著者
上垣 華穂 李 奇子 佐々木 直樹 石井 三都夫 古岡 秀文 廣川 和郎 成澤 昭徳 山田 一孝
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.77-81, 2011

子牛の肺炎診断を目的に,11頭の子牛に対して立位で胸部側方向像のComputed Radiography(CR)撮影を行った。撮影条件の失宜による取り直しはなく,全例で肺後葉の観察が可能であった。今回の基礎的検討では,肺後葉の病変の摘発が可能であったが,前葉の病変は描出できなかった。この結果から,子牛の胸部におけるCR診断は肺炎のひろがり診断,重症度判定に有効と考えられた。
著者
佐々木 直文 佐藤 直樹
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.279, 2010

特定の種における複数の環境型を同時に解析することにより、これらのゲノムで共通な仮想的なゲノムの構造を知ることができる。これらのゲノムは、「ゲノムコア」と呼ばれるゲノム間で共通に保存されているシンテニー・ブロックと、HGTによる遺伝子の出入りが確認される、「ゲノムアイランド」領域のモザイク構造になっていることが知られているが、従来の遺伝子の隣接関係に基づく組み合わせ探索の方法では、非常に近縁であるこれらのゲノム間において、ゲノムアイランド領域とゲノムコアのゲノム上での再構成単位を同時に可視化することは難しかった。我々はこれらを可視化することが可能な「位置プロファイル法」を開発した。前回の報告では我々の開発した位置プロファイル法による、シアノバクテリア16種間の解析結果を報告した。本発表では、本手法の近縁ゲノム間の解析への活用事例として、拡張したデータセットによる手法の評価と既存法との比較、およびシアノバクテリア36種での解析と根粒形成菌の近縁種間の解析によって明らかになった、近縁ゲノム間のゲノムの構造的進化とその働きについて報告する。
著者
佐々木 直文 佐藤 直樹
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.59, 2009

近縁種ゲノムを比較するとゲノムが構造的に安定的な領域(core domain)と流動的な領域(flexible domain)が見いだされる。このうち流動的な領域はゲノムの安定的な構造の間にパッチ状に存在しており、遺伝子の水平移動(HGT)に関連した遺伝子が存在していることが知られている。一方、安定的な領域は遺伝子の並びが比較的保存され、機能的、構造的にゲノムのコアになっていることから、ゲノム再編成の解析に有効であると考えられる。本研究では、進化的に近縁である海洋性シアノバクテリア14種についてゲノム比較を行い、ゲノムの安定的な領域における遺伝子間の距離関係の情報を解析した。その結果、これらの安定的な領域が7つの仮想的な連鎖グループ(VLG)から構成されていることが明らかになった。さらに、これらのVLG間の位置関係を解析した結果、それぞれのVLGが複製開始領域(ori)を基準として決まった位置関係を持っていることが分かった。これらの結果は、ゲノムコア領域がゲノム再編成の情報を持っていることを示唆している。
著者
佐々木 直亮
出版者
The Japanese Society for Hygiene
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.954-963, 1990-12-15 (Released:2009-02-17)
参考文献数
30

Prospective epidemiological studies of blood pressure in a high-salt population in northeastern Japan were investigated along with dietary habits such as miso soup, rice, apple, fish, milk and sake consumption as well as smoking habits.Blood pressures of the populations in 3 villages were determined once or twice a year by mass surveys from 1954, 1957 or 1958 through 1975. The means and transitions of the personal blood pressure were calculated by regression analysis of the data obtained during each entire period.The number of persons was 1127 males and 1369 females and the response rate was 98.7 percent. The average number of times of determination of blood pressure for a person was 12.9.Stepwise multiple regression analyses were run with the means and transitions of systolic and diastolic blood pressure as the dependent variables and the life styles of the population in 1958 as an independent variable based on data of persons whose blood pressures were determined 5 or more times during the entire period. According to the backward stepwise method this study confirmed the positive relationship of age and sake drinking and the negative relationship of apple eating habits to blood pressure.
著者
佐々木 直美
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:21894825)
巻号頁・発行日
no.12, pp.1-7, 2019-03-29

