著者
熊本 忠彦 伊藤 昭 海老名 毅
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.6, pp.1114-1123, 1994-06-25
被引用文献数
16

筆者らは,自然言語を用いた対話によってユーザ(computer user)の計算機利用を支援する対話型ヘルプシステムの構築を行っている.ユーザは,通常は計算機上でタスク(task)を進めるが,何らかの障害/問題が生じたとき,ヘルプシステムに音声で支援を求めることができる.ヘルプシステムは,ユーザの音声発話を理解し,その時々の状況に合わせて適当な応答を生成する.ヘルプシステムにユーザ発話を理解させるためには,音声処理技術だけでなく,話し言葉の特性に対応した言語処理技術も要求される.我々は,ヘルプシステムの代わりに人間アドバイザが支援するという擬似的な「対話による支援」実験を行い,ユーザの音声発話を収録し,ユーザ発話データベース(書き起こしテキスト)を作成した.また,その書き起こし文を解析し,支援要請発話(アドバイザに支援を要請するための発話)の特徴を調べた.本論文では,その解析結果に基づいて,ユーザ発話意図の記述形式を定義し,発話文から発話意図を認識する手法(発話意図記述を生成する手法)を提案する.
著者
大木 典雄 望月 茂喜 伊藤 昭浩 阿部 文昭 小川 修 保坂 陽之助 秋山 稔 持田 泰秀
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.4, no.6, pp.19-22, 1998
被引用文献数
2 2

The seismic isolation retrofit of the main building of the National Museum of Western Art required excavating the foundation ground under the existent building and installing isolation devices beneath the existing footings. Before the installation of isolation devices, it was necessary to construct piles beneath the existing footings in order to support the weight of the building temporarily during excavation process. The piles were made of steel pipe segments, and were driven by oil jacks utilizing the weight of the building for reaction force. During the retrofitting process, the subsidence of the building supported by the piles were monitored and controlled to avoid causing damage to the superstructure.
著者
小嶋 秀樹 伊藤 昭
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.482-489, 1997-03-15

本論文では,単語間の意味距離を文脈依存的に計算する手法を提案する.各単語は,英語辞書から抽出された多次元ベクトルとして,意味空間と呼ばれるベクトル空間における点に写像される.文脈から独立した意味距離は,このベクトル間の距離として計算すればよい.文脈に依存した意味距離は「意味空間のスケール変換」によって計算する.文脈の手がかりとして単語(キーワードなど)の集合が与えられると,この単語集合が均整のとれた分布を持つように,意味空間の各次元のスケールを拡大・縮小する.このスケール変換によって,意味空間における任意の2単語間の距離は与えられた単語集合の意味的な分布に依存した値となる.先行テキストに基づく後続単語の予測によって本手法を評価した結果,本手法が先行テキストの文脈をよくとらえていることを確かめた.
著者
伊藤 昭
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 = Cognitive studies : bulletin of the Japanese Cognitive Science Society (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.77-87, 1999-03-01
被引用文献数
6

Recently, mindreading ability is the topic of intensive investigations, fired by the “Theory of Mind” research by Premack & Woodruff. Few researchers, however, tried to define “mindreading” algorithmically. We mindread other people everyday, and think we know what mindreading really is—e.g. to reproduce in ourselves the “thought” existing in other's mind. Unfortunately, this definition cannot be applied for machine systems. Even for human beings or animals we cannot examine the thought in other's mind directly, and there is no method to verify the coincidence. We propose a definition of “mindreading” independent of the inner representation (thought) of mindreaders and mindreads. Next, Multi-player Prisoner's Dilemma Game (MPD) is proposed as a task where mindreading is expected to be effective for the survival of the players. Computer simulation shows “(by our definition) mindreading programs” are actually acquired through evolution in the MPD society. Lastly the validity of our definition of mindreading, the implication of our definition, and condition for the emergence of mindreading are discussed.
著者
村松 崇 坪井 直哉 吉田 幸彦 小椋 康弘 鈴木 博彦 山下 健太郎 海野 一雅 嶋野 祐之 松下 邦洋 七里 守 竹澤 博人 平山 治雄 伊藤 昭男 外山 淳治
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.71-77, 2004

症例は65歳男性.慢性腎不全,下壁心筋梗塞の既往あり.慢性心不全の増悪で入退院を繰り返していた.2002年徐脈性心房細動のためVVIペースメーカー植え込み術を施行された.その後2003年3月から心不全が再増悪し,ドブタミン持続点滴から離脱困難となった.来院時BNPは1560,心エコー上LVDd78mm ,LVEF26%であった.両室ペーシング(BiV)の急性効果を検討したところ右室ペーシングと比較して,LVdP/dt maxが約41%改善した. 後日BiVへのupgrade手術を施行. 術後心不全は著明に軽快しドブタミンから容易に離脱可能となった.術後6日目にCL320msの非持続性心室頻拍(10連発)が1度のみ認められた.メキシレチン200mg/日を開始したところ以後心室頻拍は認められないため退院となった。退院後心不全症状はなく経過良好であったが2カ月後自宅で午睡中に突然心肺停止状態となり死亡した.経過から致死的不整脈が死因と考えられた.うっ血性心不全に対するBiV治療においてはICD機能付き両室ペースメーカーを必要とする症例が存在するが,その鑑別が重要と考えられる.
著者
若菜 伸一 永井 利明 阪田 裕司 関口 英紀 伊藤 昭夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.137, pp.49-53, 2001-06-20

