著者
山崎 敬一 山崎 晶子 久野 義徳 池田 佳子 今井 倫太 小野 哲雄 五十嵐 素子 樫村 志郎 小林 亜子 関 由起子 森本 郁代 バーデルスキー マシュー 川島 理恵 中西 英之 小林 貴訓
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は、人間の言語的・身体的相互行為とそれを支援する身体化されたテクノロジーのデザインに関心を持つ社会学者とロボット工学者の共同研究である。本研究では多文化に対応する身体化されたテクノロジーを開発するために、海外のミュージアム等で研究を行い、そこでの人間同士の言語的・身体的行為をヴィデオエスノグラフィーの手法で分析した。また、日本語話者と英語話者に対する比較ロボット実験と、日本とハワイを結ぶ遠隔ロボット実験を行った。
著者
小野 哲也 池畑 広伸
出版者
東北大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1996

環境中の変異原物質が少量づつ長期間にわたって働いた時のリスクが大量で1回作用した時に比べどのように変わるかを理解するために、マウスの肝臓と皮膚、睾丸のDNAへの突然変異誘発効果を指標として調べた。使用したマウスは大腸菌のlacZを含んだラムダゲノムDNAを導入されたMutaマウスを用い、変異原としてはX線と紫外線(UVB)を用いた。4GyのX線を1回照射してから16週後の突然変異頻度は肝で(12.76±2.12)×10^<-5>、睾丸で(13.26±3.22)×10^<-5>であった。同じエイジの非照射マウスの自然突然変異はそれぞれ(7.63±1.41)×10^<-5>、(7.14±1.07)×10^<-5>であったので誘発された分は5.13×10^<-5>、6.12×10^<-5>と計算された。一方、1回0.15GyのX線を週3回づつ、6ヵ月間(総計11.7Gy)照射後16週目でみた突然変異頻度は肝と睾丸でそれぞれ(17.36±5.01)×10^<-5>、(17.18±3.66)×10^<-5>であり、同じエイジでの自然突然変異頻度は(10.73±1.39)×10^<-5>、(9.06±1.04)×10^<-5>、で、誘発された量は6.63×10^<-5>、8.12×10^<-5>であった。これらの値から1Gy当たりに誘発された量を比較してみると少線量多数回照射では1回照射の時に比べ肝でも睾丸でも約45%に減少している。これは変異原に曝される時に少量づつを繰り返して行われた時のリスクは1回で曝露された時のリスクに比べ半減することを示唆している。しかもその量は肝でも生殖細胞でも変わらない。生殖細胞での値は以前にRusselらが数百万匹のマウスを使って得られた値である1/3にほぼ類似した値である。次に皮膚組織での影響を知るべく紫外線による突然変異誘発効果を調べた。0.5kj/m^2までのUVBは皮膚の紅斑を起こさず、しかも突然変異を誘発することを確認した。この線量を1日1回づつ4日連続して照射した所約250×10^<-5>の突然変異頻度が得られた。これは0.5kJ/m^2を1回照射した時の1J/m^2当たりの変異誘発率に比べると約70%であり、紫外線による突然変異誘発についても、分割された曝露は1回曝露でのリスクより少なくなることが示唆された。ただし、ここで行った実験は予備的なものであり、線量や曝露間隔などについてさらに検討する必要がある。
著者
桂 大地 大内 昴 坂本 大介 小野 哲雄
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.798-810, 2021-11-15 (Released:2021-11-15)
参考文献数
57

スポーツ心理の分野で応援する観客の存在は競技者の精神状態にポジティブな影響があるとされている.スポーツにおいて,選手のモチベーションを高めることを目的にコーチやパートナーとしてのエージェントの効果を検証する研究が行われてきている一方で,エージェントからの応援の効果は検討されてきていない.本研究ではエージェントによる応援の影響を調査するために,予備実験による実験条件の検討後,競技者の動機づけに対するエージェントの応援の有効性の検討を目的に2つの調査を行った.予備実験では応援のタイミングやエージェントの応援に適したジェスチャの選定を行った.第1調査「動画による仮想エージェントの応援の印象調査」では,初心者とエキスパートそれぞれに「CGアニメーションと音声のエージェントによる応援」,「音声エージェントによる応援」,「応援なし」の3条件による競技者を応援するエージェントの印象をWebアンケートで比較した.続いて第2調査「競技中の参加者に対する仮想エージェントの応援の有効性検証」では初心者に対して「CGアニメーションと音声のエージェントによる応援」,「応援なし」の2条件でのエージェントから競技者への応援の印象を実験室実験で比較した.第1調査からは「CGアニメーションと音声のエージェントによる応援」が競技者のモチベーションを高める効果があることが明らかになった.第2調査からは「CGアニメーションと音声のエージェントによる応援」が競技者のモチベーション及び作業成績を高めることが確認された.
著者
後藤 健斗 水丸 和樹 坂本 大介 小野 哲雄
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:21888698)
巻号頁・発行日
vol.2022-UBI-76, no.28, pp.1-8, 2022-11-01

