著者
白井 宏樹 小堀 正人
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.129, no.1, pp.51-55, 2007 (Released:2007-01-12)
参考文献数
8

バイオインフォマティクスは,各種生物情報を情報科学的手法によって整理や解析をすることで,生物学上の重要な知見を抽出したり,またそれを促進させる研究分野である.様々な生物情報がフリーで入手可能な今日,バイオインフォマティクスは分子生物学研究や創薬において重要な役割を担っている.本稿では,創薬におけるバイオインフォマティクスの現状と問題点,および将来への展望を記述した.とくにバイオインフォマティクスによる仮説立案の役割について,研究2例を紹介し,その重要性と問題点を記述した.
著者
那須 高志 小林 渓紳 大堀 正明
出版者
Saitama Physical Therapy Association
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.40-44, 2023 (Released:2023-09-01)
参考文献数
18

【はじめに】大腿骨近位部骨折の術後患者における歩行自立度を予測する因子と,そのカットオフ値を調査することとした。【対象および方法】大腿骨近位部骨折を受傷し,手術を施行された40名において術後14日目の歩行が自立した群としなかった群で比較した。また歩行自立度を目的変数とし,年齢と荷重率と荷重時痛を説明変数とし,ロジスティック回帰分析を実施した。さらに影響を与えている説明変数に関してはROC曲線からカットオフ値を算出した。【結果】非自立群は自立群に比し荷重率が低く,荷重時痛が高かった。また術後14日の歩行自立度に影響を与えているものは荷重率で,そのカットオフ値は72.3%であった。AUCは0.86であった。【考察】荷重率は歩行自立度に影響を与えており,その予測能は高かった。以上のことから,術後7日目の荷重率を測定することで,術後14日目の歩行自立度を予測できる可能性が考えられた。
著者
長堀 正行
出版者
The Acarological Society of Japan
雑誌
日本ダニ学会誌 (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.1-11, 1998-05-25 (Released:2011-02-23)
参考文献数
49
被引用文献数
1 3

A brief review of mite and tick groups of birds and their acariasis is presented. Birds are hosts to diverse groups of mites and ticks that inhabit the feathers, quills, skin, intracutaneous tissue, subcutaneous tissue, nasal cavity, trachea, lung, air sac and serous membranes of the viscera. Fifty-one families of acarina, 1of which is phoretic, that are parasitic on or in birds have been recognized. Many of them are minimally pathogenic for wild birds. However, they can lead to various health problems and death in parasitized caged and aviary birds, and some groups may bite humans. Birds are also an important animal not only as a host for vector species of acari-borne diseases but also as a healthy carrier of acari-borne pathogens.
著者
堀 正岳 植田 宏昭 野原 大輔
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.26-38, 2006-01-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
25

茨城県筑波山の西側斜面における斜面温暖帯の発生をとらえるため,気温ロガーを用いた10分間隔の観測を2002年11月から90日間行った.斜面温暖帯の研究において,このような高時間解像度かつ長期間の観測を行ったのは本研究が初めてであり多数の温暖帯事例による定量的な把握が可能となった.観測期間中の斜面上の夜間最低気温は平野に比べてつねに高く,11月では斜面上の気温はつねに0°Cを上回っていた.夜間の気温の階級別出現頻度は,平野上では0°Cを挟んで高温側と低温側に均等に分布していたのに対し,斜面上では高温側に偏った分布を示した.平野と斜面との間で+2°C以上の気温の逆転が10時間以上持続する場合を斜面温暖帯の事例と定義したところ,こうした事例は観測期間中37~47日(42~53%)もみられ,月による頻度の違いはほとんどなかった.斜面温暖帯発生時には平野の気温が日没前後に低下することで平野と斜面との気温逆転が生じている.斜面上の気温は午前3時以降に時間変化が小さい状態になり,これに伴って平野と斜面の気温差は時間変化が小さくなる.温暖帯の中心の気温は1月に向けて低下するのに対して,平野との気温差はわずかに大きくなる傾向がある.このとき斜面温暖帯の中心の標高は200~300mであり,夜間を通してほぼ一定の高さを保っていた.
著者
佐々木 司 赤堀 正成
出版者
(財)労働科学研究所
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2002

