著者
鷲崎 弘宜 萩本 順三 濱井 和夫 関 満徳 井上 健 谷口 真也 小林 浩 平鍋 健児 羽生田 栄一
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:21888825)
巻号頁・発行日
vol.2020-SE-204, no.17, pp.1-8, 2020-02-24

DX(Digital Transformation)時代に向けた新たなソフトウェア工学(Software Engineering for Business and Society: SE4BS)に向けた枠組みと価値駆動プロセスを提案する.具体的には,今日においてソフトウェア「工学」として受け入れられている手法やプラクティスにおいて,顧客価値やビジネス価値に基づいてソフトウェア開発・運用を進める視点の欠落や,産業界において広く受け入れられているアジャイル開発との分断が起きているという問題を提起する.その問題意識のもと,DX 時代に必要な新たなソフトウェア工学として,ビジネスアジリティを組み入れて新規ビジネスのアイデアから,それを具体化する製品やサービスおよびユーザー体験までを結び付けるソフトウェアシステムの開発・運用に有用なモデル,手法,プラクティスを分類整理し,それらを用いる進め方としてビジネス・社会視点の価値駆動プロセスの一例を提案する.さらに,心的要素である知・情・意による分類を通じて,これからのソフトウェア工学と周辺の捉え方の一つを示す.
著者
大川 清孝 上田 渉 佐野 弘治 有本 雄貴 久保 勇記 井上 健 田中 敏宏 松井 佐織 小谷 晃平 青木 哲哉
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.1103-1108, 2011 (Released:2011-06-14)
参考文献数
10

5日間の便秘後と下剤服用後に発症した一過性型虚血性直腸炎の2例を経験した.腹部大動脈手術,骨盤内手術,膠原病・血管炎,動静脈廔などはなく腸管側因子が主因で発症したと考えられた.いずれも肛門直上にも病変がみられた.著明なCRP上昇がみられたが保存的治療にて速やかに改善した.虚血性直腸炎は血管側因子が主因でおこると考えられていたが,腸管側因子が主因で発症することもあることを示した点で貴重な症例と考えられた.
著者
高井 逸史 山地 純子 田中 麻美 周藤 浩 宮野 道雄 中井 伸夫 山口 武彦 吉村 知倫 白濱 晴美 村上 将典 井上 健太郎 柄崎 隆治
出版者
日本生理人類学会
雑誌
日本生理人類学会誌 (ISSN:13423215)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.191-198, 2003
参考文献数
14

The purpose of this paper is to describe a posture and motion for the elderly with disabilities from the viewpoint of ecological concept based on affordance theory by James J. Gibson. As their action is limited by disabilities, they can't perceive enough information which exists in environment. Therefore, they must accomplish through the thinking based on insufficient and wrong information. As a result, their posture and motion can't adapt to surrounding situation, it makes them to feel anxious and fearful. Further more, emotion such leads to limit spontaneous motion with searching. We should be related with the elderly with disabilities to woik on environment spontaneously for perceiving the relation between themselves and environment. We think that it is important for them to acquire flexible motion corresponding to environmental change.
著者
太田 莉加 西本 実苗 井上 健
出版者
関西学院大学
雑誌
臨床教育心理学研究
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.83-96, 2005-03-25

今回の研究では,私立の4年制K大学に通う学生316名(男性105名,女性211名)を対象に,独自に作成した(1)ペット飼育に関する実態調査と(2)対ペット尺度,そして(3)MPI,(4)GHQ 30,(5)UPIの5種の質問紙を用いて一斉調査を行った。その目的は,大学生におけるペット飼育の実態を明らかにすること,外向性一神経症的傾向といった側面からの飼い主の性格的傾向や,ペット飼育による心身両面への効果を検討することであった。また,対ペット尺度を作成することで,ペット飼育による人への影響が,具体的にはペット飼育のどういった側面と結びついているのかも検討することとした。実態調査から,現在ペットを「飼っている」者は被験者全体の31.6%(100名),「実家で飼っている」者は10.8% (34名),「以前飼っていたが今は飼っていない」者は25.9%(82名),「飼ったことがない」者は31.6%(100名)であることが明らかとなった。飼っている(た)ペットの種類においてはイヌが圧倒的に多く,それは飼いたいペットにおいても同様であった。また,現在ペットを飼っていない人における飼っていない理由としては,住んでいるところがペット禁止であるからといったものが多かった。今回,飼い主とペットとの関係を客観的に捉えるために対ペット尺度を作成したが,それについて因子分析を行った結果,3因子が抽出され,57項目中39項目が選出された。抽出された3因子については,項目の内容からそれぞれ,肯定的感情因子,関係性因子,スキンシップ因子と命名した。ペット飼育とMPI, GHQ, UPIとの関係を見たところ,ペットを飼う人は,飼ったことがない人よりも,神経症的な傾向が強い人やストレッサーに敏感な人が多いのではないかと考えられた。よって,もともとそういった特徴をもった人がペットを飼う傾向があるのではないかと思われた。対ペット尺度とMPI, GHQ, UPIとの関係を見たところ,飼い主の飼育態度と心身状態の関係は,ペットを現在「飼っている」のか,あるいは「実家で飼っているのか」といったことや,飼い主が飼育当時どの発達段階にいる(た)のかといったことと関係しているかもしれないということが考えられた。また,イヌとネコとで飼い主の飼育態度が異なるということ,異なる特性をもつペットを飼う人にも異なる特徴があるかもしれないということが考えられた。これらのことから,ペット飼育のどういった側面が人へ影響を与えているのかといったことについては,ペットを飼育している(た)時期(飼育状況)やペットの種類によって異なるであろうと推測された。以上をふまえ,今後,青年期にあたる大学生を対象に,更なる調査を行い,ペットによる人への影響をより詳細に見ていきたい。
著者
水野 江美 西本 実苗 井上 健
出版者
関西学院大学
雑誌
臨床教育心理学研究
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.29-36, 2006-03-25

