著者
垣鍔 直 中村 肇 稲垣 卓造 堀越 哲美
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.65, no.528, pp.67-73, 2000-02-28 (Released:2017-02-03)
参考文献数
16
被引用文献数
4 4

Kruithof demonstrated the preferred combination of illuminance levels and color temperatures. However, as Kuller pointed out, a seasonal change and gender difference in such preference may be expected. In order mainly to observe a seasonal change in preference of color temperatures for a given illumination level, four male and female subjects were exposed to four different conditions of color temperatures of 3,000K and 7,500K combined with room temperatures of 22℃ and 30℃ at l, 5001x in summer and winter. In addition, preference of color temperature was tested under the thermally neutral condition in spring and autumn. Physiological variables such as skin temperatures, heart rate, finger blood flow, blood pressure and oral temperature were measured. Themal sensation vote, themal comfort vote, and sensation votes on illuminance and relaxation were reported at 5-min. intervals. As a result, evaluation from psychological and physiological responses indicated that 7,500K was more preferred than 3,000K at 1500lx in spring and summer.
著者
是澤 紀子 堀越 哲美
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
no.39, pp.145-150, 2004-10-25
参考文献数
15
被引用文献数
4 1

本研究では、京都市街地を通過する花折断層南部の周辺地域を取り上げ、地震情報としての活断層を含む自然環境の条件と、信仰の場としての神社の立地との関係性を探ることによって、立地場所の地形地質的要素が神社とその周辺における景観の様相に及ぼす影響を把握し、景観整備のための景観形成を評価する指標を探ることを試みた。神社立地の頻度分布において活断層付近の神社は、活断層沿いに分布する様相を呈していることが示された。地形と地質の構成を検討した結果、活断層周辺の神社景観を形成する自然環境の表出は、基盤岩と被覆層という地質条件により区別できる可能性が考えられ、地形的特徴となる断層崖の地質のうち隆起した被覆層は、神社立地と自然環境との関わりを考察する上で、両者のインターフェースかつ指標であると推察される。このような自然環境条件の指標は、その土地固有の自然と文化により構成されるものであり、建造物と一体化した神社の周辺環境すなわち景観を保存整備していく上で重要である。
著者
冨田 明美 宮本 征一 堀越 哲美
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.43-51, 1999-04-01 (Released:2010-10-13)
参考文献数
14
被引用文献数
3

日本人青年男女の体表面積を得るため, 人間生活工学研究センター (HQL) による日本人の人体計測データ平均値を基準に体型の異なる男性3名, 女性3名を被験者として選出した.6名の被験者について非伸縮性接着テープ法により体表面積の実測を行った.また, 体表面積と既往研究の体表面積推定式との適合性について検討した.シルエッターにより得られるシルエット写像の面積を測定し, 体表面積との関係を検討した.得られた結果は次のようである.1) 体表面積は, 男性の平均で17895cm2, 女性の平均で14443cm2であった.2) 体表解剖学体表区分に準拠した体表区分の面積比率から, 男女とも臀部, 大腿部, 下腿部に被験者間の差が大きいことがわかった.蔵澄らの面積比率に比較して, 大腿部, 胸部が大きく, 臀部が小さくなる傾向がみられた.また, DuBiousの面積比率に比較して, 大腿部, 腕部が大きく, 体幹部が小さくなる傾向がみられた.3) 蔵澄, 高比良, DuBious, 新谷, Meeh, 村田, 藤本の体表面積推定式の適合性を検討した.男性では, DuBious, 蔵澄, 新谷, 高比良の計算式が被験者の実測体表面積と適合することが確認できた.女性では, DuBious, 蔵澄, 高比良の計算式が適合した.4) シルエッターにより得られたシルエット面積 (x) と体表面積 (y) との一次回帰式を求めた.人体方位角0°と90°において, シルエット面積と体表面積との間には, r=0.989以上の高い相関が認められた.シルエット面積から体表面積を推定する式として次式を提案した.方位角0°の場合は, y=3.430x+0.003, 方位角90°の場合は, y=6.264x-0.22
著者
持田 徹 堀越 哲美 嶋倉 一實 稗田 哲也 津田 紘
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.49, pp.35-46, 1992

走行中の乗用車内の熱環境と,運転者の生理心理反応の実状を把握するため,冬期に北海道で実験を行い,熱的快適性に関し下記の結果を得た.足元にヒータの吹出し口がある場合,脚部付近の気温が胸や頭部付近より高く,一方,無暖房時の気温の垂直分布は,床から天井に向かって高くなっていた.各部位の皮膚温も,暖房時には下腿(たい)や足が,前腕や大腿より高温であったが,無暖房の時には足が最低であった.平均皮膚温は発車から,約30分でほぼ定値に達し,定常走行時の平均皮膚温と温冷感・快適感は,窓を通しての運転者への直達日射がない時は,両者の間に一定の相関関係がみられたが,日射のある場合には,必ずしも一定の関係はみられなかった.
著者
鄭 椙元 堀越 哲美 福岡 真由美 水谷 章夫
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.20-28, 1996-06
被引用文献数
3

