著者
石塚樹 小野 哲雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.26, pp.23-29, 2007-03-14
参考文献数
5

昨今,情報処理技術の発達にともない,パーソナルコンピュータや携帯電話端末をはじめとした,高度な情報処理を実行することのできる機器が社会に広く普及し,人と機器との間に,従来の「使う」に加えて「対話する」という新たな関係が生まれはじめている.本研究では,集団における人の振る舞いを取り扱う領域において共通して重要な概念であるミクロマクロループと,そのループ構造を持つ例である拍手という行為に注目する.また,実際の人との間に同ループ構造を形成するように拍手を協創するシステムを実装し,それを用いた実験から,人と社会的相互行為を図るシステムにとって同ループ構造が重要であることを示す.Recently, the equipment that can execute advanced information processing including the personal computer and the cellular phone widely spreads to the society as information processing technology develops, and a new relation "Dialogue" in addition to "Use" arises between the person and the equipment. In this research, we focus on the concept "micro-macro loop" that is important to discuss about group interaction and the act of applause that is the example with micro-macro loop. We implement the system that collaborate applause with actual human as building micro-macro loop structure, and sustain that this structure is important for the system aims social interaction with human.
著者
御手洗 彰 棟方 渚 小野 哲雄
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.41-50, 2017 (Released:2017-03-31)
参考文献数
13

In recent years, gesture recognition using surface-electromyogram (sEMG) has become popular and these approaches can classify gestures at a high recognition rate. In particular, easily-mountable sEMG based gesture recognition devices have been developed. When developing such devices for use in daily lives, it is necessary to consider situations where users will be using the device while gripping objects, such as umbrellas, bags and so on. By using sEMG of the forearm, it is possible to still collect data without intruding on what the user is doing in these situations. However, sEMG based gesture recognition while gripping an object still lacks sufficient investigation. Therefore, in this study, in order to investigate the feasibility of gesture input while gripping an object, we performed an experiment to measure recognition accuracy for four hand gestures of users while they are holding a variety of objects. From the results, we discuss both feasibility and problems of gesture input while gripping objects and propose a new approach to resolve those problems.
著者
谷口 哲司 小野 哲也 大友 功一 安田 裕隆
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告. 第I部 (ISSN:0470925X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.203-210, 1983-11-30

一般産業用エンジンに採用され発達したターボチャージャは,わが国においても一部の農業用トラクタに使用されている。同型で同一排気量でターボ過給されたトラクタ(TCトラクタ)と,されないトラクタ(NAトラクタ)の2台を供試して性能試験をおこない,農業用トラクタに対するターボ過給の適応性を検討し,次の結果を得た。1)PTO軸性能試験において,ターボ過給されたトラクタは最大軸出力が19.6%増大し,その最大値は低回転域にずれた。最大軸トルクは定格回転より急激な上昇を示し,その最大値はNAトラクタに較べて27.6%増大し,エンジンにねばりをもたせている。燃料消費率は全回転域にわたり約4%の改善を成した。2)けん引性能試験において,ターボ過給されたトラクタは滑り率20%時のけん引出力が14.2%の増大を示し,より高速作業のできることを示した。さらに消費燃料を考慮したけん引仕事効率では2.4%の向上を示し,このときけん引力が29.5%大きく,けん引出力が19.8%増大していた。以上のことを総合して,ターボ過給されたトラクタは同型同排気量のトラクタと比較して,機関出力に余裕があり,燃料消費率が低減され,高いけん引仕事効率が得られる結果となった。したがってより重作業・高速作業に適応できると考察された。
著者
エバンズベンジャミンルカ 棟方 渚 小野 哲雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.37, pp.1-4, 2013-08-24

