著者
赤堀 摩弥 藤浪 正子 川田 典子 佐藤 圭子 小嶋 由美 中村 美詠子 尾島 俊之
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.34-43, 2018 (Released:2018-05-12)
参考文献数
9

【目的】静岡県は他自治体と比較して脳血管疾患死亡率が高く,食塩摂取量も多い。そこで,脳血管疾患対策の1つとして,5年で5%の減塩を目指す「減塩55プログラム」に取り組むこととし,県民の食塩摂取状況の把握ができるチェック票を開発,減塩推進活動に活用することを目指した。【方法】静岡県保健所栄養士のヒアリングによる質的データ,静岡県民102人を対象とした24時間蓄尿データより推定した食塩排泄量及び食物摂取頻度調査票(短縮版)データ等に基づいて,チェック票を開発,さらに,特に減塩をすすめたい働き盛り世代を対象としたリーフレット「ふじのくに お塩のとりかたチェック」を作成した。【結果】チェック票合計点と推定食塩排泄量の間には,有意な正の相関(Pearson相関係数0.402)がみられた。チェック票より3段階にランク付けした場合,各群の平均推定食塩排泄量はおのおの 6.8 g,8.7 g,12.2 gであった。リーフレットは70,000部以上が希望のあった県内の健康保険組合,事業所,医療機関,県栄養士会,薬局,教育機関,保育所等に配布され,県内全ての市町,健康福祉センターで活用されている。【結論】本チェック票は食塩摂取の簡易なスクリーニング・ツールとして使いやすいものとなったため,現在静岡県内の健康教室,イベント等さまざまな場面で活用されている。今後も本チェック票を活用し,静岡県における減塩対策を進めていく予定である。
著者
吉田 昭仁 久郷 信俊 石田 憲治 佐藤 圭司 黒田 真生
出版者
公益社団法人 日本マリンエンジニアリング学会
雑誌
マリンエンジニアリング (ISSN:13461427)
巻号頁・発行日
vol.38, no.10, pp.696-702, 2003-10-01 (Released:2010-05-31)
参考文献数
6

Most of industrial plants such petrochemical plant, LNG plant, and power plant, usually use water for the process cooling. Especially, in a large industrial plant, a large amount of seawater is used as the cooling media, and finally discharged to sea area through a seawater discharge basin.The seawater discharge basin has a weir to keep the sufficient backpressure of the seawater cooling system. In the seawater discharge basin, the seawater overflows the weir and falls down into the seawater flow at the downstream of weir. Then, the air is entrained into the seawater at the downstream of weir due to the waterfall flow and air bubbles with various sizes and shapes are generated in seawater.From the viewpoint of an environmental conservation, it is often required to eliminate air bubbles contained in cooling seawater discharged from industrial plants to sea area. There is a de-aeration chamber as a technology to separate these bubbles from the discharged seawater.To perform the optimum design of the de-aeration chamber, it is important to grasp the volume and size distribution of air bubbles generated in the seawater by the waterfall flow at the weir, and a terminal velocity of air bubbles rising in seawater.Therefore, in this study, the terminal velocities of any bubble in swarm of air bubbles rising in stagnant seawater, were measured in the region of low void fraction.
著者
佐藤 圭 関 良明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. SPT, セキュリティ心理学とトラスト
巻号頁・発行日
vol.2015, no.15, pp.1-6, 2015-05-07

現在日本では観光地の混雑が社会的に大きな問題となりつつある.観光地の混雑による観光客の時間的損失や疲労度は観光の質に大きく影響を与えるものである.適切な混雑状況を提供することによって,最適な観光地の選択を支援し観光の質を高めることができる.そこで,観光客の利便性向上を目指して,混雑状況を適切に分析するシステムの実現を目指している.そのためには,混雑状況を簡便に分析する手段を確立する必要がある.本稿では,その手段の一つとして Twitter の即時性とデータ量に着目し,ツイート内の位置情報に関するキーワードから混雑状況の予測を行う予備実験を行い,その有効性を考察する.
著者
河内 明夫 冨重 恵利紗 江崎 文則 都 亮一 中川 みか 園田 純一郎 鳴海 恵子 佐藤 圭創 本屋 敏郎
出版者
日本社会薬学会
雑誌
社会薬学 (ISSN:09110585)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.27-32, 2013-12-10 (Released:2015-06-26)
参考文献数
12