“天使と悪魔” は道徳的ジレンマを表現する方法として用いられる.本研究では,天使と悪魔の関係をロボットで再現し,ジレンマ状況の中で人間の自制心,意思決定や行動がどのように変化するかを調査する.ロボットの条件を Neutral,Angel,Devil とし,実験参加者を Neutral-Neutral 群と Angel-Devil 群に分け,紙にアルファベットを書き続けるというタスクを行ってもらうことで,タスクの継続時間から 2 つの群の自制心を比較した.その結果,Angel-Devil 群のほうが有意にタスクの継続時間が長くなった.また,Godspeed によるロボットの印象評価を行ったところ,擬人化や好ましさの項目においてロボットの条件間で有意差が確認された.実験後アンケートでは,ロボットが Angel と Devil の役割を果たすことができたと考えられる回答がみられた.
著者
棟方 渚 小野 哲雄
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.171-178, 2015-05-25 (Released:2019-07-01)
参考文献数
18

We developed a robot user interface where the robot controller's motions were reflected in the motions of certain characters appearing on a computer display. We then conducted a simple experiment to investigate the effectiveness of this interface system to see whether users felt that this controller was enjoyable. We also conducted several user experiments that investigated the effectiveness of the appearance and material of this interface.
著者
兼古 哲也 棟方 渚 小野 哲雄
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第25回 (2011)
巻号頁・発行日
pp.2D2OS5b1, 2011 (Released:2018-07-30)

本論文では、複数人および複数ロボットによる相互意図伝達をとおして、文脈適応的な身体模倣を実現するシステムを提案する。本システムの重要な点は、人からロボットへの意図伝達および身体模倣ばかりではなく、ロボットから人へのそれらも「相互」に行うことができる点である。本論文では、来場者の誘導タスクを用いて、本システムの機能を検証し、その有効性について議論する。
著者
巻口 誉宗 高田 英明 坂本 大介 小野 哲雄
雑誌
情報処理学会論文誌デジタルコンテンツ(DCON) (ISSN:21878897)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.1-10, 2020-02-26

遠隔地のスポーツのライブビューイングやステージイベントなどのエンターティンメント分野において,半透過スクリーンやハーフミラーを用いて被写体を空中像で表示する演出手法が活用されている.これまでこうした演出手法では,空中像を表示させたい領域に大がかりな装置を設置する必要があり,被写体の移動範囲が制限されていた.そこで我々は,空中像をステージ外や観客席に移動させる演出の実現を目的とし,可搬型のサイズ・構成で臨場感の高い空中像を表示できる両面透過型多層空中像表示技術を提案する.本手法は4台のディスプレイと4枚のハーフミラーを組み合わせたシンプルな光学系で構成される.観察者は装置の正面と背面の2方向から被写体の両面を空中像として観察でき,両面それぞれから近景と遠景の2層の背景空中像を観察できる.提案手法では表示面は4面しか持たないものの,ハーフミラーによる透過と反射によって背景の2層を正面・背面の観察方向で共有することで,両面それぞれから3層,合計6層の空中像を視聴できる.さらに,近景と遠景は正面・背面の観察方向にかかわらずに光学的な奥行きの順序関係が保たれることから,複数人が同時に装置両面から,多層化された臨場感の高い空中像を視聴できる.本稿では提案手法の光学構成の詳細から,実用性評価のために行ったプロトタイプ実装とイベントでの活用事例まで広く報告する.
著者
秋葉 翔太 崔 明根 坂本 大介 小野 哲雄
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.689-700, 2021-02-15

本研究ではスマートフォンの片手操作時においてグループ化された複数のターゲットをユーザがタッチした際に,グループ内のターゲットを半円状に再配置した場合のターゲット選択手法を3つ提案する.提案手法では選択ターゲットを明示的に示すために,タッチされた点を中心として,選択候補となるターゲットすべてが指に被らないように指の周りに半円状に再配置する.本研究では,再配置した目標ターゲットを選択する手法として,目標ターゲットの方向へ直接指を傾けて選択するOne Half-Pie,2段に配置されたターゲットを押し込み動作によって切り替えながら選択するTwo Half-Pie,タッチした地点からドラッグした量に応じてターゲットの選択が行われるRailDraggerの3つの選択方法を実装し評価する.実験では3つの選択手法を用いてそれぞれポインティングタスクを行い,選択終了までの時間と選択精度の観点から選択手法の評価を行った.その結果,提案する3手法において選択時間に関してはRailDraggerが,選択精度に関してはTwo Half-Pieが最も優れていることが分かった.
著者
古谷 真衣子 小野 哲也 小村 潤一郎 上原 芳彦 地元 佑輔 仲田 栄子 高井 良尋 大澤 郁朗
出版者
一般社団法人 日本放射線影響学会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集 日本放射線影響学会第53回大会
巻号頁・発行日
pp.310, 2010 (Released:2010-12-01)

