著者
中川 裕
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究では、私自身がこれまでに現地調査によって収集し蓄積してきた中部コイサン語族のグイ語の語彙資料を、アンソニー・トレールが記述した南部コイサン語族のコン語の語彙資料と詳細に比較することによって、両言語の接触史に関する新たな知見をもたらすことに取り組んだ。この取り組みの主要な成果の一部はすでに「1.研究発表」の欄に記載のTraill & Nakagawa(2000)に発表してある。グイ・コン間の語彙比較研究をすすめる過程で、両言語のあいだに共有される音韻論的特徴や語彙要素、また特殊な語彙意味が多数浮かび上がってきた。その結果、これらの情報を豊富に含む、従来はまったくなしとげられなかった精密で詳細な語彙対応データベースができあがった。また、その語彙対応データベースを対象とした分析は、このコイサン地域に特有とみられる(コイサン諸語動詞の接触に起因する)音変化や意味変化を特定するために重要な資料を組織的にとらえることを可能にした。グイ語の方言調査の結果を分析し、カデ方言・クーテ方言・ホウ方言という3変種を同定しそれらの方言区画を発見した。そして、コン語との共通特徴や共通要素をもつのはどの変種であるかについて考察した。コイサン諸語内部における言語接触史の解明を今後さらに拡大発展させるために、私が編纂しつつあるグイ語語彙データベースを、ひろく海外の他のコイサン言語学者に容易に利用してもらうことを目標として、意味記述や博物誌的情報の英訳を本研究の下位プロジェクトとして開始した。現時点で、全体の約10%の初版英語翻訳ができあがった。
著者
中川 裕
出版者
東京外国語大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

本研究の最終年度である今年度は、主に次にあげる3項目の研究を遂行した。まず一つ目として、昨年度までつづけてきたグイの韻文ジャンルである「ハノ」と、「歌」と翻訳することのできるジャンル「ツィー」のテキストを、音韻論的に妥当な記述の枠組みを用いて、言語学的に文書記録化すること(linguistic documentation)をさらに進めた。次に二つ目として、グイにおける、マザリーズ(motherese「子守ことば」)というスピーチ・スタイルと、上記「ハノ」という韻文ジャンルと、上記の「ツイー」のうち旋律のないタイプという3つの特殊スピーチを、音声学的・音韻論的な視点から精密に比較し、それらに共通する韻律的特徴に焦点をあてて精査を行った。最後に三つ目として、韻文ジャンル「ハノ」のテキストのモチーフとなっている自然・野生の側面について、環境認識の専門家との討議をとおして考察を行った。以上の3つの研究項目は、すべて、これまでのコイサン研究では取り上げられることのなかった、音韻論的接近法と民族言語学的接近法による民族誌研究の先駆けとなる研究といえる。コイサン言語民族学的研究は、ここを端緒として、民族詩学や音韻民族誌をさらに展開することができるはずである。また、本研究がクローズアップして、その実態に迫った韻文ジャンル「ハノ」については、ロマン・ヤコブソンの言語機能論との関連で、その伝達行為としての特異性の解明という新しい問題も浮かび上がってきた。本研究は、このように、言語民族学的文脈においても、また、言語機能論的文脈においても、きわめて興味深く新しい視座をもたらすことに成功した。
著者
中川 裕
出版者
東京外国語大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2018-06-29

2021年度の主要な調査活動は、(1)蓄積してきた資料の整備と精密な観察・分析と、(2)副産物的な成果として開発した正書法と識字学習ツールの拡張と更新だった。本来予定していたボツワナ共和国カラハリ地域における現地調査はコロナ感染状況がいぜんとして深刻なため実現することができず、その実施は研究期間を延長して、2022年度にする申請を行い承認を得た。上記(1)については、2020年1月までに収集したグイ語音韻獲得データに、さらに1990年代の資料を加えた:すなわち過去において現地調査で収集した録音とフィールドノート記録に子供の発音資料を「発掘」して整理したデータを併せて資料群を拡大整備した。そして、昨年度に引き続き、クリック獲得の過程で観察される置換音パタンがもつ理論的含意に関する考察を、追加資料分析をもとに進めた。この考察の結果は、日本音声学会で行った特別講演「多数のクリック子音をもつ言語は音韻体系をどう組織化するか:コイサン諸語の子音・母音・音素配列」の内容に含まれる子音の音韻的解釈にも反映している。(2)については、研究代表者と研究協力者が、日本アフリカ学会第58回学術大会でポスター発表した。またその後、識字学習用のイラストを追加してオンライン・ツールを充実させた。従来の研究では探求されてこなかった「多数のクリック子音をもつコイサン諸語の音素体系を子供はどのように獲得するか?」という問いに取り組む本研究は音韻獲得研究の射程を拡張しつつある。また、音韻獲得の研究指針に「獲得の難しい音類に関する探求」を組み入れることで、音韻獲得の言語相対性(個別性・類型性)の理論の発展に新しい光を与えつつある。
著者
中川 裕
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

