著者
小野 佐和子
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.93-103, 1984-10-15
被引用文献数
1

摘要:近世都市における住民のレクリエーション研究のひとつとして幕末の江戸で行われた花見のあり方を考察した。その結果,下層町人を主体とする行列・仮装・滑稽劇をその特徴に認め,当時の花見が,演劇的装いのもとに笑いを通じて民衆の想像力を解放する働きを有しており,花見の揚が民衆の笑いと変身の空間であるとする知見を得た。
著者
船登 雅彦 小野 康寛 馬場 一美
出版者
昭和大学・昭和歯学会
雑誌
Dental Medicine Research (ISSN:18820719)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.209-213, 2013

覚醒時の上下歯列接触癖(Tooth Contacting Habit; TCH)は顎関節症の原因因子として注目されてきている.TCH の評価は質問票や問診に基づくため信頼性が低く,TCH を客観的に評価することができなかった.著者らはTCH を客観的に定量化するために「TCH 測定システム」を開発し,臨床への導入をすすめている.<br/>このTCH 測定システムはコンピューターと専用ソフトウェアからなり,E メール機能を有する市販の携帯電話さえあれば,ランダムに送信されるE メールを受信した時にTCH の有無を確認し,空メールを返信するだけで,データが蓄積され,TCH の出現頻度や出現状況を自動分析することができる.<br/>本稿ではTCH 測定システムの概要と初期の運用実績および今後の発展性について紹介する.
著者
李 暁赫 杉山 央 小野 克也 藤本 郷史
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.79, no.703, pp.1215-1225, 2014-09-30 (Released:2014-09-30)
参考文献数
18
被引用文献数
3

Curing condition of concrete in early ages has a significant influence on the durability of reinforced concrete structures. The influence of curing condition in early ages on the carbonation of concrete was studied in this paper. Following results were obtained; 1) The accelerated carbonation depth of concrete depends on the strength at the age of 28 days. 2) Evaporation rate is a useful indicator of earlyage curing with respect to concrete carbonation.
著者
江口 翔太 坂口 裕一 小野 智司
出版者
電気・情報関係学会九州支部連合大会委員会
雑誌
電気関係学会九州支部連合大会講演論文集 平成26年度電気・情報関係学会九州支部連合大会(第67回連合大会)講演論文集
巻号頁・発行日
pp.541-542, 2014-09-11 (Released:2016-02-10)

差分進化(Differential Evolution: DE)はシンプルかつ頑健なアルゴリズムであることから,様々な分野で利用されている.しかし,問題の特徴が未知の問題に対して最適な制御パラメータを設定することは困難であり,ユーザにとって大きな負担となっている.近年,制御パラメータを探索中に調整する自己適応型差分進化(self-adaptive DE: jDE)が優秀な探索性能を持つことから注目されている.さらに,適応型DEとしてJADE,SHADEが良好な性能を示している.本研究では,これらのDEをベンチマーク関数によって評価実験を行い,各アルゴリズムの性能比較を行う.
著者
小野田 竜一 高橋 伸幸
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.65-74, 2013-11-30 (Released:2017-02-27)
被引用文献数
1

When people behave more cooperatively toward in-group members than to out-group members, we call it "in-group favoring behavior." However, previous studies have not yet provided a satisfactory explanation for why in-group favoritism can be adaptive. In the current study, we conducted a series of simulations to explain such behaviors from an evolutionary perspective. We used the giving game and constructed a society composed of two groups, A and B. In the game, every player was given a fixed amount of resources and decided how much and to whom he gave. The results showed that the in-group favoring strategy is adaptive only when it has a strict criterion for recipients (not giving any resources to players who had helped other players who did not adopt the in-group favoring strategy). Furthermore, they showed that there were other strategies which have a strict criterion for recipients that could be adaptive as well. These findings suggest that strategies which form a circle of exchange only among themselves by excluding other strategies can be adaptive.
著者
関上 哲 張 娟 横山 岳 数納 朗 范 作冰 小野 直達
出版者
The Japanese Society of Silk Science and Technology
雑誌
日本シルク学会誌 (ISSN:18808204)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.41-45, 2012

We examined the characteristics of the Hachioji textile production area in recent years and the status of goods marketed under its regional brand, "Mulberry City Necktie," in an attempt to understand the future directions of the industry and revitalize this weaving production area. We performed a series of intensive interviews with members of the Hachioji weaving cooperative and with staff of direct management shops and a company. The main results were as follows. Although the Hachioji textile production area has been known for decades as a necktie production area, in recent years this type of production has struggled to survive under the severe conditions resulting from factors such as a weakening production base. The status of regional-brand goods has been very low among major domestic textile production areas, and production of such goods has been decreasing since 2005. We have two proposals for revitalizing the Hachioji textile production area. First, the weaving industry cooperative should endeavor firmly to maintain its traditional technique of necktie production and should act quickly to gain an understanding of consumer needs. Second, the cooperative should find a way of coping more strategically with the problems inherent to the market, and it should especially tap new markets for its brand goods. (E-mail: zhangjuanrq@hotmail.co.jp)
著者
小野 恭靖
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. I, 人文科学 (ISSN:03893448)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.47-56, 2005-09-30

