著者
岩田 晃 淵岡 聡 木村 大輔 樋口 由美 灰方 淑恵 上 勝也 増原 光彦
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.213-216, 2010 (Released:2010-05-27)
参考文献数
15
被引用文献数
2

〔目的〕二関節筋に対するストレッチングにおいて,肢位を変化させることによって,伸張部位が変化するかを検討した。〔対象〕若年健常男性7名とした。〔方法〕全ての被験者に1)SLR,2)HFKEの二つのストレッチングを行った。超音波を用いて半腱様筋の近位部と遠位部の二部位について構造学的評価を行い,ストレッチング方法による差を検討した。〔結果〕近位部では筋長に対する腱画,坐骨結節間距離の割合がSLRよりもHFKEの方が大きくなり,遠位部では羽状角がHFKEよりもSLRの方が小さくなり,筋厚に差は認められなかった。〔結語〕近位部はHFKEの方が,遠位部はSLRの方が伸張されることが明らかとなり,伸張部位を関節角度によって変化させることが可能であることが明らかになった。
著者
澤原 光彦 村上 伸治 青木 省三
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.51-58, 2017 (Released:2017-01-01)
参考文献数
6

本稿では, 成人の心身症を含む精神医学的諸問題とその背景にある発達障害的特性について, いくつかの代表的な症状を呈した症例の素描を提示し, 筆者の見解を述べた. 発達障害を背景に生じうる状態像として, ①統合失調症類似の状態, ②うつ病・抑うつ状態, ③双極性障害・双極Ⅱ型障害, ④心身症, ⑤心気症的こだわり, ⑥強迫性障害, ⑦摂食障害, ⑧境界性パーソナリティ障害, を挙げた. これら精神医学的な各症状においては, 症状の表層にのみ関心を奪われ, 背景の発達障害的問題に配慮した支援を行わなければ, 難治化・遷延化の危険がある. 診断においては, 常に成育史に関心を払い, 患者の症状がその疾患の典型病像とどのように異なっているかを細心の注意をもって吟味する必要がある.
著者
澤原 光彦 北村 直也 末光 俊介 青木 省三
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.1353-1359, 2015-12-01 (Released:2017-08-01)

わが国の自殺死亡者は年間3万人を超える事態が1998年から14年間続いた後,2011年から減少に転じ,2014年には25,000人台に減少したが,若年者の自殺死亡率は依然としてきわめて高い水準にあり,15〜39歳までの各年代の死因の第1位を「自殺」が占めている.本稿では,警察庁統計,自殺対策白書,自殺総合対策大綱,各種レビューを参照して,若者の自殺の特徴を紹介した.次いで,学校,地域,救命救急センターで現在行われている自殺防止活動の一部を紹介した.さらに,救命救急センターにおいて自殺企図者に精神科医が対応するときに,注意を要する点を述べた.最後に,思春期・青年期に自殺企図を生じ,そのために筆者が関与した症例のうち代表的な事例3例を提示し,それぞれに短く解説を加え,私見を述べた.
著者
宮川 歩夢 名和 一成 山谷 祐介 大滝 壽樹 杉原 光彦 奥田 隆 住田 達哉
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
雑誌
地質調査研究報告 (ISSN:13464272)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.63-76, 2020-04-27 (Released:2020-05-07)
参考文献数
17
被引用文献数
1