今回の研究では,私立の4年制K大学に通う学生144名(男性64名,女性76名,不明4名)を対象に,(1)UPIと独自に製作した(2)自己肯定感尺度質問紙と(3)ポジティブ・イリュージョン尺度の3つの質問紙による調査を行った。その目的は,日本人のポジティブ・イリュージョンを検討することと,ポジティブ・イリュージョンと心身症状の関連を調査することであった。3つの領域から構成されるポジティブ・イリュージョン尺度の因子分析を行った結果,自己に対するポジティブ・イリュージョンにおいては社交性・知的能力因子,容姿因子,優しさ因子の3つの因子が,楽観主義ではポジティブイベント因子とネガティブイベント因子の2因子が,そして統制力に関しては努力可能因子と運因子の2因子が抽出された。また,自己肯定感尺度でも因子分析を行ったところ,充実感因子と自己価値観因子の2つが抽出された。ポジティブ・イリュージョンは容姿や知的能力には働いておらず,社交性ややさしさ因子や統制力,ネガティブイベントに対しては働くということが分かった。そして,UPIとそれぞれの因子の相関を調べたところ,相関関係は見られず,今回の研究ではポジティブ・イリュージョンと心身症状の関連は認められなかった。また,ポジティブ・イリュージョン尺度の各因子と自己肯定感尺度の因子との関係を見たところ,やはり自己肯定感とポジティブ・イリュージョンには正の相関があり,ポジティブ・イリュージョンが強いほど自己肯定感も強くなるということが言える。また,自己肯定感もポジティブ・イリュージョンにおいても,自分の評価だけではなく,他者との関係の影響を強く受けると考えられる。以上をふまえ,今後は心身の健康に関する質問紙を改良し,特に身体的健康とポジティブ・イリュージョンの関連をもう一度調査しなおしてみたいと思う。
著者
角丸 歩 山本 太郎 井上 健
出版者
関西学院大学
雑誌
臨床教育心理学研究
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.69-76, 2005-03-25

青年期における自殺や自傷行為についての現状を知ることは,大学生のメンタルヘルスを考えていく上で,重要な意味をなすと考えられる。そこで,本論文では大学生242名を対象とし行動化のみられやすいボーダーライン傾向と自己同一性確立の観点から,どのような学生が死を考えたことがあるのか,また自傷経験があるのかを,大学生における自殺と自傷行為についての認識を併せて報告するとともに,検討,考察した。今回の意識調査では,30.6%の学生が死のうと思ったことがあり,14.9%が自傷しようと考えたことがあると答えた。また,それらの考えは,いじめや家族の問題など,人間関係における悩みを持ったときに多く見られることがわかった。そして,自己肯定意識尺度からは,このような考えを持つ学生に,閉鎖的で人間不信の傾向があり,他人の目を気にしてしまうことで対人緊張が生まれ,自己表明も苦手でコミュニケーションが上手くできない傾向があることや,ありのままの自分を受け入れられず,自分のしたいことや在り方を見つけられていないと感じている傾向があること,それらによる充実感の低さがみられた。この状態は,自己同一性拡散の状態にあると考えられ,青年期にあたる大学生において,自己同一性拡散の状態にある学生には,ボーダーライン傾向を高く有している可能性があり,ボーダーライン傾向の高い学生の中でも,抑うつ気分優位型の者には死のうと思ったことのある傾向が強いこと,自己脆弱性優位型の者には自傷しよう,または自傷した経験がある可能性の高い,ことが考えられた。現代の大学生にとって自傷行為は,自己破壊行動の中でも自殺よりも身近に存在し,多くの学生が直面しうる問題であると考えられる。死ぬことや自傷を考えたことのある学生が約3割存在する事実,そして青年期にある大学生が自己同一性の確立と拡散の発達課題の段階にあることを考慮するならば,今後,大学生のメンタルヘルスをしていく上で自殺や自傷行為に関する問題はさらに研究を重ねていく必要性があるように思われる。
著者
高野 裕久 小池 英子 柳澤 利枝 井上 健一郎
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008

