著者
藤原 敬大
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究 (ISSN:02851598)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.63-74, 2016-03

チークは,最も経済的価値が高い熱帯広葉樹の1つであり,その材質は,高密度,高い耐朽性や寸法安定性,装飾性によって特徴付けられる。インドネシアは,チークの世界三大生産地の1つであるが,主要な生産者であった林業公社によるジャワの国有林での生産量が減少している。一方で拡大する私有林が,新たなチーク材供給源として期待されている。本稿は文献調査を通じて,(1)国有林と私有林の特徴や現状について整理し,(2)新たなチーク材の供給源としての私有林の可能性ついて検討し,(3)チーク材の安定供給に向けて国有林と私有林が取り組むべき課題について提示した。伝統的な国有林管理は,功利主義と科学林業で特徴付けられる。一方で一般的な私有林管理では,共同管理のための森林計画や管理組織が存在せず,また樹木は地域住民の生活の必要に応じて伐採される。国有林と私有林の管理の実態は大きく異なり,それゆえ生産されるチーク材の材質にも大きな差がある。チーク材の安定供給のためには,国有林では地域住民と協働して長期間安定的にチーク林を管理していくこと,私有林ではチーク材の「質」と「量」の課題に取り組むことが必要である。
著者
小原 敬士
出版者
一橋大学
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.51-68, 1967-07-01

論文タイプ||論説
著者
池田 隆司 笠原 敬司 伊藤 健治 多田 堯
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.549-557, 1984-12-25 (Released:2010-03-11)
参考文献数
4

In order to obtain information on the underground structure around the Karasuyama-Sugaonuma fault, we carried out a temporary observation for artificial explosions which were blasted at four sites in Saitama and Ibaraki Prefectures in March 1982. Crossing the southern part of the fault, seven seismometers were deployed on an east-west striking observation line 30km long. For three of the explosions, good records were obtained at all the stations. Travel time analyses provided three layers; apparent p-wave velocities in the layers are 1.7km/sec, 2.8-3.1km/sec and 6.1km/sec from top to bottom. Travel times for the 6.1km/sec layer jump near Sashima-cho, Ibaraki Prefecture, where the western branch of the fault is supposed to lie. For the wave propagating through the topmost layer between the eastern and western sides of the north-south striking fault, a systematic difference in the wave form was observed. Those observed features strongly suggest that not only the basement layer (VP=6.1km/sec) but also upper layers are displaced or fractured by the Karasuyama-Sugaonuma fault.
著者
山口 富子 福島 真人 橋本 敬 日比野 愛子 纐纈 一起 村上 道夫 鈴木 舞 秋吉 貴雄 綾部 広則 田原 敬一郎
出版者
国際基督教大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は、現代社会にさまざまな影響を及ぼす「予測」という行為に焦点を当て、「予測をめぐる科学技術的実践の多様性とそれが政治あるいは社会に与える影響」、また「政治あるいは社会が予測という行為に与える影響」を明らかにすることを目標とする。その問いの答えを導き出すために、平成29年度は、地震、市場、感染症、食と農、犯罪など、諸分野に観察される「予測」の問題について、科学社会学、科学人類学、科学政策、社会心理学、地震学の立場から、個別の事例研究を推進した。事例研究を推進する過程においては、異なる分野で観察される諸現象についても理解を深めるために、科研メンバー間で事例研究の進捗状況を報告するとともに、関連する分野の専門的知識を持つ連携研究者やゲストスピーカを招き、予測と社会の問題についての理解に勉めた。「災害リスク・コミュニケーションの課題と展望」(京都大学防災研究所巨大災害研究センター、矢守克也氏)、「将来予測の方法論」(JAIST北陸先端科学技術大学院大学客員教授、奥和田久美氏)らが主だった話題提供者である。これまでの研究討議を通して、「予測科学」を社会科学的に理解するためには、予測ツールと人びとの行為の接続の問題、政策的ツールに包含される予測と社会の問題等が掘り下げるべき主要な論点である事が解り、平成30年度は、これらの論点を中心に議論を継続し、多様な事例を統合する方策を模索する。また、研究成果を研究者コミュニティーに還元するために、科学技術社会論学会年次大会において「予測をめぐる科学と社会」というタイトルのオーガナイズドセッションを行った事も主要な研究業績として挙げられる。セッションの取りまとめは、若手研究者である鈴木舞氏が行い、研究者育成にも配慮をした。学会での発表要旨、登壇者等については、本科研のホームページを通して日本語と英語で公表し、社会に向けて情報発信も行った。
著者
菅原 敬 藤井 紀行 加藤 英寿
出版者
東京都立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

