著者
藤原 敬 鈴木 春彦 速水 亨
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.127, 2016

森林管理の義務と支援を直接対象とした国際約束をめざした国際森林条約の不調を背景に、市場を通じたアプローチが、国際的な持続可能な森林管理達成の一つの方向性を示すものとなった。第三者認証による「森林認証システム」、行政の森林法の手続きをベースとする「合法性証明システム」など、である。これらのシステムは日本市場で一定の役割を果たしているが、コスト効率性と信頼性を巡り議論がある。効率的で信頼性のあるシステムを構築する視点で、両者のシステムを、分析・評価する。森林経営の評価手続きを、①FSCの森林認証要求事項と、②森林法の森林経営計画の認定要求事項を比較検討すると、後者は運用実態として、生物多様性保全・労働安全分野・事業者への注意義務などの面で不足している面が多い。ただし、森林経営計画の記載様式は柔軟にできており、実質的な認定の基準となっている市町村森林整備計画との連携で、持続可能な森林管理のツールとしてさらに発展する可能性をもっている。森林経営計画とセットになった合法証明システムのサプライチェーン管理の効率性・信頼性の評価と合わせて、さらなる検討が必要。
著者
藤原 敬記 伊藤 敏彦 荒木 健治 甲斐 充彦 小西 達裕 伊東 幸宏
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.89, no.7, pp.1493-1503, 2006-07-01
参考文献数
24
被引用文献数
9

実環境での音声対話システムの使用において,誤認識を回避することは難しい.誤認識が起きると,システムはユーザの期待する応答とかけ離れた応答を行い,対話がスムーズに進まなくなることも多い.そこで本研究では,音声認識器が誤認識した場合でも,認識信頼度と対話履歴を用いることで正しくユーザの意図を推定することができる音声言語理解手法を提案する.これは,音声認識器が誤認識した場合でも多くの場合,複数候補(N-best)中に正解が含まれていること,システムが誤認識した場合にはユーザは大体訂正反応を示すこと,タスク指向対話には強い一貫性がありユーザは基本的に意味的・文脈的に関係した内容以外を発話しないことを利用する.また,提案手法ではあらかじめすべての認識可能単語を理解候補として保持し,言語理解部の対話戦略において音声認識結果中の単語との意味的関連性などを考慮している.これにより音声認識結果のN-best中に正解の一部が含まれていない場合でも,複数のユーザ発話の認識結果に基づくことで正しい意図を推定することが可能となっている.評価データにおいて,提案手法における対話単位での理解率は72.2%(21,430/29,670対話),単語単位での理解率は87.1%(77,544/89,010単語)であり,従来手法の最新認識結果の上位候補を優先するシステムの57.9% (17,178/29,670対話),75.4%(67,084/89,010単語)と比較しても有効である.
著者
羽原 敬二
出版者
関西大学法学研究所
雑誌
ノモス = Nomos (ISSN:09172599)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.1-55, 2006-12-30
著者
福永 寛 櫻木 悟 藤原 敬士 藤田 慎平 山田 大介 鈴木 秀行 宮地 剛 川本 健治 山本 和彦 堀崎 孝松 田中屋 真智子 片山 祐介
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.S2_154-S2_158, 2011

Kounis症候群とはアレルギー反応に伴い急性冠症候群をきたす症候群であり, 冠攣縮に合併したタイプ1とプラーク破裂に伴う血栓形成に起因するタイプ2に分類される. 今回, われわれはKounis症候群により心肺停止をきたした2症例を経験したので報告する.<BR>症例1: 76歳, 男性. 腰部脊中柱管狭窄症の術中にセフォペラゾンを投与したところ, アナフィラキシーショックを発症した. 下壁誘導にてST上昇を認めたため急性冠症候群と診断, 緊急冠動脈造影にて右冠動脈#1に血栓および#4AVに完全閉塞を認めた. 血栓吸引療法のみで再疎通が得られた.<BR>症例2: 61歳, 男性. 起床時より四肢・体幹に蕁麻疹を認め, その後, 心肺停止となり, 当院へ搬送された. 心肺蘇生術にて心拍再開したが, その後, 心室頻拍が頻発, 急性冠症候群を疑い緊急冠動脈造影を施行した. 冠動脈に有意狭窄は認めなかったが, 心電図上胸部誘導で一時的にST上昇を認めたため, 左前下行枝の冠攣縮と診断した.
著者
藤原 敬介
出版者
京都大学大学院文学研究科言語学研究室
雑誌
京都大学言語学研究 (ISSN:13497804)
巻号頁・発行日
no.35, pp.1-34, 2016

