著者
大内 茂人 小谷 斉之 稲葉 毅 宮下 朋之 井上 健人
出版者
一般社団法人 日本UAS産業振興協議会
雑誌
次世代移動体技術誌
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.32-43, 2020

近年,急速に応用が広がっているドローンであるが,突風など悪天候時の飛行は困難である。このような問題を解決する手段としてローターのピッチ制御・回転速度の制御などが考えられるが,飛行を行うためのロータを飛行安定性のために使うことは墜落の要因となり得る。一方,高速で回転する円盤の力を利用して宇宙ステーションの姿勢制御,クレーン吊り荷や船の揺れ止めなどを行う CMG(コントロール・モーメント・ジャイロ)が知られている。本論文では,開発の第一ステップとしてロール軸方向のトルクを発生する CMG をドローンの姿勢制御に適用,実験を行った結果得られた顕著な効果を紹介する。
著者
井上 曜 吉田 浩之 井上 健太 塩崎 祐介 久保 等 藤井 彰彦 尾崎 雅則
出版者
一般社団法人 日本液晶学会
雑誌
日本液晶学会討論会講演予稿集 (ISSN:18803490)
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.45, 2011

コレステリック液晶は、光の波長サイズの螺旋周期構造を有することから、光の分布帰還を引き起こすため、色素を添加することで分布帰還型(DFB)レーザーとして利用できる。本研究では、コレステリック液晶薄膜中にネマティック液晶と色素を分散させた素子を作製し、電気的に屈折率を変調することでレーザー発振波長を制御した。さらに、波長制御の応答性について調べ、高速波長スイープレーザーへの応用の可能性を検討した。
著者
西澤 寛人 住吉 正孝 土屋 洋人 韋 靖彦 圓山 雅巳 岡井 巌 丸山 園美 岡崎 真也 井上 健司 藤原 康昌
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.S3_93, 2009

症例は90歳, 女性. 5年前より発作性心房細動のためベプリジル100mg/日内服していた. 心エコーで基礎心疾患なく心機能は正常範囲内であった. 2007年6月ころより下腿浮腫が出現, 近医よりフロセミド20mg/日の投与を受けていた. 2008年7月ころからふらつきが出現したため当院を受診した. 入院時心電図は心拍数65/分の洞調律, QT時間0.44 (QTc 0.46), V2~4に著明なU波を認めた. 入院後, 多形性心室頻拍 (PVT) が繰り返し出現, 硫酸マグネシウムおよびリドカイン静注によりPVTは抑制された. 血液検査でK 3.4mmol/Lと低カリウム血症を認め, ベプリジルを中止しカリウムを補正した後はPVTの再発はない.  ベプリジル投与中のPVT発症には明らかなQT延長を伴わない場合もあり, 血清カリウム濃度には十分に注意する必要がある.
著者
鷲崎 弘宜 萩本 順三 羽生田 栄一 関 満徳 小林 浩 丸山 久 井上 健 谷口 真也
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:21888825)
巻号頁・発行日
vol.2021-SE-207, no.42, pp.1-7, 2021-02-22

従来のソフトウェア工学は主として開発の効率化や品質の向上に重点を置いて様々な手法やプラクティスを積み重ねてきている.しかしビジネスや社会上の価値創造が求められる Digital Transformation (DX) 時代においては,様々な人々に寄り添う考え方や,新たな社会を構想する捉え方をソフトウェアの企画や開発,運用の中心へと組み入れることの重要性を増すと考えられる.筆者らはこの問題意識のもと,従来からの工学的な知識体系やプラクティスに加えて,人々の意識や価値観,感情をソフトウェアの開発運用において扱うことの重要性を認識し,DX 時代のビジネスや持続可能な社会へ貢献するソフトウェア工学体系を考察する活動 Software Engineering for Business and Society (SE4BS) を 2019 年から進めてきている.そこでは特に,人の根源的な心的要素として捉えられる知・情・意に基づいたソフトウェア開発運用および周辺の考え方やプラクティスの整理体系化と,価値を軸として開発を進める価値駆動プロセスの例示を進めている.本稿では,価値を軸として DX 時代に必要な考え方を概観したうえで,それに応えようとする SE4B の成果の概要を説明する.さらに成果に対する評価や反応として,アンケート回答やワークショップ実施時の意見および大学教育の成果を紹介する.そのうえで,評価や反応を踏まえ,関連研究との関係も含めて将来の展望を説明する.
著者
齊藤 燎 相川 勝 井上 健太郎 山森 一人
出版者
電気・情報関係学会九州支部連合大会委員会
雑誌
電気関係学会九州支部連合大会講演論文集 2019年度電気・情報関係学会九州支部連合大会(第72回連合大会)講演論文集
巻号頁・発行日
pp.368, 2019-09-19 (Released:2020-01-20)