本研究は、配偶子提供を受けて生まれた子どもに対して、親が出自を伝えるか否かの意思決定に関連する心理的要因について大学生を対象として調査したものである。データは自由記述によって収集し、内容分析を行った。その結果、積極的に伝えようとする理由には、「真実を子どもが知ることによる親子関係の崩れに対する懸念」があり、伝えるつもりがない、あるいは子どもが知りたいと願った場合にのみ伝えるという人々は、「真実を知りたいという子ども自身の意思にゆだねたい思い」があった。本結果と先行研究から、子どもへのテリングに関して親が先送りしたい、あるいはためらいがあるかもしれないことを支援者は理解しておくことが必要である。また、提供を考える段階から子育ての全期にわたって、支援者が受容的な態度で、ニーズに応じた相談をいつでも受けられるようなシステムを作ることが望まれる。
著者
佐々木 直之輔
出版者
Japanische Gesellschaft für Germanistik
雑誌
ドイツ文學 (ISSN:03872831)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.57-66, 1981-03-31 (Released:2008-03-28)

"Literaturgeschichte als Provokation der Literaturwissenchaft“ von H. R. Jauß hat nicht nur in Deutschland, sondern auch in Japan Anregungen gegeben. Sein Ausgangspunkt ist, daß sowohl der marxistischen Literaturforschung als auch der formalistischen der Gesichtspunkt "Leser“ fehlt. Nach W. Iser "besitzt das literarische Werk zwei Pole, die man den künstlerischen und den ästhetischen Pol nennen könnte“. Der künstlerische Pol bezeichnet den vom Autor geschaffenen Text und der ästhetische die vom Leser geleistete Konkretisierung. Durch die Konkretisierung entsteht zwischen dem Text und dem Leser ein drittes, das unbestimmt ist. Der Ort des literarischen Werks liegt also, wo Text und Leser zur Konvergenz gelangen.Im Hinblick auf den geistigen Hintergrund der Rezeptionszeit behandelt der vorliegende Aufsatz die Hölderlinrezeption in Japan. In der Meiji-Zeit, wo die europäische Kultur in Japan aufgenommen wurde, hat zuerst der junge Philosoph Teiho Koyama in seinem Aufsatz "Cho gendai to“ (wörtlich: Partei der Gegenwartsüberwindung) Hölderlin genannt und mit ihm eine Art Gespräch geführt. Koyama zählt Hölderlin zu den Überwindern der Gegenwart und möchte, daß solche Persönlichkeiten auch in Japan erscheinen.Erst in der Taisho-Zeit hat die eigentliche Hölderlinforschung, die auf der deutschen Philologie beruht, in Japan angefangen. Viele Germanisten haben Aufsätze über Hölderlin geschrieben. Auf die Entstehung einiger dieser Aufsätze hat "Das Erlebnis und die Dichtung“ von W. Dilthey großen Einfluß ausgeübt. Damit hat sich die geistesgeschichtliche Methode in Japan entwickelt.In der Showa-Zeit hat sich die Hölderlinforschung entfaltet. Es gab neben Abhandlungen von Germanisten über Hölderlin auch viele Erörterungen von Nicht-Germanisten über ihn. Shizuo Ito hat unter seinem Einfluß Gedichte geschrieben. Von diesen Rezeptionen ist die von Yojuro Yasuda die interessanteste, der den kulturellen Traditionalismus behauptete und 1935 die konservative nationalistische Zeitschrift "Nihon roman ha“ begründete. In dem klassischen Geist Hölderlins, der in Griechenland sein Ideal sieht, findet Yasuda den klassischen Geist der Dichter des "Manyo-shu.“ Natürlich bleibt es eine Frage, ob diese Aneignung gelungen ist.Die erste Phase der Rezeption in der Meiji-Zeit und die in der Showa-Zeit sind in ihren Versuchen sehr subjektiv und scheinen deschalb sehr problematisch. Die Rezeptionsgeschichte beruht auf der "Logik von Frage und Antwort“. Wir müssen also die Antworten von Koyama und Yasuda wieder in Frage stellen und die Fragen, die sie gestellt haben, wieder auf Hölderlin zurückbeziehen.Die Anfangsstufe der Hölderlinforschung endet um 1950, und danach wird die Forschung bis heute ununterbrochen fortgesetzt. Die vierbändige Gesamtausgabe Hölderlins in japanischer Übersetzung, bei der mehr als zehn Hölderlinforscher mitgewirkt haben, kann als Erfolg dieser Forschung betrachtet werden, und Herr Tomio Tezuka erreichte mit seinem zweibändigen "Hölderlin“ den Höhepunkt der Forschung Japans.Die einzelnen Forschungen nach 1950 sind in ihren Themen und Methoden so verschiedenartig, daß sie schwerlich zusammenzufassen sind, was diese Rezeptionszeit charakterisiert.
著者
宮崎 友香 佐々木 直
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.1075-1084, 2010-11-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
12