現代の音楽は多種多様に発展しており,特に自動作曲プログラムなどの進展は顕著である.しかしパターンマッチングや確率モデルに基づいたシステムの動作は,作曲家が楽曲を創作する過程や思考とは大きく異なり,ユーザによる作曲過程の調整が難しい.出力だけでなく,作曲過程にも楽譜データを利用するシステムの方が,従来システムに比べ,音楽の知識を持つユーザにはより使いやすいと考える.これまで我々は,楽譜データに基づく自動作曲システムの実現に向けて,バス課題を実行するシステム "Creating Music for You(CMY)" を実装してきた.本研究では CMY に新たに,バス声部の転回系を作曲規則として実装し,入力の制限を緩和した.また,プログラム実行時に任意の規則の利用・非利用が設定できるようにし,出力する楽曲の可能性を増大できる仕組みも実装した.As modern music is evolving in many ways, the advancement of automated music composing software is particularly noticeable. However, these systems, which generally rely heavily on pattern-matching technology and statistical models, operate using a composition mechanism which is totally different from that of the composer, making the system unrealistic for the user to adjust and control. A system which uses sheet-music-type data not only in the output but also in the composing process itself would offer the musically knowledgeable user an easier programme to work with. In previous research, we created an automated music composing system "Creating Music for You" (CMY), which composes four part harmony from bass-part music the user inputs. In this research, we have implemented the theory of chord inversions (i.e. chords with non-tonic bass notes), and have also enabled the user to choose which rules to use in the composition process. Both of these modifications allow for a wider variety of harmonic options in the output music.
著者
小川 浩平 小野 哲雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. ICS, [知能と複雑系] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.150, pp.9-16, 2008-01-22
参考文献数
9

本論文において我々は,インタラクティブシステムの間を移動可能なエージェントを用いたITACOシステムを提案する. ITACOシステムとは,エージェントがインタラクティブシステムの間を移動することにより,人間とインタラクティブシステムとの間に,感情をともなった関係を築くことが可能なシステムである.我々は, 2つの実験を通じてITACOシステムが人間とロボットやテーブルランプなどのインタラクティブシステムとの間に感情をともなった関係を築くことができるかどうかを検証した.実験の結果より,感情をともなった関係が築かれることによって人間の認知能力や行動に対して一定の影響を与えることがわかった.
著者
細井 義夫 池畑 広伸 小野 哲也
出版者
東北大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1996

ヒトの放射線高感受性遺伝病である、毛細血管拡張性運動失調症(ataxia telengiectasia、 AT)の原因遺伝子ATMの発現や活性を修飾することにより、癌細胞の放射線感受性を高めることが可能かどうかを確かめるたもの基礎的実験を行った。まず臨床的に放射線抵抗性であることが知られている悪性脳腫瘍において、ATMのRNA量がどのように変化しているかを調べた。Glioblastoma4例、Astrocytoma grade III4例、Astrocytoma grade II例について検討を加えた。手術標本よりtotal RNAをAGPCにより調整し、RT-PCR法により半定量した。その結果、Gliobalstomaでは4例中1例で、Astrocytoma gradeIIIでは4例中3例でATMのRNAが正常脳に比較して増大していた。ATMの異常をヘテロに持つ人由来の細胞は、正常細胞に比べ放射線高感度感受性であるという報告がある。従って、放射線感受性とATM遺伝子産物量との間に相関関係が認められる可能性がsる。このため、放射線抵抗性癌でATMの発現が高いとしたならべ、それが放射線感受性と関係しているかどうかを検討する必要が考えられる。次にアンチセンスとセンスATMが癌細胞の放射線感受性に及びす影響を検討した。アンチセンス、センスATMは転写開始部位より22baseの長さで作成した。投与量は20μMとなるように1日3回投与した。投与は4日間行い、投与開始より3日間に放射線を照射した。使用した細胞は、培養脳腫瘍細胞T98Gを用いた。その結果、このプロトコールは細胞毒性がみとめられ、た。また、放射線感受性に関しては、アンチセンスATMの投与によりT98Gの放射線感受性は高められたが、センスATMの投与によっても放射線感受性は高くなった。これは毒性によるためだと考えられるが、投与量を変更することが必要だと考えられた。
著者
小野 哲也 池畑 広伸
出版者
東北大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1995

