著者
俵 敏弘 武山 佳洋 葛西 毅彦 岡本 博之 上村 修二 井上 弘行 諸原 基貴 江濱 由松
出版者
市立函館病院
雑誌
函館医学誌 = Hakodate medical journal = Hakodate medical journal (ISSN:09100725)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.37-40, 2018-10-31

グリホサート・界面活性剤含有除草剤(glyphosatesurfactant herbicide;GlySH)は雑草枯死目的で用いられ,入手も容易であり,本邦では自殺目的の服用が多数報告されている1)。主な中毒作用としてはグリホサートによる腎機能障害や代謝性アシドーシス,界面活性剤による粘膜刺激・消化管腐食作用,肺障害,心筋抑制等が知られている2)。 今回我々は喉頭浮腫をきたした重症グリホサート中毒を4例経験したので,その病態および治療等について,文献的考察を加えて報告する。
著者
井上 弘明 高橋 文次郎
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.487-501, 1990
被引用文献数
11

1980~&prime;88年にわたり, 静岡県沼津市西浦久連の山田寿太郎氏園に栽培されている&lsquo;Zutano&rsquo;, &lsquo;Bacon&rsquo;およびFuerte&prime;を用いて, 結実習性や収量構成要因について調査した.<br>1. 果実は3品種とも6月下旬から8月中旬にかけて急速に肥大し, その後は8月中旬よりゆるやかとなるS字型生長曲線を示した. 種子の生長は6~10月までみられ, 11月以降は緩慢となった.<br>2. 落花(果)には3品種ともに二つの波相がみられた. 第1次波は大部分が花で落下し, 5月上旬から6月上旬まで, 第2次波は幼果で落下し, 5月下旬から7月下旬であった. 花に比べて幼果の落下数は少なかった.<br>3. 枝の伸長は1番枝, 2番枝ともに5月中旬から急速に行われ, 6月下旬以降は緩慢となった.<br>4. 落葉波相には二つの山がみられ, 第1次波は5月中旬から6月中旬に, 第2次波は8月中旬から9月下旬であった.<br>5. 花房は無限花序と有限花序に分かれ, その比率は&lsquo;Zutano&rsquo;では無限花序が高く, &lsquo;Bacon&rsquo;や&lsquo;Fuerte&rsquo;では隔年または2年ごとにそれらが交互に変化した.<br>6. 結果部位を8型に分類した. 3品種とも発育枝に生ずる枝と着花枝に生ずる枝は, 隔年ごとに交互に入れ代わって結実を繰り返した. 枝の種類では夏枝や1番枝の結実分布比率が高く, 結果母枝では頂芽や第2節の比率が高かった.<br>7. 全開花数に対する結実比率は0.038%以下であったが, &lsquo;Fuerte&rsquo;, &lsquo;Zutano&rsquo;, &lsquo;Bacon&rsquo;の順に高かった. 収量は隔年ごとに異なり, とくに, 低温の年は結実数および収量が少なく, 果実も小さかった.<br>8. 花芽は1~2月の最低気温(-2.5&deg;~-3.5&deg;C)の遭遇時間が長くなるほど枯死するものが多かった.<br>9. わが国のアボカド栽培の障害は, 厳寒期の最低気温と開花時の低温であり, その対策としては栽培地の選択, 耐寒性品種と台木の選抜&bull;育成が重要と考えられる.
著者
宇野 重規 谷澤 正嗣 森川 輝一 片山 文雄 石川 敬史 乙部 延剛 小田川 大典 仁井田 崇 前川 真行 山岡 龍一 井上 弘貴 小野田 喜美雄
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