本研究は,昨今のVDT機器の小型化,軽量化,記憶蓉量の増大,高速ネットワーク化などによって、ここ5年間で増大した在宅IT労働の労働実態とそれが労働者の疲労に及ぼす影響を明らかにする目的とした。調査対象者は、2名の子どもを持つ核家族の主婦で、長子の年齢の上限が8歳であることなどの条件でスクリーニングをした15名の在宅IT労働者(平均年齢±標準偏差;34.6±3.9歳)であった。調査は、30日間にわたる生活時間調査,疲労感調査および身体活動量の測定から構成された。生活時間調査票は,労働者がIT機器に精通していることを鑑みて,表計算ソフトを用いて電子ファイル形式で作成された.具体的な調査項目は,睡眠,食事・飲酒,移動,IT労働,IT機器を用いない労働,家事,育児,入浴など全13項目であった。調査対象者には,30日間,これらの項目の有無を1マス15分の精度で,できるだけ項目の行為を行った時刻にチェックすること,もしそれができない場合は1日3度にわけて行うことを説明した.加えて起床時の疲労感および就寝時の疲労感を日本産業衛生学会産業疲労研究会撰の「自覚症しらべ」を用いて調べた.30日間の調査期間から平日延べ300日,休日(土日,祝日の意)延べ150日のデータを分析した.結果は、労働時間と疲労感の関係では、1日の労働時間が0.4時、6.8時間において疲労度の増加が示された。しかし8時間以上の労働時間は,労働時間0時間の疲労度と似ていた.そこで労働時刻分布を求めた結果、平日も休日も労働時間分布が似ており,両日とも最も労働を行っていた時刻が21時.23時,また平日では午前から夕方にかけて,休日で午後から夕方,そして深夜においても労働の挿入が示されていることが明らかになった。さらに労働の終了時刻が深夜になるにつれ、疲労感が増大することが明らかになった。
著者
獅々堀 正幹 小泉 大地 柘植 覚 北 研二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.154-163, 2004-02-01
被引用文献数
7

検索キーに適した両像をWWW(World Wide Web)から検索するWWW両像検索システムの一つとして,フィードバック情報を格納した両度知識データベースを用いた検索システムを提案する.本システムは既存システムの結果をフィルタリングすることで適切な面謝を優先的に提示するエンドユーザ向けのシステムである.検索キーが画像知識データベースに未登録の場合,既存システムの結果からユーザが選択した正解両度の画像的特微量をフィードバック情報としてデータペー-スに登録する,登録の際,特徴量の類似性を考慮し,代表的な特微量のみを晋録することでデータベースの冗長性を防ぎ,検索キーの類義語も登録することで登録キーワードの帽を広げている.次回の検索の際,このデータベースが検索キーに対する教師データとなるので,教師データにより類似している両度を優先的に提示することができる.従来システムとしてGoogle ImageSearchを用い,130個の検索キーに対する評価実験を行った結果,106個のキーに対して精度が向上し,全体でも11.6%の精度向上が確認できた.また,5〜15枚程度の画像をフィードバックすることで十分な検索精度の向上が得られた.
著者
桑江 朝比呂 吉田 吾郎 堀 正和 渡辺 謙太 棚谷 灯子 岡田 知也 梅澤 有 佐々木 淳
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.10-20, 2019 (Released:2019-06-20)
参考文献数
34
被引用文献数
10

