著者
小谷 侑輝 齋藤 美松 金 惠璘 小川 昭利 上島 淳史 亀田 達也
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
pp.1914, (Released:2021-06-15)
参考文献数
51

Distributive justice is concerned with how societies should allocate resources. Although vigorously debated, the relationships between normative theories of distributive justice and actual behavior remain unclear. To examine the empirical bases of John Rawls’s moral argument, we tested whether distribution may be psychologically linked to risky personal decisions via voluntary focus on the worst-off position. Extending Kameda et al. (2016), we asked participants to make three types of decisions (social distribution as a third party, risky choices for self, and the Veil of Ignorance [VoI] task in which participants chose social distribution affecting selves without knowing their own positions) and measured physiological arousal during decision making. Participants’ distributive choices were correlated with risky personal decisions such that those who endorsed the Maximin (maximizing the minimum possible payoff) distribution preferred the Maximin gambles. Preferences in the VoI task statistically moderated this correlation. Pupil dilation associated with arousal was also related to these effects. These converging data suggest that social distribution and risky decisions are intertwined in the human mind, as envisioned by Rawls’s normative argument.
著者
小川 昭利 横山 諒一 亀田 達也
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.88.16217, (Released:2017-07-10)
参考文献数
45
被引用文献数
4

Theory-of-mind (ToM) has been extensively studied using neuroimaging, with the goal of finding a neural basis for ToM and its associate emotional and cognitive processes. In neuroimaging, a functional localizer is used when a region of interest needs to be identified in a way that is statistically independent of the main experiment. The original ToM localizer (ToM-L) for functional magnetic resonance imaging (Dodell-Feder et al., 2011) measures brain activity when a set of English sentences and related questions are read and answered by participants. We developed a linguistically localized version of the ToM-L for use with Japanese speakers, and evaluated it by scanning 70 participants. The results showed that this localizer could be used to define individual ToM-related areas, requiring about one-third of the scanning time of the original ToM-L while maintaining its statistical ability to identify individual ToM-related brain regions.
著者
伊福 美佐 小川 昭二郎
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
生活工学研究
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.82-85, 1999

キナクリドンは今世紀の初頭からLiebermannらドイツの科学者によって研究された物質であるが,アメリカのDu Pont社でフタロシアニン顔料に匹敵する優れた赤色顔料としての真価が見いだされ,にわかに注目を浴びてきた化合物である.近年では,着色材としての利用に関する研究だけでなく,機能性開発に関する研究もなされている.本稿では,キナクリドン顔料(線形トランスキナクリドン)の構造,物性,用途等についてまとめた.
著者
小川 昭 佐々木 弾
出版者
国際基督教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、(成績評価における)相対評価制度があるもとで、「成績を目的とした行動」がどのような形で現れるのかを分析するものである。本研究において注目するのは、(科目選択後の努力のあり方ではなく)「科目選択にどのように影響するのか」という点である。学生が、自らの関心や学習成果というよりはむしろ成績評価によって科目履修を行うという効果がどの程度、どのような形で出るのか、それが厚生(効用)をどれほど損なうのか、について、理論モデルを構築して分析する。分析に際してはゲーム理論の枠組みを利用し、ある学生の科目選択において、他の学生の行動(戦略)が影響を及ぼすことを組み込んだ分析を行う。
著者
小川 昭正 度會 正人 中村 麗亜 大江 英之 服部 哲夫 城所 博之 久保田 哲夫 加藤 有一 宮島 雄二 久野 邦義
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.55, 2007

〈緒言〉小児における上室性頻拍はしばしば経験するが、乳児期に発症するものは急激にうっ血性心不全が進行し、重篤な状態となる。また年長児では、ときに再発が多く日常生活のQOLが障害される。近年小児でもカテーテルアブレーション治療が行われるようになり年長児の生活のQOLが改善され福音となっている。<BR>そこで、最近7年間に当科で経験した上室性頻拍症の15症例について臨床像、短期治療、長期治療につき検討した。<BR>〈結果〉乳児期発症は9例(男児4例、女児5例)、幼児期以降の発症は6例(男児4例、女児2例)であった。乳児期発症例はすべてが生後3ヵ月以内に発症していた。3例は初診時に著明なうっ血性心不全を呈していたが、残りの6例は、偶然に発見されていた。うち1例は胎内で一時頻拍を指摘されたが出生時は不整脈は認めず生後4日から上室性頻拍発作を発症した。急性期の治療は、1例は治療開始前に自然軽快したが、他の8例は digoxinの急速飽和とATP急速静注をおこない発作は治まった。 幼児期以降発症の6例の年齢は4歳から13歳で、発作時心拍数は毎分160から270であった。症状も腹痛や胸部不快感・動悸で、循環呼吸状態への大きな影響は認められなかった。薬物治療は、ATPの急速静注、又はATPとDigoxinの併用であった。乳児期発症の9例のうち非発作時の心電図から副伝導路の存在が示唆されるものは3例であった。発作予防薬は、digoxinが5例、digoxinとpropranololの併用が3例 頻回に再発した1例はdigoxin,propranolol,disopyramide の併用をおこなった。digoxinは血中濃度に注意して全員が内服した。予防内服の期間は 全例で8ヶ月~1歳までで、内服中止後 発作が再発した例は、なかった。幼児期以降発症例では、1例がmanifest WPWであった。発作予防薬は原則的には無しとしていたが、経過中発作が頻回になった2-3ヶ月間のみ、やむをえず予防内服を行った。2例では、薬物が必要な発作の頻度が高く、年齢が高くなるにつれて生活に支障を来たすようになった。そのため高周波カテーテルアフ゛レーションの適応と考え、施行したが、その後は上室性頻拍発作はなく良好な経過をたどっている。<BR>(結語)□乳児期早期の発症例では重症の心不全に陥る前の発見が重要でその後数ヶ月を良好な発作予防をすることが重要であり、年長児では頻回発作する例ではカテーテルアブレーション治療にもちこむことがQOL改善のため重要であることを再確認した。
著者
小川 昭利 横山 諒一 亀田 達也
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.366-375, 2017 (Released:2017-10-25)
参考文献数
45
被引用文献数
1 4