国立天文台VERA石垣島観測局を中心とした名蔵川流域において,地下の地質構造を反映すると考えられる重力異常を明らかにするために重力測定を実施した.この重力測定では絶対重力測定及び周辺での相対重力測定を組み合わせている.絶対重力測定は国立天文台VERA石垣島観測局の重力計基台において,また相対重力測定は周辺域の62地点において実施した.得られた重力測定結果に既存の重力データを加え,重力異常図を作成した.おもとこれにより,名蔵湾から於茂登岳だけに向かって,負の重力 異常が大きくなる傾向がみられた.これは,於茂登岳を構成する漸新世の珪長質深成岩が周囲のジュラ紀付加体に比べて密度が低いことによると考えられる.さらに於茂登岳麓から名蔵湾にかけて負の重力異常の帯が確認された.このことは,名蔵湾から於茂登岳に向かう局所的な基盤形状を反映し,密度の低い堆積層が埋める埋没谷の存在を示唆する.
著者
名和 一成 杉原 光彦 村田 泰章 風間 卓仁 西田 究 菅野 貴之 小山 悦郎 大久保 修平 奥田 隆
出版者
日本測地学会
雑誌
測地学会誌 (ISSN:00380830)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.59-67, 2008 (Released:2013-02-25)
参考文献数
17
被引用文献数
1

We carried out continuous gravity observation with a Scintrex CG-3M gravimeter at Asama Volcano Observatory from September 4 to October 22 in 2007.We tried to detect hydrological gravity effects after heavy rainfall by Typhoon 200709 (FITOW). To detect hydrological gravity effects we supposed a simple tank model as proposed for the Matsushiro superconducting gravimeter observation, which model represented immediate gravity increase and gradual decrease after rainfall. Parameters of the tank model were estimated using an ABIC minimization iversion method and precipitation data as inputs. As a result, hydrological gravity effects were extracted from gravity residuals although gravity residuals included a large non-linear drift. And the extracted hydrological gravity effects corresponded to temporal gravity changes simultaneously observed with an FG5 absolute gravimeter. Our success promises expanding opportunities of continuous observation by using CG-3M gravimeters in the future.
著者
岡本 孝信 増原 光彦
出版者
Japan Society of Health Evaluation and Promotion
雑誌
総合健診 (ISSN:13470086)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.222-226, 2003-03-10 (Released:2010-09-09)
参考文献数
24

女子大学生65名を対象に週2回の定期的な運動を実施し, 体脂肪および有酸素能力に及ぼす影響について検討した。本研究において得られた結果は以下に示すものである。1) 皮下脂肪厚に関しては上腕背側部および肩甲骨下部のいずれにおいても運動実施前に対して運動実施後に有意に低い値を示した。また, 皮下脂肪厚と同様に体脂肪率においても運動実施前に対して運動実施後に有意に低い値を示した。2) ステップテスト終了後の心拍数は1分後, 2分後および3分後のいずれにおいても運動実施前に対して運動実施後に有意に低い値を示した。また, ステップテストの判定指数においても心拍数と同様に運動実施前に対して運動実施後に有意に高い値を示した。3) 運動実施前における体脂肪率とステップテスト終了1分後, 2分後および3分後の心拍数との間には有意な相関関係が認められた。しかし, 運動実施後においては有意な相関関係は認められなかった。以上の結果から, 週2回の定期的な運動によって体脂肪は減少し, 有酸素能力は向上することが明らかになった。これらのことから肥満の改善においては定期的な運動習慣を実践することの重要性が示唆された。
著者
徂徠 正夫 後藤 宏樹 杉原 光彦 西 祐司 中尾 信典
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
Journal of MMIJ (ISSN:18816118)
巻号頁・発行日
vol.137, no.4, pp.46-50, 2021-04-30 (Released:2021-04-28)
参考文献数
17

Toward the implementation of geological CO2 storage, cost reduction of CO2 monitoring during and after injection into targeted reservoirs is the key issue. The continuous gravity measurement using a superconducting gravimeter, which has been applied to the demonstration project site in Japan ahead of the rest of the world, has a potential to resolve the issue from the viewpoint of a complement to the high-cost seismic survey. The concept is such that the continuous gravity measurement is substituted for constant monitoring and that the use of seismic survey could be limited only when any anomaly is detected. The comparison of the monitoring cost after the completion of CO2 injection indicated that applying gravity measurement can reduce costs by up to 15 to 50% of the seismic cost. The current detection limit of gravity change is around 1 μGal based on the application result in the coastal area in Japan. However, the time series analysis using pseudo gravity data suggested the possibility of anomaly detection even below the detection limit. Further improvement of analysis precision would lead not only to more rapid and more reliable anomaly detection but also to contribution to the cost reduction during the CO2 injection period.
著者
足立 哲司 足立 博子 中井 聖 豊岡 示朗 増原 光彦
出版者
日本生理人類学会
雑誌
日本生理人類学会誌 (ISSN:13423215)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.165-170, 2011-11-25 (Released:2017-07-28)
参考文献数
21
被引用文献数
2

