著者
塩谷 雄二 寺澤 捷年 伊藤 隆 嶋田 豊 喜多 敏明
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.615-623, 1998-03-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
23
被引用文献数
1

アトピー性皮膚炎は東洋医学的に風湿熱・血熱・血虚・〓血などと捉えられている。一般に温清飲, 治頭瘡一方, 消風散, 十味敗毒湯, 越婢加朮湯, 白虎加人参湯, 駆〓血剤などの方剤が広く用いられているが, 成人型のアトピー性皮膚炎の治療は容易ではないというのが実状である。これまでアトピー性皮膚炎の治療とされているものでは, アトピー性皮膚炎に特有の皮膚の乾燥症状 (ドライスキン) が改善されないことが多く臨床上の課題である。今回, 治療に難渋していた乾燥性紅斑型の5症例に対して加減一陰煎加亀板膠の加減方に転方したところ奏効が得られた。加減一陰煎加亀板膠は養血潤燥, 養陰生津, 養陰清熱の働きがあり, 皮膚の炎症だけでなく, ドライスキンも改善され, ステロイド外用剤の離脱が比較的容易にできた。アトピー性皮膚炎患者の皮膚はドライスキンによってバリアー機能が障害され, 汗, 衣服, 掻破などの機械的な刺激, あるいはダニなどの環境アレルゲン因子に対して敏感になっている。そのため, 治療としては消炎だけでなく, ドライスキンも改善しなければ, アトピー性皮膚炎の治療とはならない。ドライスキンは表皮角層の水分量の減少が主因であり, 治療上考慮されなければならない重要な側面であると考える。
著者
[斎藤隆夫著] 伊藤隆編
出版者
中央公論新社
巻号頁・発行日
2009
著者
香山俊秋 橋爪厚 伊藤隆二
巻号頁・発行日
no.16, pp.131-148, 1972 (Released:2011-09-30)
著者
伊藤 隆康
出版者
新潟大学経済学会
雑誌
新潟大学経済論集 = 新潟大学経済論集 (ISSN:02861569)
巻号頁・発行日
no.83, pp.83-90, 2007-09

OISは日銀が量的緩和政策を解除した06年3月頃から徐々に取引が増え始め,06年7月のゼロ金利解除以降,取引残高と件数がともに拡大傾向となった。07年に入ってからは,日銀の追加利上げ観測を背景にOIS市場は活況を呈した。07年5月現在でOIS取引に参加しているのは,欧州系を中心とした外資系の金融機関が大半であるが,一部の邦銀や証券会社の参加も若干観測されている。TIBORやユーロ円の金融先物取引を用いても,市場が日銀の政策変更をどの程度予想しているかを分析することは可能である。しかし,OISの決定会合間取引は次回の決定会合までの翌日物金利の予想をベースに取引するため,他の金融商品と比較した場合,市場が予想している金融政策変更に関する情報を得るにはより適していると考えられる。
著者
伊藤隆
出版者
法政大学大原社会問題研究所
雑誌
大原社会問題研究所雑誌
巻号頁・発行日
vol.2007年(8月), no.585, 2007-08-25
著者
薗田 将樹 山本 昇伯 髙田 敦子 菊地 学 田宮 大介 遠藤 良二 伊藤 隆
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.155-160, 2018

<p>東洋医学的治療が有効であったうつ病の3症例を報告する。3症例とも同一職場(全17名)の職員。症例1は46 歳男性,勤続20年。主訴は抑うつ,不眠。症例2は28歳女性。勤続9年。主訴は嘔気,気分不良。症例3は41歳男性,勤続15年。主訴は焦燥感,不眠,抑うつ。3症例に対して抑肝散および抑肝散加陳皮半夏で加療し,症状の改善がみられた。今回,処方選択において3症例が同一の職場環境であることを考慮した。抑肝散には母子同服という服用法が伝えられている。また,精神神経分野にて情動伝染(Emotional Contagion)という情動の共有システムがHoffman(1984)により提唱されている。総合的に考えると母子同服は情動伝染を考慮した経験的治療法であり、同一職場のような同じコミュニティ内でも応用可能と考察した。本症例のように,同一職場内の情動伝染を考慮した職場内同服は有用である可能性がある。</p>
著者
杉山 智美 斉藤 真理子 市川 智美 内山 けい子 熊谷 美智世 松葉佐 智子 工藤 裕子 小西 雅子 稲垣 順一 伊藤 隆 渋川 祥子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成24年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.155, 2012 (Released:2012-09-24)