浅海生態系における気候変動の緩和機能(大気中二酸化炭素(CO2)の吸収機能や生態系内への炭素貯留機能)が注目され始めているものの,その全国推計例はない.そこで本研究では,気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のガイドラインに倣い,生態系内の炭素貯留量の増加量を大気中CO2の吸収量と定義し,国内外の既往文献をベースにデータ解析した.そして,我が国の浅海生態系(海草藻場,海藻藻場,マングローブ,干潟)における年間CO2吸収量の全国推計を試みた.その結果,現状におけるCO2吸収量の平均値は132万トンCO2/年,上限値は404万トンCO2/年と見積もられた.このような現状値あるいは将来値の推計を進めていくことは,地球温暖化対策計画における吸収源対策に浅海生態系を新たに定める検討や,浅海生態系の価値評価において有用であると考えられる.
著者
飯島 慈裕 堀 正岳 篠田 雅人
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

1. はじめに <br>ユーラシア大陸での冬季寒気形成は、モンゴルにおいて家畜が多大な被害を受ける寒害(ゾド:Dzud)を引き起こす主要な自然災害要因である。12~3月にかけての低温偏差の持続が、家畜被害と直結する。寒気形成は、継続した積雪面積の拡大と上空の強い低温偏差の維持が関係し、ユーラシアでの地上の低温偏差の強化は、上空に移流してくる北極由来の強い寒気が近年の要因の一つと考えられている(Hori et al., 2011)。特に、北極海の一部であるバレンツ海の海氷急減と対応して、北極の低気圧経路が変わり、それがシベリア高気圧の北偏を促して大陸上への寒気の移流を強めるパターンが提唱されている(Inoue et al. 2012)。 <br>本研究では、2000年代以降のユーラシアでの寒気流出・形成パターンの特徴をとらえるため、再解析データを用いた寒気流出事例の抽出と、その気候場の特徴を明らかにするとともに、高層気象、地上観測データと衛星による積雪被覆データから、ユーラシア中緯度地域での寒気形成について、近年の大規模なゾド年であった2009/2010年冬季を対象として事例解析を行った。<br><br>2. データならびに方法 <br>本研究では、はじめに長期的な寒気流出状況を明らかにするため、1979~2014年の欧州中期予報センター(ECMWF)の再解析データ(ERA-interim)を用いて、北極由来の寒気流出頻度を算定した。寒気流出は、冬季(12~2月)のバレンツ海領域(30-70˚E, 70-80˚N)とユーラシア中緯度領域(40-80˚E, 30-50˚N)との地上気温の15日移動相関が有意となり、かつバレンツ海領域で気温が正偏差の場合とした。 <br>また、2009/2010年冬季でのモンゴル国ウランバートルでの高層気象データ(NOAA/NCDC Integrated Global Radiosonde Archive)とウランバートル周辺でのJAMSTECによる地上気象観測データから、上空寒気移流と逆転層発達に伴う寒気形成過程を解析した。 &nbsp;<br><br> 3. 結果 <br>1979~2014年冬季の北極由来の寒気流出イベント数の時系列によると、2000年以前は、39事例であり、頻度は最大5回、平均1.8回であった。一方、2001~2014年は46回あり、最大7回(2006年)で、平均して3.3回であった。これは、毎月1度は北極由来の寒気移流が起きる状況が近年継続して現れていることになり、その頻度が増えていることを意味している。この長期変化傾向に対応して、2000年代以降は、バレンツ海領域では冬季の気温上昇、ユーラシア中緯度領域では低下傾向が有意に現れていた。 <br>続いて、2009年12月のウランバートルでの寒気形成事例を解析した。12月10~19日にかけて、地上気温が-30℃以下となる寒気が継続している(①期間)。この事例では、9日以降上空の寒気移流と対応して地上の下向き長波放射が急減している。2009年は11月からモンゴルの積雪が拡大しており、放射冷却が進みやすい条件となった。この間、地表から対流圏下層はシベリア高気圧の発達による弱風条件が継続したこともあり、接地逆転層が安定して維持・発達し、寒気が長期間にわたって形成・維持される環境となった。一方、12月24日以降も同様に上空の強い寒気移流があった(②期間)。しかし、対流圏中層から地上まで風速が10m/s以上に達する撹乱によって逆転層の形成が阻害され、-30℃以下の寒気継続は4日間程度と短かった。 <br>以上の結果から、ユーラシア中緯度上空には、北極気候変化に関連してもたらされる強い寒気移流、下向き長波放射量の減少、広域の積雪被覆状態、高気圧発達よる撹乱の減少、によって地表面放射冷却が強まり、逆転層の形成・維持によって異常低温が継続されたと考えられる。今後は、広域積雪をもたらす大気状態と、その後の寒気形成との関係などについて、さらに解析を進める予定である。
著者
黒木 知美 鶴見 みや古 長堀 正行
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.113-123, 2020-12-15 (Released:2020-12-16)
参考文献数
31
被引用文献数
3

