著者
福持 昌之
出版者
「宗教と社会」学会
雑誌
宗教と社会 (ISSN:13424726)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.49-63, 2015-06-13 (Released:2018-05-31)
参考文献数
44

真如堂は、正しくは鈴聲山眞正極楽寺といい、京都市左京区にある天台宗の古刹である。ここで11月5日から15日にかけて行なわれる十夜法要は、全国の十夜法要の元祖とされている。本稿では、まずその由緒を検討し、伊勢貞国だけでなく伊勢貞経に由緒を求める説があったことを示した。次に、十夜の歴史的展開として、16世紀後半には京都で十夜法要はよく知られており、17世紀後半には十夜法要の元祖が真如堂であると知られていたことを示した。そして、真如堂の十夜法要では、17世紀には僧侶が導師となって鉦を叩き、聴衆が共に念仏をする形式であったこと、18世紀初頭から様々な講が組織され、18世紀後半には鉦講が成立して十夜法要で演奏をするようになったと示した。これまでの研究では、楽器の双盤の記年銘によって民俗芸能としての双盤念仏があったとする傾向が強かった。しかし、鉦講の組織化や芸態を示す史料を重要視する場合もあり、本稿でも鉦講の組織化と演奏の記録を重要視した。

2 0 0 0 OA 奥の細道

著者
藤村作 編
出版者
至文堂
巻号頁・発行日
1930
著者
有山 愛 森 由佳 稲野 美穂 灘本 知憲
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.628-638, 2009-12-15 (Released:2010-01-31)
参考文献数
30
被引用文献数
2

ココア摂取がヒト体表温を上昇させる影響を検討した.被験者は健康な女子学生(18-24歳)とし,体表温と抹消部の血流量を測定指標とした.測定は22℃±0.5℃,湿度50%±5%の恒温恒湿環境下,4通りの異なった条件で行った.結果は次の通りである.(1) 実験1では,60℃に加温されたピュアココア飲料による影響を,栄養組成を揃えた飲料,水と比較した.ピュアココアは手首,足首,足指先に,体表温上昇傾向を示した.(2) 実験2では,37℃に維持したピュアココア飲料と栄養組成を揃えた飲料を比較した.その結果,ピュアココアは手首に体表温維持傾向を示した.(3) 実験3では,60℃脱脂ココア飲料と栄養組成を揃えた飲料を比較した.脱脂ココアは額における体表温上昇作用(p<0.05)と手指における体表温維持作用(p<0.05)を示した.また,同様の傾向は,腹と腰にも示された.(4) 実験4では,実験3と同じ飲料を用いて就寝前状況を想定した実験を行った.脱脂ココアは栄養組成を揃えた飲料と比較し,腰・足首・足指先で体表温上昇作用(p<0.05)を示した.以上の結果より,ココア摂取はヒト体表温上昇作用または維持作用があることが示された.また,その効果は脱脂ココアで特に顕著に観察された.
著者
平松 拓也
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1316, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】スクワット動作は閉鎖運動として代表的なエクササイズである。スクワット動作において骨盤肢位の変化は二関節筋である大腿直筋の機能が異なりそれを明らかにすることはこの動作での二関節筋の機能的役割の解明につながる。通常の二関節筋の収縮状況を起始と停止が近づくように運動する。しかし,大腿直筋のスクワット動作時の筋長の変化に焦点を当てた研究は渉猟した範囲に見当たらない。そこで骨盤前傾位と中間位でスクワット動作を行った際の大腿直筋長の変化を3次元動作解析機を用い明らかにすることを本研究の目的とした。【方法】被験者は下肢に手術の既往がなく踵部を挙上せずスクワット動作が可能な男性10名(年齢20~22歳,21.90±2.23歳)とした。課題動作の骨盤前傾位スクワットでは下腿と体幹の長軸が平行な状態で行い,骨盤中間位スクワットでは体幹が床に対して直立した状態で行った。被験者は両踵骨マーカー間を上前腸骨棘の幅に合わし立位姿勢をとる。次にスクワット動作を骨盤前傾位と骨盤中間位で3回ずつ行った。これを1セットとし4セット行った。スクワット中の運動力学データは赤外線反射マーカーを身体各標点に貼付し赤外線カメラ8台を用いた三次元動作解析装置VICON MX(VICON社製,Oxford)を使用した。三次元動作解析装置から得られた運動力学データと身長・体重からデータ演算ソフトBody Builder(VICON社製,Oxford)を用いて関節角度,大腿直筋全長,大腿直筋遠位部長,大腿直筋近位部長を以下の方法で算出した。上前腸骨棘と膝蓋骨の上面に貼付したマーカーとの距離を求め,これを大腿直筋全長の近似値とした(大腿直筋全長)。次に大転子と大腿骨外側上顆に貼付したマーカーを直線で結び,その直線の中点を大腿骨中点とする。大腿骨中点から上前腸骨棘と膝蓋骨上面に貼付したマーカーを結んだ線に対し垂線を引きその交点を求めた。交点から上前腸骨棘に貼付したマーカーまでの距離を近位部長,交点から膝蓋骨上面に貼付したマーカーまでの距離を遠位部長とした。スクワット動作時の屈曲動作相の膝関節屈曲15°,30°,45°,60°の各々の大腿直筋全長,近位部長,遠位部長を求めた。骨盤肢位と膝関節屈曲角度を要因として2元配置の分散分析を用いた。また,Tukey法を用い危険率5%をもって有意差ありとした。【倫理的配慮,説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言に沿っており研究の実施に先立ち広島国際大学医療研究倫理委員会の承認を得た。また,被検者に対して研究の目的と内容を十分に説明し文章による同意を得た後実施した。【結果】大腿直筋全長において骨盤前傾位スクワットでは膝関節屈曲角度が増加するにつれ短くなる傾向にあった(15°:454.47mm vs 30°:443.06mm vs45°:429.66mm vs60°:414.74mm)。しかし,骨盤中間位スクワットは屈曲角度による大腿直筋全長の変化はなかった(15°:456.01mm vs 30°:455.61mm vs 45°:450.56mm vs 60°:447.52mm)。両条件のスクワットともに大腿直筋近位部長は膝関節屈曲角度が増加するにつれ短くなり(骨盤前傾位15°:267.68mm vs 30°:246.84mm vs 45°:221.82mm vs 60°:196.58mm 骨盤中間位15°:271.01mm vs 30°:259.90mm vs 45°243.88mm:vs 60°:230.36mm),大腿直筋遠位部長は角度が増加するにつれ長くなった(骨盤前傾位15°:186.80mm vs 30°:196.22mm vs 45°:207.84mm vs 60°:218.16mm 骨盤中間位15°:185mm vs 30°:195.72mm vs 45°:206.68mm vs 60°:217.17mm)。【考察】本研究は骨盤前傾位スクワットでは膝関節屈曲角度が大きくなるとともに大腿直筋全長は短くなり,骨盤中間位スクワットは有意な長さの変化は認められなかった。骨盤中間位スクワットは大腿直筋全長の求心性収縮を伴う運動様式が行えていないのに対し骨盤前傾位でのスクワットは求心性収縮を伴った運動であることが明らかとなった。また,骨盤前傾位と中間位のスクワット時ともに大腿直筋近位部は短縮され遠位部は伸張された。本研究結果から骨盤前傾位・中間位スクワットともに大腿直筋の近位部では求心性運動が起き遠位部では遠心性収縮が起きていることが明らかになった。園部らは膝関節股関節同時屈曲の際に大腿直筋の近横断面積が最大になる位置から4cm近位に貼付した電極部での筋活動は大きくなり,8cm遠位に貼付した電極では筋活動は小さくなったと報告した。本研究においてスクワット動作時に大腿直筋の近位部が短くなり遠位部が長くなるという結果を反映している可能性が示唆される。【理学療法学研究としての意義】スクワット運動を行う際に骨盤肢位を変化させることは大腿直筋の機能をより特異的にトレーニングできる可能性を示唆しその点において本研究は理学療法研究として意義がある。
著者
小林 徹
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.95, no.10, pp.740-744, 2000-10-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
23