研究の二年目にあたる平成30年度は定例の研究会を続け、通史的な視点の確立と全体的枠組みの決定を目指した。その目的は、共和主義、立憲主義、リベラリズムを貫く座標軸を見定めることにあった。この目的に向けて、まずは18世紀における共和主義と立憲主義の関係について集中的に検討を行った。その成果は、社会思想史学会において分科会「アメリカ政治思想史研究の最前線」を企画し、石川敬史が「初期アメリカ共和国における主権問題」報告することにつながった。この報告は主権論に即して、初期アメリカにおける思想対立をヨーロッパの思想との連続性において捉えるものであった。第二にプラグマティズムとリベラリズムの関係についても考察を進めた。具体的には研究会を開催し、研究代表者である宇野重規が「プラグマティズムは反知性主義か」と題して報告を行なった。これはプラグマティズムをアメリカ思想史を貫く反知性主義との関係において考察するものであり、プラグマティズムの20世紀的展開を検討することにもつながった。さらに小田川大典が「アメリカ政治思想史における反知性主義」と題して報告を行い、アメリカ思想史の文脈における反知性主義について包括的に検討した。さらに上記の社会思想史学会においては、谷澤正嗣が「A・J・シモンズの哲学的アナーキズム」と題して報告を行っている。これは現代アメリカのリベラリズム研究におけるポイントの一つである政治的責務論において重要な役割を果たしたシモンズの研究を再検討するものである。人はなぜ自らの政治的共同体に対して責務を負うのか。この問題を哲学的に検討するシモンズの議論は、アメリカ思想におけるリベラリズムと共和主義の関係を考える上でも重要な意味を持つ。シモンズを再検討することも、本年度の課題である通史的な視点の確立に向けて大きな貢献となった。
著者
眞下 達 塩谷 亮太 井上 弘士
雑誌
研究報告システム・アーキテクチャ(ARC) (ISSN:21888574)
巻号頁・発行日
vol.2020-ARC-240, no.32, pp.1-11, 2020-02-20

動的スクリプト言語は幅広い分野で利用されているものの,その実行時オーバーヘッドが大きな課題となっている.動的スクリプト言語を処理する仮想マシンでは一般に,実行時にさまざまな要素を動的に解決する必要がある.特に,仮想マシン上のオペランドの処理では多くのメモリ・アクセスを必要とし,それが実行性能を下げる大きな要因となっている.このオーバーヘッドを削減するために我々は OFAR (Operand Fetching And Remapping)と呼ぶ手法を提案する.OFARは,(1) オペランド値の浮動小数点物理レジスタ (FPPR: Floating-Point Physical Register) へのマップと,(2)オペランド番号のフロントエンドによるフェッチの,2つから成る.一般に,仮想マシンの大分部は整数命令によって実装されており,FPPR の大部分は使用されていない.これを利用し,通常はメモリ上に置かれる仮想的なオペランドの値を FPPR にマップする.これにより,オペランド・アクセスに伴うメモリ・アクセスの多くを省略することができる.また一般に,仮想命令のオペランド番号は基本的には不変であり,命令コードと同様に演算の結果により書き換わることがない.これを利用し,通常はバックエンドで読み出されるオペランド番号を,命令フェッチと同じようにしてフロントエンドで読み出す.これにより,オペランド番号をロードするための命令が省略されることに加え,早期にオペランド番号が得られることによりレイテンシを削減する.
著者
田中 雅光 藤巻 朗 井上 弘士
出版者
公益社団法人 低温工学・超電導学会 (旧 社団法人 低温工学協会)
雑誌
低温工学 (ISSN:03892441)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.323-331, 2017-09-20 (Released:2017-10-27)
参考文献数
50

The recent trend and perspectives for high-performance microprocessors based on superconductor single-fluxquantum (SFQ) logic families are described. The rapid single-flux-quantum (RSFQ) and its energy-efficient derivatives are promising as a next-generation digital circuit technology for very-large-scale integration in the post-Moore's era because of the capability of ultrahigh-frequency operation over 100 GHz and low energy consumption. Several ongoing research projects as well as results reported, including several demonstrations of SFQ-based microprocessors and their components, are reviewed.
著者
井上 弘樹
出版者
公益財団法人 史学会
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.125, no.8, pp.61-87, 2016