日本のことば遊びの一種に判じ物がある。判じ物は絵と文字を用いて、主として日本語の同音異義によって解読させる視覚的なことば遊びである。その判じ物の資料のうち、同類の名詞を解とする判じ物を一枚摺りの錦絵版画に集成したものがある。それはいわば判じ物の「物は尽くし」資料と言え、今日「物尽くし判じ物」と呼ばれている。「物尽くし判じ物」は岩崎均史氏によって精力的に紹介されている。しかし、近時岩崎氏未紹介の「物尽くし判じ物」二点、また岩崎氏に言及がありながら、写真等による紹介がなされていない「物尽くし判じ物」一点が管見に入り、その,後大阪教育大学小野研究室蔵となった。本稿は従来十分な位置付けがなされていない以上三点の「物尽くし判じ物」を、写真とともに紹介する論考である。
著者
小野 恭靖
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. I, 人文科学 (ISSN:03893448)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.109-116, 2000-01

江戸時代末期に爆発的に流行し、巷間に流布した"判じ物"資料に「もの尽くし判じ物」がある。「もの尽くし判じ物」は動物、植物、食品、調度品、風俗などの部類によるもの尽くし絵であるが、それがいわゆる"判じ絵"で描かれている点に特徴がある。また、「もの尽くし判じ物」は大判の錦絵摺りで、一枚物を基本としたが、二枚から数枚で一組とされた例も見られる。本稿では、「もの尽くし判じ物」を代表する三種の表現手法を取りあげ、それらが一朝一夕に成されたものではなく、日本語のことば遊びの歴史と伝統に基づいたものであったことを指摘する。"Monozukushi Hanjimono", which took the world by storm in the Edo era, is one of picture puzzles. The picture puzzles in "Monozukushi Hanjimono" are classified by subjects such as animal, plant, food, supply and public moral. They are Nishikie, which are color prints. This report treats three kinds of expressions in these picture puzzles, and indicates that their expressions were not made easily but had been made in the long history and tradition of Japanese language.
著者
澤田 伸一 坂東 宏和 馬場 康宏 小野 和
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. コンピュータと教育研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.123, pp.9-16, 2003-12-15
参考文献数
6
被引用文献数
3

近年,小中学校でパソコンを使った授業が行われ始めており,幼稚園でも創造性を豊かにする道具として,パソコンは注目され始めている.しかし,現在のパソコンはキーボードとマウスで操作するため,文字を習う前の幼児のパソコン操作は困難である.我々はパソコンの操作をペン入力デバイスで行うことを考え,幼児が簡単に楽しく遊べるソフトウェアの試作を行った.ペン入力デバイスとして,画面の表面にタッチパネルを張った大型のプラズマディスプレイとタブレットPCを用意し,試作したソフトウェアを評価した.そのとき,同じソフトウェアでも,プラズマディスプレイの環境とタブレットPCの環境で操作に違いが見られた.本論文では試作したソフトウェアの試用から得られた見地のうち,主にひっぱる操作(ドラッグ)とつっつく操作(タップ)に注目し,それぞれの環境で幼児が多用する操作を調査し,その操作と発達段階やハードウェア環境との関係について考察する.
著者
小野 展嗣
出版者
国立科学博物館
雑誌
Bulletin of the National Science Museum. Series A, Zoology (ISSN:03852423)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.67-75, 2004-06

Zodariid spiders of the genera Asceua Thorell, 1887, Mallinella Strand, 1906, and Akyttara Jocque, 1987, obtained from Dambri in Lam Dong Province, southern Vietnam, are reported. Four new species are described under the names, Asceua piperata, Mallinella momoina, Mallinella dambrica and Akyttara odorocci. The holotype (female) of Asceua torquata (Simon, 1909) described from Hanoi, northern Vietnam, was re-examined and illustrated for a comparison with the new species. Both the Asceua species closely resemble each other in the shape of epigynum. Mallinella dambrica seems to be related to M. klossi (Hogg, 1922) known from Lang Biang, about 100km apart from Dambri in a northeastern direction, while M. momoina shows peculiar characters in the genus, especially those of the structure of female genitalia. The genus Akyttara was discovered in Asia for the first time.
著者
前田 佳奈 畑 攻 小野里 真弓 成瀬 美紀 小坂 知子
出版者
日本女子体育大学
雑誌
日本女子体育大学紀要 (ISSN:02850095)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.67-74, 2010-03

