著者
小野 晃典
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.6-19, 2019-03-29 (Released:2019-03-29)
参考文献数
22
被引用文献数
2

企業は,自社製品を物理的に擬人化することによって,消費者とのリレーションシップを強化することを目論むことがある。このとき,「製品の顔」に相当する部分は,擬人化製品にとって,パーソナリティ評価を左右する最も重要な部分である。このことに関する既存研究は,怒った目(vs. 笑った目)と笑った口(vs. 怒った口)の組合せが,最も選好される自動車の「顔」のデザインであると主張した。それに対して本研究は,4種類の目(怒った目,笑った目,四角い目,丸い目)と3種類の口(笑った口,怒った口,真っ直ぐの口)のデザイン,および,製品と自己(現実自己/理想自己)のイメージ適合を考慮に入れて分析を行う。その結果,12種類の擬人化製品は各々,固有の製品イメージと結びついており,それらと理想自己イメージとの適合度の高い消費者に選好されるということが見いだされた。このことは,選好度の高い唯一の「製品の顔」は存在せず,それゆえ,多様なニーズに合わせた「顔」にカスタマイズできる生産システムの構築を考慮に入れるべきことを含意している。
著者
柴田 頌太 眞山 英徳 小野 さやか 崎山 快夫
出版者
日本神経救急学会
雑誌
日本神経救急学会雑誌 (ISSN:16193067)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.30-34, 2016-06-11 (Released:2016-09-01)
参考文献数
12

A 49-year-old man with progressive dysarthria and weakness of the lower extremities was brought to our hospital. He had been diagnosed previously with myasthenia gravis (MG) and was awaiting treatment. Clinical features supported the diagnosis of MG exacerbation, and we started oral prednisolone and pyridostigmine. Although his symptoms responded well to the initial treatment, abnormally agitated behavior appeared on the seventh day after admission. He developed a high fever, generalized weakness, and respiratory disturbance that required intubation. He was diagnosed as having an MG crisis and was treated with plasma exchange therapy and methyl-prednisolone pulse therapy (1 g/day), along with intravenous immunoglobulin therapy. His symptoms improved, and he was extubated on day 21. During the crisis episode, it was revealed that he was dependent on antipsychotics and was abusing large quantities of various drugs from multiple hospitals.We report the case of a patient with MG, along with drug dependence, who experienced a crisis, presumably triggered by symptoms of withdrawal from antipsychotics. A careful review of a patient’s medication history is crucial, especially in drug-dependent patients, considering their underlying risks.
著者
三輪 恕昭 小野 二三雄 折田 薫三
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.13, no.7, pp.868-873, 1980 (Released:2011-03-02)
参考文献数
30

大腸癌例にlevamisole (LMS) を1日150mg, 連続3日間投与, 後11日休薬のスケジュールを手術3日前より1ヵ月以上可能な限り継続し, 術後6ヵ月以上の経過の判明した44例の生存率を, 対照群90例の値と比較検討した.LMSの生存率上昇効果はStage I~IV例でみられず, 最も進行したStage V例でみられた.またその効果は, 腫瘍占居部位が腹膜翻転部より口側の大腸である時, 腫瘍の拡がりが大腸管周の1/2未満である時, 腫瘍の深達度が漿膜面に及ばない時にみられた.LMSの大腸癌例への抗腫瘍効果をみた報告は, 本報告が2例目であり, 他臓器癌例へのLMSの効果と関連づけて若干の文献的考案を行った.
著者
待井 一男 佐藤 信 竹沢 将俊 刈米 重夫 大和田 憲司 室井 秀一 小野 和男 束原 康文 木島 幹博 宮崎 吉弘 粟野 直行 樋口 利行
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.306-316, 1982