The aims of the present study, were a) to investigate physiological responses in man who ingested branched-chain amino acid (BCAA) drink for 8 consecutive days during and after incremental exercise and b) to examine the effects of BCAA drink intake on aerobic performance during the exercise. Five healthy males ingested 2000mg・day^<-1> of BCAA drink for 7 consecutive days and 10000-mg BCAA before the experiment and performed incremental cycle ergometer exercise until exhaustion. Exercise duration until exhaustion significantly extended and blood lactate concentration at a 100-W load significantly decreased compared to before ingesting BCAA (p<0.05, respectively). These results suggest that BCAA drink intake could result in improving aerobic performance.
著者
澤原 光彦 村上 伸治 青木 省三
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.51-58, 2017

<p>本稿では, 成人の心身症を含む精神医学的諸問題とその背景にある発達障害的特性について, いくつかの代表的な症状を呈した症例の素描を提示し, 筆者の見解を述べた. 発達障害を背景に生じうる状態像として, ①統合失調症類似の状態, ②うつ病・抑うつ状態, ③双極性障害・双極Ⅱ型障害, ④心身症, ⑤心気症的こだわり, ⑥強迫性障害, ⑦摂食障害, ⑧境界性パーソナリティ障害, を挙げた. これら精神医学的な各症状においては, 症状の表層にのみ関心を奪われ, 背景の発達障害的問題に配慮した支援を行わなければ, 難治化・遷延化の危険がある. 診断においては, 常に成育史に関心を払い, 患者の症状がその疾患の典型病像とどのように異なっているかを細心の注意をもって吟味する必要がある.</p>
著者
角田 聡 増原 光彦
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.76-82, 1986-04-01
被引用文献数
1

安静時の経口糖負荷試験において, 正常とみなされた日常定期的な運動を実施していない健康な男子学生4名を被検者とした.各被検者に運動負荷時間が異なる3種類の中等度運動を実施し, 運動後に糖を経口負荷した際の糖代謝について検討した.結果は以下に示すごとくである.<BR>1) 糖負荷後の血糖は運動負荷時間が60分間の場合において糖負荷後60, 90, 120, 180分にOGTTよりも高値を示し, 安静値水準への回復に遅延傾向が認められた.<BR>2) 糖負荷後の血清インスリンは20分間, 40分間運動がOGTTに比べ低値を示し, 60分間運動は糖負荷後30分値を除きOGTTと同様な値であった.また, 血清C-ペプチドも各運動とも血清インスリンを反映する変動であった.<BR>3) 安静値に対する血清FFAの増加量は, 各運動とも運動開始に伴い増加し, 運動後20分の糖負荷前においても増加傾向を示した.<BR>4) 血漿cAMPは運動終了直後で60分間運動が最も高値を示し, その後各運動とも糖負荷前まで低下傾向を認めたが, 安静値水準には至らなかった.糖負荷前値においても60分間運動が若干高値を示した.<BR>これらのことから, 中等度運動後に糖を経口負荷した時の糖代謝は, 運動負荷時間が20分間, 40分間の場合にはOGTTとほとんど差が認められなかったが, 60分間の場合には血糖の安静値への回復に遅延傾向が認められた.このような運動後に糖を負荷した場合, 運動による血清FFAの増加が糖の取り込みを抑制することが示唆される.本研究は文部省科学研究費, 奨励研究 (A) No.58780128により行われた.