Professional sports such as Nippon Professional Baseball and J-League are prosperous as a spectator sport in Japan. The badminton did not yet develop as a spectator sport. But, it became famous by the appearance of the star player. And also, the women's doubles pair placed the fourth place in the Beijng Olympics. The purpose of this study was to pay attention to spectators in badminton, and clarify the characteristic. And then, the questionnaire survey was executed for spectator and it analyzed and considered. The following results were obtained. 1. The realities of the badminton game's spectator became clear, and the various characteristics of the badminton lover became clear. 2. The service for the badminton spectators was considered. 3. A expected promotion strategy for badminton was suggested by viewpoint of diffusion.
著者
川上 正浩 小野 菜摘 佐々木 美香 西尾 麻佑
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学研究紀要 (ISSN:21860459)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.95-103, 2012-01-31

本研究では、読み(音韻)から漢字(形態)への対応について、人間の反応に基づいたデータベースを構築することを目的とした。具体的には、仮名一文字で表記される特定の音韻(読み)から想起される漢字のバリエーションについて明らかにすることを目指した。実験参加者169 名を4 つの群に振り分け、それぞれの群に、仮名一文字で表される15 個の音韻を呈示した。30 秒の制限時間内に当該音韻から想起される漢字一文字のデータベースを作成した。集計の結果、本研究で対象とした仮名一文字のうち、もっとも多くの漢字が想起されたのは「か」(4.98)であり、もっとも少ない漢字が想起されたのは「ぬ」(0.80)であった。これは各実験参加者の想起漢字数であるが、想起された漢字のバリエーションについては、「か」(46)がもっとも多く、「せ」(3)がもっとも少なかった。
著者
小野 金次郎[作詞]
出版者
ビクター
巻号頁・発行日
1957-12
著者
小塚 陽子 小野 真知子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要. 家政・自然編 (ISSN:09153098)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.39-46, 1994-03-05

南九州の重要な畑作物である甘しょの用途拡大を図るため,甘しょを調理素材として再評価することが必要である.甘しょの家庭料理あるいは調理済み加工食品としての用途はてんぷらや大学いもなどに極めて限定されていたが,近年新しい特性を持つ系統(低でんぷん,低糖分甘しょ等)が育種され,新食品素材として新しい調理法の開発が可能となってきた.さらに最近の健康食指向が高まりつつあることに伴い,ビタミン・ミネラル等が豊富に含まれている甘しょを手軽な形で摂取できることが望ましいと考える.甘しょには,カロチン系統と呼ばれるβ-カロテンを多く含有しているだいだい他の品種,またアントシアン系統と呼ばれるアントシアン色素を多く含有している紫色の品種,一般的によく知られている黄色品種ほか,数多くの品種が存在している.これらの品種の中から,第一報においては黄色系統の甘しょを鶏肉ソーセージに添加したものについて報告した.今回新たに開発された低でんぷん甘しょは水分音量が多く,ジュースに向く品種と考えられている.これらの品種の完全利用を目的とし,ジュースヘの調理音吐の検討ならびに,より付加価値の高い加工食品の開発を試みた.品種間の評価,官能検査等を行い,多少の知見が得られたので報告をする.
著者
小野田 亮介
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.121-137, 2015-06-30 (Released:2015-08-22)
参考文献数
35
被引用文献数
4 7

マイサイドバイアスとは, 反対立場に有利な理由に比べ, 賛成立場に有利な理由が多く産出される傾向を指す。マイサイドバイアスが強い意見文は説得力, 信頼性ともに低く評価される傾向にある。そこで本研究では, 児童の意見文産出におけるマイサイドバイアスの低減を目的とし, 目標提示とそれに伴う方略提示, および役割付与の効果を検証した。4年生65名を対象とした予備実験の結果, 反対立場の読み手を想定するという条件下において, 児童は反論を想定するものの, その反論に対する再反論は十分に行わないことが示された。そこで, 5年生90名を対象とした本実験では, 反論への再反論を促すため, (1) 反対立場の優勢性の検討, (2) 理由の明確化, (3) 読み手に対する意識, を促進するための目標を与え, 目標提示のみが行われる「対照群」, 目標に加えて目標を達成するための方略が示される「方略提示群」, 目標と方略の提示に加え, 目標達成を義務とする役割が与えられる「方略・役割群」とで産出される意見文の比較を行った。その結果, 方略提示によって反論に対する再反論の産出数が増加し, さらに役割付与がその効果を促進することが明らかになった。