著者
松本 啓吾 鳴海 拓志 伴 祐樹 谷川 智洋 廣瀬 通孝
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.129-138, 2018 (Released:2018-09-30)
参考文献数
20

This paper describes a novel method to effectively manipulate spatial perception by utilizing the effect of visuo-haptic interaction by presenting haptic cues according to the image presented to the vision via a head-mounted display. We evaluated the method of combining haptic cues with curvature manipulation that makes us feel straight ahead in a virtual environment despite actually walking on a circular arc path. Our results show that the users walked along the target walking path more under and felt they were walking straight under the condition with the haptic cues compared with the condition without the haptic cues.
著者
久下 敏宏 信澤 邦宏 舞田 正志
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.73-80, 2004-03-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
16
被引用文献数
2

榛名湖において, ワカサギ不漁年である1997年の5~6月での, 全長25cm以上のオオクチバス生息尾数は約2500尾と推定されるとともに, 全長25cm未満の卓越した年級群の存在が推察された。ワカサギ不漁年と豊漁年に, 1歳魚以上のオオクチバスの胃内容物を調査したところ, 両年ともに魚類と甲殻類を主な餌料としており, 魚類については, 不漁年はヨシノボリ属魚類, 豊漁年はワカサギの出現率が高かった。捕食されていたワカサギの成長段階は, 産卵期が親魚で, 夏以降が未成魚以上であった。また, 不漁年は豊漁年に比べ, オオクチバスの肥満度と胃内容物重量指数が低かった。さらに, 釣り大会秤量魚の平均体重が不漁期に減少することから, 榛名湖のオオクチバスにとってワカサギは重要な餌料であり, オオクチバス生息尾数の増減がワカサギ資源へ影響を及ぼしていると考えられる。
著者
土岐 範彦 大杉 奉功 中沢 重一 鎌田 健太郎 熊澤 一正 浅見 和弘 中井 克樹
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.37-50, 2013-09-30 (Released:2013-11-29)
参考文献数
11
被引用文献数
3 1

福島県阿武隈川水系三春ダムの蛇石川前貯水池は,水質保全を目的として設置した前貯水池の一つであり,2006 年にはオオクチバスが優占していた.2006 年 10 月に水質保全の試験のため,前貯水池内の水を抜き,湖底を 2 ヶ月間干し上げた.その際,魚類の全量捕獲を行い,捕獲したオオクチバスは駆除し,在来魚等は再放流した.魚類の捕獲は前貯水池内で 2 箇所,前貯水池堤体下流で 1 箇所の計 3 箇所で行ったが,捕獲状況からオオクチバスは貯水池内に広く生息している傾向が示唆された.一方,ギンブナの小型個体は貯水池堤体近くの深いところに集まっている傾向がみられた.また,ギンブナとコイの大型個体はダム流入部付近の水深 2 m 以浅に生息している傾向がみられた.水抜きの 2 年後にはオオクチバスの個体数割合は 2006 年と同等になった.これは,流路沿い等に取り切れなかった個体が存在した可能性等が考えられる.他の事例同様,複数回の水抜きを行わないと完全駆除は困難と考えられた.
著者
荒牧 英治 増川 佐知子 森田 瑞樹
雑誌
研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.2011-NL-201, no.1, pp.1-8, 2011-05-09

近年のTwitterの普及とともに,そこから有益な情報を抽出する研究の需要が高まっている.本研究ではインフルエンザ流行予測の問題に焦点をあてる.まず,Twitterからインフルエンザに関連した発言を抽出する.次に,SVMを用いた分類器で,その発言者が実際にインフルエンザにかかっているかどうかを判定する.実験では,厚労省報告の症例数と比較し相関係数0.89の精度で流行予測することができ,提案手法の有効性を示した.特に,流行の開始時期においては,相関係数は0.97と高く,最先端の手法であるGoogle Fluトレンドと同等の精度が得られた.本研究によって,Twitter上のテキストが現実の疾病状態を反映していること,また,言語処理技術によって,その情報が抽出可能であることを示した.
著者
伊藤 泰雄 韮澤 融司 薩摩林 恭子 田中 裕之 長谷川 景子 関 信夫
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.631-635, 1993-03-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
9

