著者
金原 辰典 石原 進
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.8, pp.2025-2035, 2013-08-15

無線ネットワークを対象としたプロトコルの評価ではシミュレーションを用いることが一般的であるが,シミュレーションと実環境の双方で評価を行うことは重要である.本論文では,無線通信環境が劣悪な環境で効果を発揮するプロトコルの実環境評価を低コストで行うことを目的とし,方法の1つとして,GNU RadioとGNU Radioの専用端末USRP2を用いて狭いスペースでパケットレベルでのロス率を変更可能な実環境評価が行えるテストベッドを提案する.本テストベッドでは,USRP2の送信出力を変更するためにGNU Radio内のデジタル増幅器の増幅率を調整することによってUSRP2の無線通信半径を5m程度まで制限し,5m×5mの限られたスペースに,エンド間の通信経路にマルチホップによる転送が存在するようなネットワークを構築できる.同テストベッドを用いて期待どおりの実験が行えるかを確認するために,構築したネットワークを用いて,パケットレベルでのRandom Network Codingを用いた情報配信手法の実験を行った.同様の環境を想定したパケットレベルのシミュレーションの結果との照合により,実験で得られたパケットロス率に近いパラメータを用いたシミュレーションによって実験と同様の結果を得られることを確認し,提案したテストベッドの利用可能性を示した.To evaluate the performance of protocols on wireless ad-hoc networks, approaches both by simulation and experiment in a real environment are important. In this paper, we propose to use a software-defined radio platform GNU Radio and its dedicated device USRP2s to built a flexible and narrow space wireless network testbed for evaluating protocols designed for use in lossy wireless networks. Our testbed can control USRP2's wireless communication range less than 5m by adjusting the gain of the digital amplifier in GNU Radio and the analog amplifiers in USRP2 and enables to deploy a multi-hop network in a 5m×5m square. To confirm that the proposed testbed can be used for evaluating packet loss-resistant protocols, we conducted experiments of a data dissemination protocol leveraging random network coding using the testbed. The measurement results were almost the same as the simulation results obtained by a packet-level simulator with the similar values of link packet loss ratio observed in the testbed and showed the potential of the testbed for the use of evaluation of data dissemination protocols for wireless ad hoc networks.
著者
石川 貴士 石原 進 井手口 哲夫 水野 忠則
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.1819-1827, 2001-07-15
被引用文献数
3

即応性が要求されるネットワーク対戦ゲームにおいて,端末間の遅延差により起こるユーザ間の不公平を解消するメンバ間公平性保証方式(ICEGEM: Impartial Communication Environment for GamE Members)を提案する.本方式では,ユーザの反応時間に基づいて各ユーザの操作に対する順序制御を行うことにより,サーバ・クライアントの時刻同期を必要としないで,端末間の遅延差がある場合でも時間に関して公平なユーザ操作環境を実現する.また,順序制御のための制限時間を設け,これを全クライアントの遅延の測定・予測に基づいて動的に変更させることによって,ネットワークのトラフィックの変動や端末の移動による通信環境の変化にともなう遅延変動に対応する.本稿ではICEGEMの詳細,および本方式を用いたネットワーク対戦型早押しキーボードタイピングゲームの実装,遅延差が生じる端末間での実験について述べる.実験の結果,反応時間に基づく公平性保証では,端末間の遅延差に関係なく,公平にアプリケーションが利用できることが確認できた.また,サーバ側の制限時間を動的に変更することにより,遅延変動があった場合でもゲームの即応性を保ったうえですべてのユーザが公平にゲームを行えることが確認できた.In real-time network applications, such as network games,the users often suffer event inversion on heterogeneous network environments including small delay networks and large delay networks.Because of this, the fairness between users can not be guaranteed.In this paper we propose a method for offering impartiality to game members who play on heterogeneous network environments ICEGEM (Impartial Communication Environment for GamE Members).The order of the users' operations can be treated correctly at the server using users' operation time with ICEGEM.Another feature of ICEGEM is that it adjusts timeout values for synchronization of clients' messages dynamically so that it can be used in practical Internet environments and mobile computing environments.We implemented a network key-typing game with ICEGEM, and evaluated its effect.We confirmed that users are able to play the game impartially without the influence of the difference and fluctuations of delays.
著者
金子 一幸 川上 静夫 三好 正一 虻川 孝秀 山中 栄 望月 誠 吉原 進平
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.183-186, 1998-04-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
14