近年、ネットワーク機器に対する攻撃は増加傾向にあり、攻撃を検知する手法としてNIDSが注目されている。NIDSに関して機械学習と組み合わせた研究が行われており、京都大学に設置されたハニーポッドへの通信をもとに作られたデータセットKyoto 2016 Datasetが多田らによって発表されている。機械学習において、学習に用いるデータに偏りがあると、識別精度も偏る傾向があり汎化性能が低下してしまう。汎化性能を上げるためには、学習用のデータは偏りなく、冗長性が無いデータが望ましい。本稿ではKyoto 2016 Datasetにおける冗長性と同一特徴量異ラベルデータについて報告する。
著者
角丸 歩 井上 健 篠崎 和弘 西山 等
出版者
関西学院大学
雑誌
臨床教育心理学研究
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.15-28, 2006-03-25

WHO(2002)によると,全世界のどこの国においても自殺は10位以内の死因であり,日本においても1998年に自殺者数が一挙に年間3万2千人を越えた。自殺の危険因子については,自殺者の90%以上が最期の行動に及ぶ前になんらかの精神疾患に罹患していたことが示されており,そのうち30.2%が気分障害と診断されている。自殺行為に至るまでには,必ずといっていいほど抑うつやうつ病を合併していると考えられ,うつ病は自殺行為と非常に密接な関係があると言える。そこで,本調査ではうつ病患者46名(男性17名,女性29名,平均年齢55.2歳(26〜93歳))を対象とし,執着気質と死に関する概念に着目し,自殺企図歴の有無により比較することで自殺企図歴を有する者に特有な性格傾向を検討した。なお,本研究の最終的な目的は,将来的に「近い未来に起こるであろう自殺を予測・予防するためのスケール」を作成することであり,その基礎的研究として本調査を行った。結果,死観では死の意味,HAM-Dでは罪悪感と病識,執着気質においては極端なことをするかどうかに自殺企図歴の有無を判別できる可能性が認められた。そして企図有,つまり自殺企図のリスクが高い者に見られる傾向としては,社会における自分の生死に意味を持たせるが,それが苦しみの解放につながるとは捉えておらず,死を怖れ回避する傾向があることがわかった。また,極端なことをしない性格であり,自身の病識を持ち,罪悪感が他の人よりも生じやすいような出来事を経験しているのではないかと見受けられた。また企図有は,病識や罪悪感などから生じる,死ぬしかないといった絶望感や,死んでも苦しみからは解放されないといった絶望感をもっているとともに,生きたいと願うアンビバレントな気持ちがあり,それが死への恐怖につながっていたり,自分の生死に価値があると思ったりする傾向に結びついていると考えられた。これらの結果は,自殺企図歴のある患者に限らず自殺のハイリスク者にも適用可能であると考えられ,このようなハイリスク者に特有の不変的な性格傾向や概念を把握することは,表面化しにくい自殺のサインを治療者や家族など周囲の人々が的確に捉える一助となり,自殺者を行為に及ぶ前に予防することが可能となるのではないかと考えられる。本研究のように,まずは医療機関において対処可能である患者から自殺予防を心掛けていくことは,たいへん意義のあることと思われ,ひいては社会全体の自殺予防につながると考えられる。
著者
三宅 康史 有賀 徹 井上 健一郎 奥寺 敬 北原 孝雄 島崎 修次 鶴田 良介 横田 裕行
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.5, pp.230-244, 2010-05-15 (Released:2010-07-02)
参考文献数
5
被引用文献数
5 12

目的:2006年調査に続き,さらに大規模な熱中症に関する全国調査を行い,本邦における熱中症の実態につきより詳細に検討した。方法:日本救急医学会熱中症検討特別委員会(現 熱中症に関する委員会)から,全国の救命救急センター,指導医指定施設,大学病院および市中病院の救急部または救急科(ER)宛てに,2008年用として新規に作成した調査用紙を配布し,2008年6~9月に各施設に来院し熱中症と診断された患者の,年齢,性別,発症状況,発症日時,主訴,バイタルサイン,日常生活動作,現場と来院時の重症度,来院時の採血結果,採血結果の最悪化日とその数値,既往歴,外来/入院の別,入院日数,合併症,予後などについての記載を要請し,返送された症例データを分析した。結果:82施設より913例の症例が収集された。平均年齢44.6歳,男性:女性は670:236,I度:II度:III度は437:203:198,スポーツ:労働:日常生活は236:347:244,外来帰宅:入院は544:332で,高齢者でとくに日常生活中の発症例に重症が多かった。スポーツ群では,陸上競技,ジョギング,サイクリングに,労働群では農林作業や土木作業に重症例が多くみられた。日常生活群では,エアコン/扇風機の不使用例,活動制限のある場合に重症例がみられた。ただ,重症度にかかわらず入院日数は2日間が多く,採血結果についても初日~2日目までに最も悪化する症例が大多数であった。後遺症は21例(2.3%)にみられ,中枢神経障害が主であった。熱中症を原因とする死亡は15例(1.6%)で,2例を除き4日以内に死亡した。考察:2006年調査とほぼ同様の傾向であったが,重症例の割合が増加し,活動制限のある日常生活中の老人がその標的となっていた。最重症例は集中治療によっても死亡は免れず,熱中症では早期発見と早期治療がとくに重要であるということができる。
著者
福井 淳一 井上 健太郎 向出 裕美 尾崎 岳 道浦 拓 徳原 克治 岩本 慈能 坂井田 紀子 植村 芳子 權 雅憲
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.223-229, 2014-04-01 (Released:2014-04-12)
参考文献数
10

