著者
望月 高明
出版者
都城工業高等専門学校
雑誌
都城工業高等専門学校研究報告 (ISSN:0286116X)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.42-31, 2008-01

本稿では前号に引き続いて、楠本碩水の生、わけても退隠後の梅林山荘時代について述べる。読書と講学の両者は、碩水の後半生におけるアルファであり、オメガァであった。そして、本稿では主として「講学」という私塾における講義を中心とする碩水と塾生たちとの共同という象面に焦点を当てて、その後半生を追跡しようとした。棄禄とともに始まった碩水の後半生は、始めから終わりまで貧窮とともにあった。その日常は、名利の生というものとはおよそ縁遠いものであった。そして、そのような清貧の生か、明治という時代に対するアンチテーゼとしての象徴的意味を担っていることを論じた。碩水はまた、私塾における教育の苦心を語っている。その主旨は、今日の学人は「古人の意思気象」を合点していないために、その弊害が少なくないというものである。このことが、碩水の講学において重要な地位を占めていることを指摘して、それが宋学の学問の本質に根差したものであること、更にはその意義について論じた。また、碩水は「塾規」を制定しているが、その中で伝統思想が筋道立った秩序性を失っていよいよ断片的性格を強めていった明治以後においても、依然として孔子・朱子の精神を標榜している。このことは突き詰めていけば、明治時代において朱子学者であることとは、畢竟どういうことかという問いへとわれわれを導く。そして、この問いを解くキー・ワードとして「例外者」という概念に着目した。
著者
塩見 英久 岡村 康行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OPE, 光エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.114, no.142, pp.133-136, 2014-07-10

本報告は、数式処理を援用したFDTDソルバの実装について詳細に述べたものである。前回の報告を元にして、電磁界の6成分に対する計算が可能なソルバを実装した。ソルバは、ソルバの実行環境を実装したクラス、与えられたsympy数式からnumpyコードへと変換する機能を実装したクラス、マクスウェル方程式を差分化して所望の漸化式を導出することを支援するクラス、の3要素から構成される。変換クラスには、実行時の計算速度向上を考慮して、時不変パラメータを自動的に抽出して、時間発展計算の事前に計算しておく機能も追加した。基礎的なダイポールアンテナの解析により、ソルバが所望の動作をしていることを確認したので報告する。
著者
鳴海 史生
出版者
尚美学園大学
雑誌
尚美学園大学芸術情報研究 (ISSN:18825370)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.23-36, 2007-11-30

本論は、モーツァルトのオペラ《フィガロの結婚》の通奏低音チェンバロにもっとも適した調律法を探る試みである。モーツァルトの鍵盤楽曲全般がそうであるように、《フィガロ》の通奏低音チェンバロにもまた、平均律はふさわしくない。なぜなら、モーツァルトが作曲の際に使用する調と転調の可能性をみずから制限し、それとの引き換えに鍵盤楽器の美しい響きを求めていたことは明らかだからである。したがって、われわれは歴史的な不等分律のなかから、このオペラのレチタティーヴォ伴奏に最適な調律法を探り出さなくてはならない。しかし、ラモー、ヴェルクマイスターIII、ヤングII、ヴァロッティといった、よく知られる歴史的調律法を採用することには、いくつかの難点がある。鳴り響きの美しさや演奏効果、および演奏上のさまざまな条件を勘案すると、ピタゴラス・コンマをF-C-G-D-A-E-B-F♯の7つの5度に割り振る「1/7調律法」が、《フィガロ》にもっとも適した方法として推奨できる。
著者
後藤 雄二
出版者
弘前大学
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
vol.88, pp.11-18, 2002-10

本研究は歴史的都市北京の都市構造を分析する出発点として、中心部に位置する旧皇城とその周辺地城における酒末以後の機能変化を明らかにすることを目的としている。清代の北京には4重の城壁が存在した。内城の中央には「皇城」があり、紫禁城、庭園、官街、倉庫、満州族の住宅などが存在した。内城の南には外城が建設された。この皇城内とその周辺地域を紫禁城、皇城、清代の官街地区、東交民巷使館区に分け、各機能の配置とその後の変化、および、上述の各地域に存在した機能が現在立地する地域と現況について分析した。歴史的都市である北京では、皇城とその周辺地城においても機能変化がみられるが、都心地域が中心部に存在しないなど、歴史的制約と文化財保護などにより機能立地上大きな影響が見られるといえる。
著者
杉本 和弘
出版者
中部大学
雑誌
国際関係学部紀要 (ISSN:09108882)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.131-144, 1998-03-25
著者
池内 裕美
出版者
関西大学経済・政治研究所
雑誌
セミナー年報 (ISSN:18822010)
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.139-152, 2007-03-31

