著者
中川 宏道
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.16-29, 2015 (Released:2015-11-30)
参考文献数
21
被引用文献数
2

小売業での買物において,ポイント付与と値引きとでは,どちらが消費者にとって得と感じられるのであろうか.本研究では,少額のポイントは心理的な貯蓄勘定に計上され,多額のポイントは当座勘定に計上されるというポイントに関するメンタル・アカウンティング理論の仮説を提示し,スーパーマーケットおよび家電量販店におけるアンケート実験によって検証をおこなった.スーパーマーケットでの実験結果から,値引率・ポイント付与率が低い水準においては,値引きよりも同額相当のポイント付与の知覚価値の方が高いことが明らかになった.低いベネフィット水準におけるセールス・プロモーション手段としては,値引きよりもポイント提供の方が有効であることが本研究の結果から示唆される.
著者
中川 宏道 星野 崇宏
出版者
日本商業学会
雑誌
流通研究 (ISSN:13459015)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.1-15, 2017 (Released:2017-07-31)
参考文献数
37

値引きとポイント付与とでは,どちらのセールス・プロモーションの効果が大きいのであろうか。本研究では,食品スーパーにおける集計された購買履歴データを用いて,ポイント付与に関するプロモーション弾力性および値引きの弾力性の推定をおこない,両者の効果の比較をおこなった。プロモーション弾性値の測定の結果,ベネフィット水準が高くなるほど値引きの弾性値が高くなる一方,ポイント付与の弾性値は低くなる傾向が確認された。これらの結果,商品単価が低く値引率・ポイント付与率も低いときには,ポイント付与の方が値引きよりも売上効果が高くなることが確認された。小売業が低いベネフィット水準においてプロモーションをおこなう場合には,値引きよりもポイント付与の方が有利であることが示唆される。
著者
中川 宏道
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.16-29, 2015

小売業での買物において,ポイント付与と値引きとでは,どちらが消費者にとって得と感じられるのであろうか.本研究では,少額のポイントは心理的な貯蓄勘定に計上され,多額のポイントは当座勘定に計上されるというポイントに関するメンタル・アカウンティング理論の仮説を提示し,スーパーマーケットおよび家電量販店におけるアンケート実験によって検証をおこなった.スーパーマーケットでの実験結果から,値引率・ポイント付与率が低い水準においては,値引きよりも同額相当のポイント付与の知覚価値の方が高いことが明らかになった.低いベネフィット水準におけるセールス・プロモーション手段としては,値引きよりもポイント提供の方が有効であることが本研究の結果から示唆される.
著者
中川 宏道
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.12-29, 2016 (Released:2016-11-18)
参考文献数
26

貯めたポイントを1ポイント単位で使用できるロイヤルティ・プログラムにおいて,消費者はどのようなときにポイントを使用するのであろうか.中川(2015)のポイントに関するメンタル・アカウンティング理論から示唆される通り,ポイント残高がポイント使用意図や支払いの知覚コストに影響を与えるという仮説について,本研究では家電量販店およびスーパーマーケットのロイヤルティ・プログラムの会員を対象とした実験がおこなわれた.実験結果から,ポイント残高がポイント使用意図,支払方法の選択,支払いの知覚コストに影響を与えていることが明らかになった.従来の研究結果とは異なり,支払金額はそれほど影響を与えていなかった.ポイント残高が少ない消費者にポイント使用を促すことは,ポイントを全く使わない場合よりもかえって支払いの知覚コストを高めてしまう.したがって消費者にポイントの使用を促す際には,ポイント残高がある程度以上の場合にすべきであることが示唆される.
著者
奥野 雅雄 中川 宏 宗吉 史昭 小硲 真智子 小篠 薫
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.26, no.8, pp.531-536, 1977-08-05
被引用文献数
1