ヒトが環境中の有害物質に曝されるときは少量ずつを長期にわたる場合が多いが、この時のリスクが大量を1回だけ曝されたときに比べどうなるかはほとんど分かっていない。本研究では遺伝子に働いて突然変異を誘発することが証明されている放射線を用い、4Gy(大量)1回照射と0.15Gy(少量)78回分割照射時に誘発される突然変異がどれ程違うかについて検討した。突然変異はヒトのリスク評価に最も有用と思われるマウスを用いた。ただしこのマウスは突然変異の検出が容易に行えるように開発された大腸菌lacZ遺伝子導入マウス(Muta)を用いた。非照射での脾臓における突然変異頻度は(7.64±2.72)×10^<-5>であるのに対し、4GyのX線を照射後16週待ったものでは(12.11±4.31)×10^<-5>であり照射による増加は約1.6倍であった。他方1回0.15Gyを週3回づづ6カ月間(26週間)照射し続けた後16週間待ったものでは(14.42±6.34)×10^<-5>であった。この時に同じエイジで非照射のものでは(8.08±1.48)×10^<-5>であったので、X線による誘発は1.8倍となる。放射線による突然変異誘発は多くの場合線量に比例することが分かっているので、今回のシステムにもそれが成り立つと仮定すると、上記のデータは大量1回照射時の誘発が1.12×10^<-5>/Gyであり、少量長期照射の場合は0.54×10^<-5>/Gyであることを示し、長期照射のリスクは1回照射時の約50%に減少することを示している。今回の実験から少量を長期に暴露された時は大量を一時に暴露された時よりリスクが低下することが分かったが、実験データには誤差が大きいことから定量的な解析のためには今後さらに高い線量の放射線を使って再調査する必要がある。
著者
松岡 聡 吉松 定昭 小野 哲 一見 和彦 藤原 宗弘 本田 恵二 多田 邦尚
出版者
日本海洋学会
雑誌
沿岸海洋研究 (ISSN:13422758)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.77-84, 2005-08-26
被引用文献数
13

2002年度冬季,香川県沿岸では例年にないノリの不作が起き,ノリの生産金額は,平年の6割にまで減少した.ノリの色落ちが認められた水域の分布を詳細に検討したところ,特に不作であった海域は小豆島の北部および南西部海域であり,この地区の生産金額は平年の3割程度であった.過去12年間における年間ノリ生産量と漁期中の積算降水量との間には,正の相関関係が認められ,陸上からの栄養塩の供給がノリ生産量に大きく影響していることが考えられた.ノリ色落ち被害が顕著であった海域を対象に海洋観測を行った結果,色落ち被害の発生直後の2003年1月では,対象海域の塩分は33psu以上と例年よりも高く,栄養塩濃度もNO_3濃度が例年と比較して,3μM未満と低かった.このことから,例年に比べて,対象海域への陸域からの栄養塩の供給が少なかったことが考えられた.一方,2003年の梅雨期の6月には,対象海域の塩分は低く,栄養塩濃度も高かった.さらに,ノリの生育がほぼ正常であった翌年の1月では,2003年1月に比べて塩分は低く,栄養塩濃度も高くなっていた.以上の結果から,2002年度にノリの色落ちは,秋期の降水量が少なかった事が主な原因と考えられ,ノリの色落ち被害が顕著であった海域のノリ生産には,岡山県側の旭川・吉井川河口域(岡山水道)からの栄養塩供給が重要な影響を及ぼしていることが考えられた.
著者
小野 哲也
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