本稿では、Brown[1911]に記録された75項目のタマン語語彙資料を再検討する。さらに、ほぼ最後とみられる話者から採集した数語の語彙資料も活用し、チベット・ビルマ語派におけるタマン語の位置について考察する。調査の結果、以下の諸点があきらかとなった。1.タマン語の音素としては/a, e, E, i, 1, 5, o[O, A], u, @;p, ph, t, th, c[ts, tS], k, m, n, N, r, l, s(sh), S, x, h, w(v), y/が推定される。2.PTBからの改新としては、低母音の上昇(*-a>*-O)、軟口蓋閉鎖音の語頭における摩擦音化(*k->x-)、語末における消失(*-ak>-a)、高母音のあとでの付加(*-i>*-ik>-ek, *-u>*-uk>-ouk)、*gry-の破擦音化(*gry->c-)が特徴的である。3.ルイ語群に特徴的な語彙として否定接頭辞、「置く」、「行く」などがみられる。また、「太陽」の構成要素に「目」をもつ点もルイ語群的改新である。ただし、ルイ語群であると決定づける証拠はない。4.東北インドからビルマにかけて分布するさまざまなTB系諸言語と共有する語彙が散見される。各語群をむすびつける「繋聯言語」とかんがえられる。Taman is a Tibeto-Burman language once spoken in and around Htamanthi, Upper Burma. Taman materials are limited to only a list of 75 words recorded in Brown [1911]. On the basis of these vocabularies, Taman is usually believed to be a language closely related to Jingpho or Luish languages [Benedict 1972, Shafer 1974]. It is true that now almost all the Taman people speak only Burmese and Tai Naing (a variety of Shan spoken in Upper Burma, also known as Red Shan). However, in my last visit to Htamanthi in 2015, I met a Taman old woman who still remembered some words in Taman. Although she has forgotten almost everything about the Taman language, she has managed to recall some basic expressions as well as one short song in Taman. In this paper, I have examined these new materials as well as old ones recorded in Brown [1911] to decide the genetic position of Taman within Tibeto-Burman. The findings in this research can be summarised as follows. 1. Following phonemes can be postulated in Taman: /a, e, E, i, 1, 5, o [O, A], u, @; p, ph, t, th, c [ts, tS], k, m, n, N, r, l, s (sh), S, x, h, w (v), y/ 2. There are five striking innovations from PTB to Taman: (a) raising of low vowels (PTB *-a > Taman -O), (b) fricativization of velar stops in word-initial positions (PTB *k- > Taman x-), (c) loss of velar stops in word-final positions (PTB *-ak > Taman -a), (d) addition of velar stops after high vowels (PTB *-i/-u > Taman -ek/-ouk), and (e) affrication of *gry- (PTB *gry- > Taman c-). 3. It is possible to point out some characteristic words which can be found almost only in Luish and Taman such as a negative prefix (Proto-Luish *a-, Taman P@-), PUT (Proto-Luish *p´ey, Taman pe) and GO WALK (Proto-Luish *ha, Taman hO) as well as the lexical innovation of 'sun' in which 'eye' is included. Still, it is hard to tell whether Taman is Luish or not. 4. Taman can be labelled as a "link language" as it contains various types of vocabularies found in different branches of TB languages in and around Northeastern India and Upper Burma.
著者
藤原 茂樹 立原 敬一 川久保 芳文 森 聡史 豊口 泉 横山 武志
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.406-413, 2015-05-15 (Released:2015-08-19)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