卵巣に嚢腫卵胞を有するホルスタイン種乳牛78頭を発情周期および直腸検査所見から3群に区分し, 各群別の処置により空胎期間の短縮を試みた. 初診日の発情徴候が良好で, 嚢腫卵胞と正常卵胞 (NF) が共存していた39頭 (NF共存群) には無処置で人工授精のみを行った. 初診日に発情徴候がみられず, 嚢腫卵胞と黄体 (CL) が共存していた16頭 (CL共存群) にはジノプロスト (25mg) を投与し, 投与後7日以内に発情が誘起された例には人工授精を行った. 嚢腫卵胞のみが認められた23頭 (卵胞嚢腫群) には, 酢酸フェルチレリン (200μg) 投与後14日にジノプロスト (25mg) を投与し, 発情誘起例に人工授精を行った. NF共存群, CL共存群および卵胞嚢腫群の初診から初回授精までの日数 (平均±SD) は, それぞれ0, 9.3±14.であった. また, 各群の初回授精受胎率は43.6, 43.8, 34.8%であり, 受胎に要した授精回数は1.9±1.1.
著者
後安 美紀 辻田 勝吉 石川 卓磨 高嶋 晋一 木原 進 岡﨑 乾二郎
出版者
日本生態心理学会
雑誌
生態心理学研究 (ISSN:13490443)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.33-47, 2015-04-01 (Released:2021-01-27)
参考文献数
34

本研究の目的は,包囲空間 (ambient space) という概念に焦点をあて,包囲空間に関する生態学的な研究法やその枠組みについて考察し,遮蔽縁が包囲空間の奥行きを創り出すという理論的な提案をおこなうことである.本理論を実証するための最初のステップとして,これまでに開催した美術館でのワークショップのなかから,絵画における包囲空間表現に関わる事例を取り上げ,絵画模写課題での参加者の振る舞い方について重点的に観察した.その結果,図と地の反転知覚が想定する論理枠組みの次元を上げ,“地と地の交替”という知覚の在り方が存在することが示唆された.図と地の問題系では,図を見ているときは,地は見えないとされてきたが,そのようなことは全くないどころか,焦点が結ばれることのない“地と地の交替”がなされる界面,すなわち遮蔽縁において奥行き知覚すら生じさせることができる,という可能性を示すことができたと考えられる.
著者
金原 進
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.60-70, 1987-09-30 (Released:2010-06-28)
参考文献数
10

This paper is a report on the history of entrance examinations for national public service, from 1949 to the present. Examinations for public service in Japan are aimed at appointing new graduates in the given year. An examination consists of a written test and an oral interview which is designed to evaluate whether applicants have the appropriate quality. The competency of the applicants are also evaluated in terms of the potentiality of their career promotion.The method of the written examinations is considered to be adequate, although the method for administering the oral interview needs some inprovement.
著者
阿蘇 司 原 正憲 藤原 進 平野 祥之
出版者
富山高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究は、量子化学・分子動力学計算による知見を組み込んだDNA損傷の確率的計算モデル開発を目的としている。今年度は、(1)開発シミュレーションソフトウェアでの間接作用の影響を評価するためのラジカル発生と、その拡散・再結合相互作用の評価、(2)空間クラスタリング法を用いたDNA損傷の確率モデル検証、(3) 分子動力学計算を用いたDNA分子置換に起因する分子構造変化の影響評価、(4)ガンマ線照射による重水中DNA分子の水素置換評価実験を解析するための量子科学計算の導入を実施した。以下に概要を示す。(1) 間接作用では、ラジカル発生からその拡散・再結合を追跡して時間的な空間分布を計算してDNA分子の空間形状との対応によりDNA損傷の有無を判断する。計算アルゴリズムは試作したが、計算時間が長く精密な計算を行うことが容易ではないことがわかった。現在、文献調査等を通じてアルゴリズムの改良に着手している。(2) 空間スラスタリング法を利用して、直接作用と間接作用の両方を考慮したDNA損傷が評価できる状況にある。このソフトウェアを用いて、多様な条件でのシミュレーションを行なっている。また、(1)のシミュレーション開発のアルゴリズム改良に際しての参考に用いている。(3) DNA分子置換が生じた後に、DNA損傷に至る過程を分子動力学計算で評価を行なっている。また、トリチウム水の水分子がDNA分子構造にアクセスする様子を調べるために、水分子とDNA分子構造を入力した分子動力学計算によって、確率的なアクセス頻度を計算できる状況となっている。(4) 重水へのガンマ線照射により、DNA分子構造の水素が重水素に置換する可能性を調査している。ガンマ線照射実験で得られた赤外線吸収スペクトルを量子化学計算により解析して、置換反応の有無を評価している。
著者
石原 進 太田 雅敏 行方エリキ 水野 忠則
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.12, pp.2997-3007, 2005-12-15
参考文献数
11
被引用文献数
12

