著者
石川哲朗 戸嶋真弓 ビクトルス・ガルカビス 茂木健一郎 神門典子
雑誌
情報アクセスシンポジウム2013
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.1-8, 2013-11-29

視覚情報探索において,何かを発見したという気付きが重要な役割を果たすと考えられる.情報発見に伴う強烈な気付きは,洞察問題解決という文脈で捉えることができる.ここで,洞察とは,突然,はっきりとそれが容易に正しい答えであると強く確信され,嬉しさなどのポジティブな感情を伴う現象で,このような主観的体験をアハ体験と呼ぶ.視覚認知の分野では,ダルメシアンやダレンバッハの牛のような何が隠されているのか分からない不鮮明な隠し絵が,知覚された瞬間にアハ体験を生じる刺激として有名である.近年,このような刺激をモーフィングにより作成する技術が著者らによって開発され,隠し絵に伴うアハ体験を実験室で再現することを可能にした.この手法を応用し,隠し絵の認識に関する実験を実施した.多観点から評価された主観評定の探索的因子分析により,アハ体験は情動的因子と知覚に関する判断を表すと見なせる二つの因子から構成されることが示唆された.画像が時間とともに鮮明になり元の情報が徐々に開示されて行くと,ある瞬間に突然,はっきり鮮明にオブジェクトが知覚されたことに驚きつつも,それまで未知であった情報を見つけたと気付いて確信し,分かって嬉しかったり面白かったりして,誰か他の人にも薦めたくなるというように,気付きに伴い豊かな主観的経験を体験するということが分かった.このような正答試行のときの推薦度がアハ体験の指標となり得るという発見は,本研究で得られた新たな知見である.
著者
メシェリャコフ A N
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本文化の解釈 : ロシアと日本からの視点
巻号頁・発行日
pp.27-36, 2009-12-15

国立ロシア人文大学, モスクワ大学, 2007年10月31日-11月2日
著者
渡邊 大門
出版者
皇学館大学人文学会
雑誌
皇学館論叢 = KOGAKKAN RONSO (ISSN:02870347)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.92-114, 2018-12
著者
浜田 信夫 佐久間 大輔
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
大阪市立自然史博物館研究報告 = Bulletin of the Osaka Museum of Natural History (ISSN:00786675)
巻号頁・発行日
vol.72, pp.161-166, 2018-03-31

大阪市立自然史博物館でカビ汚染の状況をモニタリングするため,収蔵庫や展示室などで落 下カビの調査を行い,以前行った寺社の収蔵庫での落下カビの調査の結果と比較した.大阪市立自 然史博物館の落下カビ数は,寺社の場合に比べて,非常に少ないことが明らかになった.寺社の空 調を施していない部屋に比べて1/100以下に,空調のある部屋に比しても1/30以下だった.また,収 蔵庫内部で生育したとみられるカビは見られなかった.その理由として,博物館の収蔵庫は年中温 湿度が20°C,55%に自動制御されていることが原因であると思われる.
著者
栗山 術子
雑誌
日本文學
巻号頁・発行日
vol.2, pp.88-110, 1953-11-30
著者
星 尚志 伊藤 義浩 石川 雄一 南川 敦宣
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2018論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.554-561, 2018-06-27

近年,小規模な店舗の店舗内における店員のオペレーションの効率化ニーズが高まっており,店員一人ひとりの行動を,様々なセンサを利用した屋内測位技術を利用して把握する試みが広がりつつある.この内,カメラ映像を利用する方式は人物位置を正確に追跡できる方式として特に利用が進んでおり,映像中の店員を識別(同定)する方式として,従来主に (A) 店員に BLE 受信機を所持させ,そのビーコンからの電波受信情報を用いる方式と,(B) 加速度センサを保持させ,その計測値を用いる方式が提案されてきた.しかし (A) は電波受信強度が安定しない移動時において,(B) は加速度の時間変動が小さい静止時において,それぞれ人物識別精度が劣化する課題があった.また,客も含め多数の人物が店内に存在する状況では,複数人物が近い場所に静止している場合や,複数人物が類似した移動をする場合があり,こうしたケースでは (A) (B) 共に人物同定精度が劣化していた.そこで本論文では,映像中の人物動線を静止動線と移動動線に分類し,加速度での人物識別が困難な静止動線は BLE ビーコンの受信情報を利用し,移動動線は店員の計測加速度から算出した速度変化を用いて店員を同定する手法を提案する.これにより,電波強度の安定する静止動線と,加速度の大きな時間変動を計測できる移動動線の双方で精度の高い人物同定が可能となる.提案手法はさらに,人物動線の座標と BLE ビーコン受信情報を基に同定対象とする候補店員を絞り込むことで,多数の人物が店内に存在する状況での人物同定精度劣化も抑制する.実店舗における評価では 4 店舗 275 分間の映像データに対して,既存方式を上回る Precision 80.1%,Recall 72.6% の精度が得られた.
著者
島内 裕子 Yuko Shimauchi
雑誌
放送大学研究年報 = Journal of the University of the Air (ISSN:09114505)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.132(11)-119(24), 2006-03-31