本研究は,都市の暑熱時における緑がもたらす人体の熱的快適性への暑熱緩和効果を知ろうとするものである。予備調査として名古屋市の都市気温の水平分布の実測調査を行った結果,緑が多く見られる鶴舞公園と東山公園で周囲より低温域が観測された。周囲より低い気温が観測された都心部にある鶴舞公園と,周囲の市街地の樹木の繁茂状況や都市空間の性質が違う6カ所を選び,1994年8月22日から29日の間,温熱環境要素測定とともに,被験者を用いた心理反応を測定した。熱的快適性は屋外では日射の影響を受ける。人体の放射熱授受は気温・表面温・日射に基づいて算出された。作用温度は日射熱授受量で修正された。この修正した作用温度で新有効温度を計算した。緑陰・市街地日向の間に,等しい新有効温度でも温冷感に有意差があった。本研究によって,暑熱時における都市緑地空間の有効性が検証された。
著者
柘植 俊直 ウィグノ プロドジョスドジャジ モハマド ヨギアントロ 来栖 厚 大澤 勲 小林 則善 清水 芳男 スハードジョノ ダルメイザー ジノヴァ ナインゴラン アイーダ リージャ プラナワ チャンドラ モハニ ジョーコ サントソ ウィドド リザニアンシャ 堀越 哲 富野 康日己
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.100-106, 2010

背景 : 慢性腎臓病 (CKD) は, IgA 腎症やループス腎炎などの慢性糸球体腎炎, 糖尿病腎症や腎硬化症など, 全ての慢性腎臓病を含んだ疾患概念である.CKD は末期腎不全 (ESKD) の準備状態であると同時に, 心血管疾患 (CVD) の重大なリスク因子であることが明らかとなっている.アンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬 (ARB) は, 降圧薬として広く用いられているが, 両薬剤の腎保護効果にも注目が集まっている.今回, 順天堂大学とインドネシア大学, アイルランガ大学は, 高血圧を伴うCKD 患者におけるACE阻害薬イミダプリルの尿蛋白減少効果を検討する共同研究を行った.方法 : 23名の高血圧を伴うCKD 患者にカルシウム拮抗薬 (CCB) とイミダプリルを投与し, 腎機能と尿蛋白量の変化を治療前後で比較した.CCB を投与している患者にイミダプリルを追加投与 (5mg/日) し, 血圧が目標値 (130/85mmHg未満) に達しなかった場合には, さらにイミダプリルを10mg/まで増量し, 投与後12 ヵ月で評価した.結果 : CCB にイミダプリルを加えることによって, 6 ヵ月後・12 ヵ月後の収縮期血圧および拡張期血圧は有意に低下した.尿中アルブミン排泄量は, 投与開始時には顕性蛋白尿レベル (0.3g/g・Cr以上) であったが, 6 ヵ月後・12 ヵ月後は共に微量アルブミン尿レベル (0.299g/g・Cr 以下) にまで有意に減少した.結語 : イミダプリルとCCB の併用によるCKD 患者の腎保護効果を, 順天堂大学とインドネシア大学, アイルランガ大学の共同研究により検討した.イミダプリルを軸とした治療により, CKD患者の血圧は有意に低下し, 尿中アルブミン排泄量は有意に減少した.以上より, イミダプリルは高血圧を伴うCKD 患者において, 腎保護的に作用することが確認された.
著者
長野 和雄 堀越 哲美
出版者
Japanese Society of Biometeorology
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.5-18, 2004-08-01
被引用文献数
4

本研究は,熱的中立から寒冷側の熱条件および交通騒音条件下において人体の心理反応に及ぼす複合影響を定量的に捉え,新しい環境評価指標を作成・提案することを目的としている.作用温度(19, 22, 25, 28°C)・等価騒音レベル(46.6 dB(A):空調騒音;58.5, 72.9, 79.9, 95.5 dB(A):交通騒音)の組合せ20条件について,男子学生22名の被験者の申告を得た.その結果,熱条件は暑さだけでなくうるささに,音条件はうるささだけでなく暑さに有意に影響した.熱と音の両方が明らかに総合的快適性・不快性に影響した.熱的快適性・不快性と聴覚的快適性・不快性をそれぞれ軸とした,そして作用温度と等価騒音レベルをそれぞれ軸とした等快適線図および等不快線図が提案された.これらは新しい快適性指標として本実験条件の範囲内で有効であると考えられる.<br>
著者
近藤 恵美 藏澄 美仁 堀越 哲美
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.75-84, 2014-11

