- 著者
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盛 虹明
増田 卓
北原 孝雄
相馬 一亥
大和田 隆
- 出版者
- Japanese Association for Acute Medicine
- 雑誌
- 日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
- 巻号頁・発行日
- vol.4, no.1, pp.17-22, 1993-02-15 (Released:2009-03-27)
- 参考文献数
- 28
- 被引用文献数
-
2
肺水腫を伴うクモ膜下出血患者の肺水腫液と血清の膠質浸透圧を測定し,神経原性肺水腫の成因としての肺血管透過性亢進の関与を検討した。発症24時間以内のクモ膜下出血のうち,呼吸管理を必要とした肺水腫8例を対象とし,肺水腫を有しない33症例を非肺水腫群として比較した。肺水腫群はWFNS分類でgrade Vが75%, Fisher分類では全例group 3と4であった。来院時に血圧,脈拍,意識状態,胸部レントゲン写真,動脈血液ガス分析,血漿カテコールアミン濃度を測定した。さらに肺水腫例では,肺水腫液と血清の膠質浸透圧を測定した。来院時肺水腫群では非肺水腫群に比べ収縮期血圧の低下と心拍数の増加を認めた。肺水腫群の心胸郭比は平均48±4%と心拡大は認められなかった。動脈血液ガス所見では,PaO2が非肺水腫群78±16mmHgであるのに対し肺水腫群47±12mmHgと,肺水腫群で著しい低酸素血症を呈していた。血漿ノルアドレナリン,アドレナリン濃度は,肺水腫群でそれぞれ1,800±1,300pg/ml, 1,400±630pg/ml,非肺水腫群740±690pg/ml, 340±400pg/mlであり,非肺水腫群に比べ肺水腫群で有意に高値を示した。肺水腫液の膠質浸透圧は12.4から25.0,平均16.7±4.1mmHgと肺水腫群の全例で高値を示し,血清に対する肺水腫液の膠質浸透圧比は平均0.94と血管透過性亢進を示唆する結果であった。以上により,クモ膜下出血に伴う肺水腫の発生機序のひとつとして肺血管の透過性亢進が示された。