著者
田原 淳子
出版者
社団法人日本体育学会
雑誌
体育學研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.87-98, 1993-07-01

The purpose of this study was to analyze the responses of foreign countries on the cancellation of the Games of the XII th Olympiad, Tokyo, 1940, and to clarify the principles underlying the arguments for and against the cancellation. The documents used for this study centered around the correspondence between Ministry of Foreign Affairs and Japanese governmental establishments abroad and the stored archives as to the Games of the Diplomatic Record Office of the Japan Ministry of Foreign Affairs. The findings of this study are summarized as follows : After the outbreak of Janpan-China War in 1937, there were many opinions against the hosting the Games of the XII th Olympiad by the city of Tokyo as well as the participation in it which were expressed mainly by European countries and U.S.A., together with those for expressed by U.S.A. and Brazil. Olympism seemed to be the basic and standard thought for these opinions, and it was interpreted into two ways so that opinions were divided and varied. Some of the experts took the position that Olympism should be the means and occasion for "realizing the peace of the world", and others took it should be "independent from politics". Thus, such a pre-war problem of boycotting as the Games of the XII th Olympiad in Tokyo appears to entail the similar post-war pattern of thoughts and interpretations in repeated boycott cases of the Olympic Games.
出版者
総合地球環境学研究所
雑誌
大学共同利用機関法人人間文化研究機構 総合地球環境学研究所報 「地球研ニュース」 = Humanity & Nature Newsletter (ISSN:18808956)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.1-24, 2011-06-11

巻頭言地球研10周年の節目に立本成文記念特集1●日文研×地球研 所長対談めざすのはヘテラーキーなコミュニタス――所員の声が、これからの地球研をつくりだす猪木武徳×立本成文記念特集2●シンポジウムの検証地球研創立10周年記念シンポジウム「地球環境研究の統合と挑戦――国際共同研究と未来設計イニシアティブ」研究所としての国際戦略谷口真人×久米 崇×鞍田 崇×半藤逸樹×アイスン・ウヤル■ 前略 地球研殿──関係者からの応援メッセージ現在の地球環境問題研究の難しさ福嶌義宏目指していたものに向かって自信を持って進んでください中尾正義21世紀の新しい環境観――持続性は直線で示せるか? 答えはYES和田英太郎特集3●プロジェクトリーダーに迫る!窪田順平×森 若葉特集4●プロジェクトリーダーに迫る!梅津千恵子×石山 俊■ 百聞一見──フィールドからの体験レポート西本 太■ 出版しました藤原潤子『呪われたナターシャ』福士由紀『近代上海と公衆衛生』■ 所員紹介──私の考える地球環境問題と未来中村 大特集5●所内共同研究会のあり方について(2)谷口真人×窪田順平×檜山哲哉×松永光平×アイスン・ウヤル■ お知らせ
著者
今村 朋子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
聖路加看護学会誌 (ISSN:13441922)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.68-75, 2007-06

目的助産所から病院への搬送事例について,助産師と女性双方の立場から,そのプロセスを明らかにすることにより,搬送事例における助産ケアのあり方を考える。対象と方法分娩期に助産所から病院へ搬送となった3事例について,女性3名と担当した開業助産師3名を対象に,参加観察法と半構成的面接法によりデータを収集し,アウトカムモデルに沿って各事例を質的に分析した。結果事例A:37週の前期破水時に低体重児が指摘され,搬送となった。助産師は,Aさんが搬送に納得し,自己決定していくための,時間や環境の提供などのケアをおこなった。Aさんは,『病院での出産は,児の安全のためにも,自分の人生にとっても必要だった』と意味づけ,自分のお産を受け入れる気持ちに至った。事例B:遷延分娩で搬送となった。助産師は早い段階から分娩遷延を予測し,Bさんの反応を確認しながら,「安全と納得が両立できる搬送時期を模索」していた。分娩経過の中で,助産師とともに模索の時間を過ごしたことで,Bさんは『一つ一つ納得しながら進むことができ,いいお産だったと思える』と評価した。事例C:回旋異常による分娩停止で搬送となった。情報理解について助産師とのズレが存在し,Cさんの意思が尊重されないままの状況の中で搬送が決定された。この出産体験についてCさんは,満足いく出産体験であったと語ることはできなかった。結論女性たちは,搬送という状況の中にあっても,安全以上の結果を望み,満足いく出産俐験に向けて取り組んでいた。開業助産師は,「早めの搬送により母子の安全・安心を守るケア」に加えて,出産体験の満足度を高められるよう,「女性が搬送に納得する過程を支えるケア」「搬送で生じる変化を最小限にとどめるケア」「出産への主体性を保ち続けることを支えるケア」「助産所とのつながりを保障するケア」などの助産ケアをおこなうことが重要である。
出版者
公益財団法人 史学会
雑誌
史学雑誌
巻号頁・発行日
vol.126, no.1, pp.1-35, 2017

