著者
今井 健男 酒井 政裕 萩谷 昌己
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.2_207-2_226, 2013-04-25 (Released:2013-08-25)

本稿では,プログラムの事前条件推定を行う新たな手法を提案する.本手法では,プログラムのテキストから生成した述語の集合とプログラムに相当する論理式,および事後条件の否定の連言を作り,そのMinimal Unsatisfiable Core(MUC)から事前条件を求める.MUCは一般的に複数存在するが,本手法ではまずMUCを列挙し,その中から事前条件として適格で,かつ最も弱い条件を選択する.こうして得られる事前条件は理想的な最弱条件ではないが,与えられた述語群の組み合わせの中で最も弱いという点で,我々はこれを「準最弱」な事前条件と呼ぶ.我々は,C言語向け有界検査ツールCForgeを援用し,上記手法を実現するツールSMUCEを試作した.その上で,教科書的なアルゴリズムを実装するC言語関数9個に,2種類の事後条件と共に適用し,人手で求めた事前条件との比較による評価を行った.結果,延べ18個中10個において,人手で求めた事前条件と同等か,より弱い条件が推定され,提案手法が原理上,実用的な事前条件を推定できることが確認できた.
著者
三谷 知広 土井 俊祐 横田 慎一郎 今井 健 大江 和彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.2N3J1303, 2019 (Released:2019-06-01)

誤った患者からの採血は再検査や誤診などの原因となり,提出された検体の0.1%〜0.3%に発生すると言われている.検体検査結果のチェック機構としては、各項目が前回値とどの程度変化したかを比較するデルタチェックと呼ばれる手法が広く用いられているが,その精度は十分とは言えない.当院における実際の採血結果から人工的な取り違えデータを作成し,主に前回値との差を特徴量として機械学習モデルによる取り違えの検出システムを構築した.デルタチェックによるROC AUCは0.9408であったのに対し,XGBoostによる最終モデルにおけるROC AUCは0.9986であった.
著者
藤本 滋 今井 健嗣 一木 正聡
出版者
公益社団法人 日本設計工学会
雑誌
設計工学 (ISSN:09192948)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.567-582, 2017 (Released:2017-09-05)
参考文献数
17

Electrical power generation devices that use piezoelectric lead zirconate titanate (PZT) have been developed to convert mechanical energy given by structural vibration into electrical energy. This paper describes an analytical and experimental study conducted to clarify the power-generation characteristics of the laminated PZT element doped with Nb 1.0 mol% under vibration loads and to examine optimal layer number of the laminated PZT element. In the analytical study, theoretical formulas on the power generation characteristics of the PZT element under the vibrational loads are derived by considering the equivalent circuit model consisting of the laminated PZT element. Optimal layer number deduced from the theoretical formula is 11 layers, and 11-layers PZT elements are produced in order to investigate the power-generation characteristics. In the experimental study, the effects of the number of layers of the laminated PZT element, the loads and frequencies on the power-generation characteristics of the laminated PZT element are evaluated by vibration tests. The experimentally obtained results are in good agreement with the values obtained theoretically and the validity of the theoretical formulas to vibration force of the laminated piezoelectric element was confirmed. Further, the optimal layer number of the laminated PZT element is confirmed to be 11 layers.
著者
山縣 友紀 古崎 晃司 今井 健 大江 和彦 溝口 理一郎
出版者
The Japanese Society for Artificial Intelligence
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
2016

Linked Data is a promising technology for knowledge integration on the web. Many research groups have developed ontologies and terminologies, and recently, they have published a wide variety of Linked Data in the biomedical domain. We have systematized an ontology of abnormal states in the definition of diseases. For effective use of existing biomedical data, one of the difficulties is a conceptual discrepancy rather than a superficial one since data are heterogeneous. This article focuses on knowledge integration with Linked Data in terms of abnormal states. First, we discuss ontological issues of reusing and integrating knowledge of abnormal states in existing biomedical resources. Next, we introduce our ontology of abnormal states. By using our ontology and making explicit the meaning of each concept, we show a solution for the integration. Then, applying a Linked Data technology, we introduce a prototype system to link our ontology as a hub of existing resources across species. In cooperation with disease ontology, we demonstrate finding commonality of causal relationships of abnormal states between diseases across clinical departments. Our approach will bring benefits to fill the gap between basic research and clinical medicine, and contribute to disease knowledge integration of good practice.
著者
落合 邦康 今井 健一 田村 宗明 津田 啓方
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

Epstein-Barrウイルス(EBV)再活性化や感染細胞の異常増殖がおこり伝染性単核球症や上咽頭がんなどが発症する。われわれは、歯周病原細菌の代謝産物である酪酸がEBVの再活性化に必須である最早期遺伝子ZEBRAの発現を転写レベルで誘導する事を見出した。ZEBRAは他のウイルス蛋白やRNAの発現を誘導しEBV関連疾患を引き起こすことから、歯周病がEBVを再活性化し口腔毛様白板症やがんおよび重度の歯周病の進展に深く関与している可能性を示唆している。また、ラットを用いた実験により、歯肉に接種した酪酸が長時間組織に停滞し、ミトコンドリアに強い酸化ストレスを誘導することが判明した。
著者
今井 健彦
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学水産学部紀要 (ISSN:0453087X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.p1-9, 1994-12
被引用文献数
1