Theory-of-mind (ToM) has been extensively studied using neuroimaging, with the goal of finding a neural basis for ToM and its associate emotional and cognitive processes. In neuroimaging, a functional localizer is used when a region of interest needs to be identified in a way that is statistically independent of the main experiment. The original ToM localizer (ToM-L) for functional magnetic resonance imaging (Dodell-Feder et al., 2011) measures brain activity when a set of English sentences and related questions are read and answered by participants. We developed a linguistically localized version of the ToM-L for use with Japanese speakers, and evaluated it by scanning 70 participants. The results showed that this localizer could be used to define individual ToM-related areas, requiring about one-third of the scanning time of the original ToM-L while maintaining its statistical ability to identify individual ToM-related brain regions.
著者
田中 俊次 永島 俊夫 黒瀧 秀久 小林 道明 堀内 淳一 高井 寛 小川 昭一郎 小松 輝行
出版者
東京農業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

本研究プロジェクトは、「環オホーツク海圏交流」を促進するため、環境科学的学術交流に的を絞り、持続的可能な経済発展交流の研究を追求することを目的とした。研究計画及び研究成果については研究分担者が所属する5大学の、1995年以来の各種の地域とのコンソーシアム開催事業によって、その課題を絞り込んで環境科学研究のテーマを設定してきた。そこで具体的な対象地域を設定し、社会科学的アプローチ、人文科学的アプローチ、自然科学的アプローチといった多種多様の切り口から分析を行ってきた。主な研究実績は下記の通りである。1.分析視点を深めるとともに、調査研究方法の検討会議を開催した。具体的には、これまでに先駆的に海圏交流研究を行なっている研究者に講演して頂き、研究手法・論理展開を参考としつつ、国際的見地からの環境問題への視座や、伝統的地域圏交流の再確立、広域圏交流へむけた新たな研究の視座を盛り込む研究手法を検討した。2.環オホーツク海圏における環境科学研究に関する基礎資料及び比較のための環日本海圏域における基礎資料の収集及び国内調査を実施した。3.「環オホーツク海圏広域交流」形成の課題を明らかにするため、北東アジア(モンゴル、ロシア・サハリン、中国東北部)を対象に、環オホーツク海圏における農畜産業の展開や環境汚染の状況、国際交流に向けての取り組みなどについて、各国の関係機関を中心に聞き取り調査を実施し、また関係機関からの提供資料や広域交流関連の文献などを用いながら、研究を深化させてきた。本研究の主な研究実績としては、「越境広域経営」や「環境ガバナンス論」を土台に、環オホーツク海圏の持続的な資源の利用と管理のための環境ガバナンスの構築を目指して、学術的なグランドデザイン「(仮称)OSERIEG(The Okhotsk Sea Rim for Environmental Governance)ビジョン」のモデルを検討し、「環オホーツク海圏」の位置づけを明らかにしたことがあげられる。
著者
小川 昭利 横山 諒一 亀田 達也
出版者
日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.366-375, 2017-10
著者
小川 昭利
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.407-419, 2014-09-01 (Released:2015-05-12)
参考文献数
90