本症例は52歳女性のパニック障害の既往歴のない広場恐怖を併発したメニエール病患者で,内耳治療,向精神薬服用により心身症状が軽快したが,向精神薬を減薬すると不安や身体症状が悪化し,減薬ができないまま経過していた.そこで,認知行動療法のうちエクスポージャーによる回避行動の消去,認知再構成法による身体症状を過剰に危険なものととらえる認知の変容などを行った.その結果,維持・増悪要因となっていた予期不安が改善し,広場恐怖が消失したため心身症状の顕著な改善に至り,薬物療法の終了が可能になったと考えられた.本症例によって,心理社会的要因が関与するメニエール病に対する認知行動療法の有効性が示唆された.
著者
大年 真理子 佐々木 直樹
出版者
島根大学
雑誌
島根大学教育臨床総合研究 (ISSN:13475088)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.91-104, 2013-08-20

本研究は, 中学校の合唱における発声指導について, 中学生の発声傾向の分析および発声器官の働きに関する研究をもとに, 女声低声部(アルトパート) の発声に重点をおいた効果的な指導法を考案するものである。中学生の発声に関する調査をもとに, 大学院「学校教育実践研究」として行った, 合唱のアルトパートを対象とした指導実践を報告し, 分析と考察により,女声低声部の効果的な発声指導の一案を提示した。
著者
山本 亮 佐々木 直美 中島 由美 橋本 康子 伊勢 昌弘 吉尾 雅春
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.B0277-B0277, 2005

【はじめに】<BR> 今回,脳梗塞による注意障害は徐々に改善し,院内生活では問題とならなくなったが,自動車運転において障害が表面化し,結果的には運転を断念した症例を担当した.その注意障害を,テスト上や院内生活時と自動車運転時との差について検討し報告する.<BR>【症例紹介】<BR> 46歳女性,右中大脳動脈領域の広範な梗塞により,左片麻痺・半側空間無視を呈した.発症後約2ヶ月で当院へ転院,理学療法を開始した(以下,初期評価時).発症後4ヶ月頃より1ヵ月半かけて自動車学校にて教習を4回行った.教習終了時では,Brunnstrom stage左上肢2・下肢3,感覚障害は中等度鈍麻であり,日常生活自立度はFIMにて101点で,清拭動作と階段昇降で3~4点,その他は6~7点と自立レベルであった.<BR>【注意障害の変化について】<BR> 半側空間無視:初期評価時は,線分抹消テストでの消し忘れは無かったが,院内生活において左側の部屋や人・物を見落とす場面を認めた.教習終了時には院内生活での空間の障害はみられなくなった.しかし自動車運転時は,左折時に左折した先の左車線を見落とし,大きく膨らんで反対車線に侵入する等を認めた.<BR> 選択性の障害:初期評価時は,日常動作が会話等で容易に中断される場面が多く認められたが,教習終了時の院内生活では行動の一貫性は保たれ特に問題は見られなくなった.自動車運転時では,車の発車時に周囲の確認ばかりを行い,自分でなかなか動き出せない等を認めた.<BR> 分配性の障害:Trail Making Testでは,初期評価時Part A 1分45秒,Part B 4分30秒,教習終了時Part A 1分18秒,Part B 3分5秒と改善を認めた.院内生活では,調理場面にて複数の動作を並行して行えるようになった.自動車運転時では,ハンドル操作に集中すると足でのペダル操作がおろそかになる等の場面を認めた.<BR> また,4回の教習にて運転動作の向上は認められたが,注意障害の改善はほとんど認められずに同じ失敗を何度も繰り返し,最終的に教官の判断にて運転を断念した.<BR>【考察】<BR> 方向性注意については,院内生活には身体動作や時間の余裕があり,意識付けにより代償しているが,自動車運転時では動作が重複することや時間の経過が速いことから,その代償が十分に行えないのではないかと考えた.<BR> 全般性注意については,自動車運転時は院内生活に比べ,対象とする「空間の広さ」や必要となる「情報量の増加」と,その「情報処理の速さ」が同時に要求されるために,注意障害があたかも増悪したような結果になったと思われる.<BR> これらのことより,院内だけで評価やアプローチを行うには注意機能面だけにおいても限界があり,自動車運転などのように,より実際的な場面での評価の重要性を認識させられた.
著者
佐々木 直人
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