汚でい中の6価クロム{クロム(VI)}は,鉱酸などを用いることなくEDTAを用いてクロム酸塩を溶出し,直ちにジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム(DDTC)と錯体を形成させメチルイソブチルケトン(MIBK)に抽出することができる.汚でい中に含まれる難溶性クロム酸塩をアンモニアアルカリ性溶液中においてEDTAで溶解し,結合金属イオンを錯化溶出してクロム(VI)を水溶化する.これをpH5付近でDDTCなどの還元剤で発生機状態のクロム(III)にした後,過剰のDDTCと錯体を形成させ,これをMIBKに抽出する.MIBK相を揮散させた後硝酸で分解して原子吸光分析(少燃料フレーム)することにより,共存物の影響をほとんど受けずに定量を可能にした.なお,本法は(10〜5)%の変動係数で汚でい中のクロム(VI)を迅速かつ簡便に定量できる.
著者
吉野 茂 中川 宏 島津 哲治 竹下 真大 迎 和男 大川 裕行
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.G0405-G0405, 2004

【はじめに】我々理学療法士(以下PT)は、患者を治療し診療報酬を得ている。しかし、PTの診療報酬、あるいは収益についてコストを考慮して言及した報告は少ない。そこで今回、PTに関わるコストを概算し、当院PTの現状と課題について検討したので以下に報告する。<BR>【コスト発生要因】患者を治療するに当たり発生するコストは固定費と変動費に分けられる。まず、固定費として、運動療法室、スタッフルームなど建物自体の減価償却費、その中にある備品の減価償却費がある。これらは、投資額を耐用年数で割れば概算は可能である。次に、変動費として、光熱費、人件費などが上げられる。以下に詳細を記載する。<BR>【変動費の詳細】当院入院患者を治療する際の流れに沿って考えると、まず医者が処方箋を記載する。それを看護師(以下Ns)または診療助手がリハビリテーション科(以下リハ科)まで持参する。リハ科受付が受理し、時間などを病棟に連絡しリハ開始となる。リハ開始となると、Nsや診療助手により患者が搬送され理学療法を施行する。理学療法終了後、リハ科受付が病棟に連絡し、Nsまたは診療助手が病棟へと搬送する。理学療法の内容により点数を決め、リハ科受付がパソコンに入力する。月末に医事課で取りまとめ請求業務を行う。ここまで、医者、Ns、診療助手、事務職員の人件費が掛かっている。更には光熱費、カルテ管理に関するコストも掛かっている。これらを概算すると170万円/月となる。<BR>【収益】PT5名、施設基準 IIの当院理学療法部門では概ね240万円/月のコストが発生している。このコストには、PTの人件費、学会出張費、会議費、研究費などは勘案されていない。当院の現在の収益は約350万円/月である。ここからコストを差し引くとPT一人あたりの純益は22万円であり、すべてを人件費と考えても、我々の給与は22万円が限度となる。平成14年の診療報酬改定前は総収入が550万円/月でありPT一人あたりの純益は62万円であった。現行の診療報酬体系に変わり、我々は自分の人件費も得られないような状況となっている。もちろん、収益を第一に患者を選択的に治療すれば、増収は可能であろうが、リハを必要とする多くの患者を見放すことはできない。このままでは理学療法部門は赤字部門となり、整理統合する病院が出てくることが予測される。我々PTは最低限コスト意識を持ち収益向上に努めることはもちろんであるが、患者に必要な理学療法を提供できない現状を早期に調べ、現状の体系見直しを訴えていくことが必要である。<BR>【まとめ】理学療法に関わるコストを明らかにすることで次のような結論を得た。(1)我々が治療する際にはコストが掛かる。(2)理学療法士はコスト意識をもつ必要がある。(3)現状の診療報酬ではPTの人件費を得ることさえ難しい。(4)収益向上を追及すれば、患者に必要なリハを提供できなくなる。
著者
中川 宏 橋本 不二雄 岡本 昌夫 八木田 恭輔 西河 光雄
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.153-160, 1977-09-25 (Released:2017-09-27)