本研究は、暑熱環境における温度変化による体温調節負荷を与える顕著な温度差のある温熱環境を移動させる実験を通して、更年期女性と青年女性を比較検討し、更年期女性の生理的心理的反応の特性を明らかとすることを目的とした。実験は屋外と空調された室内を出入りすることを想定し、屋外想定気温35.0℃の前室から18.0、22.0、26.0、30.0℃の実験室へ移動させ、生理的心理的反応を測定した。結果として、更年期女性は青年女性に比べ、末梢部皮膚温の低下が小さいことが観察された。全身温冷感についても、更年期女性の感覚の鈍さが観察された。末梢部の温冷感は、末梢部皮膚温の変化量の大小に対応しており、更年期女性は末梢部皮膚温が青年女性に比べて変化量が小さいことから、末梢部温冷感の鈍さに影響していると考えられる。
著者
堀越 哲 井尾 浩章 中田 純一郎 大澤 勲 濱田 千江子 富野 康日己
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.123-130, 2012

目的: レニン·アンジオテンシン(renin-angiotensin; RA)系阻害薬オルメサルタンの降圧度と腎保護効果の関係について検討した.<BR>方法: 2004年から2009年の間に順天堂大学医学部附属順天堂医院腎·高血圧内科外来通院加療中で, 12カ月以上, オルメサルタンが継続投与され, 降圧薬処方内容, 量の変更がなく, 診察時血圧, 推定糸球体濾過量(estimated glomerular filtration rate; eGFR)·蛋白尿測定が定期的に行われていた患者109名を対象とし, 投薬背景や原疾患別にカルテベースで分析した.<BR>結果: すべての群で有意な降圧効果を認めた. 新規にオルメサルタンの単独投与が開始されたA群では, 有意な蛋白尿減少効果を認めたが, eGFRは低下傾向を示した. RA系阻害薬以外の降圧薬投与中にオルメサルタンが追加されたB群では, eGFRの低下は認めなかったが, 蛋白尿減少効果もみられなかった. ほかのRA系阻害薬の単独投与からオルメサルタンに切り替えられたC群では, 切り替え時の血圧が比較的低く, 蛋白尿減少効果は軽度で有意差を認めなかった. RA系阻害薬を含む降圧薬の多剤併用中にアンジオテンシンII受容体遮断薬(angiotensin II receptor blocker; ARB)がオルメサルタンに切り替えられたD群では, オルメサルタン投与量が最も多く, 蛋白尿減少効果は軽度でeGFRが有意に低下していた. 原疾患別にみると, 本態性高血圧蛋白尿陽性群で降圧度とeGFRの間に有意な相関がみられた. 本態性高血圧蛋白尿陰性群では, 蛋白尿陽性群に比して投与開始前のeGFRが高く, 投与後の有意なeGFR低下はみられなかった. 一方, 慢性腎炎症候群では, 12カ月後の降圧度と蛋白尿減少率およびeGFRとの間に相関はみられなかった.<BR>考察: オルメサルタンには, より強力な降圧効果と降圧効果に依存しない蛋白尿減少効果が認められたが, 一方でeGFRは低下した. オルメサルタンがeGFR低下速度を促進あるいは減速したのかは不明である. 原疾患や病態の違いにより, RA系の関与の質や量が異なることが示唆され, RA系阻害薬の投与にもその質·量の使い分けが求められていると思われる.
著者
宮本 征一 堀越 哲美 土川 忠浩
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.62, no.498, pp.45-49, 1997
被引用文献数
2 2 1

The objective of this paper is to evaluate the thermal radiation environment using mean radiant temperature MRTr which takes configuration factors and equivalent black body temperatures the effect of the inter-reflection and blocking effect of the human body. Numerical analysis of inter-reflection radiant exchange were carried out using Net Radiation method. MRTr was calculated from radiation rate, emissivity and configuration factors on each surface. As a result, The difference between the MRT considering the effect of inter-reflection and the ordinary MRT stood within ±3℃ when the emissivity of a floor changed from 0.50 to 1.00 under the following floor heating condition : the floor surface temperature 37.5℃ and the other surface temperature 21℃. The MRT was influenced by emissivities of each surface in the non-uniform thermal radiation environments rather than uniform environment. It is necessary to evaluate the non-uniform thermal radiant environment using the MRT considering the effect of radiation inter-reflection and blocking effect of the human body.
著者
持田 徹 垣鍔 直 堀越 哲美 桑原 浩平 窪田 英樹 松原 斎樹 くわ原 浩平
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