The aim of functional magnetic resonance imaging (fMRI) studies of perception is to unravel the neural basis of the computational processing of the targeted perception. A standard fMRI study of perception generally uses simple stimuli, such as geometrical graphics in vision and pure tones in audition, and measures brain responses to such artificial stimuli, which are generated carefully. The target brain activity of percep-tual processing has been investigated using a contrast between stimulus conditions, to cancel out other processes. In contrast, the brain’s response to naturalistic stimuli is considered not to be a combination of responses to simple stimuli. The uncontrolled per-ceptual processes that are evoked in parallel hamper the analysis of the data in a simple factorial manner. In this article, I briefly reviewed fMRI studies that used naturalis-tic stimuli (e.g., photos and movies) and introduced nonstandard analytical methods. One was the computational model-based analysis of a hypothesis-driven study, and the other was the intersubject correlation of data-driven research. A model-based fMRI study can directly predict the brain responses to the processing of dynamic perception (e.g., motion perception in the middle temporal area). Intersubject correlation can be used to evaluate the reliability of fMRI signals in response to naturalistic stimuli. In addition, I introduced a decoding technique using pattern recognition, which has been used widely not only in the engineering but also in the neuroscience fields. Although the number of studies using naturalistic stimuli and novel analytical methods has in-creased, the standard fMRI study using simple stimuli and analysis remains the most effective approach to identify the neural bases of perception. I expect that these stan-dard and novel fMRI studies will contribute complementarily to the elucidation of the brain processes for naturalistic stimuli.
著者
小川 昭之 石和 俊 鈴木 正義 中下 誠郎
出版者
大分医科大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1985

脳波, 心臓拍動, 姿勢などの制御系の揺らぎ現象に自己回帰解析を施し, 発育しつつある生体に潜む動的活動の年齢特性を明らかにすることを目的として, 昭和60年より62年に至る3年間に次の実績をえた.1 脳波解析による正常小児脳活動の発達現象に関する定量的研究未熟児より15歳に至る健康小児の覚醒・睡眠脳波に自己回帰・要素波解析を施すと, 複雑な脳波活動を構成する要素波の周波数, パワー, 減衰時間持続性, 情報活動量などの諸特性を求めることができる. そこで, 新生児から学童に至る小児の各脳部位導出脳波の要素波特性の発達に伴う変化を明らかにした(昭60). さらに, 自己回帰モデルを応用した脳波の2次元表示の手法を開発し, 互に有意差のない脳波群からなるいくつかの2次元脳電図の平均パターンを図示する方法や, 2つの2次元脳電図を比較して推計学的に有意差のある部分を図示する方法を開発し(昭61), 未熟児や学童の発達に伴う2次元脳電図の定量的変化を明らかにした(昭62).2 直立姿勢調節制御活動の解析と, その発達特性に関する研究健康幼児・学童の前後・左右の揺らぎ曲線に自己回帰解析を施し, 構成要素波を求める手法を開発し(昭60), 5歳から12歳に至る正常児の直立姿勢の揺らぎの発達を求め(昭61), さらにパターン識別によって発達過程の定量的変化を明らかにした(昭62).3 心拍変動の揺らぎの解析と, その発達特性に関する研究任意の時刻の心拍変動はそれ以前の過去の刻々の拍動状態の歴史に確率的に関連する面としない面とがあるので, 拍動周期の時系列も自己回帰性を示す. そこで, R-R間隔時系列の自己回帰解析システムを開発し(昭60), それを用いて新生児の心拍変動を生直後より解析し(昭61), さらに静・動睡眠期での発達特性を明らかにした(昭62).
著者
小川 昭利 入來 篤史
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, no.16, pp.93-96, 2011-03-08

脳機能画像から知覚や認知の内容を解読すること目指すデコーディング研究では,初期には視覚刺激が対象となっていたが,聴覚刺激,体性感覚刺激,さらには注意のシフトなどのような高次認知にまで対象が広がってきている.本研究は,脳機能画像から被験者が推論を行っていることを識別することを目指した.被験者はベースとなる関係を学習し,MRI内で推論の課題を行った.解析の結果,ベースとなる関係の試行と推論の試行を識別することができた.このことは,推論を行ったかどうかを識別するための情報が符号化された脳部位の存在を示唆する.
著者
山崎 由美子 小川 昭利 入來 篤史
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.366-377, 2008 (Released:2010-02-15)
参考文献数
57
被引用文献数
9

Researchers studying symmetry, one of the requirements for establishing stimulus equivalence, have contrasted inferences made by human and nonhuman animals and suggested that inference in each animal species is determined by several biological factors developed in the course of the evolution of a given species. This paper reviews the relevant experimental studies with human and nonhuman animals, including studies of young children, individuals with developmental disabilities, and nonhuman mammals. This work indicates that developmental, ethological, and behavioral factors are closely related to produce symmetry. In searching for the neural factors of symmetry, evidence from fMRI studies suggests that brain activity associated with equivalence relationships occurs in the processing of stimuli with or without temporal order. Thus, further research on the processing of temporal-spatial factors of stimuli is needed in both human and nonhuman animals. A detailed analysis of human subjects failing to establish equivalence relationships, and of nonhuman animals performing prerequisites for symmetry, such as identity matching and matching by exclusion, is crucial for understanding the biological origins of symmetry inferences.