症例は65歳の女性で,下血を主訴に前医受診し高度貧血を認めた.上部・下部内視鏡にても原因不明の消化管出血に対し,造影CTを施行し小腸に強い造影効果を伴う腫瘤を認めた.当院にて小腸カプセル内視鏡およびダブルバルーン小腸内視鏡を施行し,下部空腸に20 mm大のびらん・delleを伴う粘膜下腫瘍様の腫瘤を認めた.消化管出血を伴う空腸gastrointestinal stromal tumorと診断し腹腔鏡補助下小腸部分切除術を施行した.病理組織学的検査所見および免疫組織化学検査所見では中間悪性型の小腸glomus腫瘍であった.消化管原発glomus腫瘍は比較的まれで,そのほとんどが胃原発である.小腸glomus腫瘍は本邦では報告がなく英文報告でも2例しか報告されていない,極めてまれな疾患である.
著者
佐藤 悠 井上 健司
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.82, no.843, pp.16-00348, 2016 (Released:2016-11-25)
参考文献数
20
被引用文献数
1

A method for a six-legged robot of walking on terrain with various undulations by tripod gait is proposed. First the robot detects foot landing using touch sensors, and estimates the inclination angle of the ground from the landing positions; the estimated ground is called “reference ground”. Second the robot measures the inclination angle of its body using acceleration sensor. Then the legs move up and down so that the body may be parallel to and may keep a constant distance from the reference ground. If the robot encounters deep depressions or downward slopes, the robot suspends walking and actively inclines the reference ground. As a result the body inclines, and the swing leg goes further down. When the swing leg reaches the ground, the robot restarts walking. Due to the feedback gain of body orientation control, the robot does not respond to fine change of undulation. Hence the body keeps a constant orientation on short distance undulation or rugged surface, and gradually inclines its body on long distance undulation such as slopes and stairs. The ability of climbing up and down slopes and steps in longitudinal and transverse directions is evaluated by experiments. The maximum angle of climbing up slopes is 30 degree, and that of climbing down slopes is 40 degree. The maximum height of climbing up steps is 150 mm, and that of climbing down steps is 180 mm. The robot can also go through a bump of 125 mm width and 60 mm height.
著者
井上 健 井上 高良 出口 貴美子
出版者
独立行政法人国立精神・神経医療研究センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

ある同一の遺伝子内の異なる変異が、異なる表現型を呈する別個の疾患の原因となる現象をアレル親和性と呼ぶ。アレル親和性の分子基盤の理解には、各疾患の分子病態の解明が必要である。我々は、転写因子SOX10の変異が、アレル親和性効果によりWS4とPCWHの2つの異なる疾患を引き起こすことを明らかにし、in vitroでの分子病態解析により、SOX10におけるアレル親和性の分子基盤を明らかにしてきた。本申請では、さらにBACトランスジェニックマウスの手法を用いてPCWHの組織細胞レベルでの分子病態を明らかにし、in vivoでのSOX10アレル親和性の分子基盤を明らかにした。
著者
本田 真広 岡村 宏 井上 健 前川 剛志
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.9, pp.717-722, 2014

症例は80歳の女性。畑作業中に土手から3m下の川に転落し,呼吸苦と左胸痛を訴え救急搬入された。来院時,左気胸と肺挫傷による低酸素血症を認め,胸腔ドレナージの後に人工呼吸管理とした。誤嚥による呼吸器感染症が懸念されたため,抗菌薬はsulbactam/ampicillin(SBT/ABPC)を投与した。第3病日に急激に肺炎が重症化し,DICおよび敗血症性ショックに陥った。同日,喀痰からグラム陰性桿菌が検出され,<i>Aeromonas</i>属が最も疑われるとの報告を細菌検査室より受けた。抗菌薬をmeropenem(MEPM)およびciprofloxacin(CPFX)に変更し,第5病日にはショックから離脱することができた。覚醒後の詳細な問診の結果,崖下の川に顔をつけ河川水を誤嚥していたことが判明し,第5病日の喀痰培養で<i>Aeromonas hydrophila</i> 3+(Geckler 5)が確定した。人工呼吸器からの離脱に難渋したが,第23病日に抜管し,第63病日に転科となった。河川水誤嚥による劇症型肺炎の際には<i>Aeromonas</i>属感染の発症も念頭に置き,fluoroquinoloneおよびcarbapenemの投与を検討すべきである。