フェリペ四世統治下のスペイン帝国は対外戦費の増大に伴う深刻な財政難に苦しんだ。王とその寵臣オリバーレス伯公爵は財政改革によって状況の打開を図ったものの、各地で暴動を招き、帝国の衰勢は決定的となる。このような状況下で、スペインの宮廷からは遠く離れ、かつ他の領土と同じく重い負担を求められながらも平穏を保ったのがペルー副王領である。この地でなぜ暴動が起きなかったのかを知るためには、導入された様々な財政策の実践過程と、植民地社会の反応を究明する必要がある。その財政策の中でも、歳入の増加に有効だったと評価されてきたのが、民から王に供された献金である。しかし、これまでの研究ではその額ばかりが注目され、実態が検討されてこなかった。そこで本稿では、ペルー副王領における献金について、その実現過程と植民地支配に及ぼした影響について考察を試みた。<br>本稿では、ペルー副王領において一貫して巨額の献金を集めていたクスコとポトシの二都市について事例分析を行った。そして、献金はその扱いが司教や行政官など在地の権力者の裁量に任されており、彼らの配慮がなければ実現不可能であったことを論じた。金銭負担に対する民の不満を和らげたのは権力者が彼らとの間に培った紐帯である。この権力者たちは多くの場合、王の任命を受けて新たに地域社会の外部からやってきた人々だったが、民に協力を求める過程で地域に根を張ってゆく。しかしこの繋がりは多額の献金を実現させて帝国の財政に利する一方、癒着に転じ巨大な損失を引き起こすこともあった。植民地社会の諸権力が地方で領袖化することの危険性を王室は認識していたが、それを促進する側面を献金という制度は持っていたと言える。かくして、スペイン王室にとって献金は諸刃の剣のようなものであったことが明らかになるだろう。
著者
小松原 明哲
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.194-200, 2008-08-15 (Released:2016-10-31)
参考文献数
27
被引用文献数
1

規則違反(violation)を,個人が故意に起こした規則に反する行為と捉え,その生起メカニズムを検討 した.代表的な規則違反の形態を整理し,それらを考察すると,その根底には,利益,コントロール,バリアの三つの感情が共通しており,規則違反を抑止するためには,前二者の感情を減少させ,後者の感情を増強させることが重要であることを指摘した.さらに規則違反の基本モデルを提案した.そのモデルをもとに,規則違反の抑止においては態度変容が必要であることを指摘し,社会心理学においての態度変容モデルをもとに,その方策について考察した.さらに,規則違反と企業風土,安全文化の関係,規則改定の仕組み,規則改定の仕組みの監査の重要性について指摘した.