圧モニタリングキットはそれぞれ固有の周波数特性(固有振動数および制動係数)を有している.この周波数特性はさまざまな因子によって影響を受ける.採血用のPlanectaTM(JMS,広島)も圧モニタリングキットの周波数特性に大きく影響を与える因子の一つである.また,動脈血圧モニタリングキットの共振現象を抑えるデバイス(制動素子)にROSETM(Argon Medical Devices, TX, USA)がある.本稿ではPlanectaTMならびにROSETMの圧モニタリングキットへの挿入が周波数特性に与える影響について概説する.
著者
浦久保 知也 大場 徹也 岡村 元義 金田 伸一 川俣 治 塩見 哲次 重松 弘樹 菅谷 真二 菅原 敬信 曲田 純二 丸山 裕一 元木 政道
出版者
一般社団法人日本PDA製薬学会
雑誌
日本PDA学術誌 GMPとバリデーション (ISSN:13444891)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.23-36, 2008 (Released:2009-12-04)
参考文献数
6

The Bio-Virus Safety Committee (BV-Committee), one of the committees of the Parental Drug Association Japan (PDA Japan), has discussed various concerns on biopharmaceuticals from scientific, technical and regulatory perspective. One of the most significant concerns is the risk of contamination of infectious agents into manufacturing process and products. This risk should be addressed, as required per the international regulations, by minimizing to use raw materials sourced from animal origin and by performing viral clearance studies in order to evaluate capability of purification process to reduce and/or inactivate known and/or adventitious viruses. BV-Committee reported the conclusions of discussion how to prepare and qualify cell bank system as one of raw materials and how much Log Reduction Value (LRV) should be targeted in virus clearance studies in the 13th annual conference of the PDA Japan in 2005 and published in the PDA Journal1). Since 2007, BV-Committee discussed the practical experimental procedures for viral clearance studies and reported the conclusions in the 14th annual conference of the PDA Japan in 2007 and reported in the PDA journal2). In the report, standardized and practical experimental procedures for viral clearance studies were proposed, considering not only requirements for submission to the regulatory agencies but also experimental technique. In addition, trouble shooting based upon the actual experience of the members, information regarding Contract Research Organizations (CROs), references of international guidelines, and worksheets for viral clearance study are provided.   Since 2008, BV-Committee has discussed how the Quality Risk Management (QRM) approach can be applied to manufacturing and quality control of biopharmaceuticals through a case study of a recombinant monoclonal antibody. The conclusion was presented in the 15th annual conference of the PDA Japan in 2008. In the case study, we supposed that viral contamination and residual process related impurities could be the source of quality risk. Risk assessment practice was performed, focusing on the following five categories, “Cell Banking”, “Cell Culture”, “Purification”, “Medium/Buffer Preparation” and “Viral Inactivation and Filtration”. In certain items, where the assessment showed higher risk, preventative measures to control the risk were discussed.
著者
菅原 敬
出版者
Japanese Society for Plant Systematics
雑誌
植物分類,地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.1-17, 1998-07-28 (Released:2017-09-25)
参考文献数
17

1996年新潟県北部の荒川流域で奇妙なカンアオイ属植物が確認された。この植物は,同地城周辺から従来報告されていたコシノカンアオイ(Asarum megacalyx F.Maek.),あるいはユキグニカンアオイ(A.ikegamii [F.Maek.ex Y.Maek.] T.Sugaw.)によく似るが,花の形態はそれらの中間型のようにみえる。一方,新潟県西部から富山県東部の地域には未記載種クロヒメカンアオイ(Heterotropa yoshikawai nom. nud.)が知られていた。この植物もコシノカンアオイに近縁と見なされてきたが,いまだその実体は充分に解明されていない。そこでこれら問題の植物の分類学的位置づけ,ならびに既存の2種との関連を明らかにするため,花の形態ならびに染色体からの比較研究を進めた。その結果,未記載種クロヒメカンアオイは独立種とみなしうることが判明したので,Asarum yoshikawae T. Sugaw.の学名で正式な記載を行った,また荒川流域の問題のカンアオイ属植物はユキグニカンアオイの新変種と位置づけられ,アラカワカンアオイ(A. ikegamii var. fujimakii T. Sugaw.)として記載した。クロヒメカンアオイは萼筒が上方に狭まった筒形で,萼筒口が径4mm以下と著しく狭く,萼筒内壁の襞は著しく複雑化する。また中期染色体でも4本の次中部型染色体を含む固有の核型をもつ特異な種である。一方新変種のアラカワカンアオイは狭義のユキグニカンアオイ(var. ikegamii)に比べて萼筒がより大きく,口環もより発達して目だつ。また,花柱附属突起はユキグニカンアオイのように萼筒口の高さにまで達することはなく,常に萼筒内におさまっている。この新変種は荒川流域に沿って新潟県関川村から山形県小国町付近まで分布する。
著者
山田 和義 上原 敬義 内津 政直
出版者
日本土壌肥料學會
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.108-111, 2013

