著者
赤堀 正宜 アカホリ マサヨシ Masayoshi Akahori
雑誌
放送教育開発センター研究紀要
巻号頁・発行日
no.1, pp.135-146, 1988

Video-tape recording for research on teaching and learning is known as the most effective and popular method in analysis of teaching. In the first experiment of micro-teaching at Stanford University in 1963, video-tape recording was used for evaluation of teaching practice by student teachers, and since then this method has been used for research on teaching methods. The Institute has been producing teacher-training audio-visual materials since 1984. This paper reports the search and development activities involved in those efforts.
著者
堀 正士 新井 哲明 嶋崎 素吉 鈴木 利人 白石 博康
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.97-99, 1997-01-15

trazodone(レスリン®,デジレル®)は,心血管系の副作用が軽微で,抗コリン系副作用が少ないことなどから,高齢者や身体疾患を合併したうつ病患者に対して比較的投与しやすい薬剤とされている2)。しかしその反面,副作用として稀ではあるが,持続陰茎勃起症が知られており,治療的緊急性を要する場合もあることから,男性患者では注意を要する7,9,10)。一方で,単に身体的な異常にとどまらず,性欲そのものを亢進させるという報告も近年みられるようになってきた4,6,8)が,その発現頻度は極めて低く,本邦での報告は見当たらない。今回我々はtrazodone投与中に耐え難い性欲の亢進を呈した,妄想性うつ病の1女性例を経験したので,若干の考察を加えて報告する。
著者
赤堀 正成
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.95-107, 2018

<p> フランスでは1968年5月のいわゆる「五月革命」を経て,ようやく企業内における労働組合活動が法認された。とくにフランス労働総同盟(以下,CGT)は第二次世界大戦後間もなくから企業内における労働組合活動の自由を強く要求してきた経緯があり,企業別・事業所組織を単位組合(サンディカ:syndicat)として位置付け,サンディカの主体性のために「分権化」を基調としている。 このような点に注目すれば,CGTの組織は,企業別労働組合を基本単位とする日本の労働組合組織とよく似ているように見えるが,その行動様式や在り様はかなり異なり,CGTは職場と地域において戦闘的な運動を展開することでよく知られている。本稿では企業別労働組合を基本単位としながらも日仏に見られるような対照的な労働組合運動が現れる理由をCGTの組合費の分配を含む組織構造の面から考える。</p>
著者
両角 隆一 堀 正二 西村 恒彦
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.28, no.Supplement1, pp.23-28, 1996-02-20 (Released:2013-05-24)
参考文献数
18

拡張型心筋症(DCM)において慢性期治療の前後でMIBGシンチを実施し,心不全に対する治療効果と本画像所見との関係を多施設共同研究により検討した. 【対象】D C M 2 4 例( 6 0 ± 1 1 歳, N Y H A I I~III),内βプロッカー療法群18例(β群),その他の治療群6例(A群).【方法】慢性期治療前および開始後3カ月目以降にMIBG心筋シンチを実施した.123I-MIBG 111MBq静注後15分と4時間目にSPECTと胸部正面Planar像を撮像した.Planar像では,関心領域を設定し,心臓/上縦隔集積比(H/M)および心臓洗い出し率(%WR)を算出した.SPECTでは,局所集積を4段階のdefect scoreを用いて視覚的に定量評価した.また,心エコー図から左室内径短縮率(%FS)を得た.【結果】H/Mは,A群の初期像で有意な増加が認められた以外には明らかな変化は認められなかった.一方,%WRは,両群で有意な低下を示した.β群では,初期像・後期像ともにDSに明らかな改善を認めたのに対し,A群ではいずれにおいても明らかな変化が認められなかった.【結果】内科的治療による心機能の改善とともに心筋MIBG集積も改善した.その変化は,βプロッカー療法と他の治療法とでは異なっている可能性が示唆された.
著者
山口 直美 小林 純 太刀川 弘和 佐藤 晋爾 堀 正士 鈴木 利人 白石 博康
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.25-32, 2000-01-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
30