人類の言語音の多様性を探求する研究分野「音韻類型論」は、本来、言語音の普遍的傾向と言語音の限界範囲の両方の解明に向かうべきものだ。ところが、これまでの音韻類型論は前者が重視されすぎて、後者に関わる「言語音の限界縁はいかなるものか?」と「その限界縁をなす稀少特徴はどう説明できるか?」という重要問題をなおざりにしてきた。本研究は、これらの問題に取り組む。そのために音韻類型論に3つの新手法を導入する:第1に、めずらしい音韻特徴を重視する新接近法を採用する。第2に、コイサン諸語の精査によって言語音の複雑度の限界範囲の解明に挑む。第3に、音素目録・語彙・テキストの3基軸データセットによる頻度調査を行う。
著者
中川 裕 高田 明 松平 勇二
出版者
東京外国語大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2018-10-09

2021年度の主要実績は次のように要約できる:(1)過去に記録されたブッシュマン音楽のアーカイブ編纂を継続・拡大し、その派生的な成果を進展させた;(2)グイ語の言語的韻律とグイの歌の音楽的律動の比較分析を行った;(3)グイの歌の類型・リズム・楽器の側面を取り上げた小論を刊行した;(4)グイの治療ダンス音楽のリズム分析を行い、その結果の一部を学会発表した。(1)に関しては、昨年度に引き続き、1990年代までに収録した音楽を対象に資料目録の整備を実施した。また、中川が、歌を含む原文のテキスト表記の監修を担当した田中二郎(2020)『ブッシュマンの民話』(京都大学学術出版会)英訳刊行プロジェクトが最終段階に入った(現在は校正プロセス)。(2)の成果を一部反映した(3)については、研究代表者(中川)と研究分担者(松平)とが、それぞれ言語リズムと音楽リズムを分担して、これまでの考察結果を持ち寄りアンソロジー『地球の音楽』(東京外国語大学出版会)に「カラハリ狩猟採集民グイ人の歌」を執筆し、刊行した。(4)については、松平が日本アフリカ学会第58回学術大会で「グイ・ヒーリングダンスのリズム」を報告した。それら以外にも、本研究課題に関連する実績として、高田が日本発達心理学会第33回大会で「音楽性の学際的探究からの提言: 「音楽的な子どもたち」に導かれる発達観へ」を発表し、また、中川が日本音声学会第35回大会特別講演として「多数のクリック子音をもつ言語は音韻体系をどう組織化するか:“コイサン”諸語の子音・母音・音素配列」を発表した。
著者
中川 裕
出版者
東京外国語大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2022-06-30

アフリカ識字活動はカラハリ狩猟採集民をいわば置き去りにしてきた。それには彼らの音韻的特異性・文化的特殊性・現実的諸事情が識字教育の障壁となったという経緯がある。一方で、現在のカラハリ狩猟採集民たちは母語を文字で綴ることを望み、当事国政府もそれを奨励し始めた。本研究は、新しい着想により、母語話者を中心とする現地関係者たちと協働することで、社会に馴染み持続しやすい識字学習インフラを考案し発展させる。この実践のために、世界最大級の音素対立を表記するアルファベット系正書法を設計する。また、「この極限域において、文字で母語を書き綴る営みにはどんな現象が起きるか?」という新しい文字学的問題を探求する。
著者
中川 裕 佐野 洋 鈴木 玲子 降幡 正志 上田 広美 匹田 剛 望月 源 田原 洋樹 原 真由子
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

聴覚・音響音声学的な事実と音韻論的構造との相互関係を理解するために、広範囲の言語事例を使い、言語横断的比較の手法を用いながら、聴覚実験や音響分析によって新知見をもたらした。さらにその新知見を音韻構造との関連で解釈した。解釈の過程で、音韻素性理論に聴覚・音響的特性をどう位置づけるかという理論的問題を探求するための、多くの具体的手がかりを得ることができた。それと同時に、このプロジェクトで蓄積した、聴覚音声学的な新手法と新知見を用いて、言語学習の過程における第2言語(L2)の発音の諸問題に取り組み、実り多い議論を発展させることができた。
著者
中川 裕 大野 仁美 高田 明 Sylvanus Job Christfried Naumann Lee Pratchett
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