磁気ディスク装置の高性能化が進展しており、磁気ヘッドの開発においては高周波特性の把握が重要となっている。書き込み磁界の挙動を間接的に評価する技術として、ヘッド磁極部の高速な磁化状態の変化を光学的に観測するシステムを開発したので報告する。本システムは磁化状態を磁気カー効果による偏光回転を利用して検出し, ストロボサンプリング法により時間的変化を観測する。また、レーザ照射位置をスキャンすることにより、任意タイミングでの磁化状態分布を観測することも可能である。空間分解能0.2μm、時間分解能70ps、測定帯域5GHzを実現している。本システムの活用により、磁気ディスクヘッドの開発促進が期待される。
著者
伊藤 昭博 平井 剛
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

細胞のがん化におけるタンパク質SUMO化の役割を、ケミカルバイオロジー的手法を用いて明らかにすることを目的とした。これまでに複数のSUMO化阻害剤の同定に成功した。その中でもspectomycin B1のようなSUMO E2を阻害する低分子化合物は抗乳がん剤として有望であることを示した。さらに、SENP1阻害剤は低酸素微小環境下のがん細胞の生存に重要な転写因子HIF-1αの活性を減少させることを見出した。加えて、スプリットルシフェラーゼの原理を応用したHTS可能なSUMOとSIMの結合を測定可能なアッセイ系の構築に成功し、SUMO-SIMの結合を阻害する世界初の小分子化合物の同定に成功した。
著者
加藤 ひろの 伊藤 昭治 西尾 恵一 村林 麻紀 脇坂 さおり
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.362-375, 2014-03-01

日本社会の高齢化が進む今,公共図書館では高齢者の利用増加や高齢者サービスの必要性が語られるが,その一方で高齢者サービスの理念や手法が現場で確立しているとはまだ言い難い。そこで,高齢者サービスには何が必要なのか探るため,公共図書館での高齢者の利用実態やニーズを知ることを目的として,都市近郊と地方の双方から対象館を選び,統計分析や図書館訪問調査を行った。その結果,高齢者の利用は人口構成比と比べればまだ少ないこと,利用実態としては小説の利用の多さなどに特徴はあるが,地域性や性別などにより異なり多様であること,などが分かり,一人一人に細やかに応えるサービスの必要性が明らかになった。
著者
寺田 和憲 川合 直裕 山田 誠二 伊藤 昭
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

縁起担ぎとは,真の因果が存在しないにもかかわらず,特定の行為を行うことで良い結果を期待することである.本研究では,縁起担ぎを探索と搾取のトレードオフの観点からモデル化し,心理実験によって,以前に行われたタスクの成功率が高い場合には,たとえ明らかにタスクの成否に関係なくても無意識に同一の行動を選択し,成功率が低い場合には,異なる行動を選択する傾向があることを検証した.
著者
伊藤 昭 寺田 和憲
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

心を読むことに基づくコミュニケーションを計算機に実装可能なアルゴリズムとして検討した。主要な成果は、次のとおりである。1.心を読むコミュニケーションの発生要件を「非零和ゲーム状況=利害が完全には一致しないが協調を必要とする状況」と定式化し、人工的にその状況を生成することで、嘘やだましを含む心を読むことによるコミュニケーションを創発させた。2.人が(人工物を含む)対話相手に心属性を付与する条件を、外見要因、行動要因の2面から調査した。また、心を読むことによるコミュニケーションの創発におけるメタ信号を役割を、身振りをコミュニケーションメディアとして用いて分析した。
著者
伊藤 昭 松田 健治 石垣 誠 小嶋 秀樹 矢野 博之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎
巻号頁・発行日
vol.98, no.503, pp.15-21, 1999-01-18
被引用文献数
2

自然な対話においては, アイ・コンタクトは不可欠な要素である.しかしながら, これまでその役割はあまり良く調べられてこなかった.そこで我々は, アイ・コンタクトのとれる遠隔対話(TV電話)装置を開発し, 人がどのくらいの精度で視線方向を検出できるのかを本装置を用いて調べてみた.その結果, 人は約4度の精度で視線方向を検出可能であり, これまでのTV電話(会議)システムでは視線が一致しないという印象を裏付た.次に, アイ・コンタクトの効果を調べるため, 様々な条件下で睨めっこ実験を行なってみた.その結果は, 人は視線方向は検出できても, アイ・コンタクトが成立しているかどうかは判断できない, という意外なものであった.
著者
寺田 和憲 岩瀬 寛 伊藤 昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.95, no.1, pp.117-127, 2012-01-01
被引用文献数
2

哲学者Dennettは人間が他者の振舞いを理解し予測するために意図,設計,物理の三つのスタンスを使い分けているとし,哲学的論考によってその妥当性を示した.しかし,人間が本当にそのようなスタンスを使い分けているかどうかは定かではなく心理学的研究によってその存在が証明されているわけではない.そこで,本研究では,スタンスを科学的に定義し,実際に振舞い理解において用いられているかどうかを検証するために三つの心理実験を行った.まず,Dennettのスタンスをアニメーション化し,アニメーションに対する被験者の印象記述を分析することで,振舞い理解のための四つの言語的概念カテゴリーを明らかにした.次に,60個の様々な対象の振舞いを参照基準として用いることで,四つのうち三つの言語的概念カテゴリーがDennettのスタンスと近いものであることが分かった.しかし,Dennettの主張のような原理帰属による理解がなされているという直接的証拠は得られなかった.議論から,実際の振舞い理解においては振舞いの性質が注目され,意図,決定,受動,複雑の四つの概念的カテゴリー化が行われていると結論づけた.