Only two feather mite species, Compressalges nipponiae Dubinin, 1950 (Astigmata, Freyanoidea, Caudiferidae) and Freyanopterolichus nipponiae Dubinin, 1953 (Astigmata, Pterolichoidea, Kramerellidae), are described from the Crested Ibis Nipponia nippon (Temminck, 1835) in Russia. Both mites have never been reported from other birds and are probably species-specific to the Crested Ibis. However, after the original descriptions, no collection records on the type host have been reported. We investigated the feather mite species compositions on forty nine specimens of the Crested Ibis, comprising the original Japanese population (six specimens), specimens raised in Japan but originating from Shaanxi Province, China (thirty two specimens), birds from the original Korean Peninsula population (nine specimens), and two specimens of unknown origin. As the result, F. nipponiae was found in all areas, but C. nipponiae was not found on any of the samples originating from China (Shaanxi Province). Specifically, species composition was the same in Japan and the Korean Peninsula. However, compared to that of these two regions, that in inland China (Shaanxi Province) differed. Recent genetic analysis detected systematic differences in Crested Ibis depending on the regions. For understanding the detail, we need to survey the symbiotic status in China. However, our results indicate partially that the difference between symbiotic feather mite corresponds to differences in the origin among the Crested Ibis populations.
著者
赤堀 正宜
出版者
放送大学
雑誌
メディア教育研究 (ISSN:13441264)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.1-18, 1998

アメリカにおける公共放送の発達に及ぼしたフォード財団の貢献を否定する人は一人もいないであろう。エングルマン(Ralph Engelman)は「フォード財団はアメリカにおける非商業放送の揺籃期を注意深く育て上げ、カーネギー財団はその後の少年期の育成に努力した。この両財団の連携による貢献なしには、今日の公共放送はありえなかったであろう。」とのべ、2つの巨大篤志財団の貢献を証ししている。さらに、フォード財団成人教育基金の副会長を務め、「アメリカの教育放送」を著したブレイクリー(Robert J. Blakely)は、「1951年、フォード財団は多くの教育テレビ・ラジオ局より補助金の要請をうけ、これらの要求を実現するために成人教育基金と教育革新基金を設立し、公共放送の発展に寄与した。」とのべ、フォード財団の活動を詳述している。事実連邦政府が公的資金を公共放送の発展に支出したのは1962年公共放送設備法成立以後のことであり、それ以前は民間の資金によって公共放送は成長してきた。本論文では、初期の公共TV放送の基礎形成に貢献したフォード財団の活躍に焦点をあて、アメリカ篤志財団の篤志行為(Philanthropy)への理念、公共放送育成の理念を明らかにし、民主社会における公共放送のあり方を追求する。
著者
堀 正
出版者
社団法人 腐食防食協会
雑誌
防蝕技術 (ISSN:00109355)
巻号頁・発行日
vol.18, no.9, pp.393-398, 1969-09-15 (Released:2009-11-25)
参考文献数
65
被引用文献数
2 1