本稿では、一九六〇年代から七〇年代の台湾での寄生虫症対策と、そこでの日本の医療協力に焦点を当て、医学分野において日台関係が再構築される過程を分析した。従来の研究では、一九四五年から一九五〇年代の台湾医学界の様々な場面に植民地期からの連続性が確認され、一九五〇年代から六〇年代にかけては、「米援」の下で台湾医学界の「アメリカ化」が進み、医学体系の「脱日本化」が図られたことが指摘されている。その一方で、一九五〇年代以降に日台医学界の関係の再構築が進展したことは等閑視されている。当該時期の日台の医学分野における関係の再構築をめぐる本稿の議論は、中国国民党政権と「米援」の下で台湾医学界の脱植民地化が進む中で、日本がそこにどう関わったのかという問題に通じる。<br>一九五〇年代以降、米援の下で台湾の医学制度や組織の「アメリカ化」が進展したことは確かである。ただし、それは必ずしも台湾と日本の医学界の関係断絶を意味せず、特に戦前の人的関係に支えられた学術交流という場面で、日台医学界の関係は再構築された。この関係は、一九七〇年頃に政府間の制度化された医療協力へと移行する。寄生虫症対策に限れば、当時の台湾では米援終了や国際機関からの寄生虫症対策支援の中止、及び疾病対策の変化に伴い、寄生虫症対策の技術や資金が不足していた。一方の日本は、寄生虫症対策の経験を生かした海外医療協力を推進し始めた時期にあった。<br>こうした状況下に始まる日本の医療協力は、環境衛生改善を中心とする台湾の従来の寄生虫症対策から、学校保健を基盤とする定期的な集団駆虫政策への転換を後押しした。ただし、台湾医学界でも回虫症研究や対策が着実に進められており、その成果は医療協力を含む寄生虫症対策に生かされた。他方、日本の寄生虫学界は、台湾での医療協力を通じて東アジアに再び活躍の場を見出し、その成功経験はその後の日本の寄生虫学の世界展開に繋がった。
著者
宇野 重規 小田川 大典 森川 輝一 前川 真行 谷澤 正嗣 井上 弘貴 石川 敬史 仁井田 崇
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究はアメリカ政治思想史を、共和主義と立憲主義という視点から捉え直そうとする試みである。その際に、建国の思想から、19世紀における超越主義とプラグマティズム、20世紀におけるリベラリズム、リバタリアニズム、保守主義へとつながる固有の思想的発展と、マルクス主義やアナーキズムを含む、ヨーロッパからの思想的影響の両側面から検討することが大きな主題であった。3年間の検討をへて、ヨーロッパの王政に対する独特の意識が、アメリカ共和政とそのコモン・センスに対する信頼を生む一方で、政府権力に対し個人の所有権の立場から厳しい制約を課す立憲主義を発展させてきた、アメリカ思想の弁証法的発展が明らかにされた。
著者
山下 洋一 井上 弘一 中村 昇一 二川原 淳志 森 保 中尾 亮 伊坪 徳宏
出版者
日本LCA学会
雑誌
日本LCA学会研究発表会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.29-29, 2008

建築内装材料「壁紙」のうち塩ビ系壁紙(製品シェア96%)のインベントリ分析を実施中。原材料、製造、流通・施工、使用(居住環境)、廃棄(リサイクル等)の各段階での構成要素の確認と原単位の確認および調査を実施。この範囲でインベントリ分析に取組むのは初の試み。21年度末までに第一段階の統合化を図る予定。20年度内はカーボンフットプリントに注目、二酸化炭素排出量に絞り研究した経過報告を行う。
著者
松井 隆博 井上 弘一 中村 昇一 二川原 淳志 森 保 坂井 広志 鳥海 臣吾 山下 洋一 中尾 亮 松村 年郎 山口 博司 伊坪 徳宏
出版者
日本LCA学会
雑誌
日本LCA学会研究発表会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.51-51, 2011

塩ビ壁紙が環境へどのような影響があるのかをLIME2によって評価を行った。影響カテゴリーとして地球温暖化と室内空気質汚染等を対象とした。温暖化については1次データにもとづく業界代表値インベントリーを作成し評価した。室内空気質汚染については、パッシブサンプラー法による壁紙の放散量試験を行い、ホルムアルデヒドの放散量からLIME2により人間健康への影響を試算した。
著者
稲富 雄一 井上 弘士
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.14, no.6, pp.201-202, 2016 (Released:2016-01-31)
参考文献数
2

Power is the most important resource on the next-generation supercomputers, and they will be operated under power constraint. Therefore, there is a need to maximize performance of HPC application under power constraint. To do such optimization, we've developed and reported a method to improve performance by power allocation for each processor, which is called the variation-aware power budgeting. In this study, we carried out large-scale performance evaluation of a proposed method for two mini-applications related to molecular science, Modylas-mini and NTChem-mini. As a result, our method can improve their performance under power constraint up to 1.99 times speedup compared to conventional power constraint.
著者
福本 尚人 佐々木 広 井上 弘士 村上 和彰
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.101-111, 2012-05-29