カンアオイ属タイリンアオイ節植物は,九州南部に分布するサツマアオイ,九州北部から中国地方西部に分布するタイリンアオイ,東海地方のカギガタアオイ,伊豆半島のアマギカンアオイ,そして関東地方南部の多摩丘陵に分布するタマノカンアオイからなる一群である.これらは,日本列島の東西に隔離分布するにもかかわらず,萼筒の形態や内壁の襞紋様,舷部の形態などによる類似性から,一つの分類群(節)にまとめられている.また,この節内の分化については,九州地方産種から関東地方産種へ萼筒の形や柱頭の形に勾配的な変異が認められるとして,西から東への分布拡大の過程で分化したのではないかと考えられている(前川,1953).しかし,二地域間には地理的距離の大きな隔たりがあり,また,花形質で指摘されてきた変異は必ずしも勾配的変異とはいえない.そこで,本研究では,分子系統学的解析に基づいて,タイリンアオイ節の単系統性と同節種間の系統関係を明らかにし,地理的分布との関連について考察することを目的とした.カンアオイ属植物についての分子系統学的解析は,これまでにKelly (1998)による核DNAのITS領域の解析による報告があるが,この一群についての解析はない.葉緑体DNAのtrnL遺伝子間領域の塩基配列,そして核DNAのITS-1領域の塩基配列の比較による系統解析を進めた.その結果,葉緑体DNAについては,系統解析を進める上で有効な情報を得ることはできなかったが,ITS領域については多くの変異がみられ,系統推定のための情報を得ることができた.ITS領域に基づく分子系統解析の結果,タイリンアオイ節の九州産2種と東海・関東産の3種は,それぞれ別のクレードに属し,単系統性は認められないという結果が得られた.これは,タイリンアオイ節諸種が西から東への分布拡大の過程で分化したものではないことを示唆している.
著者
森田 剛成 原 敬和 見世 大作 軸丸 祥大
出版者
The Kansai Plant Protection Society
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.29-34, 2012 (Released:2012-09-01)
参考文献数
14
被引用文献数
12 7

広島県尾道市浦崎地区のイチジク圃場(14圃場)において,キクイムシが関与した本病の拡大と土壌の病原菌汚染の推移を調査した。2006年の初発以降,地域内におけるキクイムシの加害圃場率および本病による枯死樹発生圃場率が徐々に増加し,2010年には64.2%および21.4%にそれぞれ達した。圃場内の加害樹率および枯死樹率はキクイムシの加害初発から増加し,3年から4年後には,最大で87.8%および45.2%にそれぞれ達していた。キクイムシに加害された全ての樹では加害履歴に関係なく,木部から病原菌が検出された。また,キクイムシに加害されたイチジク樹の株元周辺土壌では,病原菌が検出される確率が高かった。一方,キクイムシが加害していない樹の木部や株元周辺土壌からは病原菌が検出されなかった。別の室内実験により,広島県のキクイムシ個体群は病原菌を保持しており,キクイムシの孔道由来のフラスから病原菌が検出されることが示された。これらの結果から,キクイムシが介在する場合,本病が激害化することが本研究で示された。今後は,各イチジク産地において本病の侵入経路をキクイムシに注目して確認するとともに,キクイムシの駆除を目的とした防除技術の開発が必要である。
著者
山口 和孝 藤原 敬
出版者
埼玉大学教育学部
雑誌
埼玉大学紀要. 教育学部 = Journal of Saitama University. Faculty of Education (ISSN:18815146)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.25-37, 2014

The educational values have been shaken by the critiques from post-modernism. To reconstruct the values in education, the correlation between educational values and the ideas based on the theory needed to be analyzed. I used liberalism approach to this analysis.
著者
尾分 達也 山田 咲月 藤原 敬大 佐藤 宣子
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究 (ISSN:02851598)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.17-25, 2022 (Released:2022-08-19)
参考文献数
14

林業は労働者千人当たりの年間死傷者数が,全産業の中で最も高い産業であり,その労働災害対策は,労働災害の発生の抑制だけではなく,発生時に負傷者の重症化を防ぐことが求められる。本研究は,徳島県庁林業戦略課と林業労働災害防止協会徳島県支部,徳島県南部の林業事業体,並びに消防署へ林業労働災害対策の取組みについて聞き取り調査を行い,労働災害発生時の連絡体制および負傷者の移送体制について明らかにした。緊急を要する労働災害が発生した場合,現場作業者は事業体を介さず消防署へ直接連絡を取っており,消防署と円滑に連絡を取るための通信インフラや事業体内での連絡体制の整備の重要性が明らかになった。また負傷者を早急に搬送するためには,通報する作業員が救急処置や状況を消防署へ説明するための当事者意識教育やマニュアルの整備,作業地の位置情報を消防署と事前に共有するなど緊急車両やヘリが現場へ迅速に到着できる体制づくりが求められていた。それゆえ,労働災害発生時の緊急合流地点を事業体と消防署の間で共有し,事業体は現場や状況が変わる度にミーティングなどで作業員へ安全の意識付けを行うことが課題として示唆された。
著者
海老原 敬吉
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密機械 (ISSN:03743543)
巻号頁・発行日
vol.1, no.14, pp.547-558, 1934-11-25 (Released:2010-02-16)
参考文献数
6
著者
原 敬 横川 隆一 甲斐 義弘
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.64, no.618, pp.604-609, 1998-02-25 (Released:2008-02-26)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

The purpose of this paper is to present a graphical method for evaluating task performance of a manipulator for a planar peg-in-hole assembly task. The manipulator has three revolute joints, including a compliant element, and performs the task in a plane. Further, an RCC (Remote Center Compliance) is mounted on the end-point of the manipulator. First, a force condition to avoid jamming on the chamfer is derived. A stiffness condition at the compliance center of the RCC is then obtained from the force condition. Under the stiffness condition, the manipulator can avoid the jamming on the chamfer. Second, a graphical method is proposed on the basis of the stiffness condition and a DMA (Dexterity Measure for Assembly) that was previously derived by the authors. Third, the method allows us to evaluate the task-performance of a manipulator (e.g. PUMA 560). Finally, the evaluation results show that the stiffness condition for avoidance of jamming on the chamfer is important in evaluating task-performance of a manipulator for a peg in-hole task.