The training effects of bench press on the arm and shoulder muscles were electromyographically examined. The subjects used in the experiment were six helthy young males and the muscles examined were the lateral and long heads of m. triceps brachii, the sternocostal portion of m. pectoralis major and the anterior portion of m. deltoideus. The EMG recordings were made with a 4 channel electroencephalograph (Nihon-Koden Inst. Co., Ltd.) utilizing surface electrodes, 10 mm in diameter. The training was performed twice a week and continued for six months. During the training period, the electromyographic recordings and the measurements of the extension strength at the elbow joint and the flexion strength at the shoulder joint were taken once a month. The results obtained were summarized as follows: 1)All subjects showed no visible changes in the discharge patterns of the lateral head of m. triceps brachii and the sternocostal portion of m. pectralis major throughout the training period. 2)The discharge patterns of the long head of m. triceps brachii and the anterior portion of m. deltoideus varied among the six subjects and were classified into three different types. Type A: The first two subjects showed the co-active discharges in the long head of m. triceps brachii and the anterior portion of m. deltoideus. Type B: In the next subjects, the discharge of the long head of m. triceps brachii appeared at the latter half period of the bench press motion. Type C: The discharge patterns of the last two subjects shifted from type A to type B during the training. When the maximum weight was loaded, however, the subjects in type C showed the similar discharge pattern to that of type A. 3)In type A and type C, the extension strength at the elbow joint, the flexion strengh at the shoulder joint and the maximum weight of the barbell for one-bout lift increased up to 132%-165%, 150%-184% and 147%-173% of the control, respectively. 4)In spite of little or no increase in the extension strength at the elbow joint and only 2 to 16% increase in the flexion strength at the shoulder joint. the subjects in type B showed 33 to 48% increase in the maximum weight of barbell for one-bout lift. 5)The decrease in the electrical discharges of the muscles at the minimum (16kg) and the light (31 or 36kg) loads observed during the training period might be due to the increase in the contractile force of the muscles at the level of individual motor unit.
著者
中川 宏 熊本 水頼
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.83-89, 1973-10-25 (Released:2017-09-27)

ウェイトリフティングの選手について, ベンチプレスを行なわせたときの筋の作用機序について筋電図学的に検討した. 1) 手関節の姿勢制御を示すような筋の働きは認められなかった. 2) 肘関節はただ単純に伸展を行なっているだけで, 姿勢制御を示す筋の働きは殆んど認められなかった. 3) 筋力に余裕のあるとき, 肘関節伸展は上腕三頭筋外側頭のみで行なわれ, 筋力の劣るときは同筋長頭も参画した. 長頭の収縮がもたらす肩関節伸展の力は, 肩関節屈曲筋群の活動の増強で消却された. 4) 肩関節は水平位内転と屈曲の合成された動きを示す筋放電様相を呈した. 5) 挙上能力の劣るものには, 無駄な, かつまた抑制的と考えられる筋放電も認められた.
著者
中川 宏
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.164-168, 1959

The Mallophagan genera Dennyus and Eureum, which infest only swifts or Apodi, are found on the large white-rumped swift, Apus pacificus pacificus (LATHAM) from Japan. The genus Dennyus from the Japanese swifts has been previously known by two species, Dennyus truncatus UCHIDA, 1926 (nec OLFERS, 1816) and Takamatsuia major UCHIDA, 1926 and recently I redescribe and figure the latter as a subgenus of Dennyus (see NAKAGAWA, 1959). The genus Eureum, which is extremely rare in collecting, is still an unknown genus from Japan. My best thanks are due to Drs. K. ASANUMA, S. UCHIDA and Prof. H. SAWADA for their guidance and encouragement. I am equally thankful to Mr. M. HASEGAWA and Dr. Th. CLAY for their generous help during the preparation of this paper. The material examined have been collected through the co-operation of Messrs. T. TAKADA and T. KAWAI. The specimen is in the author's collection.
著者
浅沼 靖 宮本 武美 秋山 順 中川 宏 堀 覚 北岡 正見 大久保 薫 熊田 信夫 鈴木 誠 柄沢 敏夫 久郷 準 山本 久 川村 明義
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.232-244, 1959
被引用文献数
1 4

Among the cases of scrub typhus newly recognized in Japan after the World War II, those prevalent in the Izu Shichito Islands of Tokyo Prefecture, in Awa-gun, Chiba Prefecture, and in Mt. Fuji area, Shizuoka Prefecture, are called as the "Shichito type scrub typhus" or as the "scutellaris type scrub typhus, " and Trombicula scutellaris has been presumably incriminated as a potential vector of this type of scrub typhus. The study on scrub typhus in Chiba Prefecture was commenced in 1952, when the so called "twentydays fever, " an endemic disease in this Prefecture, was assumed to belong to a scrub typhus by Kasahara et al. (1952) and Kitaoka et al. (1952).
著者
福富 聡 中川 宏治 石塚 満 宮崎 勝
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 = The journal of the Japan Surgical Association (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.1090-1094, 2006-05-25
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