放射線はさまざまなラジカルを生成させるが、その中でも細胞障害の主な原因となるのは水の分解に伴うOHラジカルであることが知られ、しかもそれはSH剤によって捕獲されることが分かっている。他方、最近細胞内で生じるさまざまな活性酸素のうちOHラジカルだけが水素分子によって特異的に除去されることが示されている(Nature Med 13 (6) 688-694 (2007))。そこで我々はこの水素分子が放射線障害を軽減化する活性がないかどうかについて検討してみた。 [材料と方法] 8週齢のC57BL/6J、雌マウスを用いて2%の水素ガスを1時間吸わせた後同じ水素ガス存在下で8Gy及び12GyのX線全身照射を行い生存日数を調べた。X線は0.72Gy/minの線量率。また水素ガスに1時間曝露後普通の空気吸引にもどし、1時間あるいは6時間経た後で放射線を照射し、生存率を調べた。 [結果と考察] 水素ガス投与によって8Gy照射後の平均生存日数は10日から17日へと有意に増加し(p=0.0010)、12Gy照射でも増加傾向がみられた。これらは骨髄幹細胞や腸のクリプト幹細胞に対し水素ガスが防護効果を持つことを示している。さらに水素ガス吸引の効果は吸引を止めた後1時間及び6時間後では明白に減弱していることも分かった。 これらの結果は水素ガスが新しい放射線防護剤として有用であることを示唆すると同時に、水素分子がOHラジカルと反応し得ることも示唆するものである。 現在、水素ガスの効果が細胞レベル、DNAレベルでも観察されるものかどうかについて検討している。
著者
小野 哲雄 佐藤 理史
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.3_48-3_65, 1995 (Released:2008-10-03)
参考文献数
15

We propose a computational model of emotion using the mechanism of the immune system. This model is inspired by the observation that emotion is similar to the immune system, in that each is a result of a self-defense system that is capable of adapting to the environment.The main component of this model is a body, in which many cells undergo Brownian Motion. Each cell has energy and characteristics that correspond to one of the five ego states in transactional analysis(Berne, 1964). The cells' state as a whole is its emotional state. Some cells are activated when antigens invade the body, and they work to sweep away those antigens. This process changes the emotional state.We implemented this model, and the results of experiments indicate that the model has the following two characteristics, which other models have not been able to achieve:(1) Emotional states change continuously.(2) Emotional states change in response to stimuli (antigens) according to the state at that moment and its past changes.We implemented a dialogue system using this model and found that the system can imitate human dialogues.
著者
小野 哲雄
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.3J1OS9a01, 2020 (Released:2020-06-19)

本研究では,行動経済学で提唱されている“ナッジ”を「心のナビゲーション」として捉え,その認知的なメカニズムの解明・モデル化を行うとともに,我々がこれまで研究を行ってきたエージェント基盤技術を用いて“ナッジ”エージェントとして実装することにより,人間とAIシステムを融和させ,人々をウェルビーイング(人間的に豊かな生活)へと導く意思決定を促す環境知能システムの実現を目指す. 本研究で提案する“ナッジ”エージェントの新規性・独自性は、(a) 行動経済学の「理論」とAIシステムの「学習」により少ないデータから人間の意思決定を予測可能,(b) エージェントが環境にあるIoTデバイスへ「移動」(agent migration)することにより文脈に適した意思決定の支援が可能,(c) ナッジを構成するプロセスを可視化することにより人間の意思決定力を「育てる」ことが可能なことである.本研究ではさらに,実験室実験により本システムの機能の有効性を検証した後,フィールド実験を行い社会実装へとつなげていく予定である.
著者
下畑 敬子 下畑 享良 小野 哲 茂木 僚一郎 石倉 秀昭 宮下 興
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.129-132, 2014 (Released:2014-07-18)
参考文献数
11