摂食障害患者を自殺企図の有無で2群に分類し, 2群間でParental Bonding Instrument(PBI)で測定された両親の養育態度や臨床症状などについて比較検討した.PBIの結果において, 自殺企図群では両親のoverotection(過保護)得点が有意に高かつた.また自殺企図群では虐待体験を伴う症例が有意に多かつた.一方, 発症年齢, 調査時年齢, 摂食障害の重症度, 過食, 嘔吐, 下剤乱用, 物質乱用, 抑うつ状態の有無などについては2群間に有意差を認めなかつた.摂食障害患者において自殺企図の危険因子として, PBIの高いover protection得点で示されるような, 親の支配的で過保護な養育態度や虐待体験などが重要と考えられた.
著者
西堀 正洋
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.151, no.1, pp.4-8, 2018 (Released:2018-01-10)
参考文献数
19
被引用文献数
6

20世紀末にエンドトキシン血症の致死性メディエーターとして同定されたhigh mobility group box-1(HMGB1)は,その後約15年間の研究で種々の炎症性疾患における病態の形成に重要な働きをすることが明らかにされてきた.現在では,組織損傷に応じて細胞外へ放出され,起炎性の作用を発揮するdamage-associated molecular patterns(DAMPs)の代表と考えられるようになった.本稿では,筆者らが取り組んできたHMGB1の中和活性を有するラット抗HMGB1単クローン抗体の作製をまず紹介する.次いで,本抗体を用いた神経系疾患,具体的には脳卒中(脳梗塞,脳出血),脳外傷,てんかん,神経因性疼痛モデルでの治療効果の解析結果を報告する.これら一見多様な疾患モデルにおいて,障害局所の神経細胞核からHMGB1が細胞質を経て細胞外へ放出されるのが,障害急性期に共通するイベントとして観察された.細胞外へ放出されたHMGB1は,血液脳関門(BBB)の破綻と炎症関連分子群の誘導に働き,脳内炎症を加速させた.末梢投与された抗HMGB1抗体は,いずれの病態モデルにおいてもHMGB1のトランスロケーション,BBBの破綻,炎症関連分子群の発現のすべてを強く抑制し,障害に随伴する神経症状を軽減した.これらの結果は,HMGB1が脳組織障害に際し極めて鋭敏かつ迅速に動員される因子であることを物語るとともに,BBB破綻や炎症性因子の誘導の最上流付近に位置する因子であることを示唆している.従ってHMGB1は,これらの疾患治療の極めて優れた標的であるということができ,HMGB1を標的とする抗体療法は,これまでにない新しい治療法となる可能性がある.
著者
堀 正敏 藤澤 正彦 堀口 和秀 道下 正貴 百渓 英一 田島 剛
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

我々は、消化管には5-HT4受容体(5-HT4R)を介する消化管局所での抗炎症シグナル機構が存在することを術後イレウスモデルを用いて発見した。そして、さらにその詳細なシグナル伝達系の解明を試みた。その結果、5-HT4Rの活性化を介した消化管壁内神経刺激は、神経終末からAChを放出する。AChは健常時には消化管平滑筋に作用し消化管運動亢進作用を発揮するが、消化管炎症時にはマクロファージ上のα7ニコチン様ACh受容体(α7nAChR)を活性し、マクロファージ浸潤を抑制するとともに、ムスカリンM2受容体(M2AChR)を介して好中球浸潤を抑制することが明らかになった。
著者
佐伯 清美 西堀 正洋
出版者
岡山大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