酒を飲んだとき人体には様々な影響が出てくるが, これはアルコールの効果による。アルコールによる神経伝達系への関与はその作用の標的となる膜タンパク質が調べられているが, 最近筆者らによって脳内に広く分布するGIRKチャネルがエタノ-ルの新たな作用部位であることが見いだされた。本稿においてそのメカニズムと意義について解説していただいた。
著者
安倍 希美
出版者
大妻女子大学人間生活文化研究所
雑誌
人間生活文化研究
巻号頁・発行日
vol.2019, no.29, pp.65-73, 2019

<p> 大和座の音羽屋三代目彦五郎は,戦後日本の再生を願い昭和21 年十六様と昭和25 年津谷木で,同じ三番叟を振り付け指導し,演者は共に井上晢男氏であった.津谷木で今でも継続されているこの三番叟を「彦五郎型」と改称する.百歳まで生きた石川竹次氏は,春日町屋台の修復の節目にお祝いの三番叟を演じ,また戦前も大和座の三枝健市氏の指導にて三番叟を演じていた可能性がある.飯田坂東彦五郎こと浅井宇市氏は,江戸で歌舞伎を修行したと言われ,洗練されたセンスと技の経験が「八井型」に生かされている可能性は大きい.今後,天王座の三番叟については天王座員が行っていた人形芝居等や,また神楽の動きを参考にすること等により,全般的に三番叟の理解が深まる可能性が考えられる.</p>
著者
Atsushi Nakahira Yasuyuki Sasaki Hidekazu Hirai Toshihiro Fukui Manabu Motoki Yosuke Takahashi Hiroki Oe Toru Kataoka Shigefumi Suehiro
出版者
The Japanese Circulation Society
雑誌
Circulation Journal (ISSN:13469843)
巻号頁・発行日
vol.71, no.12, pp.1996-1998, 2007 (Released:2007-11-25)
参考文献数
7
被引用文献数
18 22

Aneurysmal circumflex coronary artery (Cx) with fistulous connection to the coronary sinus is a rare clinical entity that usually remains asymptomatic until later in life, so the ideal therapeutic strategy is poorly defined. The timing of surgical treatment for asymptomatic patients is a big issue, and whether to leave or exclude the diffuse aneurysm in addition to ligation of the fistula is controversial, considering the native myocardial circulation. Complete surgical repair, including exclusion of a diffusely aneurysmal Cx and coronary revascularization to a graftable branch in the circumflex area combined with ligation of its fistula, is quite challenging and sometimes fatal because of a broad posterolateral myocardial infarction without revascularization caused by a lack of graftable branches. A case of diffuse aneurysmal Cx, which ruptured into the left atrium after surgical ligation of its fistulous connection to the coronary sinus, is presented. Simple ligation of the fistula, leaving a gigantic aneurysmal circumflex artery, is hazardous for later rupture and should be avoided. Therapeutic strategies for this complex disorder are discussed, including the optimal timing of surgical treatment. (Circ J 2007; 71: 1996 - 1998)
著者
前田 重義
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.615-625, 1983-09-20 (Released:2012-11-20)
参考文献数
87