われわれは,小児包茎に対しできるだけ用手的に包皮翻転を行い,手術は必要最小限としている.昭和61年以降,包茎を主訴に当科を受診した527例を対象に,包茎の形態を分類し,病型別に治療成績を検討した.病型の明らかな427例の内訳はI型(短小埋没陰茎)22例, II型(トックリ型)86例, III型(ピンホール型)60例, IV型(中度狭窄型)154例, V型(軽度狭窄型) 101例, VI型(癩痕狭窄型) 4例であった.その結果,翻転不能例はI型の13例, 59.1%, II型の17例, 19.8%, VI型の2例, 50.0%のみであった.ピンホール型は一見高度の狭窄に見えるが,翻転不能例は1例もなかった.最終的に手術を行ったのは全症例中32例, 6.1%と少なかった.外来で積極的に包皮を翻転するわれわれの治療方針は,包茎手術を著しく減少させた.
著者
岡田 いずみ
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.287-299, 2007-06-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
24
被引用文献数
2

学習者の学習意欲を高めることは難しい。本研究は, 学習者の学習意欲を高めるために介入研究を行い, その効果を検討したものである。学習意欲と関連の深いものに学習方略がある。学習意欲と学習方略の関係については「意欲があるから方略を使う」という見方がなされることが多かった。それに対して, 本研究では「方略を教授されることで意欲が高まる」という仮説の下, 介入を行った。対象は高校生であり, 内容は英単語学習であった。英単語学習のなかでも, 特に体制化方略を取り上げた。研究1では授業形態で介入を行った結果, 学習方略の教授により, ある程度は学習意欲が高まったことが示されたが, 十分とは言えなかった。そこで研究2では, 方略の学習がより確実なものになるよう, 教材を改訂し, 介入を行った。また, 研究2では, 個人差を捉えるために検討項目として, 方略志向という学習観と, 英単語に対する重要性の認知が学習意欲の変化に及ぼす影響を検討した。その結果, 方略志向の高低や, 英単語に対する重要性の認知にかかわらず, 学習意欲が高まったことが確認された。
著者
横浜 勇樹
出版者
関東学院大学人間環境学会
雑誌
関東学院大学人間環境学会紀要 = Kanto Gakuin University, Society of Humanity and Environment, bulletin (ISSN:13489070)
巻号頁・発行日
no.26, pp.13-27, 2016-12

本論はアジアにおける慈善団体の社会福祉サービスの今後の事業展開を考えるために、アジアにおいて経済活動が活発であり、また近年、中国や台湾と慈善活動で密に連携をとっている香港社会を取り上げた。研究方法は、これまで発刊された香港や中国の慈善団体に関する各種文献により、慈善活動の歴史、政府と慈善団体との関係などについて分析をおこなった。その結果、香港はイギリス統治下にある時代から大陸からの移民による互助活動が活発におこなわれた経緯があり、これが今日の香港社会の慈善団体の基礎となっていることが明らかになった。その一方で、政府による社会保障制度や社会福祉制度は日本のようには構築されておらず、民間の慈善団体にサービスの多くを委託している状況であった。また香港政府による慈善団体への補助金については、その時の経済状況が大きく影響しているため、政府が慈善団体のすべて支援している状況にはないことが明らかになった。現在、少子高齢化が進展している香港において、今後の香港政府と慈善団体の関係及び政府の福祉政策の展開が注視された。さらに今後中国の影響により慈善団体の活動がどのように変化していくかも注目された。The purpose of this report is to study future development of social welfare services by charitable organizations in Asia. In particular, this report focuses on Hong Kong where economic activities are robust and charitable activities have been closely affiliated with China and Taiwan in recent times. Through literature research, the history of charitable activities and the relationship between the government and charitable organizations were analyzed based on a variety of already published documents on charitable organizations in Hong Kong and China. This analysis shows that, in Hong Kong, there was a historical circumstance where mutual support activities among immigrants from mainland China had been actively conducted since British rule, which provided the basis for present charitable organizations in Hong Kong society. In contrast the social security systems and social welfare services of the Hong Kong Government are not established unlike those in Japan and most of the services are entrusted to charitable organizations in the private sector. In addition, in terms of the government subsidies to charitable organizations, it has also been revealed that the government based on the economic conditions of the time does not support all the charitable organizations, Against the backdrop of the falling birth rate and the aging population in Hong Kong attention should be paid to how the relationship between the Hong Kong Government and charitable organizations and the government's welfare policies will develop in the future. Furthermore, it is noteworthy how charitable organizations will change under the influence of China in the years to come.
著者
大倉 沙江
出版者
三重大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究の目的は、政治エリートとのネットワークや財政基盤などのリソース面で「弱い少数者」であるマイノリティ集団の利益が実現するための条件とその因果メカニズムを明らかにすることである。2017(平成29)年度は、研究実施計画にもとづき、マイノリティの政治参加に関連した基礎的な資料の収集と文献調査を進めるとともに、関係者に対するインタビュー調査を実施した。また、2018(平成30)年度に予定していたアンケート調査の一部を前倒しして実施した。なお、本年度は、マイノリティのなかでも障害者と女性に対象を絞って研究を行った。基礎的な資料の収集については、国内の学術研究機関に加え、最高裁判所や厚生労働省などの公的機関と連絡をとり、障害者の政治参加の実態や政策の動向についての文献やデータの所在を確かめた。また、データの一部については、すでに提供を受けた。さらに、学術研究機関の有識者、政府関係者、メディア、民間企業等から当該テーマに関する情報を多角的に入手し、吟味することで、状況の理解、精査に注力した。インタビュー調査については、2017(平成29)年7月~8月、2018(平成30)年1月の2回にわけ、障害がある議員、障害者団体の関係者、その支援者(弁護士など)に対して実施した。障害者の政治参加の実態、歴史的経緯などについて、立体的に情報を得ることができた。また、研究実施計画では2018(平成30)年度に予定していた「障害がある有権者に対する調査」および「障害がある議員に対するアンケート調査」を本年度に前倒しして実施した。「障害がある有権者に対する調査」は、株式会社ゼネラルパートナーズ・障がい者総合研究所との共同調査である。2018(平成30)年度は統一地方選挙の準備の年にあたるため、議員やその支援者の協力が得られにくくなると考えられるための措置である。
著者
宇野 浩生 土本 俊和 笹川 明
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.68, no.563, pp.155-162, 2003
参考文献数
47