学校検診の心電図検査で異常を指摘され, 当科を受診した46名中44名に心電図異常が認められた。内訳は洞性徐脈及び洞性不整脈10例, 冠状静脈洞調律2例, 心室性期外収縮5例, 心室調律2列, 1度房室ブロック8列, 2度房室ブロック4例, 右脚ブロック12例, WPW症候群5例, 左室肥大1例, 右室肥大1例, 心筋傷害1例, 右胸心1例であった。精査の結果明らかな基礎疾患がみつかったのは, 右室肥大が見られた先天性肺動脈弁狭窄症1例と心筋障害が疑われた心尖部肥大型心筋症の計2例で, その他には不完全右脚ブロックを指摘された漏斗胸1例, 家族性WPW症候群の1例, 他の奇型合併を伴わない右胸心1例がみつかった。残りの39例では, 明らかな基礎疾患の存在は認められなかった。<BR>44名中右脚ブロック10例, 心肥大2例, 右胸心1例を除く31例の心電図異常例にマスターダブル負荷試験を行ったところ, 負荷陽性は心尖部肥大型心筋症1例だけであった。マスターダブル負荷直後, 心室性期外収縮4例, 2度房室ブロック1例, WPW症候群4例を除く23例では, 不整脈が消失したりQRS波型の正常化が見られた。<BR>マスターブル負荷試験は, 不整脈を有する学童のスクリーニングテストとして簡便かつ有用な方法である。
著者
小野田 尚佳 伊藤 康弘 岡本 高宏
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.24-27, 2019 (Released:2019-04-24)
参考文献数
13

甲状腺腫瘍診療ガイドライン2018年版では,乳頭癌に対してリスク分類や進行度,予後因子に応じた標準的対処を求めており影響を注視したい。他方,中リスク乳頭癌・低分化癌・未分化癌へ対処,気管合併切除など拡大手術の意義,分子標的薬治療の予後改善効果については,さらなるエビデンス蓄積が待たれる。髄様癌の遺伝子診療,予防的手術には,様々な角度からの議論が欠かせず,RI療法の分類に則した成績の提示も必要である。ガイドライン公開後も英文論文作成,随時の更新が行われ,治療標準化や患者の健康アウトカムについての調査が開始されるが,加えて3年後の次期改訂に向けて新規CQをリストアップし,解決のための研究奨励などを着実に行うよう提案したい。さらに,他学会との連携,汎用性を高める公開法,大規模データベースやAI,SNSの活用,女性委員と患者の参画などの検討が必要と考えられる。
著者
岡本 高宏 小野田 尚佳 伊藤 康弘
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.8-11, 2019 (Released:2019-04-24)
参考文献数
12

甲状腺腫瘍診療ガイドラインを改訂した。甲状腺腫瘍に悩む患者の健康アウトカムを高めるには知識,技術の向上と心の涵養が不可欠である。エビデンスの創出,診療ガイドライン開発法の工夫に終わりはない。専門職による不断の貢献が未来を拓く。
著者
松岡 真如 小野寺 栄治 川上 利次 高野 一隆 木村 穣
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.100, no.6, pp.193-200, 2018-12-01 (Released:2019-02-01)
参考文献数
15

衛星からの電波を受信して位置を知ることのできる Global Navigation Satellite System (GNSS) 受信機は林業の現場に普及している。GNSS で計測された座標には位置誤差が常に含まれている。したがって,その座標を用いて計算した面積も誤差を持っている。面積誤差の大きさが分かれば,直接的に測量の精度を知ることができ,森林資源の管理に役立つと考えられる。本論文では,位置座標と位置誤差(標準偏差)とから面積の標準偏差を求める方法を説明する。また,誤差を含む座標を用いて計算された「面積の標準偏差の近似値」を面積の精度を示す指標として利用することを提案する。この近似値のあてはまりの良さを評価するため,本論文では GNSS による周囲測量を模した数値実験を行った。その結果,90%以上の実験条件において,近似値は実測値±3%の範囲に収まった。加えて,提案した指標を実際のデータに適用し,利用方法の例を示した。これらにより,提案した指標が GNSS 測量で得られた面積の精度評価に利用できる可能性が示された。
著者
小野 健吉
雑誌
観光学 (ISSN:21852332)
巻号頁・発行日
no.20, pp.13-25, 2019-03-08