症例は53歳,男性.自殺企図により刃渡り20cmの刺身包丁で腹部を刺し当院に緊急搬送された.腹部CT検査では,胆嚢内腔の高吸収域と腹腔内液体貯留が認められ,胆嚢損傷,腹腔内出血と診断した.全身状態が安定していたため保存的治療を選択した.第5病日の血液検査でT. Bil, CRP値が増加傾向を示し,腹部CT検査で胆嚢周囲の液体貯留の増加を認めたため,経皮経肝胆嚢造影により損傷部位を確認しPTGBDチューブを留置した.以後,腹腔内における液体貯留は減少し,全身状態および肝機能の増悪もみられず,第24病日に退院となった.<br> 腹部鋭的外傷による胆嚢損傷は極めて稀である.本邦では全例に開腹手術が行われており,合併症なく保存的に治癒したのは自験例が初めてであった.胆嚢損傷例に対しPTGBDは有効な手段であり,症例を選んで適切な管理を行えば,開腹手術は必須ではないと考えられた.
著者
中川 宏道 星野 崇宏
出版者
日本商業学会
雑誌
流通研究 (ISSN:13459015)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.1-15, 2017

<p>値引きとポイント付与とでは,どちらのセールス・プロモーションの効果が大きいのであろうか。本研究では,食品スーパーにおける集計された購買履歴データを用いて,ポイント付与に関するプロモーション弾力性および値引きの弾力性の推定をおこない,両者の効果の比較をおこなった。プロモーション弾性値の測定の結果,ベネフィット水準が高くなるほど値引きの弾性値が高くなる一方,ポイント付与の弾性値は低くなる傾向が確認された。これらの結果,商品単価が低く値引率・ポイント付与率も低いときには,ポイント付与の方が値引きよりも売上効果が高くなることが確認された。小売業が低いベネフィット水準においてプロモーションをおこなう場合には,値引きよりもポイント付与の方が有利であることが示唆される。</p>
著者
中川 宏道 守口 剛
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.197-200, 2012 (Released:2013-05-29)
参考文献数
5

「100人に1人がタダ」のような確率型プロモーションと「全員に1%値引き」のような確定型プロモーションとでは,どちらが消費者にとって魅力的なのであろうか.本研究では,確率型プロモーションについての実証研究をおこなう.Kahneman and Tversky (1979)のプロスペクト理論によれば,利得の領域では凹関数でリスク回避的,損失の領域では凸関数でリスク志向的となる.したがって,値引きのようなネガティブ・フレームにおいては確率型プロモーションの方が確定型プロモーションよりも選好され,ポイントプレゼントのようなポジティブ・フレームにおいては,確定型プロモーションの方が確率型プロモーションよりも選好されることが予想される.本研究において確率型プロモーションにおけるフレーミング効果について検証を行ったところ,ポジティブ・フレームでは確定型プロモーションが選択され,ネガティブ・フレームでは確率型プロモーションが選択される傾向が見られ,フレーミング効果が確認された.
著者
中川 宏治
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究 (ISSN:02851598)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.54-59, 2012-07-01
被引用文献数
1

2007年度から,広域自治体を単位とした学校教育における森林教育の取組が滋賀県で始まっている。この事業の推進に当たって,教員対象の研修会が毎年開催され,全学校から1名以上の教員が参加している。本研究では,事業開始から5年を経過して,教員研修および事業に対する学校現場の課題の現状や事業に対する認識を把握するために,研修参加者を対象に実施したアンケート調査の結果を整理した。その結果,事業の認識はまだまだ薄く,教員の現場からは煩雑な事務手続きなどに対する否定的意見が目立つ。しかし,教員の指導資質能力の養成に関しては,教員研修での間伐体験など体験型の学習が有効であり,やまのこ事業の体験学習への実践的な参加も指導能力を高める効果があると考えられた。滋賀県での森林教育に関する一連の取組は,学校教育で自然体験学習を導入する際の学校現場の課題解決に向けた貴重な先行事例となりうるであろう。