【目的】ナラトリプタンによる月経関連片頭痛に対する治療効果と問題点について検討する.【方法】対象は2008年6月から2010年1月の間に,ナラトリプタン2.5 mgにより治療を行った月経関連片頭痛患者16名とした.観察期間中における継続率,有効率,副作用について後方視的に検討した.【結果】継続率は14/16名(87.5%)であった.有効が14/16名(87.5%),無効が2/16名(12.5%)であった.重篤な副作用はなかった.継続した理由は,(1)再発率が低く経済的である,(2)副作用がない,があげられた.一方,継続できなかった理由は,(1)悪心・嘔吐で内服できない,(2)効果発現までの時間が長い,があげられた.【結論】月経関連片頭痛に対するナラトリプタンは,継続率,効果とも良好で,重篤な副作用もなかったことから,月経関連片頭痛に有用であると考えられた.一方,悪心・嘔吐のため内服困難であることや,別種類のトリプタンを状況に応じて使い分けている患者がいることもわかり,トリプタン製剤の使い分けなど,外来における患者指導が重要であると考えられた.
著者
小野 哲雄 馬 雷
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第31回全国大会(2017)
巻号頁・発行日
pp.1G1OS21a1, 2017 (Released:2018-07-30)

「プロジェクション・サイエンス」とは,人間の認知機構を解明するためのまったく新しい方法論であるとともに,そのモデル論的理解をとおして工学的応用までも射程に収めた野心的な構想である.本稿では,特に「サードマン現象」に注目し,VRおよびエージェント技術を用いた身体投射システムを提案する.さらに,本研究をとおして「虚投射」および一人称と三人称の視点変換のメカニズムの解明が重要であることを示す.
著者
駒込 大輔 小野 哲雄
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.P23, 2007

本研究では,人間に対して模倣と創造を促すコミュニケーションロボットのインタラクションデザインについて考える.ロボットは物理的な身体を持ち,ネットワークやアーカイブ機構を持っているため,人間の創造活動を支援する為に適したメディアであると考えられる.しかし,ロボットが実世界の文脈情報を的確に読み,能動的に情報支援・創造支援することは非常に困難である.そこで,我々は人間の模倣能力に注目する.模倣は単なるコピーではなく,過去の優れた事例を組み合わせて,新たな創造へと導く行為である.そのため,我々はロボットを社会的なメディアととらえ,人間がロボット独自の行動を模倣するかどうかを検証する予備実験を行った.その結果,人間は非生物であるロボットを無意識的に模倣する能力を持っていることが分かった.
著者
春日 遥 坂本 大介 棟方 渚 小野 哲雄
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.1520-1531, 2018-08-15

ペット動物は人類の最も古い友人である.人々は彼らと生活を営み,今日では家庭において家族としてのペットと人の関係が研究されてきた.近年になってコミュニケーション・ロボットの登場により,家庭における人とペット動物に加え社会的ロボットを考慮した3者関係に注目した研究分野が生まれつつある.本研究では,社会的ロボットが家庭における人とペット動物の関係に対してどのような影響を与えるのかを調査するために実験的なフィールド調査を行った.調査には10家庭22人と12頭のペット動物(犬が4頭,猫が8頭)が参加した.調査においては社会的ロボットとして小型人型ロボットNAOを使用し,各家庭において小型人型ロボットと人,ペット動物が対話する様子の観察を行った.対話ではペット動物に対してポジティブに話しかける正条件と,相対的にネガティブに話しかける負条件の2つのシナリオで調査を実施した.両条件では約2分間の対話シナリオのうち,約30秒間のロボットからペット動物への発話内容が異なった.結果として,ロボットのペット動物に対する発話内容と態度の違いが,参加者からロボットへの印象に影響を与えていた.
著者
坂本 大介 小野 哲雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.109, pp.15-20, 2005-11-08
参考文献数
7

ロボット技術の発展に伴い,今後実際に社会に出て人と共に暮らすことのできるロボットが登場することが予想される.ロボットが実際に人とともに社会生活を行うためにはいまだ様々な問題が残されている.特に,ロボットが既存の人間関係や社会関係にどのような影響を与えるのかという問題に関する研究は多く行われていない.本稿では社会的なロボットが人間関係,社会関係にどのような影響を与えるかを扱う学問であるロボット社会心理学を提案し,この有効性を確かめるための実験を行った.これによりロボットが実際に人間関係に良い影響も悪い影響も与える可能性があることを確認した.つまり,ロボットは人間関係を壊すことが可能性であり,同時に人間と共に良い関係を築くことも可能であることを確認した.これについて報告する.With the developments in Robotics, Robots that live with us will appear on the daily life in near future. However, there are many problems on social robots. In particular, the effects of robots behaviors influence the human relations and societies have not clarified. In this paper, we conducted an experiment to verify the effect of robots behaviors influence the human relations using the 'Balance theory'. The result shows that a robot can affect a good or bad influence on the human relations. A Human's impression of another human, had undergone a change by a robot. In other words, robots can construct or collapse the human relations.