol.2021-SLP-136, no.31, pp.1-6, 2021-02-24

本稿では,音声変換ユーザに目標話者のキャラクタ性を獲得して発話させるためのシステムを提案する.深層学習に基づくリアルタイム音声変換は,人間の発声器官の物理制約を超えて,ユーザの音声から所望のキャタクタ性を持つ音声への高精度な変換を可能にしつつある.しかしながら,音声のパラ言語情報(抑揚・強勢など)の変換は未だ困難であり,ユーザの音声のパラ言語情報が変換音声に直接的に反映されてしまう.また,通常の発話において,人間は自己聴取音の聴取との相互作用により自らの言語情報・パラ言語情報を制御するが,リアルタイム音声変換を用いた発話において,そのような相互作用をもたらす機構は存在しない.そこで本稿では,変換音声をユーザにリアルタイムにフィードバックする自己聴取音制御システムにより,変換音声に所望のキャラクタ性を付与するようユーザを発話変容させるシステムを提案する.実験的評価では,一人称視点(音声変換ユーザ視点)と三人称視点においてシステムおよび変換音声を評価し,(1) 演技経験の少ないユーザに対してシステムの有用性が高いこと,(2) F0 を目標キャラクタに近づけるだけで十分な発話変容効果がみられることを示す.
著者
江角 弘道 Hiromichi EZUMI
雑誌
島根県立看護短期大学紀要 (ISSN:13419420)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.69-74, 2004-03-31

遠赤外線は、人体の血流や皮膚細胞の活性化などに対して効果を持つことが確認されており、トルマリンは、他の誘電体に比べて遠赤外線放射率が高い。ここではそれを利用した健康商品のトルン・リングやトルン・シーツの使用前後の遠赤外線放出特性を分析した。その結果、トルン・リングでは、リング中のトルマリンとゼオライト混合粉末からの遠赤外線放出が確認され、使用後に効果の無くなっていたトルン・リングは、トルマリンとゼオライト混合粉末の粒塊同士がタール状のものでおおわれて単独で動けなくなっている様子が走査電子顕微鏡による観察より判明した。このタール状のものが遠赤外線放射効率を減少させていると考えられた。また、トルン・シーツは、トルマリンの分布密度が低く、その遠赤外線放射率は、トルン・ループに比べ低くなっていた。
著者
江角 弘道 木村 幸弘 Hiromichi EZUMI Yukihiro KIMURA
雑誌
島根県立看護短期大学紀要 (ISSN:13419420)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.63-67, 2004-03-31

トルマリン利用健康商品からの遠赤外線放出が生体に与える効果について調べた。健常な男女20名を対象として常温遠赤外線放出シーツ及びループ利用寝具使用時に、心拍変動の測定を行い、通常の寝具使用時と比較検討した。心拍変動スペクトル解析から、通常寝具使用時よりも常温遠赤外線放出シーツ及びループ利用寝具使用時において、実験開始から60分後の実験終了まで、副交感神経優位であり、自律神経系に影響を及ぼしていることが明らかになった。
著者
宮尾しげを著
出版者
保育社
巻号頁・発行日
1963