This paper deals with flow-profiles around an enlarged solid model of netting which was set into an experimental flume tank on every half angle of Θ, (range from 0 to 3Θ of setting angles), to clarify flow distribution around the model. In this case Θ means the angle of attack when mesh-hall faded out from the projective plane. A thin film flow-meter with corn shaped probe was used in the experiment. Measurements were carried out on 110 fixed points, 24 points around mesh, and 5 points inside mesh-halls at every attack angles on a horizontal plane. The flow-speed was maintained at 10 cm/s, and Reynolds number at 1.9×10^3. From the resultant profiles, the fluid-dynamical force acting on each leg was similar with the case larger than 3Θ of attack angles.
著者
丸地 康平 今井 健男 太田 暁率 片岡 欣夫
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE)
巻号頁・発行日
vol.2009-SE-166, no.18, pp.1-8, 2009-10-29

派生開発では,既存のテスト資産を活用しテストケースを作成する.ゆえに,テスト工程の質を保証するには,テスト資産のテストケースの不足や冗長を見つけるテストケース評価技術が重要となる.ミューテーションテストはテスト評価技術であり,テスト削減に有効であることが知られる.しかし,時間コストを要する技術であり,システムテストへの適用は困難である.本稿では,派生開発のシステムテストに対し,ミューテーションテストの適用方法を提案する.適用実験により,提案方法がミューテーションテスト自体に要する時間の削減や,テストケース不足の発見に有用であることを示す.
著者
山縣 友紀 国府 裕子 古崎 晃司 今井 健 大江 和彦 溝口 理一郎
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

異常状態は,故障や不具合を扱う上で様々な分野を横断して扱うべき重要な概念 である.本研究では,異常状態に関する知識についてオントロジー工学に基づい た考察を行う.異常状態の属性,特性記述とそれに基づく階層構築の枠組みを汎 用レベルからコンテキスト依存レベルまで提案するとともに,その応用として, 臨床医学分野における疾患の多様な異常状態の記述への適用について検討する.
著者
テイラカラタネ ラール 今井 健 柳田 洋吉
出版者
岐阜大学
雑誌
岐阜大学農学部研究報告 (ISSN:00724513)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.37-53, 1998-12-26

米はスリランカの主食であり,家族農業経営によって担われた水稲栽培はほかの食用作物の栽培に比べ,スリランカの気候条件にマッチしているため優位性がある。また稲作部門は全人口の10%以上をしめる季節労働者を雇用しているが,全ての商品作物の中で単位面積当たりの労働時間がもっとも少ない。1997年の8月,アヌラダプラ地域の110戸の農家を対象とした調査でスリランカの水田農業における様々な実態を明らかにした。本研究の主要な結果は次の通りである。1.アヌラダプラ地域の世帯主の57%は,年齢が40歳以下であり,この地域の農家は若い人が多いことを示している。また,農家の人々の本業は,伝統的農村では94%は農業であり,新入植農村ではそれは73%で月日入植農村では83%となっている。農業以外に商業などの自営を行う人が近年では増加している。2.アヌラダプラ地域の一戸当たり平均耕地面積は3.7acre(1.48ha)であり,一戸当たりの水田面積は2.2acre(0.88ha)で,したがってこの地域は60%は水田である。また,栽培作物の構成は,水稲65.1%,その他畑作物などが34.9%であり,水稲の割合がもっとも高い。3.伝統的農村の4acre(1.6ha)以上の大きな農家についてみると,そのうちの48%は様々な形態の借地となっている。たとえば,分益小作,抵当システム,政府所有地の借入れなどである。大規模農家は小規模農家からの借地が容易に行えるため,農地を購入するより安価な借地の方が多く借地に様々な形態がある。4.稲作の費用の48%は労働費で占められている。労働力利用方式には,家族労働力,共同手間替え,お手伝い,雇用労働,請負耕作賃労働など,様々な様式がある。農繁期にはどの農家も労働力が不足しており,雇用労働や農家同士の共同作業や協力して助け合うことで労働力を補充している。そのため,このような様々な様式がある。5.標準的な稲作農家(2.5acre(1.6ha)経営)の1シーズン1acre(0.4ha)当たりのコストは約1万4千ルピー(2万8千円)であり,利潤は約6325ルピー(1万2650円)である。新規参入農家には政府が規定する最低規模2.5acreを保証し,標準的な稲作農家としている。一般的な他産業就業者の利潤は5000ルピー(1万円)程度で,標準的な稲作農家の利潤は2635ルピー(5270円)で比較すると他産業就業者の半分程度の利潤しか得られていない。