この研究は、ボツワナ共和国のカラハリ地域で話される、カラハリ盆地言語帯コエ・クワディ語族カラハリ・コエ語派を対象として、(i)語派の3語群の構造的特徴とその変異を総合的に理解し、(ii)その変異パタンに着目して各語群の類型論的特色を解明し、(iii)その特色を明瞭に描き出す音韻論と文法と語彙を文書化することに取り組んだ。その結果、学術論文14点、学会発表32点、辞書編纂1点、を成果として生み出した。記述の対象となった言語は、当該語派の3語群の7言語(シュア語、ツィハ語、クエ語、ナロ語、ハバ語、グイ語、ツィラ語)に加え、それらと接触するコン語を含む。
著者
中川 裕
出版者
東京外国語大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

音韻論的言語類型論の領域に「拡張韻」という新しい音韻的単位を導入することによって、南部アフリカのコイサン諸語と東アジア・東南アジアの一部の言語を横断する類型論的言語比較を試みた。これによって、従来は広く認識されていなかった当該言語群間にある構造的な類似性が観察された。この観察から、あらためてコイサン音韻論がもつ世界の言語における独自の特徴を再認識することが可能になった。そのための分析概念装置、①通コイサン子音チャートと②通コイサン音素配列テンプレートを整備した。さらに、今後のコイサン言語学の発達のための調査指針を具体的にコイサン横断的比較音韻論の研究調査票として発表した。
著者
中川 裕
出版者
東京外国語大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

本研究はコイサン諸語コエ語族グイ語を対象に、未記述で無文字の危機言語の辞書編纂・語彙意味研究にとって斬新な接近法である「モノリンガル意味記述」を導入することによってつぎの3つを目指している。(1)危機言語の言語学的記録のための新しい方法論を具体的事例をもって提示すること。(2)コイサン言語研究における語彙意味論に新しい展開の糸口を与えること。(3)モノリンガル意味記述が危機言語コミュニティーでの識字教育・言語維持という言語学応用分野にどのように利点をもたらすかを模索すること。最終年度にあたる今年度は、(1)(2)(3)に関して本研究がこれまでに達成した成果を、コイサン語の先端的研究をしている国外の2人の言語学者に示し、討議をすることができた。5月に来日したベルリン大学教授トムグルデマンとボツワナ大学教授アンディチェバネと面談し、グイ語のモノリンガル意味記述のテキストの分析結果と、それをもちいた識字教育応用の素材に関する議論を行った。本研究が目指すモノリンガル記述の独創性は高く評価された。他のコイサン語研究では、媒介言語であるツワナ語や英語を通して調査が行われているので、本研究のアプローチは実現が困難であり、その意味でも肯定的な評価をうけた。表記法の原則の通言語的統一、識字教育へのインパクトについても、意見交換を行った。8月にアフリカ言語学国際会議で研究発表を行い、コイサン関係者と辞書編纂および、アフリカにおける識字教育一般にかんする情報交換を行った。12月~1月にボツワナのカラハリ地区のグイ集落であるニューカデに滞在し、モノリンガル記述を利用しての識字教育に関する、意見の聞き取り調査をした。英語の読み書きができる若いグイ人の協力をえて識字資料のインターフェースの問題点について示唆をうけた。現在、これまでの調査結果の総括を行っている。
著者
中川 裕 佐野 洋 望月 源 高田 明
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は言語音の多様性を探求する分野「音韻類型論」における未開拓の重要な問題、「言語音の限界縁はいかなるものか?」と「その限界縁をなす稀少特徴はどのように説明できるか?」に取り組んだ。そのために次の3つの新接近法を導入した:(i)世界中に遍在する「ありふれた音韻特徴」を重視する従来の手法を逆転させて、地理的に偏在する「めずらしい音韻特徴」を重視する点;(ii)極度に複雑な音類を多用するコイサン諸語の精査によって、言語音の複雑度の限界範囲の解明に挑戦する点;(iii)音素目録に基づく頻度調査に依存しがちだった従来の研究に対し、語彙内における頻度調査を体系的に実施する点である。
著者
中川 裕 大野 仁美 高田 明 大野 仁美 高田 明
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