粒子状物質・エアロゾルやそれらに含有される化学物質の健康影響について、免疫細胞と気道上皮細胞への影響に注目し、実験的に評価した。その影響は、微小粒子・エアロゾルに含有される化学物質種により異なること、また、ベンゼン環数、官能基の有無やその種類、配置、酸化活性等が健康影響を規定する要因として重要であることも明らかにした。併せて、健康影響評価に有用なバイオマーカーを探索・同定し、健康影響発現メカニズムを分子レベルで明らかにした。
著者
井上 健夫
出版者
日本薬史学会
雑誌
薬史学雑誌 (ISSN:02852314)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.75-85, 2016 (Released:2020-08-16)

The first coloring known to have been used deliberately in Japan is the red of red-ocher rouge. This red is also the color of the sun and blood, so it seems natural that people in ancient times would have ascribed to it the magical properties of conferring long life and reviving the dead. In the Kofun period, which corresponds to the 3rd century A.D., many colors began to be used. The theory of Yin and Yang and the five elements, said to have been transmitted to Japan from China in the latter half of the 7th century, had a strong influence on color aesthetics in Japan. According to this theory, the five colors of blue, red, yellow, white and black are the primary colors, and are also imbued with symbolic meanings. Documentary evidence of the use of coloring in food is extremely scarce before the Edo period.The Shosoin text of the Nara period (8th century) contains references to soybean cakes and adzuki-bean cakes, so it is known that colored processed foodstuffs were eaten in some social strata such as the Imperial Court. In the Heian period (8-12th century), ceremonies became increasingly formal, and the rice, rice cakes, rice gruel and other foods eaten during them were colored with vegetable substances such as soy beans, adzuki beans, sesame and chestnuts. In the feudal society of medieval Japan (12-16th century), menus at samurai houses featured food coloring in foods eaten at ceremonies and formal meals. Records indicate that dishes colored with the five primary colors were served plated on turtle shells. Rice with red beans was also served in the Imperial Court during seasonal festivals on March 3rd, May 5th and September 9th. An anthology of old Chinese herbals -books describing the medicinal properties of plants- was compiled by Li Shi Zhen in Ben Cao Gang Mu. This work included mention of many plants such as madder, safflower, and gardenia, which are used not only as medicines, but for coloring as well. Therefore, it seems reasonable to assume that they were used to color food. Old Chinese herbals contain a good deal of information relating to the use of coloring. From the Edo period onwards, people began to enjoy the appearance of artificially colored food, as well as using it for symbolic, ceremonial purposes. Many books were written about cookery, and many of these mention adding coloring to a wide variety of foods including arum root, cakes, rice, rice gruel, dumplings and rice cakes. The pigments of madder, gardenia, turmeric, sappanwood, grapes, perilla, soy beans, adzuki beans and mugwort were used as food coloring. Many of these plants are used in processed foods today, and our study has shed light on their history as food coloring. In the latter half of the 19th century, synthetic coloring ingredients began to be used for coloring food in both Western countries and Japan, and coloring ingredient regulations began to be enforced in these countries. In 1900, the regulations for the control of harmful coloring ingredients were enacted in Japan. They listed harmful coloring not to be used for food. On January 1, 1948, the Food Sanitation Law was enacted and 22 coloring ingredients were listed as food additives. Since then, the specifications and use restrictions have been revised many times.
著者
井上 健二郎 吉田 光男
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.2H4OS3b02, 2023 (Released:2023-07-10)

インターネット広告の成長は著しく,中でもディスプレイ広告の日本国内の市場規模は,インターネット広告全体の3分の1を占める.ディスプレイ広告は画像とテキストで構成され,広告主は広告を通じて消費者と接触し,購買を促すことで売上収益を最大化する.商品の均質化とニーズの多様化が進む現代社会では,広告による消費者心理への訴求がますます重要となっている.しかし,どのような訴求が消費者心理に影響を与えるかは十分に明らかでない.本研究では,ディスプレイ広告の一つであるInstagram広告で実際に配信された,Health products(健康食品)とCosmetics(化粧品)の広告テキストを,LIWC(Linguistic Inquiry and Word Count)を適用することで訴求を定量化し,CTRとの相関を分析した.その結果,消費者の不安や危機感を喚起するネガティブな訴求がCTRと関係していることがわかった.
著者
井上 健 岩城 明子 黒澤 健司 高梨 潤一 出口 貴美子 山本 俊至 小坂 仁
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.435-442, 2011 (Released:2014-12-25)
参考文献数
16

先天性大脳白質形成不全症は, Pelizaeus-Merzbacher病 (PMD) を代表とする主に遺伝性の原因により大脳白質の髄鞘形成不全を特徴とする疾患群の総称である. これまでPMD以外の疾患については, 臨床および分子遺伝学的な分類が困難であった. しかし, ここ数年で新たな疾患概念の確立や疾患遺伝子の同定が進み, PMD以外の先天性大脳白質形成不全症に関する多くの知見が明らかになった. これらを加味した先天性大脳白質形成不全症の診断基準や疾患分類は, 臨床上有用と思われる. 本稿では, 先天性大脳白質形成不全症に関する研究班による成果による新たな診断基準や, この疾患群に含まれる11疾患の鑑別診断のためのフローチャートを含む疾患分類を中心に, 先天性大脳白質形成不全症に関する最新の知見をまとめた.