Temple gardens have played an important role for development of garden tourism in Japan since the 17th century. It is unique in the world. This paper first organizes historical events that represent the temple-garden relationship in Japan as follows: 1)A type of pure land garden built in the precinct of Amida-jodoin temple of Hokkeji grand temple in Nara in the 8th century was the first temple garden in Japan. 2)During the 9th-10th centuries, royal and aristocratic villas including their gardens in the suburbs of Kyoto were converted to temples. 3)Pure land garden style was established in the 11th century and many temples adopting this style had been built until the 14th century. 4)A group of monks called Ishidate-so were engaged in building gardens as specialists during the 12th-14th centuries. 5)In the 13th century, a garden located behind the temple building complex was introduced to Zen Buddhism temple. 6)A distinguished Zen monk Soseki Muso designed magnificent gardens such as those in Tenryuji temple and Saihoji temple in the 14th century. 7)Kitayama-dono villa and Higashiyama-dono villa which had beautiful gardens were built by Ashikaga shoguns, and they were soon converted to Kinkakuji temple and Ginkakuji temple respectively in the 14th -15th centuries. 8)A number of dry landscape gardens were built in Zen Buddhism temples mainly in Kyoto by Zen monks around the 16th century. 9)Many gardens were built in temples of any Buddhism sects in Kyoto, and the trend of garden-building in temples spread across the country in the Edo period (17th -19th centuries). The paper then confirms the thriving of religious tourism in the Edo period. By consulting historical materials including Miyako-meisho-zue, a general guidebook of Kyoto published in 1780, and Miyako-rinsen-meisho-zue, a garden guidebook of Kyoto published in 1799, the paper argues that temple gardens were important tourist attractions in Kyoto and one of the main destinations for religious tourists. The paper concludes that Japanese temple gardens had been developed in the long history of temple-garden relationship and they became tourist attractions during the Edo period. These facts represent the unique feature of Japanese garden tourism.
著者
小野田 崇 坂井 美帆 山田 誠二
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第27回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.55, 2011 (Released:2012-02-15)

簡単で高速なアルゴリズムであるため,k-meansクラスタリング法は,様々な分野で広く伝われている。しかし,k-meansクラスタリング法によるクラスタリング結果は,初期クラスタリング中心の選び方によって大きく異なる。そこで本論文では,独立成分分析による初期クラスタリング中心選定法を提案する。また,様々なベンチマークデータに対し、提案方法と他の初期クラスタリング中心選定法を用いた場合のk-meansクラスタイング法の結果を比較し、その性能を評価する。実験の結果,ODPコーパスに対し,提案方法が有用であることが確認される。
著者
野村 佳宏 原田 太郎 森田 重人 窪田 聡 腰岡 政二 山口 博康 棚瀬 幸司 八木 雅史 小野崎 隆 佐藤 茂
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
Journal of the Japanese Society for Horticultural Science (ISSN:18823351)
巻号頁・発行日
vol.82, no.3, pp.242-254, 2013
被引用文献数
6

カーネーションの老化時においては,初めに雌ずいにおいてエチレンが生成し,このエチレンが花弁に作用して自己触媒的エチレン生成反応を引き起こす.本研究では,アブシシン酸(ABA)の含量および ABA の生合成と作用に関与する遺伝子群の発現を解析して,雌ずいのエチレン生成開始反応における ABA の役割を明らかにすることを試みた.初めに,カーネーション'ライトピンクバーバラ'の花組織から,ABA の生合成と作用に関与する遺伝子群の cDNA をクローニングし,構造を明らかにした.次に,雌ずいの ABA 含量の変化とこれらの遺伝子の発現を,3 品種のカーネーションを用いて調べた.3 品種は,切り花の老化時にエチレンを生成し約 1 週間の花持ち期間を示す'ライトピンクバーバラ'と'エクセリア',および老化時にエチレンを生成せず約 3 週間の花もち期間を示す'ミラクルルージュ'を用いた.子房の ABA 含量は,'ライトピンクバーバラ'では開花時期 2(Os 2)から Os 5 にかけて 530–710 pmol·g<sup>−1</sup> FW,'エクセリア'では同じ時期に 200–380 pmol·g<sup>−1</sup> FW で,老化時期 1(Ss 1)(老化の初期)に 930 pmol·g<sup>−1</sup> FW に増加した.他方,'ミラクルルージュ'では 70–160 pmol·g<sup>−1</sup> FW で推移した.ABA 含量の変化は,<i>DcNCED1</i>(9<i>-cis</i>-エポキシカロテノイドジオキシゲナーゼ)転写産物量の変化と並行関係にあった.<i>DcPYR1</i>(ABA 受容体)転写産物量は,'ライトピンクバーバラ'の Os 1–Os 3 では 0.004–0.007 相対発現量(r.e.l.)であり,Ss 1 には 0.028 r.e.l. に増加した.'エクセリア'の子房では,開花時期は 0.025–0.037 r.e.l. で推移し,Ss 1 でさらに増加した.これに反して,'ミラクルルージュ'では開花と老化時期を通じて 0.002–0.006 r.e.l. であった.エチレン生合成の鍵遺伝子である <i>DcACS1</i> の転写産物は,'ライトピンクバーバラ'では Ss 1,'エクセリア'では Ss 2 で検出されたが,'ミラクルルージュ'では開花と老化の時期を通じて検出されなかった.以上の結果から,ABA が雌ずいにおける <i>DcACS1</i> の発現を誘導してエチレン生成を引き起こすこと,ABA の作用の発現には ABA 含量と <i>DcPYR1</i> の発現量が特定の閾値を超える必要があることが推定された.
著者
松井 実 竹内 崇馬 小野 健太 渡邉 誠
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.64, 2017