世界の二大指標であるISO-7730のPMV指標と,ASHRAE(米国暖冷房空調学会)の基準であるSET^*指標の長所・短所を整理した。そして,平均皮膚温およびぬれ面積率と心理量の関係を,熱伝達論および人体の温熱生理特性から検討し,椅座の被験者実験の結果から,新しい温冷感の評価法を提案した(持田・桑原・窪田・長野)。また,屋外における夏服と冬服の着用実験から,著者らが提案した日射の影響を組み込んだSET^*が屋外においても適用可能であることを確認すると共に,屋外熱環境評価のための新しい温熱指標として予想温冷感ETSを開発した。札幌・名古屋での温冷感・快適感申告データから,SET^*の温冷感中立域・快適域を決定した(桑原・堀越・持田)。汗による水分吸収により着衣の電気抵抗が変化すると考え,着衣面の電気抵抗を測定することにより吸汗量を推定する方法を実験により検討した。また同方法を用い,軽装時において,冬期と夏期に40℃に曝露したときの胸部,上腕部,大腿部の局所の放熱過程を測定した結果,皮膚面の受熱量は着衣の表面温度が低下し始めてから,冬期の実測では約10分,夏期の実測では約6分遅れて低下することを確かめた。(垣鍔)。さらに,人体と環境との対流熱交換量を正確に算定するために,椅座・立位時の対流に関与しない面積(非対流伝熱面積)の実測を行った。姿勢による部位別の対流伝熱面積の違いを明確にし,対流伝熱面積を考慮した立位と椅座時の平均皮膚温算出用の重み係数を提案した。全体表面積に比し,対流伝熱面積が小さいほどHardy-DuBoisの平均皮膚温との差が大きいという姿勢に依存する特性を示した(松原)。
著者
石井 仁 渡邉 慎一 堀越 哲美 植村 崇史 河合 大喜 関谷 友里 高橋 奈津子
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間-生活環境系シンポジウム報告集
巻号頁・発行日
vol.36, pp.247-250, 2012-11-21

2つの野外音楽イベント会場において温熱環境の測定を行い,その実態把握と評価を行った。さらにイベント来場者の熱中症対策ならびに防寒対策の実態調査を行った。7月開催のイベントは熱中症の発症する危険性があり,積極的な休憩や十分な水分補給などの対策が必要な温熱環境であった。 10月開催のイベントは熱中症の発症する危険性は少ないが運動や労働をする際には水分補給が必要な温熱環境であった。気象庁の観測データではイベント会場のWBGTを精度よく推定することは困難であった。来場者へのアンケート調査から携行した熱中症対策および寒さ対策の物品ならびに熱中症予防および防寒対策の実態を把握した。両イベントとも熱中症対策の物品としては「タオル」,「水・お茶・その他飲み物」,「帽子」,「うちわ・扇子」の携行率が高く,熱中症予防として「水を飲む」,「適度な休憩をとる」,「日陰に入る」,「涼しい場所に行く」の実施率が高かった。
著者
井幕 知伸 堀越 哲美
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.13-27, 2013-05

本研究は,人体の熱平衡式に基づく予測至適着衣量を用い,日本各地の「涼しい夏」の体感気候の経年変動の分布図を作成し,その特徴を検討したものである。各年代を通じ,北で着衣量が多く,小笠原と先島諸島で少なしい傾向が示され,京都では周囲より少ない値を示した。1960年代では,東北北部まで0.9cloで,関西から九州は,0.4clo台である。1970年代では,関東より北は1970年代と同様の傾向で,西日本が暑熱化傾向を呈した。1980年代は,北海道南部と東北の着衣量が低く,1990年代では,関東まで着衣量が多く,四国・関西では着衣量が少なく,西で多くなる傾向であった。2000年代は,最も寒冷傾向である。日最高予測至適着衣量の上昇・下降の主な影響要因は気温であるが,風速も影響要因としての寄与率が高い傾向にある。
著者
山岸 明浩 堀越 哲美 石井 仁
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.23-34, 1997-07
被引用文献数
1

本研究は連続した上下気温分布が,人体の皮膚温および温冷感に与える影響について明らかにすることを目的とし,裸体・椅座・安静状態で実験を行い検討した。実験は,床上0.7mの気温25℃,28℃と床上0.1mと1.1mの上下気温差0℃, 4℃, 8℃との組合せ条件下で,青年男子5名を用いて行った。人体各部位の皮膚温は,前額から足背へと部位の位置が低くなるにつれ低い値となり,上下の気温差とともに気温条件との組合せにより人体各部位の皮膚温への影響が変化する。各部位の温冷感申告は,他の部位に比べ頭部は暑い側,足部は寒い側の申告を示した。上下気温差は,人体の上半身よりも下半身に与える影響が大きい。人体の上下方向の皮膚温と温冷感申告の差は,上下気温差が大きくなるに従い増加する傾向であった。実験条件暴露60分間の皮膚温の変化は,気温28℃の実験条件では下腿,気温25℃条件では平均皮膚温,下腿,足背の皮膚温が低下する傾向にあった。