本稿では,マルチコア・プロセッサの性能向上を目的としたヘルパースレッド実行法を提案する.マルチコア・プロセッサの性能向上阻害要因として,メモリウォール問題の顕著化がある.これに対して,プロセッサ・コアを「演算用」だけでなく「メモリ性能向上用」に用いることで,性能向上を目指す.メモリ性能向上用のコアでは,プリフェッチを行うヘルパースレッドを実行する.提案方式では,コア間の同期などによりアイドルとなったコアを活用しヘルパースレッド実行を行う.さらに,メモリ性能がボトルネックとなる場合,並列プログラムを実行するコアを減らしてヘルパースレッドを実行する.これにより,プログラムの特徴に応じてメモリ性能向上用のコア数を変更することで,演算性能とメモリ性能の間の適切なバランスをとる.提案方式をシミュレータを用いて評価した結果,従来の全コア実行に対して最大で42%の性能向上を達成した.This paper proposes the helper threads management technique for a multicore processor, and reports its performance impact. Integrating multiple processor cores into a single chip, can achieve higher peak performance by means of exploiting thread level parallelism. However, the memory-wall problem becomes more critical in multicore processors, resulting in poor performance in spite of high TLP. To solve this issue, we propose an efficient helper threads management technique. Unlike conventional parallel executions, this approach exploits some cores to improve the memory performance. In our evaluation, the proposed approach can achieve 42% performance improvement to a conventional parallel execution model.
著者
立石 亮 井上 弘明 山木 昭平
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.586-592, 2001-09-15
被引用文献数
3 17

アボカド果実の軟化における各種グリコシダーゼの役割についてはほとんど知られていない.そこで, アボカド果実の軟化に伴う数種のグリコシダーゼ活性を測定した.β-ガラクトシダーゼ, α-L-アラビノフラノシダーゼおよびβ-グルコシダーゼ活性は果実の成熟に伴って上昇し, 特に, β-ガラクトシダーゼ活性の変動は果実の軟化と一致した.疎水性クロマトグラフィーおよび陽イオン交換クロマトグラフィーによってβ-ガラクトシダーゼは3つのアイソフォームに分画され, これらをAV-GALI, AV-GAL IIおよびAV-GAL IIIとした.AV-GALIおよびAV-GALII活性は, 果実の追熟中のどのステージからも検出され, また, ほとんど変化しなかったのに対して, AV-GAL III活性は, 採取後4日目の果実ではじめて検出され, 果実の軟化に伴って増大した.アボカド果実の細胞壁から調整した4つの多糖類画分に対しての各アイソフォームの反応特性を調べたところ, AV-GALIおよびAV-GAL IIと比較してAV-GAL IIIはグアニジンチオシアン酸塩(GTC)可溶性の多糖類から, D-ガラクトース単糖を効果的に遊離した.AV-GAL Iは4つの多糖類画分のどれからも, D-ガラクトースを遊離することはできなかった.従って, アボカド果実における3つのβ-ガラクトシダーゼアイソフォームのうち, AV-GAL IIIがアボカド果実の軟化に最も重要な役割を果たしていると考えられる.
著者
橋口 慎哉 福本 尚人 井上 弘士 村上 和彰
雑誌
先進的計算基盤システムシンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.306-315, 2011-05-18

本稿では,3 次元積層 DRAM の利用を前提とし,大幅なチップ面積の増加を伴うことなく高いメモリ性能を達成可能な新しいキャッシュ・アーキテクチャを提案する.3 次元積層された DRAM を大容量キャッシュとして活用することで,オフチップメモリ参照回数の劇的な削減が期待できる.しかしながら,その反面,キャッシュの大容量化はアクセス時間の増加を招くため,場合によっては性能が低下する.この問題を解決するため,提案方式では,実行対象プログラムのワーキングセット・サイズに応じて 3 次元積層 DRAM キャッシュを選択的に活用する.ベンチマークプログラムを用いた定量的評価を行った結果,提案方式は動的制御方式で平均 15% の性能向上を達成した.