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著者
戸田 宏一
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.865-870, 2011 (Released:2012-11-15)
参考文献数
6
著者
村上 薫
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.82, no.3, pp.328-345, 2017 (Released:2018-05-16)
参考文献数
33

名誉(ナームス)に基づく暴力をめぐり、トルコの公論はふたつの批判的議論を提示してきた。ひとつは、国際的な名誉殺人への関心の高まりを背景として名誉殺人を因習殺人と名付けるものである。名誉殺人を東部のクルド系住民の後進性と結びつけるこの言説は、名誉殺人を特定の集団内で不可避的に起きる問題として他者化した。もうひとつは、欧米のフェミニズム理論を背景として、暴力の原因を家父長制に求めるものである。名誉殺人を含む女性への暴力は、普遍的で非歴史的な男性支配の制度としての家父長制によると説明される。前者では名誉は特定の地域や集団の因習に読み替えられ、後者では名誉は家父長制に還元される結果、なぜ名誉が暴力を正当化するのか、掘り下げて考察することができない。 本稿は、名誉を一方で特定のエスニック集団に本質化された後進性との関係において、他方で家父長制との関係において、一元的に意味づける議論を離れ、人々の名誉の解釈と実践に焦点を当てることにより、暴力が発動する機序を地域社会の日常的関係のなかで理解しようとするものである。イスタンブルの移住者社会の事例に即した議論を通して、本稿では都市における移住者の周縁化、失業の増加と貧困化、あるいは女性の権利言説の高まりといった、グローバル化がつくりだす今日的状況において、名誉の解釈をめぐって駆け引きが可能な状況が生まれ、新たな暴力が誘発されていることを示す。名誉の解釈とルールが流動化し、一律でなくなる状況ではまた、暴力が誘発されるとともに、暴力に対抗する新たな契機も生み出されることを指摘する。
著者
高橋昭一著
出版者
シルクロード
巻号頁・発行日
1988
著者
リー テジョン ソン ユンホ
出版者
THE GEOTHERMAL RESEARCH SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本地熱学会誌 (ISSN:03886735)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.207-213, 2012

韓国での地熱利用は最近の10 年間に著しい成長をとげた。中でも地中熱ヒートポンプ(GHP)が際立っており,それは主として,さまざまな補助金制度,研究開発への支出,新エネルギー・再生可能エネルギー利用を公的機関に義務づける法令,電力料金定額制度等を含む,強力な政府支援によるものである。深部地熱資源に関しては,韓国は火山性の高エンタルピー地熱資源を持たないものの,地下深部には莫大な量の地熱資源がある;例えばEGS 技術を用いれば6.5 km までの深度に19.6 GWeの地熱発電ポテンシャルがあると評価されている。EGS による地熱発電のための最初の概念実証プロジェクトは,ポハンで2010 年12 月に開始された。EGS による地熱発電が5 年間のうちに実現する予定である。国家地熱技術ロードマップ(TRM)は,2030 年までに200 MWe の設備容量導入を達成する目標を定めている。国家地熱TRM に基づいた研究開発プログラムは,全国的なGHP システムとEGS システムの普及に対しその技術的な側面を支援していく。政府による助成金制度が続けられる限り,少なくともこの先5 年間は,急速なGHP の導入が続くと予想される。
著者
勝亦 徹 相沢 宏明 柿沼 靖幸 又重 英一 小室 修二 森川 滝太郎
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集 第48回自動制御連合講演会
巻号頁・発行日
pp.25, 2005 (Released:2006-01-01)

蛍光を利用した計測は、試料を破壊することなく評価できる優れた方法である。ここでは、蛍光を使った穀物・でんぷん製品の非破壊検査の可能性について報告する。紫外線(波長365nm)の照射によって、穀物や、でんぷん製品から波長460nm付近にピークを持つ強い蛍光が観察できた。落花生、大麦、精米、もち米、粟、精製でんぷん、小麦粉や、他の多くの穀物、でんぷん製品から紫外線光源、CCDカメラとフィルターを用いて蛍光画像を撮影した。さらに得られた蛍光画像を画像処理することにより、穀物やでんぷん製品の均質性、異物の混入、多品種間のブレンドの状態などの非破壊検査に応用できることがわかった。蛍光スペクトルは、穀物の種類・産地などによって変化しており、蛍光を使って穀物やでんぷん製品の品質検査が可能である。