携帯端末向けの手軽な個人認証手法として,携帯端末の動きを用いた個人認証手法「3D 動作認証」を提案し,その有用性について基礎的評価を行う.3D 動作認証では,動作計測用のセンサを搭載した小型端末でユーザの動きをとらえ,その個人特徴を認証に利用する.小型の加速度センサは腕時計や携帯電話に内蔵することができ,ユーザは特別な入力装置を用いずに,端末を動かすだけで手軽に認証操作を行うことができる.3 次元空間での動きは筆跡という目に見える形で残ることがなく,手首のひねりなどを利用した動作を肉眼でとらえることは難しいため,他人に動作をコピーされ悪用される危険性が低い.本手法では加速度センサで得られる加速度のDP マッチングにより認証判定を行う.加速度センサを搭載した実験用端末を用い,11 人の動作登録者および27 人の成りすまし被験者による実験の結果を行った.この結果より,本手法に適した認証用動作の特性を確かめた.また,ユーザ自身のサインを動作パターンとして用いた場合,上記の特性に従って登録する動作の選別を行えば,本人拒否率を1.5%未満,動作パターンを図示された条件下での成りすまし成功率を1%未満とできることが確かめられた.We propose an individual authentication scheme using motions of a portable device 3D motion authentication. In this paper, we evaluated the fundamental properties of the scheme. The 3D motion authentication scheme measures motions with a small device equipped with an acceleration sensor for the authentication. The risk of misuse by others is low in the method, because the motion of a device in the air doesn't remain as handwriting and it is difficult to recognize the motion with the naked eye. The scheme uses DP matching to judge motions. We developed a prototype device like a mobile phone for the authentication scheme and tested it with 11 registered users and 27 attackers. We obtained a guideline for suitable motion patterns for this scheme from the results. We also obtained false rejection rate less than 1.5% and the false acceptance rate for vicious attackers who know the motion pattern show in the figure less than 1% with the user's own signature satisfying the guideline.
著者
内山 一則 奥田 朗 吉原 進
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
no.17, pp.437-444, 1997

The five stone-masonry bridges over the Kotsuki River, which flows along the center of Kagoshima City, have provided a historical outlook to this City. Among them, the Nishida Bridge has ornamental balustrade with beautifully designed balusters and this bridge is very famous as the main gateway bridge of the old Satsuma province. This paper investigates why these stone-masonry bridges were chosen for construction in kagoshima, which lies at the southern edge of Kyusyu, the circumstances of construction of these bridges and so on.
著者
桑原 進
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電氣學會雜誌 (ISSN:00202878)
巻号頁・発行日
vol.85, no.925, pp.1625-1634, 1965-10-01 (Released:2008-11-20)
参考文献数
5
著者
菅原 進一
雑誌
火災 (ISSN:04499042)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, 1996-08-20