As of 2011, about 12.8 million people in Japan had osteoporosis, which is a social issue in that it increases the number of patients who are bedridden or require residential care and its poor prognosis increases the mortality rate. We delivered a presentation on osteoporosis prevention to residents;the presentation consisted of ultrasound bone densitometry readings followed by a slide show, based on the readings. This report summarizes the presentation and considers whether it was effective in enhancing awareness of osteoporosis. The presentation was given to 39 residents, who were asked to complete a questionnaire before and after it. Of the 31 female respondents, 16.1 percent had bone density in the “low or caution” range;for all eight male respondents, it was “sufficient” or “average.” After the presentation, over 90 percent of respondents selected “agree” or “slightly agree” in response to the statements “I want to have regular exercise and participate in sports,” “I want to eat nutritionally sound meals,” and “understanding one’s bone density is useful for the prevention of osteoporosis.” In addition, 97.4 percent of the residents responded that the lecture was “useful” or “somewhat useful,” and 94.9 percent indicated satisfaction with it. The presentation was considered to be useful in enhancing residents’ awareness of osteoporosis.
著者
徳永 仁 髙村 徳人 松岡 俊和 佐藤 圭創 瀬戸口 奈央 緒方 賢次 佐藤 圭創 緒方 賢次 瀬戸口 奈央
出版者
九州保健福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

病棟、薬局、在宅およびドラッグストアを想定した薬効の評価や副作用の早期発見のトレーニングを目的とする薬学生・薬剤師のためのフィジカルアセスメント(PA)学習教材を作成した。基礎学習(スライド形式・動画形式)と症例学習からなり、基礎学習ではPAの基本解説と心音、肺音および腸音の正常または異常の聴診できる。症例学習では患者アバターに対して客観的または主観的な身体学的所見の情報、バイタルサインや臨床検査値を加えることにより、薬剤師としての受診勧奨、他医薬品への処方変更、薬効・副作用の確認もバーチャルで可能となった。患者対応から症状回復までが体験できるこれまでにない有益な教材が開発できたと考えている。
著者
佐藤 圭史
出版者
北海道大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究は、南オセチアとアブハジアの「非承認国家問題」と、その他の、非承認国家問題に至らなかった類似のケースを比較検証するという、先行研究では見られない新たな分析角度を学界に提起することに成功した。2年間のプロジェクトで、国際学会発表が5件、国内学会発表が1件、海外招待講演が2件、査読付き雑誌への論文発表が1件、その他論文発表が2件と、十分な研究成果を出した。
著者
佐藤 圭路 氏家 良人 長野 修 足羽 孝子
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.23-27, 2010-03-25 (Released:2011-03-15)
参考文献数
6

岡山大学病院における院内急変シミュレーションの現状について述べた。シミュレーションは,院内各部署で行われ,事後のアンケート結果からは,おおむね有用であり継続開催の希望が多かった。また,院内緊急連絡システムの改善がなされ,緊急メールシステムの運用が開始された。シミュレーション開始後,院内でのAED(Automated External Defibrillator)使用例では,13例中5例に心拍再開が得られた。院内救急システムを円滑に活用するためには,ワーキングフィールド内での急変シミュレーションを行うことが有用と思われた。
著者
寺内 信 佐藤 圭二 山本 剛郎 安田 孝 馬場 昌子 西島 芳子
出版者
大阪工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

近代産業都市の住宅地形成を日本の長屋建住宅とイギリスのテラスハウスの比較研究として実施した。日本では大阪と名古屋の都心周辺部における長屋建住宅地の形成過程と第2次世界大戦後の変容、消失実態を明らかにした。イギリスではリバプール、バーミンガム、リーズを主として、テラスハウス地区の形成過程、戦後の改善過程、改善主体や改善手法について考察した。また、老朽住宅の建て替えや、居住者の高齢化に伴う高齢者居住対策の活動について、およびバーミンガムにおける居住者分布のパターンについて分析している。日本の長屋建て住宅は19世紀末からの近代産業都市建設の過程で、庶民住宅として供給されたが、第2次大戦後は社会経済的争件の欠落により減少した。一時的に非木造テラスハウスとしての普及が試みられたが、成功しなかった。都心居住の再生が推進されつつある今日では、新たな再建の方法とルールが必要とされている。イギリスでも戦後の住宅建設では増加していないが、1960年代以降の居住地改善活動によって、改善・維持がすすめられた。その過程で重要な役割を果たしたのがハウジング・アソシエーションである。しかし多様な主体による居住地再生活動にもかかわらず、テラスハウスの高齢者・障書者対応の改造は進展せず、新たな改修方法の開発と実験が必要と考えられる。
著者
佐藤 圭
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

近年、情報技術の進展に伴い、ソーシャルメディアの利用が加速的に増加しており、それらのサービスにおける利用者の利用実態についての研究が数多く存在している。 それらの中でも、本稿では、利用者自身が作成したコンテンツの相互評価による利用者間コミュニケーションを目的としたサービスに着目し、その空間上における利用者どうしのつながりとコンテンツの生産性の関係について検証する。
著者
兼保 直樹 高見 昭憲 佐藤 圭 畠山 史郎 林 政彦 原 圭一郎 Chang Lim-Serok Ahn Joon-Young
出版者
公益社団法人 大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.227-234, 2010-08-30 (Released:2011-06-05)
参考文献数
16
被引用文献数
8