脳のモノアミン類の神経性取り込みに及ぼす抗ヒスタミン薬(H_1受容体拮抗薬)の影響を脳内モノアミン代謝脳変化を指標にして検討した。モノアミン類とその代謝産物は、脳ホモジネ-トの遠心上清を直接あるいは精製操作後に高速液体クロマトグラフィ-(HPLC)・電気化学検出法で分析することにより測定した。クロルフェニラミンは1mg/kg(i.p.)以上の用量で脳内5ーHIAA量を、5mg/kg以上でDOPAC量を減少させ、ジフェンヒドラミンは10mg/kg以上でDOPAC量を、20mg/kg以上で5ーHIAA量を減少させた。メピラミンは20mg/kg以上で5ーHIAA量減少させたがDOPAC量に影響しなかった。プロメタジンは20mg/kgでMHPG量を増加させた。メピラミン以外の薬物は10mg/kgでαーメチルーpーチロシンによるドパミン減少を抑制したが、ノルアドレナリン減少はプロメタジンにより逆に促進され、他の薬物では影響されなかった。パ-ジリンによる5ーHT蓄積はH_1拮抗薬により影響されなかった。以上の結果から、(1)ジフェンヒドラミン、クロルフェラミンおよびメピラミンは脳内ノルアドレナリン系に対してその伝達物質再取り込みにほとんど作用を示さない、(2)メピラミンはドパミン系に対してもほとんど作用を示さない、(3)ドパミンの神経性再取り込みはジフェンヒドラミン、クロルフェニラミンによって阻害され、その代謝回転も抑制される、(4)ジフェンヒドラミンとクロルフェニラミン(特にクロルフェニラミン)ならびにメピラミンは5ーHTの再取り込みを阻害するがその代謝回転には影響しない、(5)プロメタジンはドパミンの代謝回転を抑制するがノルアドレナリンの代謝回転を促進すると結論した。
著者
柿本 敏克 堀 正 黒須 俊夫
出版者
群馬大学社会情報学部
雑誌
群馬大学社会情報学部研究論集 (ISSN:13468812)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.103-113, 2003

人間科学的研究の方法論的側面を再検討するプロジェクトの一環として、名古屋大学の広瀬幸雄教授によって作成された仮想世界ゲームが論じられた。2002年度に群馬大学でおこなわれた実施例の概略が報告され、最後に人間科学的研究における実験的手法の意義が、社会的リアリティという観点から議論された。As a part of our recent project on reconsidering methodological aspects of researches in human sciences, Simulated International Society (SIMINSOC), constructed by Prof. Yukio Hirose of Nagoya University, was discussed, while a case conducted at Gunma University in 2002 was reported briefly. Finally, the problems of laboratory experimentation of social phenomena were argued in the light of social reality.
著者
堀 正太郎
出版者
農商務省農事試驗場
雑誌
農事試驗場報告
巻号頁・発行日
no.38, pp.1-43, 1911-03
著者
金子 豊治 山下 実 大堀 正衛 村上 元一
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.837-841, 2009 (Released:2010-07-26)
参考文献数
1
被引用文献数
1

Euro5によるPM規制及び欧州CO2 140g/kmに対応するため、世界に類を見ない低S.Ash(硫酸灰分)で低燃費なディーゼルエンジンオイルDL-1/C2 0W-30を開発した。高信頼性、低S.Ash、低燃費を高次元で実現し、排ガス後処理装置のDPFに対応しながら、B1 5W-30と比較して車両燃費向上率で2%、CO2削減で3g/kmを達成した。
著者
堀 正太郎 卜藏 梅之丞
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.27-31, 1918-02