【目的】近年、土鍋に対する関心が高まっている。その一方で、炊飯や冬期における鍋物のみといった限定的な活用をする消費者も少なくない。土鍋と一般的に使用されている金属鍋では材質や形状が異なり、土鍋独自の特性を有することが予測される。そこで、土鍋のさらなる活用を目的とし、煮物・蒸し物調理における土鍋の加熱調理特性について検討を行った。 【方法】市販されている一般的な土鍋と金属鍋を用い、加熱条件(火力および加熱時間)を同じとし、煮物・蒸し物調理における加熱過程および調理物の仕上がりの比較を行なった。加熱過程は、耐熱内視鏡カメラによる鍋内の煮汁等の観察、サーマルカメラによる遠赤外線量の測定および鍋内部・食材中心部の温度計測を行なった。調理物の仕上がりについては、テクスチャー(煮くずれ、硬さ)および味(調味液の浸透度合い、グルタミン酸量)を機器測定するとともに、官能評価を実施した。 【結果】加熱過程において、金属鍋では煮汁中に不規則に大きな泡が発生したが、土鍋では鍋表面の突起等が沸騰のきっかけとなる規則正しい細かい泡が観察された。加熱時の遠赤外線量は、土鍋のほうが多く、本体および蓋からの放出が見られた。食材の中心部温度は、土鍋では金属鍋に比べ温度上昇が遅く、酵素活性が高い温度帯をゆっくり通過した。金属鍋では消火直後から鍋内部温度が低下したが、土鍋では一定時間温度上昇が継続し高温を維持した。その後の温度低下も緩やかだった。調理物の仕上がりについては、土鍋では煮くずれが少なく、硬さは軟らかい傾向が見られた。また、調味液の浸透度合いが高く、グルタミン酸量も多かった。以上の結果から、煮物・蒸し物調理における土鍋の優位性が示唆された。
著者
嶋田 豊 藤永 洋 引網 宏彰 後藤 博三 伊藤 隆 古田 一史 三潴 忠道 寺澤 捷年
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.437-443, 1998-01-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
8
被引用文献数
1

四肢や腰の痛み・脱力感・しびれ・冷えを有する37例を対象に, 八味地黄丸の有効性及び適応病態について検討した。その結果, 4週間投与における全般改善度の改善率は55.9%であり, 痛み・脱力感・しびれ・冷えの改善率は各々44.8%, 39.3%, 59.1%, 31.8%であった。60歳以上は60歳未満に比べて, しびれの改善が有意に優っていた。また, 投与後に「髪の毛が薄い, 抜けやすい」,「目がかすむ, 疲れる」,「大便が固い」,「手が痛い」,「足がしびれる」,「手が冷える」,「足が冷える」の各症状で有意の改善がみられた。さらに, 有効群と無効群に分けて検討したところ,「聞こえが悪い」の症状において, 有効群が無効群に比べて有意に程度が強いという結果が得られた。以上の成績は, 高齢者の手足腰の痛み・脱力感・しびれ・冷えに対する腎虚を目標とした八味地黄丸による治療の有効性を示すものと考えられた。
著者
大橋 広好 根本 智行 伊藤 隆之
出版者
ツムラ
雑誌
植物研究雑誌 (ISSN:00222062)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.50-54, 2003-02
被引用文献数
1
著者
伊藤 隆 寺澤 捷年 桧山 幸孝 三潴 忠道 土佐 寛順 今田屋 章
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.199-206, 1987-01-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
17
被引用文献数
4 1

金匱要略所載の赤丸を料として, 80症例 (延87例) に投与した。赤丸の処方構成は茯苓, 烏頭, 細辛に桂枝または半夏を加えるとされている。その有効例, 無効例の解析を行ったところ, 桂枝の加わった赤丸料により高い有効性が得られた。赤丸料は“表”に主座をもつ病変に比較的有効であるが, 有効率を高めるためには鳥頭を一日2g以上用いることが必要であることが示唆された。脈候・腹候に本方に特徴的な所見は得られなかったが, 電気温鍼法による負荷試験で20分以上を示すことが必要条件である。また自覚的には身体の寒さを異常に訴えるもの, 易疲労を伴うものに適応となるものが多い傾向が示された。金匱要略には「寒気厥逆」とのみその適応病態が記されているが, 今回の研究により本方の適応病態がより具体化されたものと考える。
著者
木村 容子 佐藤 弘 伊藤 隆
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.22-28, 2018 (Released:2018-07-04)
参考文献数
20

片頭痛の治療では発作時の痛みだけでなく,ストレス,月経,疲れなど誘発・増悪因子の治療も重要である。陰虚証で過度の疲労や寝不足,更年期症状などが重なると気血両虚を背景として月経後期に頭痛が起こるがある。全体の経血量が多くない場合でも月経2-3日目で比較的多く出血した後,月経4-5日目から起こる頭痛に補気補血作用のある十全大補湯が有効な症例を経験した。症例1から4を具体的に提示する。症例1では日々の服用を温経湯から十全大補湯に変更し,他の症例では月経期間の7日間のみ,十全大補湯を当帰四逆加呉茱萸生姜湯に追加(症例2)あるいは当帰芍薬散から十全大補湯に変更(症例3-4)した。十全大補湯で月経後期の頭痛が改善した9症例では,冷え(9/9例),易疲労感(9/9例)や乾燥症状(7/9例)を認めた。月経後期の片頭痛には十全大補湯が有効な場合があるが,投与量や服用期間は気血両虚の程度で調整する必要がある。