第168回公開講座
著者
神崎 光司 藤野 友也 平井 規郎 中前 雅之
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会研究発表大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.193-197, 2005-03-17

定量的管理は,ビジネスゴールを確実に達成できるようにするための有効な方法である.定量的管理を実施することにより,事実が客観的に把握でき,問題の早期特定と適切な是正処置が実施でき,その結果,プロジェクトを成功へと導くことが可能となる.この定量的管理において重要な役割を果たすのがプロセスパフォーマンスベースラインであるが,その精度が低ければ,定量的管理の効果が無くなるだけでなく,逆に誤った判断を引き起こしかねない.また,プロセスパフォーマンスベースラインはプロジェクト内でも算出するため,プロジェクトメンバーで扱える簡便性も求められる.本稿では,プロセスパフォーマンスベースラインの精度と簡便性の向上を目的に,その算出方法として当社が採用した近似PERT法の有効性について検証する.
著者
OMOTE Yushi TAKATA Yusuke
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
Soil science and plant nutrition (ISSN:00380768)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.470-474, 2014-08

To enhance the efficiency of soil information in the field survey, we developed the mobile application called "e-SoilMap" for creating a new user-oriented soil map. This application has the following three unique functions: annotatable map, data sharing over the cloud and offline support for allowing the user to create a high-value-added soil map in their Internet space. Both iOS and Android versions of the mobile application mainly consist of three key components: (1) a map manager, (2) a soil manager and (3) a user manager. The map manager is responsible for displaying background maps to the user. The soil manager displays a soil map and related soil information, which are provided by the National Institute for Agro-Environmental Sciences (NIAES), on the background maps. And the user manager is responsible for creating an annotatable map and sharing the user data in the cloud. The "e-SoilMap" provides soil information to users using location-based spatial query processing and allows the creation of annotatable pins on the soil map. The main target of this application was designed to be a wide variety of technical fields such as agronomic assessment, engineering applications, hydrology and hydrogeologic assessments, environmental assessment and policy decisions.
著者
大和 浩 姜 英 太田 雅規
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.3-14, 2015
被引用文献数
5

It is necessary to implement 100% smoke-free environments in all indoor workplaces and indoor public places in order to protect people from exposure to second-hand tobacco smoke (SHS). Forty-four countries have already implemented comprehensive smoke-free legislations according to the Framework Convention on Tobacco Control (FCTC) Guidelines on protection from exposure to tobacco smoke. The Occupational Safety and Health Law (OSHL) was partially revised to strengthen the countermeasures against SHS in Japan in 2014. However, the revision was only minimal. Firstly, it is necessary to make efforts to implement countermeasures against SHS (their implementations are not obligatory, as required in Article 8). Secondly, the revised OSHL allowed the implementation of designated smoking rooms inside workplaces (Article 8 requires 100% smoke-free environments). Thirdly, revised OSHL does not effectively cover the small-scale entertainment industry so that workers in restaurants and pubs will not be protected from occupational SHS. We explain the importance of implementation of 100% smoke-free environments by law, using the data on leakage of smoke from designated smoking rooms, and occupational exposure to SHS among service industry workers. The decrease in the incidence of smoking-related diseases in people where a comprehensive smoke-free law is implemented is also introduced. These data and information should be widely disseminated to policy makers, media, owners of service industries, and Japanese people.
著者
西田 祐二 中尾 彰宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.463, pp.421-426, 2013-02-28

インターネット上で実施される従来のアドターゲティングには,(1)HTTPで送受信されるテキストデータの解析,(2)広告ネットワークに閉じたデータマイニング,(3)広告コンテンツのサイズが小さい,といった制限が問題として存在するため,我々は網内アドターゲティングによってそれらの問題を解決し,(1)プロトコルにとらわれないテキストデータの解析,(2)広告ネットワークを横断する統一的なデータマイニング,(3)精彩で魅力のある広告コンテンツの利用,といったことをWiFiアクセスポイントを用いることで実現可能にする.また,我々の提案方式では,WiFiアクセスポイントの仮想化により,複数のMVNOを同時に収容し,WiFiを対象としたあらゆるサービスや実験を同時に提供可能としている.本稿では,WiFiアクセスポイント上の計算資源が限られているため,推測処理プログラムを実環境や遠隔サーバで共有し,プロセス間通信を通して利用することで,消費リソースの軽減や計算時間の短縮を達成する手法を評価し,本提案による網内アドターゲティングが実用可能であることを示す.
著者
黒田 征
出版者
帯広大谷短期大学
雑誌
帯広大谷短期大学紀要 (ISSN:02867354)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.23-34, 1975-03-25