歐洲大戦亂の突發以來菌類並に細菌の培養に殆んど缺くべからざるペプトーンの輸入途絶したる爲其市價は戦前に比すれば八倍乃至十倍に騰貴し内國製品と雖も尚ほ一封十五圓の時價を保てり。之が爲菌類並に細菌研究所の培壤に要する經費は著しく増加し、就中我邦にて汎く野鼠驅除に應用せらるる野鼠窒扶斯菌の培養は甚だ失費多きことゝなれり。是れ著者の一人が培壤製造上ペプトーンに代用すべき經濟的物料の研究に著手せる動機とす。硫酸アムモニア、炒大豆粉、大豆粕等に就て試驗を行ひたるに大豆粕は最も良結果を奏し、其細〓せるもの三十瓦(水一立に對して)は二十瓦のペプトーン(細菌學上普通に使用する分量)に代用し得べきことを發見せり。此大豆粕煎汁にて寒天、膠、ブイヨン培壤を製して野鼠窒扶斯菌、諸種の植物病原菌並に非病原菌の培養を試みしにペプトーン添加の培壤と毫も異なることなく、野鼠窒扶斯菌の如きは一層良好の發育を爲せり。是を以て大正五年以來西ケ原農事試驗場に於ては特別なる研究の場合以外には菌類並に細菌の培養には皆此大豆粕煎汁培壤を使用することとなり、又府縣農事試驗場にて野鼠驅除用の野鼠窒扶斯菌は一般に本培壤を使用するに至れり。之が爲我邦の各農事試驗場の菌類及細菌研究室の培壤に要する經費は著しく節約し得られたり。今時價に依り培壤一立に要する費用を比較すれば次表の如し。 [table] 大豆粕の分析表に據れば微生物の營養となる主要成分は粗蛋白質(カゼイン)及可溶性無窒物(水酸化炭素物)にして、可溶性窒素の量の多少にあらざることは次に記す大豆粕煎汁及ペプトーン溶液中に存在する全窒素量の比較に依りて明かなり。[table] 斯くの如く大豆粕煎汁に溶解せる全窒素の量はペプトーン溶液の其れの約二十分一の少量に過ぎず而も尚は微生物の蕃殖の良好なるは窒素以外に他の螢養分の存在するを以てなり。 製法 能く乾燥せる淡色の光澤ある大豆粕を撰ぶベし、黴菌の蕃殖せるもの、濕りたるもの、褐色のもの等は煎汁褐色を帯ぶるを以て用ゆべからず。先づ大豆粕を鐵槌又は刃物にて適當の大さに碎き次に鐵製乳鉢にて細〓し、其三十瓦を蒸溜水一立の割にてコルベンに盛り蒸氣釜にて一時間半煮沸す。煎汁は中性にして寛るく綿栓を施したる漏斗に注下して濾過し粗渣を去るべし。濾液は帯青黄白色、二%のペプトーン溶液よりも其色遙かに淡し。煮沸中に蒸發せる水の減量は之を補ふも補はざるも可なり。斯く製造したる大豆粕煎汁の濾液を以て普通の方法手續きに依り、ブイヨン、寒天、膠の各培壤を製す。唯注意すべきはカゼインは酸に依りて沈澱するを以て此煎汁にて酸性培壤を製すること能はず。又肉越幾斯は少しく酸性なるが故に先づ重炭酸曹達の飽和液を煎汁に加へて鹽基性ならしめ然る後に肉越幾斯を加ふべし、然らざれば培壤は溷濁す。
著者
上田 周平 鈴木 重行 片上 智江 堀 正明 水野 雅康
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.BaOI2019, 2011 (Released:2011-05-26)