江戸時代には、木版印刷によってさまざまな文学作品が刊行されたが、それらの中でも徒然草は、わかりやすく教訓的な作品として、広く親しまれた。本文だけのものから、挿絵付きのもの、頭注付きのもの、詳細な注釈書など、徒然草はさまざまなスタイルで刊行されている。けれども、徒然草は文学作品として読まれただけではない。絵巻や色紙や屏風に描かれて、美術品・調度品としても鑑賞された。 本稿では、描かれた徒然草の中から、熱田神宮献納・伝住吉如慶筆「徒然草図屏風」と、米沢市上杉博物館蔵「徒然草図屏風」の二点を取り上げる。このたび、詳細に現物調査することによって、描かれた章段を特定することができた。前者は徒然草から一連の仁和寺章段を抽き出して描いた屏風、後者は徒然草から二十八場面を描いた屏風である。 この調査を踏まえて、それぞれの屏風の抽出章段の特徴や、図柄の描き方の特徴、屏風の制作目的などについても考察を加えた。さらに、絵巻や色紙に描かれる場合との違いを通して、徒然草が屏風に描かれることの意味と意義について考えてみた。
著者
Masahiro SHINOHARA
出版者
中央大学経済研究所
雑誌
経済研究所 Discussion Paper = IERCU Discussion Paper
巻号頁・発行日
vol.338, 2021-01-09

ニュージーランドの付加価値税であるGST(Goods and Services Tax:財・サービス税)は、単⼀税率(2010 年10 ⽉以降15%)で課税ベースが広く、経済活動に対して中⽴的な税制として国際的に⾼く評価されている。本稿の課題は、ロジャーノミクス(Rogernomics)における税制改⾰に注⽬し、GST 導⼊の背景を明らかにすることである。そのために、①税制改⾰前の租税構造の推移および国際的視点からの特徴、②税制改⾰の背景にある当時の経済状況および改⾰前の税制の問題点、③労働党政権での税制改⾰の意義および改⾰の概要、④消費課税改⾰に関する諸議論に注⽬し、論点を整理する。 1980 年代の労働党政権下における税制改⾰を論じたわが国の先⾏研究として、⼤浦(1995)、松岡(1999a;1999b)、渡辺(2011)がある。⼤浦(1995)は、税制改⾰に限定せず、労働党政権の⾏財政改⾰に焦点を当て論じている。また、松岡(1999a;1999b)は、税制改⾰の意義、内容、問題点を探っている。渡辺(2011)は、GST 導⼊から2010 年税制改⾰に⾄るまで、GST の変遷を概観している。いずれにおいてもGST が取り上げられているが、本稿ではGST 導⼊の背景の議論に焦点を絞り、これらの先⾏研究よりも詳細に論ずる。 GST の導⼊は、ロジャーノミクスの経済改⾰の⼀環として実施された税制改⾰の⽬⽟であった。個⼈所得税に依存した税制によって発⽣する不公平や効率性の低下の是正、卸売売上税の抱える問題点の解決、財政⾚字削減といった事柄に対応するために導⼊された。税制改⾰とセットで給付制度の⾒直しも実施されたが、これは単にGST の逆進性を緩和する⼿段としてではなく、低中所得階層の⼦育てを経済⽀援することが⽬的であった。残された課題として、GST の制度設計を巡る議論およびGST 導⼊による経済効果の考察があるが、これらは別稿に委ねる。
著者
牛来 峯聡
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.61, 2018-12-15

全国高等学校情報教育研究会は,情報教育の推進に寄与することを目的に,教科「情報」についての実践や研究の発表を積極的に行い,多くの事例や活動を共有し,また,各種学会との共催やイベントの後援などを通じ,情報科教員のスキルアップの一端を担っている. 2018年5月17日に未来投資会議が開催され,教科「情報」が大学入学共通テストの科目に導入される方向性で検討されていることを受け,全国高等学校情報教育研究会は,我が国の将来を見据え,情報処理学会をはじめとした関係団体と連携し,研究・研鑽・実践を行い教員の指導力向上を目指すとともに,子供たちのために,また,我が国の情報教育の発展のために,より一層尽力していく.