This paper traces some links between typology and location of NOH-stages (NOHBUTAI) in Wakasa. Typology depends upon four ; (1)plan, (2) space division of the main stage (HON-BUTAI) and the back stage (ATOZA), (3) orientation of NOH-stage and the shrine (SYADEN), (4) site plan of NOH-stage and the shrine. NOH-stages located near Obama, the historical center of Wakasa, had some similarities to that of urban NOH-stages. The similarities between the tow decreased in proportion to the distance from the center. It means that NOH-stages in Wakasa were not independent from urban ones but were deprived from urban ones.
著者
玉居子 泰子
出版者
都市出版
雑誌
東京人 (ISSN:09120173)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.116-123, 2016-04
著者
市川 定夫
出版者
埼玉大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

本研究では、平成5〜7年度にわたり、ムラサキツユクサの雄蕊毛を用いて、(1)アルキル化剤の変異原性とX線との相乗効果、(2)除草剤として使われているマレイン酸ヒドラジドの変異原性とX線との相互作用、(3)大気汚染物質の変異原性、(4)自然突然変異頻度の変動などを調査するとともに、(5)新しい実験材料システムの開発についての研究も行ってきた。(1)に関する研究では、エチルメタンスルホン酸(EMS)、メチルメタンスルホン酸(MMS)、硫酸ジメチル(DMS)、N-エチル-N-ニトロソ尿素(ENU)、N-メチル-N-ニトロソ尿素(MNU)について調査し、それぞれの変異原性を確かめるとともに、EMS、MMS、DMSとMNUがX線と明らかな相乗効果を示すことを確かめた。(2)については、プロミュータジェンであるマレイン酸ヒドラジド(MH)がムラサキツユクサの細胞内で活性化されて変異原となること、MHがX線と相乗的にも相殺的にも働くこと、MHの活性化にはペルオキシダーゼが関与しており、X線がこの活性化を抑制すると相殺効果が、抑制しなければ相乗効果が現れることを明らかにした。(3)の研究では、ガス曝露装置を用いて、窒素酸化物を窒素中で処理したり、空気/窒素混合気体中で処理したりしたが、安定した結果は得られなかった。オゾン処理については、オゾン発生装置を完成し、現在実験中である。(4)については、安定株でも、温度条件によって自然突然変異頻度がある程度変動することを確かめた。また、(5)についても、培養液循環環境制御栽培装置で栽培したBNL4430株の根付き植物を実験材料とするのが最も有効であることを確かめた。