きのこの人工栽培には大きく分けて原木栽培と菌床栽培があるが,特に菌床栽培では,年聞を通して多量に発生する使用済み培地の有効利用が課題となっている。きのこ栽培が盛んな長野県の場合,いずれもビン栽培(菌床栽培)されるエノキタケとエリンギでの使用済み培地の年開発生量は,その生産量(林野庁,2010)から合計約200Ggと推計される。エノキタケとエリンギの培地は,主要原料としてコーンコブミール(トウモロコシ穂軸破砕物)30~50%,米ぬか20~40%を含むため,良質な堆肥原料となり得る。これまでに,堆肥化した使用済み培地(以下,コーンコブ堆肥)中の窒素については,肥効率(ここでは,化学肥料の肥効に対する堆肥成分の肥料的効果の割合)を20%として施用すると,レタスやハクサイでは基肥窒素の50%程度を代替できた(山田ら,2009)。一方,コーンコブ堆肥には主に培地原料の米ぬか由来のリン酸が窒素の1.5倍程度含まれている。水稲に対して使用済みきのこ培地(主原料がコーンコブおよびオガクズの培地)の化学肥料代替利用を検討した結果ではリン酸肥効率は60~70%であった(長野県,2011)。こうしたことから,コーンコブ堆肥の利用は有機物施用による団粒形成促進等の土壌改良効果とともに,単価の高いリン酸肥料の代替資材としてコスト低減も期待できる。そこで,本県での野菜作におけるコーンコブ堆肥施用時のリン酸肥効率を設定するために,根菜類等を対象に検討した。
著者
菅原 敬 堀井 雄治郎 久原 秦雅 平田 聡子
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.21-26, 1999-08-28

アオモリマンテマは本州北部の青森県然岳とその周辺地域(白神山地の一部),秋田県男鹿半島,和賀山塊の限られた地域に産するナデシコ科の多年草である。この植物は,垂直に切り立った岩壁に生育し,また生育地も互いに離れていることから集団間に何らかの分化が生じていることが予想され,実際野外調査で和賀山塊産の個体は一見して花が大きいように思われた。そこで青森県および秋田県の5集団を用いて,この種の花形態(特に花冠サイズに着目)ならびに核形態を調査した。その結果,秋田県の集団(男鹿,和賀山塊の3集団)は花弁の幅が確かに青森県の集団(然岳,暗門)より広い傾向にあるが,全体としては連続した変異であることがわかった。また,染色体数は2n=72で,集団間に核型においても違いは認められなかった。この染色体数はこれまで報告された日本産種のなかではもっとも多く,同属の染色体基本数x=12を考慮すると倍数性(6倍体)由来と推定された。形態比較や染色体のデータに基づいて近縁と考えられるタカネマンテマとの関係についても若干の考察を試みた。
著者
上原 敬二
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園學雑誌 (ISSN:21853045)
巻号頁・発行日
vol.2, no.9, pp.593-594, 1926-09-01 (Released:2011-04-13)
被引用文献数
2
著者
山口 和孝 藤原 敬
出版者
埼玉大学教育学部
雑誌
埼玉大学紀要. 教育学部 (ISSN:18815146)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.25-37, 2014

The educational values have been shaken by the critiques from post-modernism. To reconstruct the values in education, the correlation between educational values and the ideas based on the theory needed to be analyzed. I used liberalism approach to this analysis.