コエ語族カラハリ・コエ語派ナロ・ガナ語群は、コエ語族の歴史を探るために重要な役割をはたす。その重要性は、最近トム・グルデマンが提案したコエ・クヮディ祖語仮説の検証のためにますます高まってきた。このナロ・ガナ語群内部の系統的分類を、未記述のハバ語とツェラ語の現地調査に基づき、グイ語とガナ語の諸方言の最新資料と比較することによって、ライナーフォッセンによる定説とは異なる新しい当該語群の系統関係を解明することに成功した。
著者
草野 貴宏 中川 裕登 プージャナー パリヤワン 原田 智広 ラック ターウォンマット
雑誌
第79回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.1, pp.475-476, 2017-03-16

本論文では,Motion Gamingにおいて,プレイヤーの行動傾向に適応して健康促進するAIを提案する.身体全体の動作によってゲームの操作を行うMotion Gamingにおいて,プレイヤーはゲームを楽しみながら運動することができる.しかし,プレイヤーによっては,身体のある部位を使いすぎることで痛みを引き起こすなど,逆効果をもたらす可能性がある.そこで本論文では,AIの行動に対するプレイヤーの行動の傾向の分析を行う.AIの行動に対するプレイヤーの運動量を予測し,プレイヤーが身体の各部位を満遍なく用いるように行動するAIを提案する.対戦型格闘ゲームを用いた被験者実験により,提案手法の評価を行う.
著者
大枝 昭平 木村 洋介 二木 友子 鳩貝 名津紀 本橋 直美 宍戸 衛 山口 龍志郎 中川 裕司
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.231-237, 2022-04-25 (Released:2022-04-25)
参考文献数
5

Pfizer社製新型コロナウイルスワクチン「コミナティ筋注」を接種した当法人の医療従事者56名を対象として抗新型コロナウイルスIgG抗体の測定を行った。測定は全自動化学発光酵素免疫測定システム ルミパルス®G1200および,化学発光酵素免疫測定法試薬SARS-CoV-2 S-IgG測定試薬(IC)(H.U.フロンティア株式会社)を使用した。測定の結果,対象者すべてにカットオフ値1.0 AU/mL以上の抗体価獲得を認め,最小抗体価10.5 AU/mL,最大抗体価227.2 AU/mL,中央値62.2 AU/mLを得た。獲得される抗体価の多寡に影響を及ぼし得る因子として性別,年齢,BMI,既存B型肝炎ウイルス抗体価,および飲酒・喫煙習慣の有無に着目して解析を行った結果,抗体価の多寡は年齢の影響を最も大きく受け,その影響は統計学的有意差を生じさせ得ると分かった。その他の因子については統計学的有意差を生じさせないものの,飲酒習慣の有無,既存B型肝炎ウイルス抗体価,BMI,喫煙習慣の有無,性別の順に影響力を持つことが明らかとなった。本稿によって,B型肝炎ワクチン不応者であっても抗体獲得が可能であることが示された一方で,今回の検討因子以外の影響因子の検討の必要性が示唆された。
著者
中川 裕美 前田 泰宏 久保 真人
出版者
日本マインドフルネス学会
雑誌
マインドフルネス研究 (ISSN:24360651)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.4-14, 2020 (Released:2022-02-22)
参考文献数
21

本研究の目的は,うつ病等の休職者を対象としたリワーク・プログラムにおいてマインドフルネス認知療法(MBCT)をベースとした「マインドフルネス講座」を実施し,その有効性とワーク・ライフ・バランスへの影響について検討することであった。マインドフルネス講座は,1回につき2時間の集団によるプログラムを計3回により構成した。本研究の参加者は17名であり,無作為に介入群(9名)と待機群(8名)に割当てて有効性の検討を行った。その結果,セルフ・コンパッションのポジティブ因子が向上し,身体的症状が軽減され,ワーク・ライフ・バランスの家庭の重要度が増した一方で,仕事への労力度が低下することが示された。また,各回における感想から,マインドフルネスの体験が参加者にもたらした変化について検討し,復職支援におけるマインドフルネスの意義と今後の課題について考察した。
著者
山田 剛一 中川 裕志
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.57-58, 1996-03-06

話し言葉を扱おうという研究が増えている。話し言葉の特徴として挙げられる現象はいくつかあるが、その一つに、助詞の省略(脱落)と呼ばれているものがある。例えば、次の文では「私の発表」という名詞句の後ろに助詞が存在しない。(1)私の発表何番目でしたっけ?特にかしこまった場面でなければ、話し言葉では、このような無助詞の名詞句が頻繁に現れる。既存の書き言葉の文法を持った解析システムでは無助詞を扱うことはできないので、何らかの助詞を補って、書き言葉での適格文にする必要がある。しかし、本当に助詞が省略されていて、それを補わなければならないのだろうか。