放射線による腸死に対し幹細胞移植による治療の可能性を探るためマウスを用いたモデル実験を行うのが目的である。昨年の結果から胎仔期の小腸上皮細胞を用いれば幹細胞移植がより効率的に行える可能性が示唆されたので、本年度はまず小腸上皮細胞をsingle cellとしてより多く回収する方法を検討した。具体的には細胞が緑の蛍光を発するように改変されたEGFPマウスの17.5~18.5日齢胎仔小腸を用い、文献情報から得られたコラゲナーゼ、ヒアルロニダーゼ、パンクレアチン、トリプシン、DNase I、EDTAの単独及びそれらの2つ以上の組み合わせた処理について検討した。また処理方法は0℃×60分、20℃×20分、37℃×20分についてチェックした。指標としてはsingle cell suspensionが得られるか、蛍光蛋白が細胞内によく保持されているか、細胞の収率はよいかの3点で行った。その結果、EDTA存在下でヒアルロニダーゼを37℃×20分処理後トリプシン+DNase Iを20℃×20分を行うのが最適であることが分かった。この時の細胞の回収率は0.3~1×10^5 cells/マウスであった。次にこの細胞を用い10Gy照射したマウスの尾静脈に投与した結果、マウスの生存期間は9~11日であった。これは何も処理しない時の生存期間とほぼ同じであり、生存率への影響はみられなかった。このとき小腸にはかなりの数の移植された蛍光細胞がみられたが、幹細胞から絨毛上皮に向けた直線状の細胞のつながりは見えなかったので、幹細胞をうまく移植できたかどうかは不明である。個体の腸死を回復させるためには今後さらなる検討が必要である。
著者
代蔵 巧 棟方 渚 小野 哲雄 松原 仁
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告 エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.2, pp.1-6, 2011-03-19

本研究では,他者の存在を感じながら動画を鑑賞することが出来る動画鑑賞システムの開発と検証を行った.このシステムでは,他者を模したアバタを,動画とともに表示することで,アバタを通して他者を感じることが出来る.アバタの振る舞いには,過去にその動画を鑑賞したことのある,他のユーザの興奮が反映される.ユーザの興奮は,手掌の皮膚コンダクタンス反応によって評価した.ユーザの趣向と興奮度の関係を調べるための実験を通して,本システムの開発を行った.このシステムにより,これまでの動画サイトでは感じられにくい他者の存在とともに動画を鑑賞することで,新たな動画体験を提案する.In this study, We developed and experiment on video watching system that use presence of others. This system feels others by avatar in displaying avatar as others on the video. The excitement of other users who have appreciated the video in the past is reflected in the behavior of avatar. The user's excitement was evaluated by the skin conductance response of the palm. We propose a new video experience.
著者
小野 哲也 法村 俊之 島田 義也 上原 芳彦 上原 芳彦
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

実験動物ではカロリー制限が放射線による発癌効果を抑制することが分かっているが、そのメカニズムは未解明である。そこで本研究では突然変異、染色体異常、遺伝子発現変化などを指標として解析を行った。その結果、突然変異と染色体異常についてはカロリー制限による影響を見出すことはできなかったが、いくつかの遺伝子の発現の変化からは可能性のあるものがみつかり、今後の解析の手がかりが得られた。
著者
坂本 大介 小野 哲雄
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.2_101-2_107, 2006 (Released:2006-06-30)

本稿では環境に埋め込まれた対話可能な絵画を生成するソフトウェアについて述べる.本ソフトウェアが生成する絵は環境センサの情報をもとに常に変化する.また,絵に直接触ることで絵に対して変化を与えることができる.これらの絵はモチーフというプラグインで管理され,ユーザの意思で変更することが可能である.本ソフトウェアが出力する絵はコンピュータ上のディスプレイではなく,コンピュータという存在を消したディスプレイから出力することを想定している.これにより我々が生活している空間に含まれる情報を,生活の一部として絵画を飾ることと同じように「情報を飾る」という概念を提案する.また,本稿では空間を一枚の絵画が支配し表現する,環境に埋め込まれたソフトウェアの可能性について考察する.