集団遺伝学における遺伝的浮動と同等の,個体が文化的形質をランダムに模倣するモデルが実世界の様々な形質データを説明することを文化進化学の諸研究は明らかにしてきた.しかし文化的形質が実際にどのように変異し,選択されるかについての実証研究はほとんどなされていない.本研究ではデザインの進化実験で生じた頻度のデータが,ランダムコピーモデルのシミュレーションによる帰無モデルに極めてよく一致することを示す.実験では,デザイナーがよくデザインされていると感じるものを模倣し,よくないと思うものを排除してもらった.同時に新奇のデザインをいくつか考案してもらい,集団に投入した.これを何度も繰り返し,伝達連鎖ネットワークを形成した.その頻度を解析すると,従来デザインの質を向上すると考えられていた様々な処理が有用でないこともわかった.この結果は特定の環境下においてデザインの創造プロセスとその市場での選択はその価値に関係なく行なわれていることを示唆する.
著者
小野 諒人 神薗 雅紀 笠間 貴弘 上原 哲太郎
雑誌
研究報告セキュリティ心理学とトラスト(SPT) (ISSN:21888671)
巻号頁・発行日
vol.2018-SPT-27, no.18, pp.1-6, 2018-02-28

ダークウェブとは主に匿名ネットワークを利用してインターネット上にオーバーレイネットワークで構築された Web サイト群のことを指す.ダークウェブはその高い匿名性からプライバシ保護や検閲回避等の目的で利用されている一方,違法薬物の販売サイトなどの違法サイトの構築にも悪用されている.ダークウェブに存在する Web サイトを把握することは容易ではなく,仮にその存在がわかったとしても実際の Web サーバの IP アドレスは秘匿されているため,不正サイトの摘発などの直接的な対策につなげることは難しい.そこで本稿では,Tor 秘匿サービス上のダークウェブを対象とし,HSDir の Snooping による Onion アドレスの収集と,秘匿サービスを利用しているサーバヘのスキャンを組み合わせたダークウェブ分析システムを提案 ・ 実装し,観測結果について報告する.
著者
藤枝 真宏 小野寺 夏生
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.77-85, 2006 (Released:2006-05-01)
参考文献数
14
被引用文献数
2 2 1

J-STAGE登載雑誌の論文を引用した論文数および引用した著者の地域分布を,J-STAGE登載の前後で比較した。また,J-STAGE利用団体へのインタビュー,調査対象誌を引用した著者への質問票調査を実施した。これらの結果から,わが国の学術雑誌が電子化されることによって,利用が拡大したか,当該分野への影響力が増したのかどうかを考察した。J-STAGEは流通の促進に貢献しているが,実際に引用に影響を与えるためには,審査レベルの向上や魅力的な記事の掲載等,編集方針の変更によって質を向上させることが必要であることを指摘した。