制御性T細胞(Treg)は、病的な免疫応答を抑制することにより、動脈硬化性疾患において抑制的に働くことが示された。また、マウスにおいて、全身でTregの数を増やしたりその抑制能を増強させることにより、動脈硬化の進行は抑制され、一旦形成された動脈硬化病変は退縮し、大動脈瘤形成は抑制されることが明らかになった。
著者
田村 太志 三国谷 淳 三上 雅人 佐々木 直裕 佐々木 正則 小野寺 庚午 渡辺 和重 沢井 通彦 及川 光雄 大池 弥三郎
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.23, no.10, pp.1165-1170, 1991

患者は55歳,男性.長期にわたり過量のアルコールを連日のように摂取していた.昭和63年11月中旬,前胸部圧迫感あり.胸部X線写真で心拡大,心電図上で心房粗動がみられ,拡張型心筋症として近医院で治療を受けていた.平成元年1月4日,雪かき中に動悸出現.心拍数210/分の心室性頻拍がみられ,嘔吐後,心室細動となった.電気的除細動後,心拍数50/分の接合部調律に回復したが,精査のため,当科に転入院となった.当科入院時,血液ならびに生化学的検査に明らかな異常所見はみられなかったが,左心室の拡大ならびに低収縮性が著明であった.心臓電気生理学的検査,右心室心内膜生検所見からは刺激伝導障害を伴う拡張型心筋症の病態が考えられた.しかし,長期にわたる大量のアルコール摂取歴があることからアルコールによる心筋障害を疑い,断酒させた上で利尿剤や強心剤を中止して経過を観察したところ,臨床症状,臨床所見のみならず心筋組織にも明らかな改善が認められた.以上から,拡張型心筋症に近似する疾患の診断においては,アルコール性心筋症をも考慮し,アルコール摂取の有無を注意深く聴取することが必要と思われた.
著者
佐々木 直美
出版者
広島国際大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

高齢者を対象として、グループで短期心理支援法を実施した。テーマは過去・現在・未来について、全3回で行った。その結果、実施後において、主観的幸福感が低い人は主観的幸福感が上昇した。また抑うつ感が高い人は抑うつ感が低減した。また自己概念については実施前後で差はみられなかった。
著者
南塚 信吾 下斗米 伸夫 加納 格 伊集院 立 今泉 裕美子 佐々木 直美 木畑 洋一 橋川 健竜 小澤 弘明 趙 景達 山田 賢 栗田 禎子 永原 陽子 高田 洋子 星野 智子
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、1980年代の世界史を、いわば輪切りにして同時代史的に分析し、それを一つの有機的に繋がる世界史として認識する視座と方法を探り出すことを目的とした。そして、まず、現代に繋がるグローバルな諸問題を確認した。それは、(1) グローバリゼーションの過程の始まり、(2) ネオリベラリズムの登場とIMFモデルの神格化、(3) 市民社会論の台頭、(4) IT革命、(5) 大量の人の移動などである。次いで、このグローバルな問題に対応して、世界の諸地域での根本的な変化を確認した。そして、アフリカやラテンアメリカでの構造改革から始まり、中越戦争、アフガン戦争、イラン革命の三つの変動を経て、ソ連や東欧での社会主義体制の崩壊、イスラーム主義の登場と湾岸戦争などにいたる世界の諸地域の有機的相互関係を析出した。