アジア大陸起源の汚染物質がわが国のPM2.5汚染状況に与える影響を明らかにするため、五島列島福江島と、その東方約190 kmに位置する福岡市において2009年春よりPM2.5濃度の通年観測を開始し、さらに4月に集中的に大気中エアロゾルの観測を行った。この結果、春季の福岡でのPM2.5濃度は福江島より半日程度遅れて変動していること、また濃度レベルも同程度または福江島の方がやや高く、日平均の環境基準値を超過する高濃度が度々出現した。組成分析の結果、高濃度時のエアロゾルの主成分は、硫酸塩と粒子状有機物が支配的であり、硫酸塩や総硝酸濃度は福江島の方が福岡より高かった。韓国済州島でのPM2.5測定データでは、福江島よりさらに早い時間に濃度増加を開始しており、長距離輸送による九州北部への汚染物質の到達を示している。このときの気圧配置より、4月上旬の2回の顕著な高濃度出現は、典型的な2つの長距離輸送パターン、すなわち前線後面型と移動性高気圧周回流型による輸送であると考えられる。月平均濃度でみても、4月の福江島のPM2.5濃度は福岡市よりやや高く、2009年春季の九州北部地域では、福岡のような大都市域においても、PM2.5濃度は域外からの長距離輸送による広域的な汚染状況に支配されていたと考えられる。
著者
佐藤 圭史
出版者
北海道大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

平成22年度は、優秀若手研究者派遣事業にもとづき英国グラスゴー大学・中東欧研究所に研究滞在した。ホスト教官であるデヴィット・J・スミス教授のもと、ソ連邦末期における、北東エストニア地域を中心としたロシア語話者による自治領域創設問題を研究した。スミス教授の提案に従い、2009年にActa Slavica Iaponica誌に掲載された、資源動員論にかんする自身の論文を発展させる形で研究を進めた。これにともない、資料収集のため、2010年2月と2011年3月にエストニア共和国でフィールドワークを実施した。2度のフィールドワークの実施と、グラスゴー大学滞在中のスミス教授の指導によって、英国派遣終了時には「北東エストニア地域における自治領域創設問題」と題する論文を、概ね完成させるにいたった。優秀若手研究者派遣事業での研究テーマとは異なる分野での研究でも発展がみられた。一つは、ソ連末期のソ連史において決定的に重要な事件である、独ソ不可侵条約付属秘密議定書の公開をめぐる問題である。いま一つは、旧ソ連空間の非承認国家における和平交渉にかんする問題である。モルドヴァでは、1993年から紛争解決の交渉にあたっているOSCE、モルドヴァ共和国統一省での資料収集とインタヴューを中心にフィールドワークを実施した。ここでの研究結果は、グラスゴー大学とドイツのギッセン大学が共同開催した言語問題にかんする国際会議で発表した。
著者
佐藤 圭子 阿部 康二
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

近年、神経細胞の新生が成体脳でも確認され、新しい神経回路付加に関与することが示されている。本研究では、てんかんおよび神経可塑性のモデルであるキンドリングで、発作発展および全般発作反復による神経幹細胞の増殖とmigrationおよび神経可塑的変化を検討した。ラット扁桃核にテタヌス刺激を1日1回加え、BrdUを6-8回目の刺激前に投与した。部分発作群(PS群)、全般発作3回群(3GS群)と全般発作30回群(30GS群)を作成し、BrdUとPSA-NCAMの免疫組織染色を行った。BrdU陽性細胞数は、PS群では、側脳室下帯(subventricular zone : SVZ)で増加したが、海馬歯状回(dentate gyrus : DG)では有意な変化はなかった。また、SVZのBrdU陽性細胞数は、3GS群と30GS群では対照レベルより有意に減少していた。PSA-NCAM陽性細胞数の増加は、3GS群と30GS群でDG、SVZ、梨状葉においてみられたが、PS群では有意な増加は認められなかった。DGにおいて3GS群では対照群の約2倍に増加し、30GS群では陽性細胞数はさらに増加したが、3GS群に比べ有意差は認められなかった。陽性細胞は、対照群ではDGの顆粒細胞層深部に限局していた。3GS群で陽性細胞の顆粒細胞層内への移動や陽性神経突起の伸長が若干みられたが、30GS群ではより顕著となった。一方、側脳室下帯(SVZ)のPSA-NCAM陽性細胞数は3GS群で対照群の約4倍に増加し、30GS群では3GS群に比較し有意な増加がみられた。てんかん脳で新生神経細胞の増殖やmigrationおよび神経可塑的変化が発作活動依存性に誘導されることが示された。また、神経可塑的変化に加え、新生細胞が形成する神経回路が、てんかん脳の機能変化や神経再構築に関与する可能性が示唆された。