【目的】頭頚部の運動は環椎後頭関節を中心とする頭部の運動と下位頚椎を中心とする頚部の運動から規定される(Hislop H.J.2002)。頭頚部のアライメントの相違は咽頭、喉頭などに形態的差異をもたらし嚥下機能に密接に関与すると報告されているが、頭頚部の関節可動域(以下ROM)を頭部と頚部に分け嚥下機能との関連性を検討した報告はみられない。我々は第45回本学術大会において施設入所中の50名の高齢者を対象に誤嚥性肺炎の既往の有無で頭頚部のROMを比較し、複合(頭部+頚部)屈曲には差はないが、誤嚥性肺炎群では頭部屈曲ROMが低値であることを報告した。そこで本研究は、嚥下機能の変化に伴い複合屈曲と頭部屈曲のROMにどのような変化が見られるのかを明らかにすることを目的とした。【方法】対象者は嚥下障害でリハ依頼のあった者のうち、才藤らの嚥下障害の臨床的病態重症度分類(以下class)で4以下の障害を有し、急性期の脳血管障害、腫瘍などによる通過障害、臥位で頭部が床面に接しない円背の者を除外した36例(男性20例,女性16例,平均年齢84±8歳)とした。リハ開始時と最終時に嚥下機能はclass、改訂版水飲みテスト、食物テストを指標として評価した。また頭頚部機能は頭部屈曲と複合屈曲のROM、舌骨上筋機能グレード(以下GSグレード)、相対的喉頭位置(吉田.2003)を評価した。リハ開始時と比較して最終時に嚥下機能の評価指標のいずれかが1ランクでも改善が見られた者を改善群とし、それ以外の群(不変・悪化群)との2群に分類し、頭頚部機能を比較した。なお入院期間中は全例PT、STによる介入を行った。ROMの測定肢位はベッド上臥位とし、他動運動にて最大角度と可動範囲を測定した。頭部屈曲の最大角度は外耳孔を通る床からの垂直線と外眼角と外耳孔を結ぶ線とのなす角(A角)の最大値、可動範囲は最大角度に開始肢位でのA角を加えた角度とした。複合屈曲の最大角度は肩峰を通る床との平行線と肩峰と外耳孔とを結ぶ線とのなす角(B角)の最大値、可動範囲は最大角度から開始肢位でのB角を引いた角度とした。測定にはデジタルカメラを用い、カメラが被検者と平行になるように三脚に固定して撮影を行った。その後データをPCに取り込み画像解析ソフトImage J(NIH)を用いて角度を算出した。統計学的手法は群内の比較には対応のあるt検定、Wilcoxonの符号付順位検定、2群間の比較には対応のないt検定、Mann-Whitneyの検定を用い、危険率5%未満を有意水準とした。【説明と同意】対象者またはその家族には研究の主旨を十分に説明し、研究に参加することへの同意を得た。また本研究は所属機関の倫理委員会の承認を受けて行った。【結果】最終評価後の嚥下機能は改善群18例、不変・悪化群18例であった。両群間で基礎データ(年齢,性別,リハ開始時と最終時Barthel Index,脳血管疾患既往の有無,入院からリハ開始までの日数,入院期間,リハ日数)に差を認めなかった。群内の比較は改善群では頭部屈曲の最大角度と可動範囲、複合屈曲の最大角度と可動範囲に有意な増大を認めた。不変・悪化群では複合屈曲の最大角度と可動範囲、GSグレードに有意な増大を認めた。2群間の比較では最終評価時の頭部屈曲の最大角度と可動範囲、リハ開始時と最終評価時のGSグレードが改善群で有意に高値であった。【考察】頭頚部機能として評価した相対的喉頭位置は群内、群間ともに差を認めなかった。この指標は吉田らが脳卒中患者を対象に検討を行っている指標であり、今回のような高齢なADLの低い者では両群とも高値を示しており、嚥下機能を反映しないことが考えられた。GSグレードにおいては改善群では群内の変化は認められなかった。不変・悪化群では有意な増大を認めたが、リハ開始時、最終評価時ともに改善群が不変・悪化群と比較し有意に高値を示しており、先行研究と同様に舌骨上筋群の機能が嚥下運動に影響を与えることが示された。ROMに関しては改善群では複合屈曲、頭部屈曲ともに改善を認めたが、不変・悪化群では複合屈曲のみ改善を認めた。頭頚部屈曲の効果には舌圧の増加、嚥下後喉頭蓋谷残留の減少、喉頭閉鎖不全の代償などが報告されているが、報告者により複合屈曲、頭部屈曲が混在している状況である。しかし今回の縦断調査の結果から治療における頭部屈曲へ対する介入の必要性は明確になったと考える。【理学療法学研究としての意義】高齢嚥下障害患者の嚥下機能改善の為の介入を行ううえで、また悪化させないように維持するうえで注目すべき頭頚部機能として頭部屈曲ROMがあげられることが示唆された。